用語概要
リングプロトコル機能は、機器とケーブルをリング状に構成したネットワークで経路冗長を実現する機能です。
複数の通信経路の確保とケーブル配線をシンプル化すると同時に、リング状になることで発生するレイヤー2のループ障害を解決する機能を提供します。
例えばアライドテレシスのリングプロトコル機能「EPSR」の場合、マスターになる機器のリング構成用ポートを、データ通信を行うプライマリーポートと、データ通信を行わないセカンダリーポートとして設定します。通常時はセカンダリーポートを遮断しておくことでループ障害を防ぎ、障害時にはセカンダリーポートでのデータ通信を解放することで経路をコントロールします。ネットワークの中にいくつものループ箇所を作るのではなく、トポロジーを1つの大きなリング状に限定することで各スイッチの役割をあらかじめマスターとトランジットに固定することができるため、障害の検出と経路の切り替えを高速に行うことができます。

効果・メリット
リングプロトコル機能には、障害時の高速な切り替え、シンプルな設計、幅広い機器での対応などの多くのメリットがあります。
これはリング型ネットワークを構成することよってネットワークを冗長化するものですが、障害が発生してから経路の切り替えを完了するまで最短で50ミリ秒で完了することができます。
さらに、トポロジーをリング構成に限定することにより、非常にシンプルな設計・設定で構築することができます。例えば、スイッチをメッシュ状につなぎ、ループ障害を防止する「スパニングツリープロトコル」を使うことでも経路冗長が可能ですが、経路設定と通信をブロックするポートの選出が複雑になり、さらに末端までの段数に制限があります。リングプロトコル機能を使う場合、対応した機器でリング構成を形成し、親となるマスター機器にブロックポート(セカンダリーポート)を1つ設定するだけで、複雑な設定を必要とすることなくリングネットワークを容易に構築できます。段数制限も無いため、100台単位になる大規模なネットワークにも適用可能です。
利用例
リング型ネットワークは、スター型と比較するとあまり使用されていないイメージがありますが、高層ビルのバックボーンや、環状になっている道路、鉄道、敷地内に多くの施設が点在する大型の工場や大学のキャンパスネットワークなどで使用されています。
こうした機器同士の距離が遠い環境のインフラにおいて、スター型の構成を組もうとすると、センター側から各箇所に対して配線が必要になるため、配線コストが大きくなります。一方、リング型であれば、必要となるケーブル総長も最小限に抑えられ、配線コストを大幅に削減できるようになります。
リング上で断線などの経路障害が発生したとしても、経路を高速に切り替え、止まらないネットワークを提供します。
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