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CentreCOM AR415S 設定例集 2.9 #108
IPマルチキャスト(DVMRP)
IGMPとDVMRPを利用したマルチキャストルーティングの設定例です。ここでは、CUG(Closed Users Group)サービスを利用したL2TP(Layer 2 Tunneling Protocol)による2点間接続の構成をもとに解説します。
DVMRP(Distance Vector Multicast Routing Protocol)は、RPM(Reverse Path Multicasting)をもとにマルチキャスト配送木を動的に構築します。RIPをもとにした経路情報交換メカニズムによって、マルチキャスト用の経路表を独自に管理します。
DVMRPはRIPのように経路情報を定期的に送信しあうことによって経路表を更新するので経路の変更が反映されるまで時間がかかります。そのため、マルチキャストサーバーおよびマルチキャストリスナーが移動しない(=マルチキャスト配送ツリーの変動ない)構成に適しています。
ここでは、次のようなネットワーク構成を例に解説します。
表 1:グループ管理者から提供された情報
|
ルーターA |
ルーターB |
PPPユーザー名 |
userA@isp |
userB@isp |
PPPパスワード |
isppasswdA |
isppasswdB |
IPアドレス(端末型) |
172.16.0.1/32 |
172.16.0.2/32 |
表 2:L2TPの設定
|
ルーターA |
ルーターB |
L2TPコール名 |
remote1 |
remote1 |
L2TP終端アドレス |
172.16.0.1/32 |
172.16.0.2/32 |
L2TPサーバーモード |
LAC/LNS兼用(BOTH) |
LAC/LNS兼用(BOTH) |
L2TPサーバーパスワード |
l2tpA |
l2tpB |
表 3:マルチキャストネットワークの構成
|
ルーターA |
ルーターB |
DVMRPで使用するPPP(ppp11)上のアドレス |
172.16.1.1(PPP11) |
172.16.1.2(PPP11) |
- マルチキャストパケットをL2TPでカプセリングして送受信するために使用する L2TP を有効にします。
- L2TPサーバーをLNS/LACの兼用モードで起動します。
ENABLE L2TP SERVER=BOTH ↓
- 相手側からL2TPのコネクション確立要求が来たときに相手を認証するためのパスワードを設定します。
ADD L2TP PASSWORD=l2tpA ↓
- L2TPコールを定義します。これはISDNにおけるISDNコールに相当するもので、接続先のL2TPサーバーとの間に仮想回線を張るための情報を定義します。CALLには任意の名前を、REMOTEには相手側で定義されているL2TPコールの名前を指定します。 LAN間接続の場合、TYPEにはVIRTUALを指定します。IPは接続先のL2TPルーター、PRECEDENCEは優先する呼の方向です。また、相手側にL2TPパスワードが設定されている場合は、PASSWORDパラメーターで接続パスワードを指定します。
ADD L2TP CALL=remote1 REMOTE=remote1 TYPE=VIRTUAL IP=172.16.0.2 PRECEDENCE=IN PASSWORD=l2tpB ↓
- WAN側Ethernetインターフェース(eth0)上にCUGサービス接続用のPPPインターフェースを作成します。
「OVER=eth0-XXXX」の「XXXX」の部分には、ISPから通知されたPPPoEの「サービス名」を記述します。ISPから指定がない場合は、どのサービス名タグでも受け入れられるよう、「ANY」を設定します。
CREATE PPP=0 OVER=eth0-ANY ↓
- ISPから通知されたPPPユーザー名とパスワードを指定し、接続時にIPアドレス割り当ての要求を行うように設定します。LQRはオフにし、代わりにLCP Echoパケットを使ってPPPリンクの状態を監視するようにします。また、ISDN向けの機能であるBAPはオフにします。
SET PPP=0 OVER=eth0-ANY BAP=OFF IPREQUEST=ON USER=userA@isp PASSWORD=isppasswdA LQR=OFF ECHO=ON ↓
- 各ルーター間でIGMPおよびDVMRPを有効にするインターフェースとしてL2TPコール上にPPPインターフェースを作成します。CREATE PPPコマンドでL2TPコールを物理インターフェースとして指定するときは、L2TPコール名の前に「TNL-」を付けます。ルーターB向けのPPPインターフェースを作成します。
CREATE PPP=11 OVER=TNL-remote1 IDLE=ON BAP=OFF LQR=OFF ↓
- IPモジュールを有効にします。
- IPCPネゴシエーションでISPから取得したIPアドレスをPPPインターフェースで使用できるように設定します。
- LAN側(vlan1)インターフェースにIPアドレスを設定します。
ADD IP INT=vlan1 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓
- WAN側(ppp0)インターフェースにIPアドレス「0.0.0.0」を設定します。これは、ISPとの接続が確立するまでIPアドレスが確定しないことを示します。また、DVMRPが使用するソースアドレスとしてL2TP上のPPPインターフェース(ppp11)にIPアドレスを割り当てます。
