DXを進めたいのにネットワークが遅い!?デジタル技術の活用を支えるネットワーク帯域強化のポイントを解説

様々なデジタル技術の活用が進んで便利になる一方、それらの基盤となるネットワークには多様な端末やアプリから大量のデータが流れるようになりました。その結果、通信の遅延や新たなセキュリティリスクなどの課題が生まれています。「通信が遅くてシステムを十分に使いこなせない」を解決し、DXを実現するために必要な、ネットワーク帯域強化のポイントと具体的な手法について解説します。

目次

DXの推進に伴うITインフラの新たな課題

DXという言葉が2018年頃に日本でも普及し始めてから、社会の様々な分野でデジタル化のためにAIなどの新しい技術の導入が進んでいます。
IoTやクラウドサービスをはじめとした便利なツールが次々に生まれ、これらを導入したことで業務効率が上がった、働きやすくなったという事例も多く目にするようになりました。

その一方で、デジタル化が進むと、これらの通信を支えるネットワークへの負荷が高まります。特に企業で注目度が高まっているビッグデータ解析や、学校における一人一台端末の利用など、大容量のデータをリアルタイムでやり取りすることが求められるようになった現場もあります。「せっかく新しいシステムやツールを導入したのに通信が遅くて十分に使いこなせない…」と新たな悩みを抱えてしまった方もいるのではないでしょうか。

さらに、ネットワークの利用が広がっていくとセキュリティリスクも増えていくため、その対策も欠かせません。
DXを進めていくためには、その基盤となるネットワークの強化も一緒に進めていく必要があります。

ネットワークの強化ポイントとは?

ネットワークの強化といっても、どこから進めればいいのでしょうか。ここでは大きく3つの課題に分けてポイントを解説します。

帯域幅の圧迫

ネットワークにつながるPC・スマートフォン・タブレットなどの端末や、クラウドサービス・アプリなどの利用が増えると、ネットワーク上を流れるデータ量(トラフィック)が増えます。

ケーブルや電波を通して一度に転送できるデータ量には上限があるので、それを超えると順番待ちが発生し、通信が遅くなります。これが帯域幅の圧迫です。

関連するトラブルとしてよくあるのが、「特定の時間になると大勢が同時にネットワークに接続するため、全体の通信が遅くなる」「無線LANアクセスポイントは高速通信に対応しているのに、その上位につながるスイッチがボトルネックになり、結局無線LANの通信が遅いまま」などです。
増加したトラフィックをスムーズに流せるよう、ネットワーク機器の帯域拡張が必要になります。

パフォーマンスの低下

スイッチなどのネットワーク機器の中では、受け取ったデータの宛先や認証情報などを読み取り、適切な宛先に転送するための処理が行われています。帯域幅が限られていると、これらのデータ処理も遅延してしまいます。

業務効率化に向けて便利なツールやシステムを導入しても、ネットワークの通信が遅いとパフォーマンスを十分に発揮することができません。

複数の端末が同時に接続すると通信が遅くなってしまったり、特定の場所が遅延しているために後続の業務が滞ったりと、システム全体のパフォーマンス低下につながります。特にネットワークの中心部に近い部分を担うディストリビューション・スイッチコア・スイッチは、処理が遅延してしまうとネットワーク全体に影響を及ぼしやすくなります。

セキュリティ対策の再確認

ネットワークの利用が広がるとセキュリティリスクも増加するため、並行してセキュリティ対策の見直しを行うことも大切です。

例えば、WANを通した他拠点との接続や、インターネット上のクラウドサービスの利用、ウイルス対策ソフトが入れられないIoT端末などがサイバー攻撃のきっかけになることがあります。
不正な通信が行われていないか監視し、外部の脅威を侵入させない・万が一の被害を拡散させないためのアクセス制御を行うことがポイントになります。

帯域強化の手順はこれ!

