運用・管理 / RADIUSサーバー
本製品はRADIUSサーバー機能(ローカルRADIUSサーバー)を内蔵しています。ローカルRADIUSサーバーを利用すれば、別途RADIUSサーバーを用意することなく、本製品だけで下記機能向けの認証サーバーを構築できます。
- ポート認証(802.1X認証、MACベース認証、Web認証)
- 無線クライアント認証(WPAエンタープライズ)
ここでは、ローカルRADIUSサーバーの設定方法だけを述べます。
ローカルRADIUSサーバーを利用する側の機能については下記のページをご覧ください。
また、ローカルCA機能については「運用・管理」/「ローカルCA」をご覧ください。
仕様
ローカルRADIUSサーバーの基本的な仕様を以下に示します。- 認証方式と対象機能
次に、ローカルRADIUSサーバーがサポートする認証方式とそれぞれの対象機能を示します。
- PAP、EAP-MD5
- MACベース認証
- Web認証
- MACベース認証
- EAP-TLS
- 無線クライアント認証
- 802.1X認証
- 無線クライアント認証
- EAP-PEAP
- 無線クライアント認証
- 802.1X認証
- 無線クライアント認証
- PAP、EAP-MD5
- アカウンティング機能はなし
ローカルRADIUSサーバーは認証機能だけを提供します(デフォルトのUDPポートは1812)。ログイン、ログオフなどの利用状況を記録するアカウンティング機能はサポートしていません。
- ユーザー登録
各ユーザーに対しては、ユーザー名、パスワードに加え、各機能で使用する属性を設定することができます(各種属性は「ユーザーグループ」単位で設定)。
- RADIUSクライアント(NAS)登録
ローカルRADIUSサーバーにアクセスできるのは、登録したIPアドレスを持ったRADIUSクライアント(NAS = Network Access Server)だけです。また、アクセス時には共有パスワードによる認証も行われます。
- RADIUSパケットの検証機能
ローカルRADIUSサーバー機能では、認証レスポンスの偽造による攻撃を防ぐため、RADIUSパケットの検証機能を実装しています。
- Windowsの認証モードの一つであるコンピュータ認証は未サポートです。
- ローカルCA
EAP-TLS、EAP-PEAPの認証には認証局(CA)が発行する電子証明書が必要ですが、本製品には独自の証明書を発行するローカルCA機能が付属しているため、別途認証局(CA)を用意する必要がありません。ローカルCAおよびローカルRADIUSサーバーの証明書は自動的に発行されるため、必要な作業はCA証明書を配布してSupplicantにインストールすることと、ユーザー証明書を発行・配布してSupplicantにインストールすることくらいです。
ローカルCA機能の詳細については「運用・管理」/「ローカルCA」をご覧ください。
基本設定
- ローカルRADIUSサーバーの設定を開始するには、radius-server localコマンドを実行します。
awplus(config)# radius-server local Created trustpoint "local". Generating 2048-bit key for local CA... Automatically authenticated trustpoint "local". Automatically enrolled the local server to trustpoint "local". awplus(config-radsrv)#
radius-server localコマンドの初回実行時には、ローカルCA(ローカルなルート認証局)の初期設定(自署ルートCA証明書の発行など)やRADIUSサーバーの証明書発行などが自動的に行われ、またローカルホスト(127.0.0.1)をRADIUSクライアント(NAS)として自動登録します。具体的には、下記のコマンドが自動的に実行されます。
! ! 以下はradius-server localの初回実行時に自動実行される内容です。 ! awplus(config)# crypto pki trustpoint local awplus(config)# end awplus# crypto pki enroll local awplus# configure terminal awplus(config)# radius-server local awplus(config-radsrv)# nas 127.0.0.1 key awplus-local-radius-server
- ユーザーを登録します。
- 各ユーザーの認証結果だけを返したい場合は、userコマンドを使ってユーザー名とパスワードを指定します。ここでは、user1、user2、user3の3ユーザーを作成しています。
awplus(config-radsrv)# user user1 password passwd1 awplus(config-radsrv)# user user2 password passwd2 awplus(config-radsrv)# user user3 password passwd3
- 認証結果だけでなく、ダイナミックVLAN用の情報も返したい場合は、ユーザーごとに所属VLANを指定する必要があります。これはユーザーグループを使用して次のようにします。
- groupコマンド(RADIUSサーバーモード)を使って、ユーザーグループvlan10usersとvlan20usersを作成します。RADIUSサーバー・ユーザーグループモードでは、vlanコマンドを使って、該当グループに割り当てるVLAN IDまたはVLAN名を指定します。
