高齢化や医療の高度化が進む中で、病院では多種多様な医療機器が活用されています。しかし、こうした機器が院内で「迷子」になってしまう問題は依然として解決が難しいままです。
「あれ、どこいった?」が日常に―見つけづらい医療機器
病院などの医療機関では、心電図モニター、輸液ポンプ、人工呼吸器、除細動器など、多くの医療機器が日常的に使用されています。しかし、業務に追われる現場では、それらの医療機器が一時的に迷子(所在不明)になる場合があるのだとか。それはいったいどういうことなのでしょうか。
機器の使用後に所定の場所に返却されなかったり、別の病棟や診察室に貸し出すこともあり、スタッフが使いたいタイミングで機器が見つけられないケースが…。必要な時に機器がすぐに見つからなければ、患者さんへの対応が遅れる原因にもなりますし、資産として在庫の管理ができず、適切な運用にも影響を及ぼします。
例えば、本当はもっと在庫があるはずなのに、見つけられず追加で購入したほうが早い!となってしまい、結果 コスト増にも…。
それだけでなく、医療機器は法に則って定期的なメンテナンスが求められているため、適切な在庫管理=すべての機器の場所が分かっていることが大切になってきます。定期的なメンテナンスが行き届かない状況は、もちろん法令遵守の面でもそうですが、患者さんの健康・命を守るためにも避けなければなりません。
なかでも、生体情報モニタのように患者さんのバイタルサインをリアルタイムで監視する機器は、医療現場にとって不可欠な存在です。しかし、こうした機器は小型で持ち運びも容易なため、頻繁にどこにあるのかが分からなくなることも…。スタッフ間での情報共有や管理ルールなども結局は属人的になってしまい、多忙な医療現場では管理が難しくなっています。
なお、BLEビーコンタグを用いた追跡方法もありますが、医療機器の数だけタグが必要なこと(=その分の数の購入も)、機器1台1台に取り付け作業が発生すること、など管理には手間もコストもかかります。現場の負担をできる限り軽くしながら、より効率的な方法が必要になってきます。
医療現場が求めるのは「今どこにあるか」
こうした背景を受け、医療現場では「機器が今どこにあるか、すぐに知りたい」「より適切に機器を管理したい」といったニーズが高まっています。機器の使用状況や場所を把握できれば、業務の効率化だけでなく、医療の質の向上にもつながります。
では、どうすればそんな医療現場の悩みを解決できるのでしょうか?
病院でも、ひと昔前に比べて、部分的な利用だったネットワークが院内全体に張り巡らされるまでになり、病院のIT化が進んでいます。
比例するように、医療機器も進化を遂げ、最初は有線LANにしか繋げられなかった機器も、院内でもWi-Fiの活用が広がっていることでWi-Fiに繋げられる機器が増えてきています。
ということは、です。
有線LANでも、無線LAN(Wi-Fi)でも、ネットワークは、ネットワーク。
しかも、昨今はHIS系やPACS系、情報系などのネットワークを物理的にではなく、同一のネットワーク上で使い方ごとに論理的に分離している背景もあり、「ネットワーク」が解決の糸口になるかも…と着目したのがアライドテレシス(読者の皆さん、急な宣伝になってすみません)。
医療機器のMACアドレスを活用して、その情報をネットワークを管理できるソフトウェア上で表示できれば、機器の位置情報の測位を可視化することが出来ると考えたのです。
ホンモノの医療機器で試してみた ―フィリップス・ジャパンと一緒に検証を実施
そこで今回、株式会社フィリップス・ジャパンの協力のもと、同社の生体情報モニタ(IntelliVue X3、IntelliVue MX40)とアライドテレシス製の無線LANアクセスポイントとネットワークマネジメントソフトウェアを用いて行った、生体情報モニタ(=医療機器)の位置情報測位の検証内容をご紹介します。
具体的には、Wi-Fiに接続された生体情報モニタが、どのアクセスポイントに接続されているか、という情報をもとに、機器のおおよその位置を把握するという仕組みを検証しています。
この仕組みを使えば、どのアクセスポイントに接続されているか(いたのか)のログをもとに、探している医療機器のおおよその場所を確認することができます。人に聞いたり、自分で目視で探したりといった、これまでの医療機器を探す手間を大幅に減らすことで、必要な機器を簡単ですぐに見つけられるようになります。

今回検証で活用したWi-Fiソリューション
ここでアライドテレシスのWi-Fiソリューション「AWC-CB」をご紹介します。
AWC-CBは、Wi-Fiエリア内の複数の無線LANアクセスポイントのチャンネルを仮想的に同一にすることで、接続しているノートPCやタブレット端末などのワイヤレス端末が移動しても通信が途切れることなく、快適で安定したWi-Fi接続を実現するソリューションです。
機器の移動や搬送が日常的に行われる医療現場にとって非常に適しており、今回の検証でも活用しています。
生体情報モニタのような移動型の医療機器も、3点認証用のハンディターミナルも、電子カルテを閲覧するタブレット端末も、接続しても安定・快適で途切れ知らずのWi-Fi環境を提供します。
情報はすでに“ある”―自分で探さずネットワークの力で見つける
ネットワーク機器のログには、「いつ」「どこで」「どの機器が」接続されたかという情報が記録されています。この情報を、専用のソフトウェアと連携すれば、医療機器の接続状況や位置情報を可視化でき、スタッフ同士の共有や目視・紙台帳に頼っていた、これまでの属人的な確認作業を、大幅に省力化できます。
また、こうした仕組みがあれば、医療機器の定期メンテナンスもしやすくなり、運用面の信頼性の向上にもつながります。
初期費用や運用コストを抑えながら、機器を探す手間や時間を大幅に削減できるため、ヒューマンエラーや運用ミスの防止にもつながり、医療現場での活用が注目されています。
医療DXの進展により、ネットワークにつながる医療機器が増えるなか、医療機器の「迷子」をなくす“機器の見える化”は、スタッフの働き方を変革し、ひいては患者さんの安全性を支えるうえで、重要な第一歩となるのではないでしょうか。
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