[index] CentreCOM GS900M V2シリーズ コマンドリファレンス 2.3.2

PoE/概要・基本設定

備考:PoE給電機能に対応しているのは GS908M V2-4PS のみ


  - PoE給電機能のオン・オフ
  - 給電時の優先順位
  - ガードバンド
  - 電力管理モード
  - ポートごとの給電制限
  - その他


本製品のPoE(Power over Ethernet)給電機能について説明します。

Note - GS900M V2シリーズにおいて、PoE給電機能に対応しているのはGS908M V2-4PSのみです。以下では、「本製品」=「GS908M V2-4PS」となります。
PoE(Power over Ethernet)は、UTPケーブルを使って、データと電力を同時に伝送する技術です。PoEの規格(IEEE 802.3at)では、電力を供給する側を「給電機器(PSE: Power Sourcing Equipment)」、電力の供給を受ける側を「受電機器(PD: Powered Device)」と呼びます。

本製品はクラス4 受電機器への給電が可能なIEEE 802.3at に対応しています。給電方式はケーブルの信号線(1,2,3,6)を使用して給電を行うオルタナティブAを採用しています。

以下では、コマンドラインインターフェースによる設定方法を説明します。なお、Web GUIでは「システム設定」-「PoE」で設定できます。(詳細は「Web GUI」/「システム設定」をご覧ください。)

 

PoE給電機能のオン・オフ

PoE給電機能に対応しているのは、本体内蔵のスイッチポート1〜4(PoEポート)です。それ以外のポートはPoEに対応していません。

デフォルトでは、すべてのPoEポートでPoE給電機能が有効になっており、接続された受電機器(PD)の検出、電力クラスの識別を自動的に行い、必要に応じて給電を開始します。接続されている機器が受電機器ではなく通常のEthernet機器だった場合は、給電を行わず通常のEthernetポートとして動作します。

Note - 本製品を給電機器(PSE)とカスケード接続する場合は、本製品のカスケードポートのPoE給電機能をDISABLE POE PORTコマンドで無効に設定してください。

■ 指定したポートでPoE給電機能を無効にするには、DISABLE POE PORTコマンドを使います。


■ 指定したポートでPoE給電機能を再度有効にするには、ENABLE POE PORTコマンドを使います。


 

給電時の優先順位


本製品は、PoE規格に準拠した給電機器として、装置全体で最大75W、1ポートあたり最大30Wの電力供給が可能です。IEEE 802.3atで規定されている電力クラス分けと、本製品が同時に給電可能なポートの最大数については、下表をご覧ください。

表 1:電力クラスと給電可能ポート数の関係
クラス
受電機器の電力(最大)
給電機器の電力
同時に給電可能なポートの最大数
0 13.0W 15.4W 4
1 3.84W 4.0W 4
2 6.49W 7.0W 4
3 13.0W 15.4W 4
4 25.5W 30.0W 2(受電機器の電力使用量やポートの出力電力の設定によっては、3ポート以上同時に給電が可能)


Note - 電力クラスは、SHOW POEコマンドのClass欄、または、SHOW POE PORTコマンドのPower Class欄で確認できます。

PoE電源の電力使用量がPoE電源最大供給電力(75W)を上回った場合は、給電中のポートのうち、もっとも優先順位の低いポートへの給電を停止します。優先順位は次のようにして決定されます。

  1. ポートの給電優先度(SET POE PORTコマンドのPRIORITYパラメーターで設定)。CRITICAL(最高)、HIGH(高)、LOW(低)の3段階。

  2. 給電優先度の同じポート間では、ポート番号の小さい方が優先順位が高くなる。

デフォルトでは、すべてのPoEポートで給電優先度がLOWに設定されています。したがって、給電時の優先順位はポート番号の順になります(ポート1が優先順位最高)。

■ ポートの給電優先度を変更するには、SET POE PORTコマンドのPRIORITYパラメーターを使います。


 

ガードバンド

不意の給電停止を避けるため、PoE 電源の最大供給電力にはガードバンドと呼ばれるマージンが設けられています。

PoE電源の電力使用量が、PoE電源最大供給電力(75W)からガードバンド(デフォルトは10W)を引いた電力値を上回っているとき、新たに受電機器を接続しても給電は行いません(すでに接続されている受電機器への給電は継続します)。

Note - 本製品では新たな受電機器への給電が拒否されるしきい値をPoE No Connectと表します。PoE No Connectの値はSHOW POEコマンドで確認できます。

■ ガードバンドを変更するには、SET POE GUARDBANDコマンドを使います。単位はW(ワット)です。


 

電力管理モード

本製品のPoE給電制御には、次の2つの電力管理方法があります。

表 2
電力管理モード
電力管理方法
Classモード 受電機器の電力クラス情報にもとづいて、電力を接続ポートに割り当てる。
Actualモード 受電機器が実際に使用する電力にもとづいて、電力を接続ポートに割り当てる。


■ 電力管理方法を変更するには、SET POE MANAGEMENTコマンドを使います。


 

ポートごとの給電制限

PoE給電機能が有効になっている各ポートからは、最大30Wの給電が可能ですが、ポート単位で出力電力に上限を設けることも可能です。デフォルトの上限値は30W(30000mW)です。

特定ポートにおいて、出力電力が上限値を超えた場合は、給電優先順位に関係なく該当ポートへの給電を停止します。

■ ポートの出力電力に上限値を設定するには、SET POE PORTコマンドのPOWERLIMITパラメーターを使います。単位はmW(ミリワット)です。


Note - 電源管理方法がClassモードの場合は、POWERLIMITパラメーターの設定値が接続された受電機器の電力クラスにおける最大出力電力よりも大きく設定されていても、ポートからの出力電力が電力クラスごとの割り当て値を超えると、該当ポートへの給電を停止します。

Note - 電源管理方法がClassモードで、POWERLIMITパラメーターの設定値が接続された受電機器の電力クラスにおける最大出力電力よりも小さく設定されている場合、電力使用量がPOWERLIMITの値を超えると、該当ポートへの給電を停止します。

Note - 電源管理方法がActualモードで、POWERLIMITパラメーターの設定値が15.4Wよりも大きい値に設定されていても、接続された受電機器の電力クラスが0〜3の場合は、電力使用量が15.4Wを超えると、該当ポートへの給電を停止します。

 

その他

■ PoE電源の電力使用量を監視するため、ログ記録とSNMPトラップ送信のしきい値を設定することができます。これには、SET POE THRESHOLDコマンドを使います。しきい値は、PoE電源の最大供給電力(75W)に対する割合(%)で指定します。デフォルトは95%です。


PoE電源の電力使用量がしきい値をまたぐと(「下から上」と「上から下」の両方)、そのことを示すメッセージがログに記録され、また、SNMPトラップの設定がなされている場合はSNMPトラップメッセージが送信されます。

Note - ログ機能については、「運用・管理」/「ログ」をご覧ください。また、SNMPトラップの設定については、「運用・管理」/「SNMP」をご覧ください。

■ PoE給電機能の各種情報を確認するには、SHOW POEコマンド、SHOW POE PORTコマンドを使います。





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