awplus(config-radsrv)# group vlan10users awplus(config-radsrv-group)# vlan 10 awplus(config-radsrv-group)# exit awplus(config-radsrv)# group vlan20users awplus(config-radsrv-group)# vlan 20 awplus(config-radsrv-group)# exit
- ユーザーuser11、user12をユーザーグループvlan10usersに、ユーザーuser21、user22をユーザーグループvlan20usersに所属させます。
awplus(config-radsrv)# user user11 password passwd11 group vlan10users awplus(config-radsrv)# user user12 password passwd12 group vlan10users awplus(config-radsrv)# user user21 password passwd21 group vlan20users awplus(config-radsrv)# user user22 password passwd22 group vlan20users
- groupコマンド(RADIUSサーバーモード)を使って、ユーザーグループvlan10usersとvlan20usersを作成します。RADIUSサーバー・ユーザーグループモードでは、vlanコマンドを使って、該当グループに割り当てるVLAN IDまたはVLAN名を指定します。
- 各ユーザーの認証結果だけを返したい場合は、userコマンドを使ってユーザー名とパスワードを指定します。ここでは、user1、user2、user3の3ユーザーを作成しています。
- 他の機器にも本製品のRADIUSサーバーを利用させたいときは、それらの機器をRADIUSクライアント(NAS)として登録する必要があります。該当機器のIPアドレス(RADIUSパケットの始点IPアドレス)と、アクセス時の共有パスワードをnasコマンドで設定してください。ここでは、172.16.10.2と172.16.10.3を持つ機器をRADIUSクライアントとして登録しています。
awplus(config-radsrv)# nas 172.16.10.2 key naspas2 awplus(config-radsrv)# nas 172.16.10.3 key naspas3
- 各種登録が終わったら、server enableコマンドでRADIUSサーバーを有効にします。
awplus(config-radsrv)# server enable
基本設定は以上です。
ローカルRADIUSサーバーの初期状態では、UDPポート1812番で認証サービスを提供します。認証用のポートを変更するには、server auth-portコマンドを使います。
awplus(config-radsrv)# server auth-port 11812
ローカルRADIUSサーバーの初期状態では、サポートしているすべての認証方式(PAP、EAP-MD5、EAP-TLS、EAP-PEAP)が有効です。特定の認証方式を無効にしたい場合は、authenticationコマンドをno形式で実行します。
awplus(config-radsrv)# no authentication eapmd5
ローカルRADIUSサーバーからユーザーを削除することなく、特定のユーザーを一時的に無効化するには、user rejectコマンドを使用します。
なお、userコマンドのrejectオプションを使えば、最初から無効状態でユーザーを登録することもできます。
awplus(config-radsrv)# user user1 reject
無効状態のユーザーはつねに認証が拒否されます。再度有効化するにはuser rejectコマンドをno形式で実行してください。
awplus(config-radsrv)# no user user1 reject
各種情報の確認
ローカルRADIUSサーバーの状態と統計情報を確認するには、show radius local-server statisticsコマンドを使います。awplus# show radius local-server statistics
ローカルRADIUSサーバーに登録してあるユーザーの情報は、show radius local-server userコマンドで確認します。
awplus# show radius local-server user
ローカルRADIUSサーバーに登録してあるユーザーグループの情報は、show radius local-server groupコマンドで確認します。
awplus# show radius local-server group
ローカルRADIUSサーバーに登録してあるRADIUSクライアント(NAS)の情報は、show radius local-server nasコマンドで確認します。
awplus# show radius local-server nas
フォワーディングデータベースからのユーザー登録
フォワーディングデータベース(FDB)に登録されているMACアドレスを、MACベース認証用のユーザーデータとして登録したり、ユーザーデータのCSV(カンマ区切り)テキストファイルとして書き出したりすることもできます。これには、copyコマンドの特殊書式(fdb-radius-usersキーワード)を使います。ファイルコピーに使うcopyコマンドにおいて、コピー元に「fdb-radius-users」を指定することで、FDB内のMACアドレスをユーザーデータとして扱うことができます。
FDBに登録されているMACアドレスをローカルRADIUSサーバーに直接登録する場合は、コピー先に「local-radius-user-db」を指定します。