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0 ↓
ADD IP INT=ppp11 IP=172.16.1.1 MASK=255.255.255.0 ↓
- L2TPトンネルを設定するためのルートを設定します。
ADD IP ROUTE=172.16.0.2 MASK=255.255.255.255 INTERFACE=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓
- DVMRPはユニキャストのルートテーブルを利用するので、対向ネットワーク(192.168.20.0/24)へのルートテーブルを作成します。
ADD IP ROUTE=192.168.20.0 MASK=255.255.255.0 INTERFACE=ppp11 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓
- グループメンバー管理のためIGMPを有効にします。
- 各インターフェースでIGMPを有効にします。
ENABLE IP IGMP INT=ppp11 ↓
ENABLE IP IGMP INT=vlan1 ↓
- DVMRPを有効にします。
- 各インターフェースでDVMRPを有効にします。
ADD DVMRP INT=vlan1 ↓
ADD DVMRP INT=ppp11 ↓
- 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。
CREATE CONFIG=router.cfg ↓
SET CONFIG=router.cfg ↓
- マルチキャストパケットをL2TPでカプセリングして送受信するために使用する L2TP を有効にします。
- L2TPサーバーをLNS/LACの兼用モードで起動します。
ENABLE L2TP SERVER=BOTH ↓
- 相手側からL2TPのコネクション確立要求が来たときに相手を認証するためのパスワードを設定します。
ADD L2TP PASSWORD=l2tpB ↓
- L2TPコールを定義します。これはISDNにおけるISDNコールに相当するもので、接続先のL2TPサーバーとの間に仮想回線を張るための情報を定義します。CALLには任意の名前を、REMOTEには相手側で定義されているL2TPコールの名前を指定します。 LAN間接続の場合、TYPEにはVIRTUALを指定します。IPは接続先のL2TPルーター、PRECEDENCEは優先する呼の方向です。また、相手側にL2TPパスワードが設定されている場合は、PASSWORDパラメーターで接続パスワードを指定します。ルーターA向けコールの設定を行います。
ADD L2TP CALL=remote1 REMOTE=remote1 TYPE=VIRTUAL IP=172.16.0.1 PRECEDENCE=OUT PASSWORD=l2tpA ↓
- WAN側Ethernetインターフェース(eth0)上にCUGサービス接続用のPPPインターフェースを作成します。
「OVER=eth0-XXXX」の「XXXX」の部分には、ISPから通知されたPPPoEの「サービス名」を記述します。ISPから指定がない場合は、どのサービス名タグでも受け入れられるよう、「ANY」を設定します。
CREATE PPP=0 OVER=eth0-ANY ↓
- ISPから通知されたPPPユーザー名とパスワードを指定し、接続時にIPアドレス割り当ての要求を行うように設定します。LQRはオフにし、代わりにLCP Echoパケットを使ってPPPリンクの状態を監視するようにします。また、ISDN向けの機能であるBAPはオフにします。
SET PPP=0 OVER=eth0-ANY BAP=OFF IPREQUEST=ON USER=userB@isp PASSWORD=isppasswdB LQR=OFF ECHO=ON ↓
- 各ルーター間でIGMPおよびDVMRPを有効にするインターフェースとしてL2TPコール上にPPPインターフェースを作成します。CREATE PPPコマンドでL2TPコールを物理インターフェースとして指定するときは、L2TPコール名の前に「TNL-」を付けます。ルーターA向けのPPPインターフェースを作成します。
CREATE PPP=11 OVER=TNL-remote1 IDLE=ON BAP=OFF LQR=OFF ↓
- IPモジュールを有効にします。
- IPCPネゴシエーションでISPから取得したIPアドレスをPPPインターフェースで使用できるように設定します。
- LAN側(vlan1)インターフェースにIPアドレスを設定します。
ADD IP INT=vlan1 IP=192.168.20.1 MASK=255.255.255.0 ↓
- WAN側(ppp0)インターフェースにIPアドレス「0.0.0.0」を設定します。これは、ISPとの接続が確立するまでIPアドレスが確定しないことを示します。DVMRPが使用するソースアドレスとしてL2TP上のPPPインターフェース(ppp11)にIPアドレスを割り当てます。
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0 ↓
ADD IP INT=ppp11 IP=172.16.1.2 MASK=255.255.255.0 ↓
- L2TPトンネルを設定するためのルートを設定します。
ADD IP ROUTE=172.16.0.1 MASK=255.255.255.255 INTERFACE=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓
