光ファイバーの種類と特性
光ファイバーの特長
光ファイバーはメタルケーブルと比較して、以下の特長を備えています。
①高速通信に対応 →将来の拡張性が高い
②長距離通信に対応 →建屋間や遠隔地との通信にも対応
③ノイズの影響を受けない →高圧線やモーター周辺での利用に最適
④電磁漏えいしない →秘匿性の高い環境を実現
⑤漏話しない →狭い管路に多くの回線を束ねても安心
⑥被雷対策 →誘導雷の影響範囲を分離可能
光ファイバーの分類
光ファイバーはメタルケーブルと比較して、以下の特長を備えています。
マルチモードファイバー(MMF)
主に構内など、比較的短距離の場合に使用する
シングルモードファイバー(SMF)
主に建屋間などの長距離接続に使用する
マルチモードファイバーとシングルモードファイバーの違い
光ファイバー内部を光が通過する時の光の通り道を「伝搬モード」と呼びます。マルチモードファイバーは、複数の様々な伝搬モードを生じる光ファイバーです。
一方、中心部分にひとつの伝搬モードしか生じない光ファイバーをシングルモードファイバーと呼んでいます。

光には「速度」があります。伝搬モードが多数存在するマルチモードファイバーでは伝搬モードごとにわずかな時間差が生じます。この時間差により光の明暗の応答性が低下してしまい、接続距離が制限されます。これを「モード分散」と呼んでいます。
モード分散は通信速度が高速になるほど顕著となりますので、1000M通信は100M通信よりも最大接続距離が短くなります。

マルチモードファイバーの種類
光ファイバーのコア径や、伝送帯域の違いによりいくつかの種類に分類されます。1000M通信ではOM2以上の利用が適しています。
多くの場合、ケーブル被膜の色で種類を見分けることができます。オレンジ色はOM1、若草色がOM2、OM3は水色であるのが目安ですが、例外もあります。
シングルモードファイバーの種類
一般的な汎用タイプの他に、DSF(分散シフトファイバー)、NZ-DSF(ノンゼロ・分散シフトファイバー)等があります。
DSFは1,550nm帯のレーザー光を利用しての超長距離伝送(80km以上)に適しています。
また、NZ-DSFはWDM等の複数波長を使用する超高速・長距離伝送用に利用されます。

光ファイバーのコネクター形状
イーサネットで使用する光ファイバーのコネクターは様々な種類があります。従来はFCコネクターやSTコネクターなどの丸型コネクターが主流でした。
現在はSCコネクターやLCコネクターなどの角形コネクターを利用されることが多くなっています。特にLCコネクターは小型で取り扱いが容易です。
光ファイバーとメディアコンバーターのコネクター形状が異なると、そのままでは接続できません。アダプターや変換ケーブルを利用することで接続可能になる場合がありますが、コネクターの接合面では光信号の損失が発生します。接続するメディアコンバーターの「許容損失」値を超えない範囲で利用する必要があります。

注意点
中心波長に合わせたファイバー選定
プリズムを通過した光は虹色になりますが、これは「波長分散」の極端な例です。
光ファイバーを通過する光も、同様に影響を受けます。波長分散により中心波長のパワー(ゲイン)は減衰してしまいます。同時に、波長ごとの速度差により光の明滅の応答性も低下します。このため期待される接続距離を得られなくなる場合があります。
波長分散により受ける影響の大きさは、使用する光源の中心波長に依存します。例えば、汎用タイプのシングルモードファイバーは、1,300nm帯の波長を使用することを前提に最適化されています。
メディアコンバーターが使用する中心波長に合わせて適切な光ファイバーを使用することで、波長分散による影響を最小に抑えることが可能となります。

光ファイバーの種類と機器の仕様が異なる場合の接続
マルチモードファイバーにシングルモードファイバー用のメディアコンバーターを接続した場合、多くは通信が可能ですが、モードコンディショニング・パッチコード(MCP)を併用することをお勧めします。MCPはマルチモードファイバーの両端に接続して利用します。また、MCPを含めた全区間の接続距離が550m以内で利用する必要があります。

シングルモードファイバーにマルチモードファイバー用のメディアコンバーターを接続した場合は、短距離であれば通信できるケースもあります。ただし、コア径の小さいシングルモードファイバーに対して十分な光量を入射させることができないため、十分な性能を発揮できません。(アライドテレシスではサポート外となります。)
接続距離が短距離の場合
光ファイバーの接続距離が短距離の場合に、アッテネーターが必要になる場合があります。
異なる製品を対向で利用になる場合は特に注意が必要です。
送信側となる製品の送信光レベル最大値が、受信側となる製品の受信光レベル最大値を上回る場合は、回線全体の減衰量を考慮の上で適切なアッテネーターを検討してください。
一般的に、同じ製品を対向で利用する場合には、アッテネーターを必要とすることはほとんどありません。
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