設定例集#31: PPPoE接続環境におけるJuniper SSGシリーズとの2点間IPsec VPN


構成
ルーターA(本製品)の設定
設定の保存
ファイアウォールログについて
ルーターB(SSG520)の設定
ルーターA(本製品)のコンフィグ
備考:ルーターA(本製品)のIPアドレスが不定な場合
ルーターAの設定変更
ルーターBの設定変更



PPPoEでインターネットに接続している拠点間をIPsecで結ぶVPN構築例です。
インターネットサービスプロバイダー(以下 ISP)から固定IPアドレスが割り当てられるルーター間をIPsec(ESP)トンネルで接続します。
この例では対向ルーターとしてJuniper SSG520を想定しています。

Note
本設定例は、IKEv1を利用したIPsec VPNの一構成例であり、Juniper SSGシリーズとの接続性を保証するものではありません。

Note
以下に述べる手順は一例です。使用するファームウェアのバージョンなどによっては、以下の手順で接続できない可能性もあります。詳しくは、各製品のマニュアルなどをご参照ください。

構成

 
ルーターA
(本製品)
ルーターB
(SSG520)
ISPから提供された情報
ISP接続用ユーザー名 user@isp1 user@isp2
ISP接続用パスワード isppasswd1 isppasswd2
PPPoEサービス名 指定なし 指定なし
WAN側IPアドレス 10.0.0.1/32 10.0.0.2/32
ルーターの基本設定
WAN側物理インターフェース eth1 ethernet0/2
WAN側(ppp0)IPアドレス 10.0.0.1/32 10.0.0.2/32
LAN側(vlan1)IPアドレス 192.168.10.1/24 192.168.20.1/24
VPN接続設定
ローカルセレクター 192.168.10.0/24 192.168.20.0/24
リモートセレクター 192.168.20.0/24 192.168.10.0/24
IKEフェーズ1(ISAKMP)設定
IKEバージョン・交換モード
IKEv1 Mainモード
アルゴリズム
AES128 / SHA1 / Group2
ローカルID 始点アドレス(デフォルト) 始点アドレス
SA有効期間
1時間
IKEフェーズ2(IPsec)設定
アルゴリズム
AES128 / SHA1

[事前共有鍵]

本構成における設定のポイントは、次のとおりです。

ルーターA(本製品)の設定

  1. WANポートeth1上にPPPoEインターフェースppp0を作成します。これには、encapsulation pppコマンドを使います。
    PPPの詳細は「PPP」/「一般設定」をご覧ください。
    interface eth1
     encapsulation ppp 0
    
  2. PPPインターフェースppp0に対し、PPPoE接続のための設定を行います。

    ・LCP EchoによるPPP接続状態の確認(keepalive
    ・IPアドレスの固定設定(ip address
    ・ユーザー名(ppp username
    ・パスワード(ppp password
    ・MSS書き換え(ip tcp adjust-mss

    PPPの詳細は「PPP」/「一般設定」をご覧ください。</value>
    interface ppp0
     keepalive
     ip address 10.0.0.1/32
     ppp username user@isp1
     ppp password isppasswd1
     ip tcp adjust-mss pmtu
    
  3. LAN側インターフェースvlan1にIPアドレスを設定します。これにはip addressコマンドを使います。
    IPインターフェースの詳細は「IP」/「IPインターフェース」をご覧ください。
    interface vlan1
     ip address 192.168.10.1/24
    
  4. ファイアウォールやNATのルール作成時に使うエンティティー(通信主体)を定義します。
    エンティティー定義の詳細は「UTM」/「エンティティー定義」をご覧ください。

    内部ネットワークを表すゾーン「private」を作成します。
    これには、zonenetworkip subnetの各コマンドを使います。
    zone private
     network lan
      ip subnet 192.168.10.0/24
     network peer
      ip subnet 192.168.20.0/24 interface tunnel0
     network tunnel
      ip subnet 192.168.100.0/30
    
  5. 外部ネットワークを表すゾーン「public」を作成します。
    前記コマンドに加え、ここではhostip addressの各コマンドも使います。
    zone public
     network wan
      ip subnet 0.0.0.0/0 interface ppp0
      host ppp0
       ip address 10.0.0.1
    
