[index] CentreCOM ARX640S コマンドリファレンス 5.1.5

運用・管理 / コマンドラインインターフェース(CLI)


ログイン
コマンドモードとプロンプト
実行モード
設定モード
コマンドライン編集キー
コマンド入力時の注意事項
使用できる文字
コマンドの否定形(no形式)
メッセージ
コマンド入力補助機能
入力候補の表示
次のキーワード候補を表示
入力途中のキーワード候補を表示
キーワードの補完
モディファイアとリダイレクション
端末画面のページ当たり行数


本製品に対する設定は、管理用端末から本製品の管理機構であるコマンドラインインターフェース(CLI)にアクセスして行います。

ここでは、CLIに関する基本的なことがらについて説明します。CLIへのアクセス方法については「運用・管理」の「システム」をご覧ください。

ログイン

本製品の管理機構であるコマンドラインインターフェース(CLI)を利用するには、ユーザー名とパスワードを入力してログインする必要があります。ログインせずに管理作業を行うことはできません。

初期設定では、次に示すユーザーアカウントが登録されています。初回ログイン時はこのユーザー名とパスワードでログインしてください。

CLIにログインするには、「login:」プロンプトに対してユーザー名「manager」を、続いて表示される「Password:」プロンプトに対してパスワード「friend」を入力します。

login: manager 
Password: friend ↓(実際には表示されません)
Allied Telesis EATOS System Software
CentreCOM ARX640S Software, Version 5.0.0 (RELEASE SOFTWARE)
Router> 


短いメッセージの後(上の例では「Allied Telesis ...」)、「Router>」のようなコマンドプロンプトが表示されればログイン成功です。

ユーザー名やパスワードを間違えた場合は、「Login incorrect」というメッセージの後に「login:」プロンプトが再表示されるので、もう一度ログインを試みてください。

Note - 最大同時ログイン数は、コンソールログイン1、リモートログイン(TelnetとSSHの合計)4の合計5です。

コマンドモードとプロンプト

本製品のコマンドラインインターフェース(CLI)には「コマンドモード」の概念があります。各コマンドはあらかじめ決められたモードでしか実行できないため、コマンドを実行するときは適切なモードに移動し、それからコマンドを入力することになります。

コマンドモードは次のような階層構造を持ちます。

モード間の移動方法は次のようになります。


以下、各モードについて解説します。また、コマンドモードによってコマンドプロンプトの表示が異なるため、それもあわせて示します。

実行モード

実行モード(EXECモード)は、状態の確認や設定の保存、ファイルの操作など、その場かぎりのコマンドを実行するためのモードを総称したものです。具体的には「非特権EXECモード」と「特権EXECモード」の2つからなります。実行モードでは、機器の動作設定を変更するようなコマンドは実行できません。

Note - 次に述べる「非特権EXECモード」を略して「EXECモード」と呼ぶ場合もありますが、本マニュアルで「EXECモード」や「実行モード」と言った場合は、原則として「非特権EXECモード」と「特権EXECモード」の総称です。


設定モード

設定モード(コンフィグモード)は、機器の動作設定を変更するコマンドを実行するためのモードを総称したものです。具体的には「グローバルコンフィグモード」や「インターフェースモード」など多数のモードからなります。ネットワーク機器としての動作設定はすべて設定モードで行います。

Note - 次に述べる「グローバルコンフィグモード」を略して「コンフィグモード」と呼ぶ場合もありますが、本マニュアルで「コンフィグモード」や「設定モード」と言った場合は、原則として「グローバルコンフィグモード」、「インターフェースモード」などの総称です。


