[index] CentreCOM AR300/AR700 シリーズ コマンドリファレンス 2.3

アナログ機能/概要・基本設定

対象機種:AR300 V2


  - おもな機能
  - 外線通話
   - 発信
   - 着信
    - ダイヤルイン
    - サブアドレスによる着信鳴り分け
  - 内線通話
   - アナログポートの番号と内線番号
  - 通話中転送
  - 自動着信転送
  - ピックアップ
  - 保留
  - 制限ダイヤル
  - 優先発信
  - 短縮ダイヤル
  - 通話記録
  - Bチャンネル予約機能
  - コールバンピング
  - リダイヤル
  - ホットライン(自動ダイヤル)
  - プレフィックス設定
  - アナログポートに接続する機器の情報


AR300 V2のアナログポートには、電話機、FAX、モデムなどのアナログ通信機器を接続することができます。ルーターがISDN網と接続されている場合、アナログ機器からISDN網経由で発信・着信が可能です。

アナログポートの制御はPBXモジュールによって行われます。以下、PBXモジュールの各種機能について説明します。

Note - アナログポートでは、トーン(プッシュボタン)方式のアナログ機器しか使用できません。アナログ機器に切替スイッチ等がある場合は、ダイヤル方式がトーンになっているか確認してください。ダイヤル方式にはトーンとパルスがあります。

Note - PBXモジュールの設定も、他の設定と同じように保存しないと再起動によって失われます。設定を変更した場合は、CREATE CONFIGコマンドで設定をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時に設定ファイルが読み込まれるよう設定してください。詳細は「運用・管理」の「コンフィグレーション」をご覧ください。

 

おもな機能

PBXモジュールには次のような機能があります。


 

外線通話

 

発信

外線に発信するには、外線発信番号に続けて電話番号をダイヤルし、最後に「#」をダイヤルします。ご購入時の外線発信番号は「0」です。この場合、1234-5678に電話をかけるには、「0 12345678 #」とダイヤルします。

■ 外線発信の「0」と電話番号の終わりを示す「#」を省略できるようにするには、SET PBX EXTENSIONコマンドのAUTODIAL、TERMINATEパラメーターを使います。AUTODIALパラメーターはオフフック(受話器を上げること)時に自動入力する番号を示すものです。また、TERMINATEパラメーターは、PBXが実際に発信するまでの待ち時間を示すもので、電話番号入力後TERMINATE秒入力がないときに発信します。


■ 外線発信番号はSET PBXコマンドのEXTERNALパラメーターで変更することができます。

 

着信

外線からの着信については、特殊な操作は必要ありません。電話が鳴ったら受話器を取るだけです。ご購入時の状態では、外線着信時には両方のポートの電話機が鳴ります。

なお、以下の着信番号設定を行うことにより、着信時に片方のポートだけを鳴らすよう設定することもできます。

 

ダイヤルイン

ダイヤルインは、通常の電話番号(加入者回線番号)に加えて、追加の電話番号(ダイヤルイン番号)を取得できる付加サービスです。ダイヤルインを契約すれば、どちらの番号にかかってきたかにより、アナログポート0と1のどちらか一方だけを鳴らすことができます。ダイヤルインによる鳴り分けは、発信側がISDN網を使っていても、アナログ公衆網を使っていても関係なく利用できます。

ダイヤルインサービスの契約には、「グローバル着信なし」と「グローバル着信あり」の2種類があり、それぞれ設定が異なります。

以下、それぞれの設定方法を示します。以下の説明では、契約番号とアナログポートの割り振りを次のとおりであると仮定します。


■ 「グローバル着信なし」の場合、加入者回線番号、ダイヤルイン番号のどちらにかかってきた場合であっても、発信者がダイヤルした番号(着番号)がISDN網からルーターに通知されてきます。PBXモジュールはこれを利用してポート間の鳴り分けをします。SET PBX EXTENSIONコマンドで次のように設定してください。


EXTENSIONパラメーターにはアナログポートに対応する内線番号を指定し、NUMACCEPTパラメーターには該当ポートで着信させる電話番号を指定します。電話番号のチェックは番号の末尾から先頭に向かって行われるので、異なる部分だけを指定すれば十分です(すべて指定してもかまいません)。

■ 「グローバル着信あり」の場合、ダイヤルイン番号にかかってきたときはダイヤルイン番号が通知されますが、加入者回線番号にかかってきたときは着番号が通知されません。この場合、NUMACCEPTパラメーターにNOTPRESENT(着番号が通知されていない)を指定することにより、加入者回線番号への着信であることを識別できます。次のように設定してください。


 

