[index] CentreCOM x610シリーズ コマンドリファレンス 5.4.1

インターフェース / Power over Ethernet


  - PoE給電機能のオン・オフ
  - 電力クラスによる電力割り当て
  - 給電時の優先順位
  - ポートの出力電力上限値
  - その他

本製品のPoE(Power over Ethernet)給電機能について説明します。

Note - x610シリーズにおいて、PoE給電機能に対応しているのはAT-x610-24Ts/X-POE+、AT-x610-48Ts/X-POE+です。以下では、「本製品」=「AT-x610-24Ts/X-POE+」または、「AT-x610-48Ts/X-POE+」となります。

PoE(Power over Ethernet)は、UTPケーブルを使って、データと電力を同時に伝送する技術です。PoEの規格(IEEE 802.3af、IEEE 802.3at)では、電力を供給する側を「給電機器(PSE: Power Sourcing Equipment)」、電力の供給を受ける側を「受電機器(PD: Powered Device)」と呼びます。

本製品は、PoE規格に準拠した給電機器として、装置全体で最大480W(AT-PWR800-70装着時)、1ポートあたり最大30Wの電力供給が可能です。各ポートへの電力割り当ては、受電機器の電力クラスに基づいて行います。

PoE給電機能のオン・オフ

PoE給電機能に対応しているのは、本体内蔵の10/100/1000BASE-T PoEポート1〜24(AT-x610-24Ts/X-POE+)、1〜48(AT-x610-48Ts/X-POE+)です(コンボ(共用)ポートのSFPポートはPoEに対応していません)。

Note - コンボポートではSFPポートが優先的にリンクアップしますが、その場合でも10/100/1000BASE-T PoEポート21R〜24R(AT-x610-24Ts/X-POE+)、47R〜48R(AT-x610-48Ts/X-POE+)からの給電は継続されます(ただし、SFPポートがリンクアップしている場合、10/100/1000BASE-T PoEポートのネットワーク機能は使えません)。

初期状態では、すべてのPoEポートでPoE給電機能が有効になっており、接続された受電機器(PD)の検出、電力クラスの識別を自動的に行い、必要に応じて給電を開始します。
接続されている機器が受電機器ではなく通常のEthernet機器だった場合は、給電を行わず通常の10/100/1000BASE-T Ethernetポートとして動作します。

Note - 本製品を給電機器(PSE)とカスケード接続する場合は、本製品のカスケードポートのPoE給電機能を無効に設定してください(power-inline enableコマンドをno形式で実行する)。

■ 指定したポートでPoE給電機能を無効にするには、該当ポートを対象とするインターフェースモードにおいて、power-inline enableコマンドをno形式で実行します。

awplus(config)# interface port1.0.17-1.0.24
awplus(config-if)# no power-inline enable


■ 指定したポートでPoE給電機能を再度有効にするには、power-inline enableコマンドを通常形式で実行します。

awplus(config)# interface port1.0.17-1.0.24
awplus(config-if)# power-inline enable


電力クラスによる電力割り当て

本製品はPoEポートに接続された受電機器の電力クラスを自動的に識別し、電力クラスに応じた電力を該当ポート用に割り当てます。

たとえば、PoEポートで検出された受電機器がクラス1だった場合、本製品は、この受電機器が実際に使用する電力量に関係なく、4W分の電力を該当ポートに割り当てます。これは、最大4Wまでの出力に対応できるよう、装置全体の最大供給電力480Wのうち4W分を該当ポート用に確保するという意味です。
同様に、接続された受電機器がクラス2の場合は7W、クラス3の場合は15.4W、クラス4の場合は30Wの電力を確保します。

仮に10Wの出力で充分なクラス3受電機器を接続した場合でも、接続ポート用に15.4W分の電力が確保されるため、クラス3受電機器は24ポート(AT-x610-24Ts/X-POE+)、または31ポート(AT-x610-48Ts/X-POE+)までしか同時給電できません。クラス3受電機器をこのポート数より多く接続した場合は、次項「給電時の優先順位」で述べる方法にしたがって優先順位の低いポートへの給電が停止されます。

PoE規格で規定されている電力クラス分けについては、下表をご覧ください。

表 1:電力クラス(参考)
クラス
用途
受電機器の使用電力
給電機器の出力電力
0 デフォルト 0.44〜12.95W 15.4W
1 オプション 0.44〜3.84W 4.0W
2 オプション 3.84〜6.49W 7.0W
3 オプション 6.49〜12.95W 15.4W
4 オプション 12.95〜25.5W 30W

Note - 電力クラスは、show power-inlineコマンドやshow power-inline interfaceコマンドで確認できます(Class欄やPowered device class欄)。

給電時の優先順位

PoE電源の電力使用量が最大供給電力(480W)を上回った場合は、給電中のポートのうち、もっとも優先順位の低いポートへの給電を停止します。優先順位は次のようにして決定されます。

  1. ポートの給電優先度(power-inline priorityコマンドで設定)。critical(最高)、high(高)、low(低)の3段階。

  2. 給電優先度の同じポート間では、ポート番号の小さいほうが優先順位が高くなる。

初期状態では、すべてのPoEポートで給電優先度がlowに設定されています。したがって、給電時の優先順位はポート番号の順になります(ポート1が優先順位最高、ポート24(AT-x610-24Ts/X-POE+)またはポート48(AT-x610-48Ts/X-POE+)が優先順位最低)。

■ ポートの給電優先度を変更するには、power-inline priorityコマンドを使います。

awplus(config)# interface port1.0.1-1.0.8
awplus(config-if)# power-inline priority critical


ポートの出力電力上限値

PoEポートからの出力電力が受電機器の電力クラスで規定された上限値(クラス1:4W、クラス2:7W、クラス3:15.4W、クラス4:30W)を超えた場合は、給電優先順位に関係なく該当ポートへの給電を停止します。

なお、power-inline maxコマンドで上限値を変更することも可能ですが、その場合は受電機器の電力クラスで規定された上限値以上の値を設定してください。電力クラスの上限値よりも小さい値を設定した場合、受電機器を接続した時点で上限値を超えたと見なされ給電が行われません。

■ ポート1.0.1からの出力電力を6000mW(6W)までに制限するには次のようにします。これにより、同ポートではクラス1受電機器への給電しか行われなくなります。クラス2、クラス3の受電機器を接続した場合は、接続した時点で上限値を超えたと見なされるため給電されません。

awplus(config)# interface port1.0.1
awplus(config-if)# power-inline max 6000


その他

■ PoE電源の電力使用量を監視するため、ログメッセージの出力、および、SNMPトラップ送信のしきい値を設定することができます。これには、power-inline usage-thresholdコマンドを使います。しきい値は、最大供給電力(480W)に対する割合(%)で指定します。初期設定は80%です。

awplus(config)# power-inline usage-threshold 90


PoE電源の電力使用量がしきい値を下から上、あるいは、上から下にまたぐと、ログメッセージが出力されます。また、SNMPトラップの設定がなされている場合はSNMPトラップメッセージも送信されます。

Note - SNMPトラップの設定については、「運用・管理」の「SNMP」をご覧ください。

■ PoE給電機能の各種情報を確認するには、show power-inlineコマンド、show power-inline countersコマンド、show power-inline interfaceコマンドを使います。


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PN: 613-001613 Rev.A