[index] CentreCOM EG1004TX コマンドリファレンス 1.0.0-23

VoIP/E&Mインターフェース


  - E&Mインターフェース
   - 論理インターフェースの作成
  - 論理インターフェースの設定
   - 回線タイプ
   - 音声線
   - ダイヤルモード
   - ダイヤルスタート方式
   - トーン
   - デジットマップ
   - 音声コーデック
   - ダイヤル番号送信桁数削除(ダイヤルマスク)
   - 利得調整
   - 無音圧縮(VAD、Voice Activity Detection)
   - 疑似ノイズ発生(CNG、Comfort Noise Generation)
   - ジッター吸収バッファー
   - エコーキャンセラー
   - IP回線→OD回線方向への呼出中状態監視タイマー
  - 論理インターフェースの制御


 

E&Mインターフェース

本製品(EG010)は、4つのE&Mインターフェース(OD回線インターフェース)を持ちます。
下記に識別名とインターフェース仕様を示します。

表 1:E&Mインタフェース(OD回線インタフェース)仕様
識別名 LINE1、LINE2、LINE3、LINE4
ポート数 4
規格 TTC標準 JJ-21.10
回線タイプ タイプI(未サポート)、タイプII(未サポート)、タイプV
音声線 2線式、4線式
ダイヤルスタート方式 ウィンクスタート方式、セカンドダイヤルトーン方式(注)、イミディエート方式
送信トーン ビジートーン、ダイヤルトーン、リングバックトーン
ダイヤル方式 DTMF(PB)、DP-10pps、DP-20pps
エコーキャンセラ 0msec、8msec、16msec、32msecで調整可能
ゲイン調整 TxGain、RxGainを調整可能
ジッター調整 0〜130msecで調整可能
プリフィクスダイヤル削除機能
コネクター形状 RJ-45

Note - ダイヤルトーンは、セカンドダイヤルトーン方式に設定されている場合のみ送信。
 

論理インターフェースの作成

E&Mインターフェースを使用するには、VOIP EP ANALOGUE CREATEコマンドで論理インターフェースを作成し、その論理インターフェースに対してタイプ(回線タイプと音声線の組み合わせ)の指定を行わなければなりません。
これ以後、E&Mインターフェースに対する設定は、論理インターフェースに対して行います。

表 2:指定可能なタイプ
al-2wires-em-type_I(未サポート) OD回線、2線式、タイプI
al-2wires-em-type_II(未サポート) OD回線、2線式、タイプII
al-2wires-em-type_V OD回線、2線式、タイプV
al-4wires-em-type_I(未サポート) OD回線、4線式、タイプI
al-4wires-em-type_II(未サポート) OD回線、4線式、タイプII
al-4wires-em-type_V OD回線、4線式、タイプV

VOIP EP ANALOGUE CREATEコマンドで、E&MインターフェースLINE1に対する論理インターフェースenm1を作成します。

VOIP EP ANALOGUE DELETEコマンドで、論理インターフェースenm1を削除します。

 

論理インターフェースの設定

論理インターフェースに対して、以下の設定を行うことができます。
論理インターフェースの状態は、以下のコマンドで確認できます。
論理インターフェースは、次のコマンドで制御できます。
 

回線タイプ

E&Mインタフェースの回線タイプは、タイプI、タイプII、タイプVが存在しますが、本製品はタイプVのみをサポートしています(日本国内で使用される回線タイプは、タイプVが主流です)。

回線タイプは、VOIP EP ANALOGUE CREATEコマンドで設定されるので、VOIP EP ANALOGUE SET SIGNALING-TYPEコマンドでの設定は不要です。

逆に、VOIP EP ANALOGUE SET SIGNALING-TYPEコマンドを実行した場合は、VOIP EP ANALOGUE CREATEコマンドの設定をオーバーライドします。
 

音声線

E&Mインタフェースの音声線として、2線式、4線式が設定できます。

音声線は、VOIP EP ANALOGUE CREATEコマンドで設定されるので、VOIP EP ANALOGUE SET AUDIO-INTERFACEコマンドでの設定は不要です。

逆に、VOIP EP ANALOGUE SET AUDIO-INTERFACEコマンドを実行した場合は、VOIP EP ANALOGUE CREATEコマンドの設定をオーバーライドします。
 

ダイヤルモード

DTMF(PB)、DP 10pps、DP 20ppsが設定できます。デフォルトはDTMFです。

ダイヤルモードは、VOIP EP ANALOGUE SET DIALMODEコマンドで設定します。
 

ダイヤルスタート方式

本製品は、次の3つのダイヤルスタート方式をサポートしています。
上記の各方式で使用するタイマーの種別と、設定値の内容は以下の通りです。

表 3:各スタート方式におけるタイマー値
方式
Wait Time
Wink Time
ウインクスタート方式 本製品が起動した場合の接続確認信号を待つ時間。設定値は、「PBXの接確信号が完了する迄の時間」 < 10000ミリ秒。奨励値は5000ミリ秒 本製品が接続信号を送信する場合、E線をOFFHOOKする時間。設定値は、「PBXが接確信号を認識する時間」 < (PBXのWait Time)。奨励値は100ミリ秒
セカンドダイヤルトーン方式 本製品が起動した場合のダイヤルトーンを待つ時間。設定値は、「PBXのダイヤルトーン送信開始時間+本製品がダイヤルトーンを認識する時間」 < 10000ミリ秒。奨励値は3000ミリ秒 設定不要
イミディエイト方式 本製品が起動してダイヤル数字を送信するまでの時間。設定値は「PBXの数字受信準備時間」。奨励値は500ミリ秒 設定不要