コマンドライン編集キー

コマンドラインでは、以下の編集機能を使うことができます(VT100互換の端末エミュレーターが必要です)。

表 4
凡例
Ctrl/△ 「Ctrl」キーを押しながら△キーを押す。たとえば「Ctrl/E」は、「Ctrl」キーを押しながら「E」キーを押すことを意味する
Esc,△ 「Esc」キーを押して離し、次に△キーを押して離す。たとえば「Esc,B」は、「Esc」キーを押して離し、次に「B」キーを押すことを意味する
カーソル移動
Ctrl/Fまたは→ 1文字右に移動する
Alt/FまたはEsc,F 1単語右に移動する(カーソル位置にある単語の最後の文字の次に移動する)
Ctrl/Bまたは← 1文字左に移動する
Alt/BまたはEsc,B 1単語左に移動する(カーソル位置にある単語の先頭文字に移動する)
Ctrl/A 行頭に移動する
Ctrl/E 行末に移動する
削除
Ctrl/HまたはBackspace カーソルの左にある文字を削除する
Ctrl/D カーソル位置の文字を削除する。ただしコマンド行が空の状態でCtrl/Dを押した場合は、exitコマンドと同じ動作となる
Alt/DまたはEsc,D カーソル位置以降、最初の空白の直前までを削除する
Ctrl/K カーソル位置から行末までを削除する
Ctrl/U コマンド行を消去する
その他
Ctrl/T カーソル位置の文字とその直前の文字を入れ換える(カーソルが行末にあるときは、直前の文字とその前の文字を入れ換える)
Ctrl/Pまたは↑ コマンド履歴をさかのぼる
Ctrl/Nまたは↓ コマンド履歴を進める
Ctrl/C 非特権EXECモードと特権EXECモードでは、入力中のコマンド行を破棄して新しい行に移る。各種コンフィグモードでは、入力中のコマンド行を破棄して特権EXECモードに戻る。または、実行中のコマンドを中断する
Ctrl/Z 各種コンフィグモードから特権EXECモードに戻る。endコマンドと同じ動作
TabまたはCtrl/I 入力途中のキーワードを補完、または、次に入力可能なキーワードの候補一覧を表示する


コマンド入力時の注意事項

コマンド入力時には以下のことがらに注意してください。

■ すでに述べたとおり、コマンドモードによって実行できるコマンドが異なります。現行モードでどのコマンドを実行できるかは、後述する「コマンド入力補助機能」やコマンドリファレンスで確認してください。

■ 「show」、「enable」などのキーワード(予約語)は大文字小文字を区別しないので、どちらで入力してもかまいません。一方、パラメーターとして与える値は、原則として大文字小文字を区別します。詳細はコマンドリファレンス等でご確認の上入力してください。

■ キーワードは一意に識別できる範囲で省略可能です。たとえば、特権EXECモードにおいて、show running-configコマンドは次のように省略して入力することができます。

Router# sho run


また、configure terminalコマンドは次のようにして入力することができます。

Router# con t


Note - キーワードをどこまで省略できるかは、ファームウェアのバージョンや使用機種によって異なる可能性があります。また、コマンドモードによっても異なる場合がありますのでご注意ください。

■ コマンド行に必要な文字列を入力したら最後に「Enter」キーを押してください。これにより、コマンドが実行されます。なお、「Enter」キーを押すとき、必ずしもカーソルが行末になくてもかまいません。

■ コマンドの効果は、エラーがなければ通常入力直後にあらわれます。再起動などを行う必要はありません。ただし、設定内容は再起動すると消えてしまうので、再起動後にも同じ設定を使いたいときはcopyコマンド(copy running-config startup-config)でファイルに保存してください。詳細は「運用・管理」の「コンフィグレーション」をご覧ください。

■ 現在の設定内容(ランニングコンフィグ)は、show running-configコマンドで確認できます。設定作業時には、こまめにshow running-configコマンドを実行し、設定内容が意図したとおり反映されているか確認しながら進めることをおすすめします。

使用できる文字

コマンド中で指定する文字列パラメーター(ユーザー名、パスワード、ホスト名、ドメイン名など)や、設定項目名(ポリシー名、プロファイル名、アクセスリスト名など)に使用できる文字は、ASCII文字のうち、次表で背景が白の文字だけとします。背景が灰色の文字、および、次表に記載されていない文字の使用はサポート対象外となりますのでご注意ください。

表 5
-
0x20
0x30
0x40
0x50
0x60
0x70
0x00
SPC
0
@
P
`
p
0x01
!
1
A
Q
a
q
0x02
"
2
B
R
b
r
0x03
#
3
C
S
c
s
0x04
$
4
D
T
d
t
0x05
%
5
E
U
e
u
0x06
&
6
F
V
f
v
0x07
'
7
G
W
g
w
0x08
(
8
H
X
h
x
0x09
)
9
I
Y
i
y
0x0A
*
:
J
Z
j
z
0x0B
+
;
K
[
k
{
0x0C
,
<
L
\
l
|
0x0D
-
=
M
]
m
}
0x0E
.
>
N
^
n
~
0x0F
/
?
O
_
o
DEL

