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CentreCOM AR415S 設定例集 2.9 #135
UPnP基本設定(PPPoE端末型)
NAT経由でWindows Messengerなどのアプリケーションの諸機能を利用できるようにするUPnPの設定例です。ここでは、PPPoE端末型のインターネット接続環境を例に解説します。
ISPからは次の情報を提供されているものとします。
表 1:ISPから提供された情報
PPPユーザー名 |
user@isp |
PPPパスワード |
isppasswd |
PPPoEサービス名 |
指定なし |
IPアドレス |
グローバルアドレス1個(動的割り当て) |
DNSサーバー |
接続時に通知される |
ルーターには、次のような方針で設定を行います。
- ファイアウォールを利用して、外部からの不正アクセスを遮断しつつ、内部からは自由にインターネットへのアクセスができるようにします。
- ファイアウォールのダイナミックENAT機能を使用して、LAN側ネットワークのプライベートIPアドレスを、ISPから与えられたグローバルIPアドレスに変換します。これにより、LANに接続された複数のコンピューターからインターネットへの同時アクセスが可能になります。
- ファイアウォールのUPnP機能を有効にし、ダイナミックENAT経由でWindows Messengerなどのアプリケーションの諸機能を利用できるように設定します。
- ルーターをDHCPサーバーとして動作させ、LANに接続されたコンピューターにIPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、DNSサーバーアドレスの情報を提供します。
- ルーターのDNSリレー機能をオンにして、LAN側コンピューターからのDNSリクエストを、ISPのDNSサーバーに転送します。上記DHCPサーバーの設定により、LAN側コンピューターに対しては、DNSサーバーアドレスとしてルーター自身のIPアドレスを教えます。
以下、ルーターの基本設定とDHCPサーバーの設定についてまとめます。
表 2:ルーターの基本設定
WAN側物理インターフェース |
eth0 |
WAN側(ppp0)IPアドレス |
接続時にISPから取得する |
LAN側(vlan1)IPアドレス |
192.168.10.1/24 |
DHCPサーバー機能 |
有効 |
表 3:ルーターのDHCPサーバーの設定
DHCPポリシー名 |
BASE |
使用期限 |
7200(秒) |
サブネットマスク |
255.255.255.0 |
デフォルトルート |
192.168.10.1 |
DNSサーバー |
192.168.10.1 |
DHCPレンジ名 |
LOCAL |
提供するIPアドレスの範囲 |
192.168.10.100〜192.168.10.131(32個) |
Note
- ルーターを起動または再起動した場合は、Windows Messengerなどのアプリケーションも再起動してください。
- WAN側Ethernetインターフェース(eth0)上にPPPインターフェースを作成します。「OVER=eth0-XXXX」の「XXXX」の部分には、ISPから通知されたPPPoEの「サービス名」を記述します。ISPから指定がない場合は、どのサービス名タグでも受け入れられるよう、「ANY」を設定します。
CREATE PPP=0 OVER=eth0-ANY ↓
- ISPから通知されたPPPユーザー名とパスワードを指定し、接続時にIPアドレス割り当ての要求を行うように設定します。LQRはオフにし、代わりにLCP Echoパケットを使ってPPPリンクの状態を監視するようにします。また、ISDN向けの機能であるBAPはオフにします。
SET PPP=0 OVER=eth0-ANY BAP=OFF IPREQUEST=ON USER=user@isp PASSWORD=isppasswd LQR=OFF ECHO=ON ↓
- IPモジュールを有効にします。
- IPCPネゴシエーションで与えられたIPアドレスをPPPインターフェースで使用するように設定します。
- LAN側(vlan1)インターフェースにIPアドレスを設定します。
ADD IP INT=vlan1 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓
- WAN側(ppp0)インターフェースにIPアドレス「0.0.0.0」を設定します。ISPとの接続が確立するまで、IPアドレスは確定しません。
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0 ↓
- デフォルトルートを設定します。
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓
- DNSリレー機能を有効にします。
- DNSリレーの中継先を指定します。通常、中継先にはDNSサーバーのアドレスを指定しますが、IPCPによりアドレスを取得するまでは不明であるため、ここではインターフェース名を指定します。
SET IP DNSRELAY INT=ppp0 ↓
- ファイアウォール機能を有効にします。
- ファイアウォールの動作を規定するファイアウォールポリシー「net」を作成します。
CREATE FIREWALL POLICY=net ↓
- ICMPパケットはPing(Echo/Echo Reply)と到達不可能(Unreachable)のみ双方向で許可します。
ENABLE FIREWALL POLICY=net ICMP_F=PING,UNREACH ↓
Note
- デフォルト設定では、ICMPはファイアウォールを通過できません。
- ルーターのidentプロキシー機能を無効にし、外部のメール(SMTP)サーバーなどからのident要求に対して、ただちにTCP RSTを返すよう設定します。
DISABLE FIREWALL POLICY=net IDENTPROXY ↓
- ファイアウォールポリシーの適用対象となるUPnPインターフェースと、そのインターフェースがLAN側かWAN側かを指定します。
- LAN側(vlan1)インターフェースにPRIVATE(内部)、UPnPインターフェースとしてLANを指定します。
ADD FIREWALL POLICY=net INT=vlan1 TYPE=PRIVATE UPNPTYPE=LAN ↓
- WAN側(ppp0)インターフェースにPUBLIC(外部)、UPnPインターフェースとしてWANを指定します。
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp0 TYPE=PUBLIC UPNPTYPE=WAN ↓
- LAN側ネットワークに接続されているすべてのコンピューターがENAT機能を使用できるよう設定します。グローバルアドレスには、ppp0のIPアドレスを使用します。
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=vlan1 GBLINT=ppp0 ↓