■ ダイヤルスタート方式は、VOIP EP ANALOGUE SET DIALSTARTコマンドで設定します。
 

トーン

トーンをJapanに設定した場合、以下のようになります。

表 4:Japanを選択した場合のトーン仕様
トーン
周波数
断続比
メーク率
ダイヤルトーン 400±20Hz 120IPM 50%
ビジートーン 400±20Hz 60IPM 50%
リングバックトーン 400±20Hzを15〜20Hz以下の信号で変調 20IPM 33%

■ トーンは、VOIP EP ANALOGUE SET COUNTRYコマンドで設定します。
 

デジットマップ

PBX(論理インターフェース)からダイヤル数字を受信する際に受け付けるダイヤルパターンと、ダイヤル終了を検出する方式を設定します。

本製品は、次の3種類の方法でダイヤル終了を検出することができます。
3.は通常PBXの拠点間接続で使用しません。また、2.も極力使用しないようにすること。
  1. 登録数字パターンの一致による桁数決定
  2. ダイヤル数字受信桁間タイマー(Inter-digit partial time)の満了によるダイヤル終了(デフォルト設定)
  3. ダイヤル数字「#」または「*」の受信によるダイヤル終了
受信したダイヤルがダイヤルパターンに一致しない場合、本製品は即座にビジートーンを送信します。

表 5:デジットマップで使うことができる文字
文字
意味
0〜9 各値の一桁に一致する
x 0〜9の任意の値一桁に一致する
[ ] 括弧内の値の何れか一桁に一致する
-(ハイフン) [ ]と併用して範囲を示す。例えば、[1-5]は[12345]と同じ意味になる
.(コンマ) 任意の桁の並びに一致する。桁数が0(存在しない)場合にも一致する。「.」を使用する場合は、その後に「#」「*」「T」を付加する必要がある
| 複数のデジットマップパターンを列挙するときの区切り文字
#、* ダイヤル数字「#」「*」によるダイヤル終了に一致する
T 桁間タイマーの満了によるダイヤル終了に一致する。

表 6:デジットマップの使用例
デジットマップの例
動作
1xxx|2xxx|3xxx、[123]xxx、[1-3]xxx 先頭1桁が「1」または「2」または「3」で始まる4桁の数字を受けとった時点でダイヤル終了と見なす。先頭の1桁がそれ以外、または4桁より少ないダイヤル数字を受信するとビジートーンを送信する。
x.T 任意の桁を受信することができ、桁間タイマーの満了でダイヤル終了と見なす。ただし、ダイヤル数字を一切受信しなければビジートーンを送信する。
51x.# 先頭2桁が「51」で任意桁数受信ができ、ダイヤル数字「#」の受信でダイヤル終了と見なす。「#」の前までが、ダイヤル数字として認識される。

デジットマップは、VOIP EP ANALOGUE SET DIGITMAPコマンドで設定します。以下に例を示します。

■ 内線番号が3桁の場合、以下のような条件を設定すると、数字を3つ押した時点で発呼が行われます。

さらに、数字の範囲を指定して絞り込むこともできます。
以下のように設定するとダイヤルされた番号の先頭が2、3、4以外のとき、呼は拒否されてビジーが返されます。

■ 「.」を使用すると、ダイヤル数字の任意の連続を表現することができます。「.」の前にxを付加しているのは、「.」の桁数0への一致を防ぐためです。
このように設定すると、任意の長さの数字の後に「#」をダイヤルしたとき、呼が行われます。
ただし、デジットマップに一致可能なダイヤル数字の入力の長さは、「#」を含めて最大32文字までであるため、有効なダイヤル数字の長さは最大31文字までとなります。それ以上の長さのダイヤル数字が入力された場合、パターンに一致せず呼は行われません。

■ 「または」を意味する「|」記号を使うと、複数の条件を列挙することができます。条件は、左側から右側に向かって調べられます。
以下の例では、まず1つめの「[2-4]xx」への一致が調べられます。
「208」がダイヤルされたなど、1つめの条件に一致した場合、その時点で呼が行われます。
1つめの条件に一致しないことが明白になった場合、2つめの「0[2-9]xxxxxx」への一致が調べられ、一致した場合は呼が行われます。
いずれにも一致しなかった場合は、呼は拒否されてビジートーンが生成されます。

 