■ 例外1:ファイル名
フラッシュファイルシステム上のファイル名には、前記の「使用できる文字」に加えて、ハイフン(-, 0x2D)を使うことができる一方、前記の「使用できる文字」のうち、アスタリスク(* 0x2A)、カンマ(, 0x2C)、スラッシュ(/ 0x2F)、小なり記号(< 0x3C)、大なり記号(> 0x3E)、円記号またはバックスラッシュ(\ 0x5C)、縦棒(| 0x7C)は使えません。

■ 例外2:URLアクセスリストのキーワード
URLアクセスリスト(access-list url(rule entry)コマンド)の照合用キーワードには、前記の「使用できる文字」に加えて、ハイフン(- 0x2D)を使うことができますが、「使用できる文字」に含まれているスラッシュ(/ 0x2F)は使用できません。

■ 例外3:ISAKMPフェーズ1ID
ISAKMPのフェーズ1で使用する下記の文字列には、前記の「使用できる文字」に加えて、アットマーク(@ 0x40)を使うことができます。

■ 例外4:説明文
各種設定項目の説明文には、前記の「使用できる文字」に加えて、スペース(SPC 0x20)とハイフン(- 0x2D)を使うことができます。該当コマンド・パラメーターは下記のとおりです。

■ 例外5:sysContactとsysLocation
SNMPで使用する下記の文字列には、前記の「使用できる文字」に加えて、スペース(SPC 0x20)、ハイフン(- 0x2D)、アットマーク(@ 0x40)を使うことができます。

■ 例外6:暗号化されたパスワード
パスワード暗号化サービス(service password-encryptionコマンド)が有効になっている場合、各種コマンドで設定したパスワードはシステムによって自動的に暗号化されますが、この暗号化パスワードで使う文字列は前記の「使用できる文字」に制限されません。

■ 例外7:アクセスポイント名(APN)
USB型データ通信端末の接続先情報であるアクセスポイント名(APN)には、前記の「使用できる文字」に加えて、ハイフン(- 0x2D)を使うことができます(mobile access-point-nameコマンド)。

■ 例外8:接続先電話番号
USB型データ通信端末の接続先電話番号には、前記の「使用できる文字」に加えて、番号記号(# 0x23)を使うことができます(mobile dial-numberコマンド)。

■ 例外9:ライセンス名
フィーチャーライセンスのライセンス名では、前記の「使用できる文字」のうち、小なり記号(< 0x3C)、大なり記号(> 0x3E)、縦棒(| 0x7C)が使えません(licenseコマンド)。

■ 例外10:ライセンスキー
フィーチャーライセンスのライセンスキーには、半角英数字のみ使用できます(licenseコマンド)。

コマンドの否定形(no形式)

設定モードで実行するコマンドには「否定形」を持つものが多くあります。否定形は、コマンドの先頭に「no」というキーワードを付加した形式で、通常該当コマンドの効果を取り消すために使います。

たとえば、インターフェースにIPアドレスを設定するip addressコマンドには、「肯定形」として、

(config-if)# ip address A.B.C.D/M


があり、「否定形」としては、

(config-if)# no ip address


があります。

同コマンドにおいて、否定形の構文はインターフェースに設定済みのIPアドレスを削除するときに使います。

本マニュアルにおいては、肯定形を「通常形式」、否定形を「no形式」と呼びます。コマンドリファレンス編では、通常形式とno形式の両方を持つコマンドの場合、両方の構文を併記し、コマンドの説明部分では最初に通常形式の説明を行い、次にno形式の動作を説明します。