ネットワークアセスメントで自社の環境を調査

いざネットワークの強化をしよう!と思っても、一度にすべてに手を付けるのは難しいものです。環境によって強化すべきポイントも異なります。
まずはネットワーク環境を調査して、課題の洗い出しや優先順位付けをするのがおすすめです。これをネットワークアセスメントと呼びます。パフォーマンスやセキュリティの現状を正確に把握することが、ネットワーク全体の最適化と効率化につながります。

機器の選定

新たなネットワーク機器の導入が必要になったら、要件に合わせた機種選定を行います。
通信帯域や処理能力の他に、セキュリティ、PoEなど様々な機能があるため、用途や目的を明確にして必要な機器を選ぶことが大切です。

  • どんな機器を何台接続するのか?
    →PCやスマートフォンなどの端末、無線LANアクセスポイント、サーバー、他のフロアや配下のスイッチ など
  • どこと通信するのか?
    →拠点の内部ネットワーク、他の拠点のネットワーク、インターネットやクラウドサービス、テレワーク端末 など
  • どんな用途の通信を行うのか?
    →文書ファイルのやり取り、オンライン会議、IoT機器からのデータ収集、クラウドサービスの利用、リモートアクセス など

スペックの高い機器はネットワークの負荷が大きくなっても安心して使えますが、それだけコストも大きく、場合によってはケーブルも高速通信に対応したものへの入れ替えが必要になります。「今の通信速度では物足りないけど、ネットワーク機器を丸ごと入れ替えるほどではないし、費用もあまりかけられない…」という場合には、既設の1G通信用ケーブルをそのまま使って帯域を拡張できる「マルチギガ」に対応した機器もあるので、必要な帯域と予算を照らし合わせて検討しましょう。

ネットワークの可視化

安定したネットワーク基盤を使い続けるには、帯域強化を行った後も適切に運用管理を行い、通信の課題は改善しているか、新しい遅延やボトルネックは発生していないかをチェックしていくことが大切です。しかしデジタル化の進歩とともにネットワークも複雑になり、十分に整備を行き届かせることも難しくなっています。
そこで、ネットワーク管理ツールで全体の稼働状況やトラフィックの流れをリアルタイムで可視化していくことがポイントです。

日頃からネットワークの状態を可視化しておくことで、潜在的なボトルネックや通信の遅延に気付いて素早く対処することができます。また、障害の予兆検知や復旧プロセスも自動化できれば、万が一の障害でネットワークが使えなくなってしまう時間を最低限に抑えられるだけでなく、管理者の業務効率化にもつながります。

環境の変化に合わせたセキュリティ対策

セキュリティ対策にも様々なものがありますが、帯域強化と合わせて重要になるのが外部とつながるゲートウェイへの対策です。クラウドサービスの利用が活発になる中、セキュリティリスクと通信負荷の両方が増加しているポイントになります。
例えば複数の拠点を持つ組織では、セキュリティ監視のために各拠点からの通信がメイン拠点のセンタールーターを経由する構成になっていることがあり、このルーターには大きな負荷がかかっています。

これを解決する手段として、

  • インターネットブレイクアウトを使って特定のクラウドサービスのみ拠点から直接接続させ、センタールーターの負荷を軽減する
  • 各拠点からのクラウドサービス接続や拠点間通信を安全に保つために、クラウドUTMでまとめてセキュリティ対策を行う

などの方法が挙げられます。

ここまで、DXの基盤となる快適なネットワーク実現に向けた帯域強化のポイントを解説してきました。
アライドテレシスは、メーカーとして様々なネットワーク機器を揃えているだけでなく、ネットワークアセスメントから構築のご提案、ネットワーク管理ツール、セキュリティ対策サービスのご提供まで一貫してサポートが可能です。ネットワーク環境のお悩みがあれば、ぜひアライドテレシスにご相談ください。

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S.I.

元々はネットワークやITと縁遠い領域出身のため、ほぼ知識ゼロから日々ずっと勉強中。自分や自分と同じような人の「何もわからない」を「ちょっとわかる」にしたい。
好きなものはゲームとミュージカルと邦ロック。

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