  6. ファイアウォールやNATのルール作成時に通信内容を指定するために使う「アプリケーション」を定義します。
    これには、applicationprotocolsportdporticmp-typeicmp-codeの各コマンドを使います。
    アプリケーション定義の詳細は「UTM」/「アプリケーション定義」をご覧ください。

    IPsecのESPパケットを表すカスタムアプリケーション「esp」を定義します。
    application esp
     protocol 50
    
  7. ISAKMPパケットを表すカスタムアプリケーション「isakmp」を定義します。
    application isakmp
     protocol udp
     sport 500
     dport 500
    
  8. 外部からの通信を遮断しつつ、内部からの通信は自由に行えるようにするファイアウォール機能の設定を行います。
    これには、firewallruleprotectの各コマンドを使います。

    ・rule 10, 20 - IPsec(ESP)パケットを許可します
    ・rule 30, 40 - ISAKMPパケットを許可します
    ・rule 50 - 内部から内部への通信を許可します
    ・rule 60 - 内部から外部への通信を許可します

    ファイアウォールの詳細は「UTM」/「ファイアウォール」をご覧ください。
    firewall
     rule 10 permit esp from public.wan.ppp0 to public.wan
     rule 20 permit esp from public.wan to public.wan.ppp0
     rule 30 permit isakmp from public.wan.ppp0 to public.wan
     rule 40 permit isakmp from public.wan to public.wan.ppp0
     rule 50 permit any from private to private
     rule 60 permit any from private to public
     protect
    
  9. LAN側ネットワークに接続されているすべてのコンピューターがダイナミックENAT機能を使用できるよう設定します。
    これには、natruleenableの各コマンドを使います。
    NATの詳細は「UTM」/「NAT」をご覧ください。
    nat
     rule 10 masq any from private to public
     enable
    
  10. 対向ルーターとの間で使用するISAKMPの事前共有鍵を設定します。これにはcrypto isakmp keyコマンドを使います。
    crypto isakmp key secret address 10.0.0.2
    
  11. IPsecの通信方式を規定するIPsecプロファイルを作成します。
    IPsecプロファイルの詳細は「VPN」/「IPsec」をご覧ください。

    ここでは、crypto ipsec profileコマンドでIPsecプロファイルを作成し、以下の情報を設定します。

    ・SA有効期間(lifetime
    ・アルゴリズム(transform
    crypto ipsec profile ipsec1
     lifetime seconds 3600
     transform 1 protocol esp integrity SHA1 encryption AES128
    
  12. ISAKMPの通信方式を規定するISAKMPプロファイルを作成します。
    ISAKMPプロファイルの詳細は「VPN」/「IPsec」をご覧ください。

    ここでは、crypto isakmp profileコマンドでISAKMPプロファイルを作成し、以下の情報を設定します。

    ・IKEバージョン(version
    ・SA有効期間(lifetime
    ・アルゴリズム(transform
    crypto isakmp profile isakmp1
     version 1 mode main
     lifetime 3600
     transform 1 integrity SHA1 encryption AES128 group 2
    
  13. 対向ルーターとの間で使用するISAKMPプロファイルを指定します。これにはcrypto isakmp peerコマンドを使います。
    crypto isakmp peer address 10.0.0.2 profile isakmp1
    
  14. IPsecトンネルインターフェースtunnel0を作成します。
    トンネルインターフェースの詳細は「VPN」/「トンネルインターフェース」を、IPsecの詳細は「VPN」/「IPsec」をご覧ください。

    これには、interfaceコマンドでトンネルインターフェースを作成し、以下の情報を設定します。

    ・トンネルインターフェースから送信するデリバリーパケットの始点(自装置)アドレス(tunnel source
    ・トンネルインターフェースから送信するデリバリーパケットの終点(対向装置)アドレス(tunnel destination
    ・トンネルインターフェースに適用するローカルセレクター(tunnel local selector
    ・トンネルインターフェースに適用するリモートセレクター(tunnel remote selector
    ・トンネルインターフェースに対するIPsec保護の適用とIPsecプロファイルの指定(tunnel protection ipsec
    ・トンネリング方式(tunnel mode ipsec
    ・トンネルインターフェースのIPアドレス(ip address
    ・トンネルインターフェースにおけるMSS書き換え設定(ip tcp adjust-mss
    ・トンネルインターフェースのMTU(mtu
    interface tunnel0
     tunnel source 10.0.0.1
     tunnel destination 10.0.0.2
     tunnel local selector 192.168.10.0/24
     tunnel remote selector 192.168.20.0/24
     tunnel protection ipsec profile ipsec1
     tunnel mode ipsec ipv4
     ip address 192.168.100.1/30
     ip tcp adjust-mss 1260
     mtu 1300
    
