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CentreCOM AR415S 設定例集 2.9 #9
ISDNによる端末型インターネット接続(DNSリレー/DHCPサーバー)
ISDN回線を使ってインターネットサービスプロバイダー(ISP)にダイヤルアップ接続します。接続時にアドレスを1つ割り当てられる端末型の基本設定に、DNSリレーとDHCPサーバーの設定を追加しています。ダイナミックENATで1個のアドレスを共用し、ファイアウォールで外部からの不正アクセスを防止します。
DNSリレーは、本ルーターに対するDNSリクエストを、他のサーバーにリレーする機能です。
クライアント側で本ルーターをDNSサーバーに指定しておけば、DNSサーバーのアドレスが変更されても、本ルーターに設定されているサーバーアドレスを変更するだけですみます。個々のクライアントの設定は変更する必要がないため、管理・保守効率が向上します。
ここでは、ISDN経由の端末型ダイヤルアップでISPに接続している環境でDNSリレーを使用するための設定例について説明します。
表 1:ISPから提供された情報
ISPアクセスポイントの番号 |
03-1234-5678 |
PPPユーザー名 |
ispuser |
PPPパスワード |
isppasswd |
使用できるIPアドレス |
グローバル1個(動的割り当て) |
DNSサーバー |
接続時に通知 |
接続形態 |
端末型ダイヤルアップ |
この例では、DHCPサーバー機能を併用し、本製品自身をDNSサーバーとして使うよう各クライアントに通知しています。実際には、本製品は受け取ったDNSリクエストをISPのネームサーバーにリレーします。
表 2:ルーターの基本設定
ISDNコール名 |
ISP |
WAN側物理インターフェース |
bri0 |
マルチリンクPPP(MP) |
使用する |
WAN側(ppp0)IPアドレス |
ISPから動的割り当て |
LAN側(vlan1)IPアドレス |
192.168.10.1/24 |
DHCPサーバー機能 |
使用する |
表 3:ルーターのDHCPサーバーの設定
DHCPポリシー名 |
subnet10 |
使用期限 |
3600(秒) |
サブネットマスク |
255.255.255.0 |
デフォルトルート |
192.168.10.1 |
DNSサーバー |
192.168.10.1(ISPのDNSサーバーへ転送) |
DHCPレンジ名 |
ip10 |
提供するIPアドレスの範囲 |
192.168.10.128〜192.168.10.130(3個) |
- ISPのアクセスポイントにダイヤルアップするISDNコール「ISP」を作成します。また、発呼に使用するインターフェースとしてbri0を指定します。
ADD ISDN CALL=ISP NUMBER=0312345678 PRECEDENCE=OUT INTREQ=bri0 ↓
- PPPインターフェース「0」をISDNコール「ISP」上に作成します。
CREATE PPP=0 OVER=ISDN-ISP IDLE=60 LQR=OFF BAP=OFF ↓
- ISPへの接続に必要なユーザー名とパスワードを設定します。また、ISPからIPアドレスを取得するため、「IPREQUEST=ON」を指定します。
SET PPP=0 USER=ispuser PASSWORD=isppasswd IPREQUEST=ON ↓
- IPモジュールを有効にします。
- IPCPネゴシエーションでISPから割り当てられたIPアドレスを、PPPインターフェースで使用するよう設定します。
- LAN側(vlan1)インターフェースにIPアドレスを設定します。
ADD IP INT=vlan1 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓
- WAN側(ppp0)インターフェースにIPアドレス「0.0.0.0」を設定します。これは、ISPとの接続が確立するまでIPアドレスが確定しないことを示します。
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0 ↓
- デフォルトルートを設定します。
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXT=0.0.0.0 ↓
- DNSリレー機能を有効にします。
- 接続確立までISPのDNSサーバーアドレスが不明なため、DNSリクエストの転送先として、IPCPネゴシエーションを行うインターフェース名「ppp0」を指定します。
SET IP DNSRELAY INT=ppp0 ↓
- ファイアウォール機能を有効にします。
- ファイアウォールの動作を規定するファイアウォールポリシー「net」を作成します。
CREATE FIREWALL POLICY=net ↓
- ICMPはPingパケット(Echo/Echo Reply)と到達不可能(Unreachable)のみ双方向で許可します。
ENABLE FIREWALL POLICY=net ICMP_F=PING,UNREACH ↓
- ルーターのidentプロキシー機能を無効にし、外部のメール(SMTP)サーバーなどからのident要求に対して、TCP-RSTを返すよう設定します。
DISABLE FIREWALL POLICY=net IDENTPROXY ↓
- ファイアウォールポリシーの適用対象となるインターフェースを指定します。
- LAN側(vlan1)インターフェースをPRIVATE(内部)に設定します。
ADD FIREWALL POLICY=net INT=vlan1 TYPE=PRIVATE ↓
- WAN側(ppp0)インターフェースをPUBLIC(外部)に設定します。
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp0 TYPE=PUBLIC ↓
- エンハンストNATの設定を行います。LAN側(vlan1)ホストのプライベートIPアドレスを、ISPから割り当てられたグローバルアドレス(ppp0のアドレス)に変換するよう設定します。
