世界のどこでも安全に使える次世代型フリーWi-Fi!「OpenRoaming」ってご存知ですか?

世界中の公衆Wi-Fiに簡単・安全に接続できる相互接続基盤「OpenRoaming」についてご紹介。安全性は?利用方法は?どこで利用できるの?といった疑問にお答えします。

目次

これまでの公衆Wi-Fi

スマートフォンなどの通信に利用されているWi-Fi。今やとても一般的なものになり、飲食店やホテル、公共施設などでフリーWi-Fiを提供しているところも多くなりました。キャリア回線の通信速度制限がかかってしまった時など、Wi-Fiに助けられている人も多いのではないでしょうか。
しかし、これまでの公衆Wi-Fiは様々な事業者がバラバラに提供していたため、色々と課題もありました。
例えば、事業者ごとに接続方法が異なるため、Wi-Fiを使いたい時に毎回SSID(Wi-Fiネットワークの名前)とパスワードを探して入力しなければなりません。セキュリティの面でも、公衆Wi-Fiの通信は暗号化されていないことが多かったため盗聴のリスクが高く、SSIDを偽装した不正なネットワーク、いわゆる「なりすましWi-Fi」に誤って接続してしまう危険性もありました。
この他にも、接続する時にSNS連携や会員登録を求められたり、端末にたくさんの接続情報が残ってしまったり、ローミングが上手くいかずに通信が遅くなってしまったり…と、利便性でも安全性でも気になるポイントが多くあります。
これを解決するのが、次世代型フリーWi-Fiの基盤「OpenRoaming」です。

OpenRoamingとは?

OpenRoamingはWBA(Wireless Broadband Alliance)が開発したWi-Fi相互接続基盤です。WBAの2023年6月時点の統計では、世界中に350万を超えるホットスポットに導入されています。
スマートフォンなどのワイヤレス端末にアプリをインストールすることで、1つのIDがあれば世界中の公衆Wi-Fiに安全に接続することができます。しかも、多くの場合無料で利用できるのが特長です。このようにとても利便性が高いため、国内外で本技術を活用した公衆向けWi-Fiネットワークの導入が進んでいます。
OpenRoamingを使うには、無線LANアクセスポイント(Wi-Fiの電波を発して端末と無線通信を行う機器)が、Wi-Fi技術の標準化を推進する業界団体であるWi-Fi Allianceで認定されたPasspoint機能に対応している必要があります。Passpointは、SSIDを問わず毎回パスワードを入力しなくても自動的に対応したネットワークへの認証・接続を行う技術です。これにより、公衆Wi-Fiに安全かつスムーズに接続できる仕組みとなっています。

OpenRoaming基盤を活用した公衆Wi-Fi環境のメリット

  • 初回にIDを設定すれば、その後は自動接続するため再度の操作不要で利用できる
  • 端末とアクセスポイント間で暗号化された安全な通信を提供
  • IDアカウントによる認証接続のため、なりすましWi-Fiへの接続を防ぐことが可能
  • 無料で利用が可能

従来の公衆Wi-FiとOpenRoamingの違い

OpenRoamingのメリット① 安全性

冒頭の通り、公衆向けフリーWi-Fiはセキュリティが心配…というイメージをお持ちの方も多いのではないのでしょうか。OpenRoamingは通信の盗聴やなりすましWi-Fiへの接続といったリスクをクリアし、安全に接続できる仕組みを備えています。

接続先は認定を受けたアクセスポイントのみ

OpenRoamingで自動的に接続される先は、Wi-Fi Allianceの認定を受けたPasspoint機能に対応しているアクセスポイントのみです。Passpointに対応していないアクセスポイントには接続することができません。
フリーWi-Fiなどの偽SSIDを発信しているなりすましWi-Fiがいても、自動的に対応アクセスポイントが発信している正しいWi-Fiに接続されます。このため、なりすましWi-Fiへ誤って接続したことによってウイルスに感染したり、データを盗まれたりする被害を防ぐことができます。

無線通信区間を暗号化

Passpoint機能は、WPA2/3エンタープライズという、企業内無線LANなどで使用されている暗号化規格をベースに作られています。端末とアクセスポイントの間の通信内容を暗号化するため、盗聴からデータを保護できるようになっています。
さらに、接続用パスワードなどの認証情報を保護するため、RadSecという技術が採用されています。これは認証サーバーとの通信を、他のデータ通信とは別の鍵で暗号化する技術です。これらの技術により、安全性の高い通信が実現しています。

OpenRoamingのメリット② 利便性

利用方法は簡単です。OpenRoamingに参加している事業者のプロファイル(認証情報と事業者の情報が含まれた設定ファイル)を端末にインストールし、初回のIDを設定するだけで利用できます。通常、新しくWi-Fiに接続する時はSSIDとパスワードの入力が必要ですが、OpenRoamingの場合は、一度設定すればSSIDを問わず対応したWi-Fiネットワークに自動で接続されます。このため、どこで利用してもログインの手間が発生しません。
一部のスマートフォンには、OpenRoamingのサインアップ機能が標準搭載されているものもあります。

OpenRoamingはどんな場所で利用できる?

日本国内でも既に自治体などの公衆Wi-Fiで導入が進んでいます。

例えば、東京都では「TOKYO FREE Wi-Fi」としてOpenRoamingを利用したサービスが提供されており、2025年度末までに東京都の事業所を含めた約1,300箇所(図書館・美術館などの文化施設やスポーツ施設、病院・福祉施設、学校、空港、駅、観光施設、避難所となる防災施設)へのOpenRoaming対応Wi-Fiの整備が予定されています。

なお、アライドテレシスの無線LANアクセスポイントでも、「AT-TQ7403」「TQ6000 GEN2シリーズ」「AT-TQRシリーズ」などの製品がPasspoint機能に対応しています。
このうちWi-Fi 6対応無線LANアクセスポイント「AT-TQ6702 GEN2」「AT-TQ6602 GEN2」については、地方独立行政法人 東京都立病院機構の協力のもと東京都のOpenRoaming基盤との接続検証を実施しました。 OpenRoaming対応Wi-Fiサービス提供のため、同機構が運営する3か所の都立病院で採用されています。

患者向けOpenRoaming対応Wi-Fiサービスの導入イメージ図

今後、OpenRoamingはカフェ、レストラン、病院の待合室、イベント会場、空港や主要駅、バスや電車の車内、大学キャンパスや観光案内所など、主に公衆に向けたさまざまな場所での利用が期待され、さらなる普及が見込まれています。
国内でも海外でも公衆Wi-Fiがこれまで以上に安全で便利になる、OpenRoamingをぜひ利用してみてはいかがでしょうか。

  • 本記事の内容は公開日時点の情報です。
  • 記載されている商品またはサービスの名称等はアライドテレシスホールディングス株式会社、アライドテレシス株式会社およびグループ各社、ならびに第三者や各社の商標または登録商標です。

\注目情報をメールマガジンでいち早くお届け/
あなたの業種に合わせた旬な情報が満載!


あなたの業種に合わせた旬な情報をお届け!


この記事をシェアしよう
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

S.I.のアバター
S.I.

元々はネットワークやITと縁遠い領域出身のため、ほぼ知識ゼロから日々ずっと勉強中。自分や自分と同じような人の「何もわからない」を「ちょっとわかる」にしたい。
好きなものはゲームとミュージカルと邦ロック。

目次