no形式には、おもに次のパターンがあります。


メッセージ

コマンド入力後、実行結果や構文エラーを知らせるメッセージが表示されることがあります。次にいくつか例を示します。


なお、コマンドの実行に成功した場合は、通常何も表示されません。エラーメッセージが表示されなかった場合は、コマンドの実行に成功したと考えてください。

Note - 「コマンドの実行に成功」=「正しい設定」とはかぎりませんのでご注意ください。

コマンド入力補助機能

コマンドラインインターフェース(CLI)には、コマンドの入力を補助する機能がいくつか備わっています。コマンド入力補助機能には次の種類があります。


これらの補助機能を利用するには、コマンドの入力途中で「?」か「TAB」キーを入力します。次にコマンド入力補助機能の使い方をまとめます。

表 6:コマンド入力補助機能の使い方
書式
使用方法
機能
入力候補の表示(次のキーワード)
? コマンドラインの先頭で「?」キーを入力 コマンドラインの先頭で入力可能なキーワードの一覧を簡単な説明付きで表示する
keywords ? 1つ以上のキーワード(keywords)を入力した後、スペースを入れ、その後で「?」キーを入力 カーソル位置に入力可能なキーワードの一覧を簡単な説明付きで表示する
keywords <TAB> 1つ以上のキーワード(keywords)を入力した後、スペースを入れ、その後で「TAB」キーを入力 カーソル位置に入力可能なキーワードの一覧を表示する
入力候補の表示(入力途中のキーワード)
partial-keyword? 何らかの文字列(partial-keyword)を入力した後、スペースを入れずに「?」を入力 カーソル位置に入力可能なキーワードのうち、partial-keywordで始まるものの一覧を簡単な説明付きで表示する
キーワードの補完
partial-keyword<TAB> 何らかの文字列(partial-keyword)を入力した後、スペースを入れずに「TAB」キーを入力 カーソル位置に入力可能なキーワードのうち、partial-keywordで始まるものが1つだけであれば、partial-keywordを補完して完全なキーワードにする。partial-keywordで始まるキーワードが複数存在する場合は、候補の一覧を表示する


以下、それぞれの機能について、実例を挙げながら解説します。

入力候補の表示

入力候補の表示機能は、現在のカーソル位置に入力可能なキーワード(コマンド名やパラメーター名、オプション名)の一覧を表示する機能です。コマンドの入力途中で「?」や「TAB」キーを入力することによって使用します。

Note - 「?」や「TAB」キーで表示されるキーワードの中には、サポート対象外のものも含まれます。原則として、本コマンドリファレンスに記載されていないコマンドやキーワード、機能はサポート対象外となります。詳細はリリースノートなどでご確認ください。

次のキーワード候補を表示

コマンドラインの先頭で「?」キーを押す、あるいは、いくつかのキーワードを入力した後にスペースを入れ、その後「?」か「TAB」キーを押すと、次に入力可能なキーワードの一覧が表示されます。

■ たとえば、インターフェースモードのコマンドラインの先頭で「?」キーを押すと次のように表示されます。

*Router(config-if)# ?
?
Interface configuration commands:
  bridge-group          Transparent bridging interface parameters
  exit                  End current mode and down to previous mode
  help                  Description of the interactive help system
  ip                    Internet Protocol (IP)
  ipsec                 IPsec configuration
  ipv6                  Internet Protocol version 6 (IPv6)
  mac                   Link layer configuration
  no                    Negate a command or set its defaults
  show                  Show running system information
  shutdown              Shutdown the selected interface
  speed                 Set speed to interface
  static-channel-group  Static Link aggregation Group
  switchport            Set switchport configuration

*Router(config-if)# 


画面の左側に列挙されているのが、コマンドラインの先頭キーワードとして有効な単語の一覧です。

画面の右側は、キーワードの簡単な説明(英文)です。

Note - 表示項目は対象製品やファームウェアのバージョンによって異なる可能性があります。また、現在どのコマンドモードにいるかによっても異なります。さらに、同じコマンドモードであっても、設定対象が何であるかによって表示項目すなわち使用できるコマンドが異なる場合があります。

Note - 「?」や「TAB」キーで表示されるキーワードの中には、サポート対象外のものも含まれます。原則として、本コマンドリファレンスに記載されていないコマンドやキーワード、機能はサポート対象外となります。詳細はリリースノートなどでご確認ください。

■ 次に、コマンドラインでさきほどの候補一覧から「ip」を入力し、さらに半角スペースを一文字入力した上で再度「?」キーを押すと、次のように表示されます。

*Router(config-if)# ip ?
?
  address             Set the IP address of an interface
  ads                 Application detection
  broadcast-address   Set the broadcast address of an interface
  dhcp                Dynamic Host Configuration Protocol
  dhcp-relay          DHCP Relay agent configuration
  directed-broadcast  Enable forwarding directed broadcast packet
  helper-address      UDP broadcast relay
  ids                 Intrusion detection
  mtu                 Set mtu value to interface
  napt                Network Address Port Translation (NAPT)
  nat                 Network Address Translation (NAT)
  redirects           Enable sending ICMP Redirect messages
  rip                 Routing Information Protocol (RIP)
  tcp                 Transmission Control Protocol
  traffic-filter      Traffic filter
  unnumbered          Set to this interface as unnumbered
  url-filter          URL filter

