内線やナースコールに利用されてきた公衆PHSサービスの終了に伴い、代替手段として注目を集める院内スマートフォン導入。院内スマートフォンを快適に活用するための通信方法として、大容量のデータ通信が可能なWi-Fiと、クリアな音声通話を実現するsXGPについてご紹介します。
公衆PHSサービスの終了、代替となる通信手段は?
これまでナースコールや内線システムなど、多くの医療機関で利用されてきたPHS。しかしながら、携帯電話やスマートフォンの普及が進み、公衆PHSは2023年3月末をもってサービスを終了しました。現在でもまだ自前で基地局を設置する構内PHSは利用することができますが、機器の生産縮小などにより、やがて利用が難しくなっていくことが予想されます。こうした背景もあり、新たなシステムへの移行需要が増加しています。
では、PHSの代替手段にはどのようなものがあるのでしょうか。
いくつかの選択肢がありますが、中でも特に注目を集めているのが院内スマートフォンの導入です。PHSは音声通話に特化したシステムでしたが、スマートフォンであれば1台で画像やテキストメッセージのやり取り、電子カルテなどの業務アプリも利用できるため、病院内の業務効率化につながることが期待されています。
スマートフォンで使える通信規格 Wi-FiとsXGP
医療機関にスマートフォンを導入するためには、安定したワイヤレス環境も必要です。ここでは2つの通信規格、Wi-FiとsXGPについてご紹介します。
Wi-Fi
多くのスマートフォンで利用されている一般的な通信方法です。2.4GHz帯・5GHz帯・6GHz帯の電波を利用し、大容量・高速のデータ通信が可能という特長があります。
スマートフォン以外の医療機器にもWi-Fiに対応しているものが多く、電子カルテのデータやサイズの大きな医用画像のやり取りも簡単です。また、患者用Wi-Fiを整備することでサービス向上にもつなげることができます。
一方で、音声通話の品質を維持するには高密度で無線LANアクセスポイントを配置する必要があり、特に広い敷地を持つ大規模な医療機関ではコストが大きくなる可能性があります。
メリット
- 大容量・高速のデータ通信が可能
- 対応機器が多く、医療機器との連携が容易
- サービス向上として患者用Wi-Fiの展開が可能
デメリット
- 音声通話の品質を維持するには、必要なアクセスポイントの台数が多くなりコストも大きくなる
- 医療機器や外来波との電波干渉に注意が必要
sXGP
次世代PHSとも呼ばれる、プライベートLTEの通信方法です。周波数がPHSと同じ1.9GHz帯のため広範囲に電波が届きやすく、医療機器との電波干渉を少なく抑えることができます。特に音声通話の品質が高いことが特長で、移動しながらの通話が途切れにくいほか、従来のPHSではできなかったグループ通話なども可能になっています。無線免許不要で取り扱えるため、手軽に導入できる点もメリットです。
音声以外のデータ通信も可能ですが、Wi-Fiと比較すると速度はやや遅めになります。
メリット
- 広範囲に電波が届きやすく、少ないアクセスポイント(基地局)でカバーできる
- 音声品質がクリアかつ、他の機器との電波干渉が少ない
- 無線免許不要で手軽に導入できる
デメリット
- 大きいデータの通信に使用するには速度が足りないこともある
- 比較的新しい技術のため、ノウハウを持つ技術者や事業者が少ない
Wi-FiとsXGPは共存できる!
Wi-FiとsXGPの特徴を比較して、さてどちらを使うのが良いか?と考えられた方もいるでしょう。
実はこの2つ、併用することができるのです。周波数帯が異なるので両方のアクセスポイントを設置しても電波干渉が起きず、どちらも安定して通信できます。
さらに、デュアルSIMに対応しているスマートフォンであれば、1台でWi-FiとsXGPの両方に接続できるため、必要に応じて接続先を切り替える使い方ができます。医師・看護師の業務には様々な持ち物が必要となる中で、複数の端末を持ち歩く煩雑さや紛失のリスクなども軽減されます。
電子カルテなどのデータ通信を行う場合はWi-Fi、音声通話はsXGPと、両方のメリットを活かした無線環境の構築が可能です。
Wi-FiとsXGPを導入するには?共有型ソリューションがおすすめ!
アライドテレシスでは、ビー・ビー・バックボーン株式会社と協業し、Wi-Fi×sXGP共有型ソリューションをご提案しています。
先述の通り、Wi-Fiで音声通話の品質を維持するためにはアクセスポイントを高密度に配置する必要があります。特に広い敷地を持つ大規模な医療機関では、必要なアクセスポイントの台数も多くなってしまい、コストや運用面の課題がありました。
そこで、電波の届く範囲が広く、機器の設置台数を抑えながらクリアな音声通話環境を実現するsXGPを組み合わせることで、データ通信はWi-Fi、音声通話はsXGPの通信を利用する利便性の高いワイヤレス環境の構築をサポートします。
アライドテレシスが提供する高速・大容量データ通信が可能な院内Wi-Fiは、電子カルテシステムや医療機器の接続、患者用Wi-Fiなどのさまざまな用途に利用することができます。ビー・ビー・バックボーン株式会社が提供するsXGPは、「VoLTEナースコール」アプリを使うことで、スマートフォンとナースコールを連携させ、標準電話機能でナースコールを受信することが可能です。

そして、「2種類のワイヤレス通信を導入すると管理やセキュリティ対策が大変そう…」という方もご安心ください。アライドテレシスのネットワーク統合管理ソリューションを組み合わせることによって、sXGPアクセスポイント(基地局)を含めたネットワーク全体をまとめて管理できます。
アライドテレシスの機器でネットワークを構築することで、統合管理ソリューション「Vista Managerシリーズ」「AMF PLUS」を利用して他社の機器も含めたネットワーク全体の可視化と管理、セキュリティの強化も可能です(※)。Vista Managerシリーズのネットワークマップ上でsXGPアクセスポイント(基地局)とデバイスを可視化し、AMF PLUSの機能で各機器へのアクセス制御を行えば、医療情報システムの安全管理に関するガイドラインにも対応したネットワークを構築することができます。
- 本機能はAT-Vista Manager EX Ver.3.12.0、VST-APLシリーズ用ソフトウェア Ver.3.10.1、AT-VST-VRT Ver.3.10.1、AMF PLUSの機能は、機器側のAlliedWare PlusファームウェアVer.5.5.4-0.1以降でご利用いただけます。
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