サブアドレスによる着信鳴り分け

ISDN端末同士の通信では、発信側が指定したサブアドレスによってポート間の鳴り分けができます。この場合、電話番号は1つだけでも鳴り分けが可能です。

■ ポートのサブアドレスは、SET PBX EXTENSIONコマンドのSUBACCEPTパラメーターで指定します。サブアドレスは1〜6文字の数字で指定します。


■ また、サブアドレスの指定では、ワイルドカード文字としてアルファベットの「X」または「x」を使えます(大文字・小文字はどちらも同じ意味です)。Xとxは、その部分にどの数字が来てもよいことを示します。たとえば次の例は、サブアドレスとして30〜39のどれかが指定された場合にポート0の機器を鳴らす設定です。


Note - サブアドレスによる鳴り分けは、発信側がISDN網を使っているときだけ使用できます。

Note - サブアドレスによる鳴り分けが機能するためには、発信側が電話番号だけでなく、サブアドレスも入力する必要があります。

 

内線通話

別の内線(アナログポート)に電話をかけるには、内線発信番号に続けて内線番号をダイヤルします。ご購入時の内線発信番号は「4」です。この場合、アナログポート1に対して発信するには、「41」とダイヤルします。

■ 内線発信番号はSET PBXコマンドのINTERNALパラメーターで変更することができます。

 

アナログポートの番号と内線番号

アナログポートは、0、1の番号で識別されます。ご購入時には、内線番号はアナログポートの番号と同じに設定されていますが、内線番号自体はポート番号と一致させる必要はありません。コマンド設定により3桁の数字の範囲で自由に変更できます。

■ 内線番号の変更はCREATE PBX EXTENSIONコマンドで行います。EXTENSIONパラメーターに内線番号を、PORTパラメーターにアナログポートの番号を指定してください。下のコマンドを実行すると、アナログポート0の内線番号が100に変更されます。


 

通話中転送

通話中に別の内線番号(アナログポート)に転送するには、いったん通話を保留にしたあと、内線発信番号、内線番号の順にダイヤルし、受話器を置きます。

 

自動着信転送

自動着信転送は、かかってきた電話を別の番号に転送する機能です。転送先は外線、内線のどちらでもかまいません。転送条件を以下から選択できます。


着信転送の設定は、コマンドで行うことも、アナログポートに接続された電話機から行うこともできます。

■ コマンドラインから着信転送の設定を行うときは、SET PBX EXTENSIONコマンドを使います。設定は、内線(アナログポート)ごとに行います。DIVERTパラメーターで転送条件を指定し、NUMBERパラメーターで転送先を指定します。


■ 設定を解除するには、SET PBX EXTENSIONコマンドのDIVERTパラメーターにNONEを指定します。


■ 電話機から設定するときは、次の手順にしたがいます。
  1. 設定したいポートに接続された電話機の受話器を上げます。

  2. 着信転送設定番号「5」をダイヤルします。

  3. 転送条件をダイヤルします。即時転送は「3」、通話中転送は「2」、不在転送は「4」、通話中・不在転送は「1」です。

  4. 転送先の番号をダイヤルします。内線発信番号、外線発信番号、入力終了の「#」なども含めて入力してください。

  5. 受話器を置いて設定を完了します。

■ 電話機から設定を解除するには、受話器をとって、着信転送設定番号の「5」、解除の「0」の順にダイヤルします。

 

ピックアップ

ピックアップとは、別の内線にかかってきた電話をとることです。次の手順で操作します。

  1. 鳴っていないほうの電話機の受話器を取ります。

  2. ピックアップ番号をダイヤルします。ご購入時は「6」に設定されています。

■ ピックアップ番号はSET PBXコマンドのPICKUPパラメーターで変更することができます。

 

保留

通話を一時保留するには、受話器を置くフックスイッチを0.5秒ほど押して離します。保留を解除するには、再度フックスイッチを0.5秒ほど押して離します。

 

制限ダイヤル

制限ダイヤル機能は、特定の番号への発信を禁止する機能です。

■ 内線(アナログポート)ごとに禁止する番号を設定するときは、ADD PBX EXTENSIONコマンドのBARパラメーターを使います。EXTENSIONパラメーターに指定したポートからは、BARパラメーターに指定した数字列で始まる番号への発信ができなくなります。この例では、「0990」で始まる番号への発信を禁止しています。先頭の「0」は外線発信番号の「0」です。外線発信番号を変更している場合は、変更後の番号を指定してください。


■ すべてのアナログポートを対象にして禁止する番号を設定するときは、ADD PBX BARコマンドを使います。


Note - BARパラメーターに指定する番号には、外線発信番号(ご購入時は「0」)も含めてください。

■ 禁止番号を削除するには、DELETE PBX EXTENSIONコマンドのBARパラメーターかDELETE PBX BARコマンドを使います。

 

