[index] CentreCOM ARX640S コマンドリファレンス 5.1.5

IP付加機能 / DHCPサーバー


ご購入時設定
基本設定


DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)は、クライアントに対して動的にIP設定パラメーターを提供する機能です。

DHCPサーバーは、クライアントの要求に対して、あらかじめプールされたIPアドレスの中から使用されていないアドレスを選び、一定期間クライアントに割り当てます。
また、サブネットマスクやデフォルトルート、ネームサーバーアドレスなど、同一サブネット内で共通に用いられるパラメーターをサーバー側で管理し、クライアントに提供することもできます。

Note - DHCPサーバー機能とDHCPリレーエージェント機能は併用できません。

Note - DHCPリレーエージェント機能については「IP付加機能」の「DHCPリレー」を、DHCPクライアント機能については「IPルーティング」の「IPインターフェース」をご覧ください。

ご購入時設定

ご購入時など、スタートアップコンフィグが存在しない状態で起動した場合は、DHCPサーバーに関連するものとして下記の設定が存在します。必要に応じて設定の変更や削除を行ってください。

interface vlan 1
 ip address 192.168.1.1/24
!
ip dhcp pool vlan 1
 range 192.168.1.155 192.168.1.254
dhcp-server ip enable


以下では、ご購入時の設定が存在しないものとしてDHCPサーバーの設定手順を説明します。

ご購入時設定の削除については、「運用・管理」/「システム」の「ご購入時設定内容の削除」をご覧ください。

基本設定

本製品をDHCPサーバーとして機能させるために必要な設定について説明します。

ここでは次の環境を想定します。

表 1
DHCPサーバー
インターフェース vlan 1(IPアドレス192.168.10.1/24)
アドレスの割り当て
動的割り当て 192.168.10.240 〜 192.168.10.249(10アドレス)
固定割り当て 192.168.10.252 → 00-0c-29-2d-d8-cb
リース時間 2時間
設定情報の通知
サブネットマスク 255.255.255.0(24ビット長)
デフォルトゲートウェイ 192.168.10.1
DNSサーバーアドレス 192.168.10.5, 192.168.10.11
ドメイン名 tw.example.com


  1. DHCPプールを作成します。DHCPサーバーとして動作させるIPインターフェースをip dhcp poolコマンドで指定してください。

    *Router(config)# ip dhcp pool vlan 1
    


  2. DHCPクライアントに割り当てる動的IPアドレスの範囲を指定します。これには、rangeコマンドを使います。
    ここでは192.168.10.240〜192.168.10.249の10アドレスを割り当てます。

    *Router(dhcp-config)# range 192.168.10.240 192.168.10.249
    

    Note - 本設定(rangeコマンド)を省略した場合は、インターフェースアドレス192.168.10.1を除く、サブネット内の全アドレス(192.168.10.2〜192.168.10.254)が動的割り当ての対象となります。

  3. IPアドレスのリース時間を設定します。これには、leaseコマンドを使います。
    ここでは、リース時間を2時間とします。

    *Router(dhcp-config)# lease 0 2 0
    

    Note - 本設定(leaseコマンド)を省略した場合、リース時間は初期値の12時間となります。

  4. 特定のMACアドレスを持つDHCPクライアントに対して、IPアドレスを固定割り当てするよう設定します。これには、fixed-addressコマンドを使います。
    ここでは、MACアドレス「00-0c-29-2d-d8-cb」のクライアントに対して、IPアドレス「192.168.10.252」を固定割り当てするよう設定します。

    *Router(dhcp-config)# fixed-address 192.168.10.252 00-0c-29-2d-d8-cb
    


  5. DHCPクライアントに通知する基本的なIP設定パラメーターを指定します。
    ここでは、通知するサブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、DNSサーバーアドレス、ドメイン名の情報を、それぞれsubnet prefix-lengthコマンド、default-routerコマンド、dns-serverコマンド、domain-nameコマンドで設定しています。

    *Router(dhcp-config)# subnet prefix-length 24
    *Router(dhcp-config)# default-router 192.168.10.1
    *Router(dhcp-config)# dns-server 192.168.10.5 192.168.10.11
    *Router(dhcp-config)# domain-name tw.example.com
    *Router(dhcp-config)# exit
    

    Note - サブネットマスクの設定(subnet prefix-lengthコマンド)を省略した場合は、インターフェースのネットマスクをサブネットマスクとして通知します。

    Note - デフォルトゲートウェイアドレスの設定(default-routerコマンド)を省略した場合は、インターフェースのIPアドレスをデフォルトゲートウェイアドレスとして通知します。

    Note - IPアドレスなどを複数指定するときは、スペース区切りでIPアドレスを複数記述してください。

    Note - 上記以外にもさまざまな設定情報をクライアントに通知することができます。詳細はコマンドリファレンス編をご覧ください。

  6. DHCPサーバーを有効にします。これには、dhcp-server ip enableコマンドを使います。

    *Router(config)# dhcp-server ip enable
    


設定は以上です。

■ DHCPサーバーをfixed-addressコマンドによる固定割り当てのみで運用する場合は、次の例のように、ip dhcp excluded-addressコマンドを使って、すべてのアドレスを動的割り当て対象から除外するよう設定してください。

*Router(config)# ip dhcp excluded-address 0.0.0.0 255.255.255.255

この設定を行わない場合、rangeコマンド未設定時の仕様により、DHCPサーバーとして動作するインターフェース配下の空きアドレスが動的割り当てされてしまい、意図した動作にならないので注意してください。

■ DHCPプールの情報を確認するには、show ip dhcp poolコマンドを使います。

■ IPアドレスの割り当て状況を確認するには、show ip dhcp bindingコマンドを使います。

■ DHCPサーバーの統計情報を確認するには、show ip dhcp-server statisticsコマンドを使います。

■ DHCPサーバーの設定を確認するには、show running-configコマンドを実行します。次の例のように、CLIのモディファイアを使って表示行を絞り込むとよいでしょう(モディファイアについては「運用・管理」/「コマンドラインインターフェース(CLI)」の「モディファイアとリダイレクション」を参照)。

*Router(config)# show running-config | begin ip dhcp pool
ip dhcp pool vlan 1
 range 192.168.10.240 192.168.10.249
 default-router 192.168.10.1
 dns-server 192.168.10.5 192.168.10.11
 domain-name tw.example.com
 fixed-address 192.168.10.252 00-0c-29-2d-d8-cb
 lease 0 2 0
 subnet prefix-length 24
dhcp-server ip enable
!
!
telnet-server ip enable
!
end


Note - DHCPプールの設定追加や変更を行った場合には、DHCPサーバーの無効・有効(no dhcp-server ip enableとdhcp-server ip enableの実行)を実施するか、設定内容をスタートアップコンフィグに保存して再起動してください。


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