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=vlan1 GBLINT=ppp0 ↓
- 不要な発呼を防ぐため、LAN側からのMS-Networksパケット(UDPポートの137〜139番)を遮断するファイアウォールルールを作成します。
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=1 ACTION=DENY INT=vlan1 PROTO=UDP PORT=137-139 ↓
- DHCPサーバー機能を有効にします。
- DHCPポリシー「subnet10」を作成します。IPアドレスの使用期限は3,600秒(1時間)とします。
CREATE DHCP POLICY=subnet10 LEASETIME=3600 ↓
- クライアントに提供する情報を設定します。ここでは、DNSサーバーアドレスとして、ルーターのLAN側インターフェースのIPアドレスを指定しています。ここへ送られたDNSリクエストは、DNSリレー機能によりISPのDNSサーバーに転送されます。
ADD DHCP POLICY=subnet10 SUBNET=255.255.255.0 ROUTER=192.168.10.1 DNSSERVER=192.168.10.1 ↓
- クライアントに提供するIPアドレスの範囲を設定します。ここでは、192.168.10.128〜192.168.10.130の3個を指定しています。
CREATE DHCP RANGE=ip10 POLICY=subnet10 IP=192.168.10.128 NUMBER=3 PROBE=ARP ↓
- 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。
CREATE CONFIG=router.cfg ↓
SET CONFIG=router.cfg ↓
■ ファイアウォールで遮断されたパケットのログをとるには、次のコマンドを実行します。
ENABLE FIREWALL POLICY=net LOG=DENY ↓
記録されたログを見るには、次のコマンドを実行します。ここでは、「TYPE=FIRE」により、ファイアウォールが出力したログメッセージだけを表示させています。
■ インターネット側からのPING(ICMP Echo Requestパケット)を拒否するには、次のようなIPフィルターをWAN側インターフェースに設定します。この例では、「LOG=HEADER」により、フィルターで拒否したパケットをログに記録しています。
ADD IP FILTER=0 SO=0.0.0.0 PROTO=ICMP ICMPTYPE=ECHO LOG=HEADER ACTION=EXCLUDE ↓
ADD IP FILTER=0 SO=0.0.0.0 ACTION=INCLUDE ↓
SET IP INT=ppp0 FILTER=0 ↓
記録されたログを見るには、次のコマンドを実行します。ここでは、「TYPE=IPFIL」により、IPフィルターが出力したログメッセージだけを表示させています。
ルーターのコンフィグ
[テキスト版]
ADD ISDN CALL=ISP NUMBER=0312345678 PRECEDENCE=OUT INTREQ=bri0 ↓
CREATE PPP=0 OVER=ISDN-ISP IDLE=60 LQR=OFF BAP=OFF ↓
SET PPP=0 USER=ispuser PASSWORD=isppasswd IPREQUEST=ON ↓
ENABLE IP ↓
ENABLE IP REMOTEASSIGN ↓
ADD IP INT=vlan1 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0 ↓
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXT=0.0.0.0 ↓
ENABLE IP DNSRELAY ↓
SET IP DNSRELAY INT=ppp0 ↓
ENABLE FIREWALL ↓
CREATE FIREWALL POLICY=net ↓
ENABLE FIREWALL POLICY=net ICMP_F=PING,UNREACH ↓
DISABLE FIREWALL POLICY=net IDENTPROXY ↓
ADD FIREWALL POLICY=net INT=vlan1 TYPE=PRIVATE ↓
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp0 TYPE=PUBLIC ↓
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=vlan1 GBLINT=ppp0 ↓
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=1 ACTION=DENY INT=vlan1 PROTO=UDP PORT=137-139 ↓
ENABLE DHCP ↓
CREATE DHCP POLICY=subnet10 LEASETIME=3600 ↓
ADD DHCP POLICY=subnet10 SUBNET=255.255.255.0 ROUTER=192.168.10.1 DNSSERVER=192.168.10.1 ↓
CREATE DHCP RANGE=ip10 POLICY=subnet10 IP=192.168.10.128 NUMBER=3 PROBE=ARP ↓
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CentreCOM AR415S 設定例集 2.9 #9
(C) 2006-2017 アライドテレシスホールディングス株式会社
PN: 613-000668 Rev.N
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