優先発信

特定の番号(緊急番号など)へのダイヤルについては、設定されている禁止番号にマッチしても、Bチャンネルに空きがなくても、優先的に発信させるよう設定することができます。

■ 内線(アナログポート)ごとに優先番号を設定するときは、ADD PBX EXTENSIONコマンドのOVERRIDEパラメーターに番号を指定します。OVERRIDEパラメーターで指定した数字列で始まる番号が優先発信の対象となります。次の例では、0990で始まる番号への発信が禁止されていることを前提に、特例として0990-123-123への発信を許可しています。


■ さらに、PRIORITYパラメーターを併用すると、Bチャンネルが2本とも使用中だった場合に、どちらかのチャンネルを強制的に切断し、優先番号への発信ができるようにできます。


■ すべてのアナログポートを対象にして優先番号を設定するときは、ADD PBX OVERRIDEコマンドを使います。


Note - OVERRIDEパラメーターに指定する番号には、外線発信番号(ご購入時は「0」)も含めてください。

■ 優先番号を削除するには、DELETE PBX EXTENSIONコマンドのOVERRIDEパラメーターかDELETE PBX OVERRIDEコマンドを使います。

 

短縮ダイヤル

短縮ダイヤルは、電話番号をあらかじめ登録しておき、2桁の短縮番号で発信する機能です。

短縮ダイヤル番号には、ポートごとに設定できるプライベート番号と、すべてのポートで共通に使えるパブリック番号があります。

プライベート番号は各ポートに接続された電話機から設定します。設定内容は、コンソール側で保存の操作をしない限り、ルーターを再起動すると消えてしまいます。また、プライベート番号は、コマンド操作で設定することもできます。

パブリック番号はルーターのコンソールからしか設定できません。設定内容は、CREATE CONFIGコマンドで保存し、SET CONFIGコマンドで起動時に読み込まれるよう設定することにより、再起動後も有効になります。

■ プライベート番号を電話機から設定するには、次のようにします。
  1. 受話器を取ります。

  2. 短縮ダイヤル設定番号をダイヤルします。ご購入時は「3」に設定されています。

  3. 00〜19の範囲の短縮番号を入力します。1桁の番号でも、最初に「0」を付けて2桁で入力してください。

  4. 登録する電話番号を入力します。内線の場合は内線発信番号(ご購入時は「4」)に続けて内線番号を、外線の場合は外線発信番号(ご購入時は「0」)に続けて外線番号を入力し、最後に入力完了の「#」を入れてください。

  5. 受話器を置いたら設定完了です。

■ プライベート番号をコマンドラインから設定するには、ADD PBX EXTENSIONコマンドを使います。SHORTCODEパラメーターに短縮番号(0〜19)を、NUMBERパラメーターに電話番号(外線発信番号を含む)を指定してください。オプションとして、NAMEパラメーターで短縮番号に名前を付けることもできます。


■ プライベート番号を使って発信するには、次のようにします。
  1. 受話器を取ります。

  2. プライベート短縮発信番号をダイヤルします。ご購入時は「1」に設定されています。

  3. 短縮番号(00〜19)を2桁で入力します。

  4. 発信します。

■ プライベート番号は、SHOW PBX EXTENSIONコマンドで確認できます。

■ プライベート短縮発信番号はSET PBXコマンドのPRIVATEパラメーターで変更することができます。

■ パブリック番号は、ADD PBX SHORTCODEコマンドで設定します。SHORTCODEパラメーターに短縮番号を、NUMBERパラメーターに電話番号(外線発信番号を含む)を指定してください。オプションとして、NAMEパラメーターで短縮番号に名前を付けることもできます。パブリック番号の範囲は0〜999ですが、実際に指定できる範囲はSET PBXコマンドのNUMPUBLICDIGITSパラメーター(パブリック番号の桁数)の設定によって異なります。ご購入時にはNUMPUBLICDIGITSパラメーターは2(桁)に設定されているため、パブリック番号は0〜99の範囲で指定できます。


■ パブリック番号の桁数を変更するには、SET PBXコマンドを使います。NUMPUBLICDIGITSパラメーターに桁数を1〜3の範囲で指定してください。ご購入時は2です。


■ パブリック番号を使って発信するには、次のようにします。
  1. 受話器を取ります。

  2. パブリック短縮発信番号をダイヤルします。ご購入時は「2」に設定されています。

  3. 短縮番号をNUMPUBLICDIGITSパラメーターに設定されている桁数で入力します。

  4. 発信します。

■ パブリック番号は、SHOW PBXコマンドで確認できます。

■ パブリック短縮発信番号はSET PBXコマンドのPUBLICパラメーターで変更することができます。

 