音声コーデック

設定可能な音声コーデックは、以下の通りです。
音声コーデックは、E&Mインターフェースごとに設定可能ですが、OD回線は中継回線であるため、通常は回線群で統一します。
また、優先度をつけた複数の音声コーデックを設定することにより、回線確立時に優先度の高いコーデックから順にチャンネルのオープンを試みることができます。

表 7:設定可能なコーデック
指定パラメーター
コーデック
最大同時接続数
g711u G.711 μ-law(64kbps) 最大4チャネル
g711a G.711 A-law(64kbps) 最大4チャネル
g726-16 G.726 16kbps 最大3チャネル
g726-24 G.726 24kbps 最大3チャネル
g726-32 G.726 32kbps 最大3チャネル
g726-40 G.726 40kbps 最大3チャネル
g729ab G.729A/B 最大3チャネル

Note - T.38はサポート対象外です。デフォルトでは、T.38は有効となっていますので、VOIP EP ANALOGUE SET CODECSコマンドで「t38」を除外するように設定してください。
Note - G.726、G.729A/Bを使用する場合、E&Mインターフェースの使用は3回線までに抑える必要があります。
音声コーデックは、VOIP EP ANALOGUE SET CODECSコマンドで設定します。

■ 「enm1」に対して、G.711 A-law PCM、G.711 μ-law PCM、G.729A/B 8 kbpsの優先順でコーデックを設定する(左が高優先度)。

 

ダイヤル番号送信桁数削除(ダイヤルマスク)

E&Mインターフェースで受信したダイヤル数字の列に対して、先頭から指定した桁数を削除する機能です。
ダイヤル番号送信桁数削除は、VOIP EP ANALOGUE SET DIALMASKコマンドで設定します。

■ 「enm1」ポートで受信したダイヤル数字の列の先頭の2文字を削除する。

 

利得調整

利得調整の範囲は、以下の通りです。
論理インターフェースごとに設定できます。
利得を大きく設定すると、音声がつぶれることがあります。

表 8:利得の調整範囲
 
方向
範囲/ステップ
デフォルト
RxGain 受信(E&Mインターフェース←IP回線) -48〜+28dBで0.5dB刻み -3dB
TxGain 送信(E&Mインターフェース→IP回線) -48〜+28dBで0.5dB刻み 0dB

受信の利得は、VOIP EP ANALOGUE SET RXGAINコマンドで設定します。
送信の利得は、VOIP EP ANALOGUE SET TXGAINコマンドで設定します。
 

無音圧縮(VAD、Voice Activity Detection)

IP回線に送信する音声トラフィックを軽減する機能です。
この機能を有効にすると、E&Mインターフェースからの音声入力が検出されないとき、以下のように動作します。
無音圧縮は、VOIP EP ANALOGUE SET VADコマンドで設定します。
 

疑似ノイズ発生(CNG、Comfort Noise Generation)

無音圧縮(VAD)が有効に設定されており、かつE&Mインターフェースからの音声入力が検出されないとき、完全な無音状態にならないように、従来の電話回線のような擬似的なノイズを発生させる機能です。
この機能により、通話者が「完全な無音状態」を「回線が切断されてしまった」と勘違いすることを防ぐことができます。

疑似ノイズ発生は、VOIP EP ANALOGUE SET CNGコマンドで設定します。
 

ジッター吸収バッファー

IP回線のパケットの遅延による、VoIPシステムの音質低下を改善するバッファーです。
IP回線から受信したデータは、いったんジッターバッファーに溜められ、設定した待ち時間を経過してから、音声に変換されE&Mインターフェースに出力されます。
待ち時間は、1〜130ミリ秒の範囲で設定できます。デフォルトは130ミリ秒です。

ジッターバッファーの遅延待ち時間は、VOIP EP ANALOGUE SET JITTERDELAYコマンドで設定します。
 

エコーキャンセラー

エコーを吸収する機能です。
0、8、16、32ミリ秒のいずれかに設定できます。デフォルトは32ミリ秒。

エコーキャンセラーは、VOIP EP ANALOGUE SET LECコマンドで設定します。
 

IP回線→OD回線方向への呼出中状態監視タイマー

着信側の本製品が呼出中状態におかれている間に、発信側の本製品に障害が発生した場合、またはIP回線の障害によって、着信側の呼が浮いてしまうことを防止する監視タイマーです。
0〜600秒を設定可能です。デフォルトは120秒です。

IP回線→OD回線方向への呼出中状態監視タイマーは、VOIP EP ANALOGUE SET ALERTING-TIMEOUTコマンドで設定します。
 

論理インターフェースの制御

VOIP EP ANALOGUE DISABLEコマンドにより、論理インターフェースを一時的に無効にすることができます。
無効にされた論理インターフェースに関連付けられたユーザーの呼発や着呼は破棄されます。
また、無効にされた論理インターフェースに対応するE&Mインターフェースからは、ダイヤルトーンは提供されません。

VOIP EP ANALOGUE ENABLEコマンドにより、論理インターフェースを無効状態から有効状態に戻すことができます。



(C) 2005 アライドテレシスホールディングス株式会社

PN: 613-000314 Rev.A