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CentreCOM AR415S 設定例集 2.9 #39
PPPoEによる端末型インターネット接続(IPプロトコルに基づくプライオリティールーティング)
PPPoEインターネット接続環境において、IPプライオリティーフィルターを使用し、TCPとUDPでパケット転送時の優先度に差を付けるように設定します。この例は、ダイナミックENATで1個のグローバルアドレスを共用し、ファイアウォールで外部からの不正アクセスを防止します。
ここでは、次のような構成のネットワークを例に解説します。
ISPからは次の情報を提供されているものとします。
表 1:ISPから提供された情報
PPPユーザー名 |
user@isp |
PPPパスワード |
isppasswd |
PPPoEサービス名 |
指定なし |
IPアドレス |
12.34.56.78/32(固定) |
ルーターには、次のような方針で設定を行います。
- IPプライオリティーフィルターを使用し、TCPパケットの転送時の優先度を最高に、UDPパケットの優先度を最低に設定します。
- ファイアウォールを利用して、外部からの不正アクセスを遮断しつつ、内部からは自由にインターネットへのアクセスができるようにします。
- ファイアウォールのダイナミックENAT機能を利用して、LAN側ネットワークのプライベートIPアドレスを、ISPから与えられたグローバルIPアドレスに変換します。これにより、LANに接続された複数のコンピューターからインターネットへの同時アクセスが可能になります。
以下、ルーターの基本設定とDHCPサーバーの設定についてまとめます。
表 2:ルーターの基本設定
WAN側物理インターフェース |
eth0 |
WAN側(ppp0)IPアドレス |
12.34.56.78/32(固定) |
LAN側(vlan1)IPアドレス |
192.168.10.1/24 |
DHCPサーバー機能 |
無効 |
表 3:IPプライオリティーフィルターの設定
TCPトラフィック |
優先度p0(最高) |
UDPトラフィック |
優先度p7(最低) |
- WAN側Ethernetインターフェース(eth0)上にPPPインターフェースを作成します。「OVER=eth0-XXXX」の「XXXX」の部分には、ISPから通知されたPPPoEの「サービス名」を記述します。ISPから指定がない場合は、どのサービス名タグでも受け入れられるよう、「ANY」を設定します。
CREATE PPP=0 OVER=eth0-ANY ↓
- ISPから通知されたPPPユーザー名とパスワードを指定します。LQRはオフにし、代わりにLCP Echoパケットを使ってPPPリンクの状態を監視するようにします。また、ISDN向けの機能であるBAPはオフにします。
SET PPP=0 OVER=eth0-ANY USER=user@isp PASSWORD=isppasswd LQR=OFF BAP=OFF ECHO=ON ↓
- IPモジュールを有効にします。
- TCPプロトコルに最高の優先度(p0)を与えるプライオリティーフィルターを設定します。
ADD IP FILTER=1 TYPE=PRIORITY SO=0.0.0.0 PRIORITY=p0 PROTO=tcp ↓
- UDPプロトコルには最低の優先度(p7)を与えるよう設定します。
ADD IP FILTER=1 TYPE=PRIORITY SO=0.0.0.0 PRIORITY=p7 PROTO=udp ↓
- LAN側(vlan1)インターフェースにIPアドレスを設定します。
ADD IP INT=vlan1 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓
- WAN側(ppp0)インターフェースにISPから割り当てられたIPアドレスを設定します。また、同インターフェースにプライオリティーフィルターを適用します。
ADD IP INT=ppp0 IP=12.34.56.78 MASK=255.255.255.255 PRIORITYFILTER=1 ↓
- デフォルトルートを設定します。
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓
- ファイアウォール機能を有効にします。
- ファイアウォールの動作を規定するファイアウォールポリシー「net」を作成します。
CREATE FIREWALL POLICY=net ↓
- ICMPパケットはPing(Echo/Echo Reply)と到達不可能(Unreachable)のみ双方向で許可します。
ENABLE FIREWALL POLICY=net ICMP_F=PING,UNREACH ↓
Note
- デフォルト設定では、ICMPはファイアウォールを通過できません。
- ルーターのidentプロキシー機能を無効にし、外部のメール(SMTP)サーバーなどからのident要求に対して、ただちにTCP RSTを返すよう設定します。
DISABLE FIREWALL POLICY=net IDENTPROXY ↓
- ファイアウォールポリシーの適用対象となるインターフェースを指定します。
- LAN側インターフェース(vlan1)をPRIVATE(内部)に設定します。
ADD FIREWALL POLICY=net INT=vlan1 TYPE=PRIVATE ↓
- WAN側インターフェース(ppp0)をPUBLIC(外部)に設定します。
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp0 TYPE=PUBLIC ↓
- LAN側ネットワークに接続されているすべてのコンピューターがENAT機能を使用できるよう設定します。グローバルアドレスには、ppp0のIPアドレスを使用します。
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=vlan1 GBLINT=ppp0 ↓
- 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。
CREATE CONFIG=router.cfg ↓
SET CONFIG=router.cfg ↓
ルーターのコンフィグ
[テキスト版]
CREATE PPP=0 OVER=eth0-ANY ↓
SET PPP=0 OVER=eth0-ANY USER=user@isp PASSWORD=isppasswd LQR=OFF BAP=OFF ECHO=ON ↓
ENABLE IP ↓
ADD IP FILTER=1 TYPE=PRIORITY SO=0.0.0.0 PRIORITY=p0 PROTO=tcp ↓
ADD IP FILTER=1 TYPE=PRIORITY SO=0.0.0.0 PRIORITY=p7 PROTO=udp ↓
ADD IP INT=vlan1 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓
ADD IP INT=ppp0 IP=12.34.56.78 MASK=255.255.255.255 PRIORITYFILTER=1 ↓
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓
ENABLE FIREWALL ↓
CREATE FIREWALL POLICY=net ↓
ENABLE FIREWALL POLICY=net ICMP_F=PING,UNREACH ↓
DISABLE FIREWALL POLICY=net IDENTPROXY ↓
ADD FIREWALL POLICY=net INT=vlan1 TYPE=PRIVATE ↓
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp0 TYPE=PUBLIC ↓
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=vlan1 GBLINT=ppp0 ↓
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CentreCOM AR415S 設定例集 2.9 #39
(C) 2006-2017 アライドテレシスホールディングス株式会社
PN: 613-000668 Rev.N
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