- UPnPモジュールを有効にします。
- UPnPサービスを有効にします。
SET FIREWALL POLICY=net UPNP=ENABLED ↓
- LAN側PCのためにDHCPサーバー機能を有効にします。
Note
- UPnPを使用する場合は、DHCPサーバー機能を有効にする必要があります。
- DHCPポリシー「BASE」を作成します。IPアドレスの使用期限は7,200秒(2時間)とします。
CREATE DHCP POLICY=BASE LEASETIME=7200 ↓
- DHCPクライアントに提供する情報を設定します。ここでは、DNSサーバーアドレスとして、ルーターのLAN側インターフェースのIPアドレスを指定しています。
ADD DHCP POLICY=BASE SUBNET=255.255.255.0 ROUTER=192.168.10.1 DNSSERVER=192.168.10.1 ↓
- DHCPクライアントに提供するIPアドレスの範囲を設定します。
CREATE DHCP RANGE=LOCAL POLICY=BASE IP=192.168.10.100 NUMBER=32 PROBE=ARP ↓
- 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。
CREATE CONFIG=router.cfg ↓
SET CONFIG=router.cfg ↓
■ 本設定では、ルーター起動直後にPPPoEセッションが確立され、以後常時接続された状態となります。したがって、PPPoEセッションの切断、再接続は手動で行う必要があります。
- セッションを切断するには、次のコマンドでPPPインターフェースをディセーブルにします。
- 再接続するには次のコマンドでPPPインターフェースをイネーブルにします。
■ 常時接続ではなく、LAN側からインターネット側に対して通信要求が発生したときに自動的にPPPoEセッションを確立し、無通信状態が60秒続いたときにPPPoEセッションを切断するには、次のコマンドを入力します。
SET PPP=0 OVER=eth0-ANY IDLE=60 ↓
■ DNSリクエストの転送先インターフェースを指定するコマンド(手順9)は、実在するインターフェースに対して適用する必要があります。この例では、2つのコマンドが必ず次の順序で実行されるようにしてください。
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0(手順6) ↓
SET IP DNSRELAY INT=ppp0(手順9) ↓
特に、設定ファイル(*.cfg)を直接「EDIT」で編集する場合や、作成済みの設定ファイルをダウンロード(LOAD)する場合、2つのコマンドの順序が入れ替わらないように注意してください。コマンド順序の違いによるトラブルは、わかりにくいため注意が必要です。
■ あらかじめDNSサーバーアドレスがわかっている場合は、手順9の代わりに、次のようにしてDNSサーバーを設定しておいてもかまいません。ただし、この場合は、ISP側の都合でアドレスが変更されると、手動で設定を変更する必要があります。
ADD IP DNS PRIMARY=12.34.11.11 SECONDARY=12.34.11.22 ↓
■ ファイアウォールで遮断されたパケットのログをとるには、次のコマンドを実行します。
ENABLE FIREWALL POLICY=net LOG=DENY ↓
記録されたログを見るには、次のコマンドを実行します。ここでは、「TYPE=FIRE」により、ファイアウォールが出力したログメッセージだけを表示させています。
■ インターネット側からのPING(ICMP Echo Requestパケット)を拒否するには、次のようなIPフィルターをWAN側インターフェースに設定します。この例では、「LOG=HEADER」により、フィルターで拒否したパケットをログに記録しています。
ADD IP FILTER=0 SO=0.0.0.0 PROTO=ICMP ICMPTYPE=ECHO LOG=HEADER ACTION=EXCLUDE ↓
ADD IP FILTER=0 SO=0.0.0.0 ACTION=INCLUDE ↓
SET IP INT=ppp0 FILTER=0 ↓
記録されたログを見るには、次のコマンドを実行します。ここでは、「TYPE=IPFIL」により、IPフィルターが出力したログメッセージだけを表示させています。
ルーターのコンフィグ
[テキスト版]
CREATE PPP=0 OVER=eth0-ANY ↓
SET PPP=0 OVER=eth0-ANY BAP=OFF IPREQUEST=ON USER=user@isp PASSWORD=isppasswd LQR=OFF ECHO=ON ↓
ENABLE IP ↓
ENABLE IP REMOTEASSIGN ↓
ADD IP INT=vlan1 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0 ↓
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓
ENABLE IP DNSRELAY ↓
SET IP DNSRELAY INT=ppp0 ↓
ENABLE FIREWALL ↓
CREATE FIREWALL POLICY=net ↓
ENABLE FIREWALL POLICY=net ICMP_F=PING,UNREACH ↓
DISABLE FIREWALL POLICY=net IDENTPROXY ↓
ADD FIREWALL POLICY=net INT=vlan1 TYPE=PRIVATE UPNPTYPE=LAN ↓
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp0 TYPE=PUBLIC UPNPTYPE=WAN ↓
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=vlan1 GBLINT=ppp0 ↓
ENABLE UPNP ↓
SET FIREWALL POLICY=net UPNP=ENABLED ↓
ENABLE DHCP ↓
CREATE DHCP POLICY=BASE LEASETIME=7200 ↓
ADD DHCP POLICY=BASE SUBNET=255.255.255.0 ROUTER=192.168.10.1 DNSSERVER=192.168.10.1 ↓
CREATE DHCP RANGE=LOCAL POLICY=BASE IP=192.168.10.100 NUMBER=32 PROBE=ARP ↓
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CentreCOM AR415S 設定例集 2.9 #135
(C) 2006-2017 アライドテレシスホールディングス株式会社
PN: 613-000668 Rev.N
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