ルーティング

用語概要

ルーティングとは、異なるネットワーク間でデータを送信する際に最適な経路を決定する技術です。ルーターやL3スイッチなどのネットワーク層の機器が持つ機能で、IPアドレスを基にパケットの転送先を選びます。インターネット上には多くのネットワークがあり、それぞれに接続されたデバイス間で互いに通信をするためにはネットワークを超えた転送が必要になります。どのネットワークにデータを転送すれば相手にたどり着くことができるか、転送先となる経路を示すものがルーティングです。
ルーティングには、スタティックルーティング（静的ルーティング）とダイナミックルーティング（動的ルーティング）の2種類があります。

効果・メリット

ルーティングを使用することで、異なるネットワークの間で通信が行えるようになるだけでなく、ネットワークの通信の効率化、負荷分散、冗長性の向上が期待できます。効率化によりデータの転送速度が向上し、負荷分散により特定の経路に過度な負荷がかかるのを防ぎます。また、ダイナミックルーティングを用いることで、冗長性により一部の経路が障害を起こしても他の経路を使用して通信を継続できるため、ネットワークの信頼性が向上します。

利用例

ルーティングの使い方は、ルーターにルーティングテーブルを作成することから始まります。 ルーターはルーティングテーブルという、宛先のIPアドレスに応じた転送先の情報をまとめたデータベースをもっています。

例えば、下記の情報に基づいてデータを送信するとします。
＜送信元＞192.168.10.100
＜宛先＞ 192.168.20.100

PCから送信されたデータをルーター「R1」が受け取りました。R1はルーティングテーブルを見て転送先を探すことにします。

R1のルーティングテーブルには、下記のルーティング情報があります。
＜ルーティング情報①＞
宛先：192.168.20.0/24
転送先：192.168.100.254

それを参照すると、宛先(192.168.20.100)にたどり着くには、192.168.100.254を経由することになっているので、それにあたるルーター「R2」へデータを転送します。

次にデータを受け取ったR2のルーティングテーブルには、下記のルーティング情報があります。
＜ルーティング情報②＞
宛先：192.168.20.0/24 is directly connected

それを参照すると、宛先(192.168.20.100) は、このルーターに直接接続されているネットワーク内にあるのでデータを転送します。

最初の情報にあった、宛先(192.168.20.100)にデータが無事に到着しました。
このように宛先のアドレスに応じて適切にデータ転送を行うのがルーティングの機能です。