*Router(config-if)# ip 


■ さらに「unnumbered」を入力し、半角スペースを一文字入力した上で再度「?」キーを押すと、次のように表示されます。

*Router(config-if)# ip unnumbered ?
?
  bvi              BVI Interface
  gigabitEthernet  GigabitEthernet Interface
  loop             Loopback Interface
  null             Null Interface
  ppp              PPP Interface
  tunnel           Tunnel Interface
  vlan             VLAN Interface
  <cr>

Router(config-if)# ip unnumbered 


なお、<cr>は、これ以上キーワードを入力せずに「Enter」キーを押してコマンドラインを完成させることもできる、という意味です。この例では、「ip unnumbered」だけでも、コマンドラインとして完結していることを示しています。

入力途中のキーワード候補を表示

コマンドラインに何らかの文字列を入力した後、スペースを入れずに「?」を入力すると、カーソル位置に入力可能なキーワードのうち、入力した文字列で始まるものの一覧が表示されます。

■ たとえば、グローバルコンフィグモードでコマンドラインに「u」と入力した後、スペースを入れずに「?」を入力すると、次のように表示されます。

*Router(config)# u?
?
  upnp-igd    Universal Plug & Play (IGD)
  url-filter  URL filter
  username    Establish User Name Authentication

*Router(config)# u


■ また、「upnp-igd e」と入力した後で「?」を入力すると、次のように表示されます。

*Router(config)# upnp-igd e?
?
  enable              Enable Universal Plug & Play (IGD)
  external-interface  External Interface

*Router(config)# upnp-igd e


■ 指定した文字列で始まるキーワード候補がないときは、次のようなメッセージ(Unrecognized command)が表示されます。この例は、「upnp-igd」の後に「a」で始まるキーワードは指定できないことを示しています。

Router(config)# upnp-igd a?
% Unrecognized command
Router(config)# upnp-igd a


キーワードの補完

一つ前で説明した「入力途中のキーワード候補を表示」とよく似ていますが、コマンドラインに何らかの文字列を入力した後、スペースを入れずに「TAB」キーを入力すると、カーソル位置に入力可能なキーワードのうち、指定した文字列で始まるものが1つだけの場合、入力途中のキーワードを補完して完全なキーワードにしてくれます。指定した文字列で始まるキーワードが複数存在する場合は、「?」キーと同じように候補の一覧が表示されます。

■ たとえば、インターフェースモードでコマンドラインに「swi」と入力した後、スペースを入れずに「TAB」キーを入力すると、次のように表示されます(実際にはタブ文字は表示されません)。

*Router(config-if)# swi<TAB> (実際には表示されません)


↓ 次のように補完される

*Router(config-if)# switchport 


■ また、インターフェースモードで「ip ad」と入力した後で「TAB」キーを入力すると、「ip」の後に「a」で始まる候補は2つあるため、次のように表示されます。

*Router(config-if)# ip ad<TAB> (実際には表示されません)
address  ads
*Router(config-if)# ip ad


■ ここで、もう一文字「d」を入力してから「TAB」キーを押すと、候補が1つになるため、次のように補完されます。

*Router(config-if)# ip add<TAB> (実際には表示されません)


↓ 次のように補完される

*Router(config-if)# ip address 


■ 指定した文字列で始まるキーワード候補がないときは、何も表示されず、コマンドラインも変更されません。この例は、「ip」の後に「g」で始まるキーワードは指定できないことを示しています。

*Router(config-if)# ip g<TAB> (実際には表示されません)
*Router(config-if)# ip g


モディファイアとリダイレクション

通常、コマンドを実行すると、コマンドラインインターフェース(CLI)から何らかの文字列が返ってきます。特に情報を確認するためのコマンド(いわゆるshowコマンド)では、大量の情報が出力される場合があります。

このような場合に便利なのが、コマンドラインで使用できる3つの特殊記号、「|」(モディファイア)と「>」「>>」(リダイレクション)です。

■ モディファイアは、コマンドが出力した情報をいったん「フィルター」に通して、内容を加工した上で端末画面に表示させる機能を持ちます。フィルターには次の4種類があります。

Note - モディファイアを複数連結して使うことはできません。


■ リダイレクション記号の「>」は、コマンドの出力を端末画面には出力せず、指定したファイルに書き出す機能を持ちます。前述した「モディファイア」のredirectフィルターと同じ機能です。