通話記録

通話状況をログに記録できます。通話記録はSHOW PBX CALLコマンドで確認できます。

 

Bチャンネル予約機能

Bチャンネル予約機能は、2本のBチャンネルのうち1本を通話専用、もう1本をデータ通信専用に設定する機能です。Bチャンネル予約機能を有効にすると、音声通話とデータ通信にそれぞれ1チャンネルずつが固定的に割り当てられ、同種の呼が両方のチャンネルを占有することを防ぎます。

■ Bチャンネル予約機能の有効化・無効化には、SET PBXコマンドのRESERVEBCHANNELパラメーターを使います。


 

コールバンピング

2B使用中に電話がかかってきた場合、データ通信を1B切断して着信させることができます。詳細は「ISDN」の章をご覧ください。

 

リダイヤル

リダイヤル(再ダイヤル)は、直前にかけた電話番号を記憶しておき、簡単な操作で同じ番号に発信できる機能です。

■ リダイヤルするには、受話器をとりあげ、リダイヤル番号をダイヤルします。ご購入時は「7」に設定されています。

■ リダイヤル番号はSET PBXコマンドのREDIALパラメーターで変更することができます。

 

ホットライン(自動ダイヤル)

受話器を上げると決められた番号に自動的にダイヤルするよう設定できます。

■ 自動ダイヤルの設定は、SET PBX EXTENSIONコマンドのAUTODIAL、TERMINATEパラメーターで行います。AUTODIALパラメーターはオフフック(受話器を上げること)時に自動入力する番号を示すものです。また、TERMINATEパラメーターは、PBXが実際に発信するまでの待ち時間を示すもので、電話番号入力後TERMINATE秒入力がないときに発信します。


 

プレフィックス設定

外線発信の「0」、短縮ダイヤルの「3」など、受話器をとって最初にダイヤルする機能番号を「プレフィックス」(先頭番号)と呼びます。プレフィックスはSET PBXコマンドで変更できます。

デフォルトのプレフィックス設定と、SET PBXコマンドで変更するときに使うパラメーター名は次のとおりです。

表 1
機能
パラメーター
プレフィックス
内線に発信 INTERNAL 4
外線に発信 EXTERNAL 0
内線グループに発信 GRP 8
オペレーターに発信 OPERATOR 9
ピックアップ PICKUP 6
リダイヤル REDIAL 7
着信転送設定を解除 CLEAR 50
即時転送をオンに設定 IMMEDIATE 53
話中転送をオンに設定 BUSY 52
不在転送をオンに設定 NOANSWER 54
不在・話中転送をオンに設定 NOREPLY 51
プライベート短縮番号を設定 SETPRIVATE 3
プライベート短縮番号で発信 PRIVATE 1
パブリック短縮番号で発信 PUBLIC 2


■ プレフィックスは1〜3桁の数字です。先頭番号が同じプレフィックスはすべて同じ桁数でなくてはなりません。また、プレフィックスを示すパラメーターにNONEを指定すると、そのプレフィックスが表す機能は使えなくなります。

 

アナログポートに接続する機器の情報

ISDNには、発呼時にどのような種類の機器が通信しようとしているかを相手に伝える機能があります。これには、呼設定メッセージに含まれる「伝達能力(Bearer Capability)」、「高位レイヤー整合性(HLC)」、「低位レイヤー整合性(LLC)」情報要素が使用されます。

アナログポートに機器を接続する場合は、SET PBX EXTENSIONコマンドのBCAP、HCLパラメーターで、接続する機器にあった情報を設定してください。

■ アナログポート「0」に電話機を接続する場合は、次のようにします。


■ アナログポート「1」にFAXを接続する場合は、次のようにします。


BCAP、HCL各パラメーターの指定値と、実際に送信される各情報要素の内容は次のようになります。BCAPパラメーターのデフォルト値はAUDIO、HLCパラメーターのデフォルト値はDEFAULTです。

表 2
BCAPパラメーター
HLCパラメーター
伝達能力IE
LLC IE
HLC IE
SPEECH DEFAULT 音声 音声 なし
SPEECH TELEPHONE 音声 音声 電話
SPEECH FAX 3.1KHzオーディオ 3.1KHzオーディオ G2/G3 FAX
AUDIO DEFAULT 3.1KHzオーディオ 3.1KHzオーディオ なし
AUDIO TELEPHONE 3.1KHzオーディオ 3.1KHzオーディオ 電話
AUDIO FAX 3.1KHzオーディオ 3.1KHzオーディオ G2/G3 FAX








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