- FDBに登録されているMACアドレスを、MACベース認証用のユーザーとしてローカルRADIUSサーバーに登録するには、次のようにします。
awplus# copy fdb-radius-users local-radius-user-db
- オプションパラメーターを指定することにより、特定のポートやVLAN上で学習されたMACアドレスだけを登録対象にすることもできます。たとえば、FDBに登録されているMACアドレスのうち、ポート1.0.1で学習されたものだけをMACベース認証用のユーザーとしてローカルRADIUSサーバーに登録するには、次のようにします。
awplus# copy fdb-radius-users local-radius-user-db interface port1.0.1
FDBに登録されているMACアドレスをローカルRADIUSサーバーに直接登録するのではなく、いったんファイルに書き出したい場合は、コピー先に任意のファイルパスを指定します。書き出したCSVファイルは、次節の「ユーザー情報の書き出しと読み込み」で述べる方法でローカルRADIUSサーバーに読み込むことができます。
- たとえば、FDBに登録されているMACアドレスを、MACベース認証用のユーザーデータとしてカレントディレクトリーのファイルmacauth-users.txtに書き出すには、次のようにします。
awplus# copy fdb-radius-users macauth-users.txt
- オプションパラメーターを指定することにより、特定のポートやVLAN上で学習されたMACアドレスだけを書き出し対象にすることもできます。たとえば、FDBに登録されているMACアドレスのうち、vlan10上で学習されたものだけをMACベース認証用のユーザーデータとしてカレントディレクトリーのファイルmacauth-users-vlan10.txtに書き出すには、次のようにします。
awplus# copy fdb-radius-users macauth-users-vlan10.txt vlan 10
ユーザー情報の書き出しと読み込み
ローカルRADIUSサーバーに登録してあるユーザーの情報(ユーザーおよびユーザーグループの情報)をCSV(カンマ区切り)テキストとして書き出したり、CSVテキストから読み込んだりすることもできます。これには、copyコマンドの特殊書式(local-radius-user-dbキーワード)を使います。ファイルコピーに使うcopyコマンドにおいて、予約語「local-radius-user-db」をコピー元に指定すれば書き出し、コピー先に指定すれば読み込みの指示になります。
ローカルRADIUSサーバーのユーザー情報をファイルに書き出すには、コピー元に予約語「local-radius-user-db」を、コピー先に任意のファイルパスを指定します。
- たとえば、現時点でのユーザー情報を、フラッシュメモリーのルートディレクトリーにファイル名「raduserdb-080618.txt」として書き出すには次のようにします。
awplus# copy local-radius-user-db flash:/raduserdb-080618.txt
- 通常のcopyコマンドと同様、リモートファイルに書き出すこともできます。
awplus# copy local-radius-user-db tftp://172.16.10.70/raduserdb-080618.txt
CSVファイルからローカルRADIUSサーバーのユーザー情報を読み込むには、コピー元にバックアップしたCSVファイルのパスを、コピー先に予約語「local-radius-user-db」を指定します。
- たとえば、フラッシュメモリー上のCVSファイル「flash:/raduserdb-080618.txt」からユーザー情報を読み込むには、次のようにします。
awplus# copy flash:/raduserdb-080618.txt local-radius-user-db
- 通常のcopyコマンドと同様、リモートファイルから読み込むこともできます。
awplus# copy tftp://172.16.10.70/raduserdb-080618.txt local-radius-user-db
ローカルRADIUSサーバーの利用
自装置のローカルRADIUSサーバーを使用するには、RADIUSクライアントの設定において、IPアドレス「127.0.0.1」、共有パスワード「awplus-local-radius-server」を指定します。たとえば、Web認証機能において、ローカルRADIUSサーバーを使って認証を行う場合は、次のようにします。awplus(config)# radius-server host 127.0.0.1 key awplus-local-radius-server awplus(config)# aaa authentication auth-web default group radius
他の機器から本製品のローカルRADIUSサーバーを使用する場合は、該当機器のRADIUSクライアントに対して下記の設定をしてください。なお、他の機器からアクセスさせる場合は、nasコマンドを使って、該当機器のIPアドレスと共有パスワードをあらかじめ登録しておく必要があります。
| RADIUSサーバーのIPアドレス | 該当機器から到達可能な本製品のIPアドレス |
| RADIUSサーバーの共有パスワード | nasコマンドのkeyパラメーターで設定した文字列 |
| 認証用ポート番号 | server auth-portコマンドで設定した値。未設定時は初期値の1812 |
| アカウンティング用ポート番号 | 使用しない(ローカルRADIUSサーバーはアカウンティング機能をサポートしていないため) |