- DVMRPはユニキャストのルートテーブルを利用するので、対向ネットワーク(192.168.10.0/24)へのルートテーブルを作成します。
ADD IP ROUTE=192.168.10.0 MASK=255.255.255.0 INTERFACE=ppp11 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓
- グループメンバー管理のためIGMPを有効にします。
- 各インターフェースでIGMPを有効にします。
ENABLE IP IGMP INT=ppp11 ↓
ENABLE IP IGMP INT=vlan1 ↓
- DVMRPを有効にします。
- 各インターフェースでDVMRPを有効にします。
ADD DVMRP INT=vlan1 ↓
ADD DVMRP INT=ppp11 ↓
- 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。
CREATE CONFIG=router.cfg ↓
SET CONFIG=router.cfg ↓
ルーターAのコンフィグ
[テキスト版]
ENABLE L2TP ↓
ENABLE L2TP SERVER=BOTH ↓
ADD L2TP PASSWORD=l2tpA ↓
ADD L2TP CALL=remote1 REMOTE=remote1 TYPE=VIRTUAL IP=172.16.0.2 PRECEDENCE=IN PASSWORD=l2tpB ↓
CREATE PPP=0 OVER=eth0-ANY ↓
SET PPP=0 OVER=eth0-ANY BAP=OFF IPREQUEST=ON USER=userA@isp PASSWORD=isppasswdA LQR=OFF ECHO=ON ↓
CREATE PPP=11 OVER=TNL-remote1 IDLE=ON BAP=OFF LQR=OFF ↓
ENABLE IP ↓
ENABLE IP REMOTEASSIGN ↓
ADD IP INT=vlan1 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0 ↓
ADD IP INT=ppp11 IP=172.16.1.1 MASK=255.255.255.0 ↓
ADD IP ROUTE=172.16.0.2 MASK=255.255.255.255 INTERFACE=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓
ADD IP ROUTE=192.168.20.0 MASK=255.255.255.0 INTERFACE=ppp11 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓
ENABLE IP IGMP ↓
ENABLE IP IGMP INT=ppp11 ↓
ENABLE IP IGMP INT=vlan1 ↓
ENABLE DVMRP ↓
ADD DVMRP INT=vlan1 ↓
ADD DVMRP INT=ppp11 ↓
|
ルーターBのコンフィグ
[テキスト版]
ENABLE L2TP ↓
ENABLE L2TP SERVER=BOTH ↓
ADD L2TP PASSWORD=l2tpB ↓
ADD L2TP CALL=remote1 REMOTE=remote1 TYPE=VIRTUAL IP=172.16.0.1 PRECEDENCE=OUT PASSWORD=l2tpA ↓
CREATE PPP=0 OVER=eth0-ANY ↓
SET PPP=0 OVER=eth0-ANY BAP=OFF IPREQUEST=ON USER=userB@isp PASSWORD=isppasswdB LQR=OFF ECHO=ON ↓
CREATE PPP=11 OVER=TNL-remote1 IDLE=ON BAP=OFF LQR=OFF ↓
ENABLE IP ↓
ENABLE IP REMOTEASSIGN ↓
ADD IP INT=vlan1 IP=192.168.20.1 MASK=255.255.255.0 ↓
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0 ↓
ADD IP INT=ppp11 IP=172.16.1.2 MASK=255.255.255.0 ↓
ADD IP ROUTE=172.16.0.1 MASK=255.255.255.255 INTERFACE=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓
ADD IP ROUTE=192.168.10.0 MASK=255.255.255.0 INTERFACE=ppp11 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓
ENABLE IP IGMP ↓
ENABLE IP IGMP INT=ppp11 ↓
ENABLE IP IGMP INT=vlan1 ↓
ENABLE DVMRP ↓
ADD DVMRP INT=vlan1 ↓
ADD DVMRP INT=ppp11 ↓
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CentreCOM AR415S 設定例集 2.9 #108
(C) 2006-2017 アライドテレシスホールディングス株式会社
PN: 613-000668 Rev.N
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