たとえば、「>」を使用して、show environmentコマンドの出力をフラッシュメモリー上のshow_environment.txtというファイルに書き出すには、次のようにします。

*Router# show environment > show_environment.txt
Writing flashrom: "show_environment.txt"
.
[OK]

*Router# show flash file show_environment.txt
Environment monitoring status:
ID Sensor            (Units)    Reading   Low Limit   High Limit   Status
0  Voltage: 2.5V     (Volts)      2.522       2.379        2.691       Ok
1  Voltage: 3.3V     (Volts)      3.199       3.027        3.405       Ok
2  Voltage: 5V       (Volts)      4.914       4.576        5.174       Ok
3  Voltage: 12V      (Volts)     11.250       9.062       14.125       Ok
4  Voltage: VCCP1    (Volts)      1.156       1.085        1.269       Ok
5  Temp: Sensor chip (Deg.C)      42.00         ---        77.00       Ok
6  Fan:                (Rpm)       5578        3068          ---       Ok


USBメモリー上のファイルにリダイレクトするときは、USBメモリーが装着されているUSBポートの番号を usb <0-1> の形式で、ファイル名の前に指定します。

*Router# show logging > usb 0 log.txt


■ リダイレクション記号の「>>」は、コマンドの出力を端末画面には出力せず、指定したファイルの末尾に書き足す(追記する)機能を持ちます。「モディファイア」には、同等の機能を持つフィルターはありません。

たとえば、「>>」を使用して、show cpuコマンドの出力をフラッシュメモリー上のshow_environment.txtというファイルに追記するには、次のようにします。

*Router# show cpu >> show_environment.txt
Writing flashrom: "show_environment.txt"
.
[OK]
*Router# show flash file show_environment.txt
Environment monitoring status:
ID Sensor            (Units)    Reading   Low Limit   High Limit   Status
0  Voltage: 2.5V     (Volts)      2.522       2.379        2.691       Ok
1  Voltage: 3.3V     (Volts)      3.199       3.027        3.405       Ok
2  Voltage: 5V       (Volts)      4.914       4.576        5.174       Ok
3  Voltage: 12V      (Volts)     11.250       9.062       14.125       Ok
4  Voltage: VCCP1    (Volts)      1.156       1.085        1.269       Ok
5  Temp: Sensor chip (Deg.C)      42.00         ---        77.00       Ok
6  Fan:                (Rpm)       5578        3068          ---       Ok
CPU utilization:
    1 minute: 0%, 5 minutes: 0%, 30 minutes: 2%
CPU logging: Disabled
    UP threshold(%): -, DOWN threshold(%): -


USBメモリー上のファイルにリダイレクトするときは、USBメモリーが装着されているUSBポートの番号を usb <0-1> の形式で、ファイル名の前に指定します。

*Router# show logging >> usb 0 log.txt


端末画面のページ当たり行数

初期状態では、端末画面の1ページ当たり行数は24に設定されています。

コマンドの出力結果がページ当たり行数よりも長い場合は、ページャー機能によって「ページ当たり行数 - 1」行ごとに表示が一時停止し、最下行に次のようなメッセージが表示された上で、キー入力待ち状態になります。

--More--


ここでは次のキー操作が可能です。

表 7
Space 次の1ページを表示します。
Enter 次の1行を表示します。
q 表示を中止し、プロンプトに戻ります。


■ 現在のログインセッションにおけるページ当たり行数はEXECモード(非特権および特権)のterminal lengthコマンドで変更できます。

Router> terminal length 60


■ 現在のログインセッションにおいて、ページ単位の一時停止を無効にするには、terminal lengthコマンドに0を指定します。

Router> terminal length 0


■ 現在のログインセッションにおけるページ当たり行数の設定を初期値(24行)に戻すには、terminal lengthコマンドを次の形式で実行します。

Router> terminal no length


■ 前記のterminal lengthコマンドは実行コマンドなので、現在のログインセッションにしか影響を与えず、設定を保存しておくこともできません。ページ当たり行数の設定を永続的に変更したい場合は、グローバルコンフィグモードのservice terminal-lengthコマンドを使います。

*Router(config)# service terminal-length 30


これにより、新規のログインセッションから、ログイン直後のページ当たり行数設定が30行になります。


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