  15. デフォルト経路(0.0.0.0/0)とルーターBのLAN側(192.168.20.0/24)への経路を設定します。これにはip routeコマンドを使います。
    ただし、ルーター間のVPN接続が有効になるまでは、対向側LANへの経路は使用できないように設定します。
    IP経路設定の詳細は「IP」/「経路制御」をご覧ください。
    ip route 0.0.0.0/0 ppp0
    ip route 192.168.20.0/24 tunnel0
    ip route 192.168.20.0/24 Null 254
    
  16. 以上で設定は完了です。
    end
    

設定の保存

■ 設定が完了したら、現在の設定内容を起動時コンフィグとして保存してください。これには、copyコマンドを「copy running-config startup-config」の書式で実行します。
awplus# copy running-config startup-config
Building configuration...
[OK]

また、write fileコマンド、write memoryコマンドでも同じことができます。
awplus# write memory
Building configuration...
[OK]

その他、設定保存の詳細については「運用・管理」/「コンフィグレーション」をご覧ください。

ファイアウォールログについて

■ ファイアウォールのログをとるには、次のコマンド(log(filter))を実行します。
awplus(config)# log buffered level informational facility kern msgtext Firewall

■ 記録されたログを見るには、次のコマンド(show log)を実行します。ここでは、ファイアウォールが出力したログメッセージだけを表示させています。
awplus# show log | include Firewall

ルーターB(SSG520)の設定

Note
SSG520の設定に関する詳細は、SSG520のドキュメントをご参照ください。

  1. あらかじめ192.168.1.0/24のサブネット内のIPアドレスを設定したコンピューターを接続して「http://192.168.1.1」をWebブラウザーで開くと、「Rapid Deployment Wizard」メニュー画面が表示されます。
    この設定例ではWizardを使用しませんので、[No, skip the Wizard and go straight to the WebUI management session instead.]を選択して[Next >>]をクリックします。

  2. LOGIN画面が表示されます。ユーザー名とパスワードを入力して[Login]をクリックします。
    初期状態でのユーザー名、パスワードは「netscreen」「netscreen」です。

  3. Main画面が表示されます。

  4. まず、LAN インターフェースの設定を行います。
    画面左のメニューから[Network]-[Interfaces]を選択し、インターフェースリスト画面が表示されたら、「ethernet0/0」の「Edit」をクリックします。


  5. インターフェース設定画面が表示されます。
    以下のようにLAN側インターフェースの設定を変更し、[OK]をクリックします。

    [IP Address/Netmask] 192.168.20.1/24
    [Manage IP] 初期設定を削除し、空欄に変更

    Note
    OKを押すと機器のIPアドレスが変更されるため、設定画面は更新されません。

  6. コンピューターのIPアドレス設定を「192.168.20.0/24」内のIPアドレスに変更した後、「http://192.168.20.1」をWebブラウザーで開き、再度Main画面を表示させます。
    Note
    ルーターBのDHCPサーバー機能は無効になっていますので、コンピューターの設定はご自身で変更してください。

  7. 次に、WANインターフェースの設定を行います。
    画面左のメニューから[Network]-[Interface]を選択し、インターフェースリスト画面が表示されたら、「ethernet0/2」の「Edit」をクリックします。


  8. インターフェース編集画面が表示されます。
    以下のようにWAN側インターフェースの設定を変更したら、[OK]をクリックします。

    [IP Address/Netmask] 10.10.10.2/32
    [Manageable] 無効(チェックなし)
    [Manage IP] 初期設定を削除し、空欄に変更


  9. 画面左のメニューから[Network]-[PPP]-[PPPoE Profile]を選択し、PPPoEリストが表示されたら画面右上の[New]をクリックします。


  10. PPPoE Profile編集画面が表示されます。
    以下のようにPPPoEの設定を変更したら、[OK]をクリックします。

    [PPPoE Instance] ISP-B(任意の名前)
    [Bound to Interface] ethernet0/2
    [Username] user@isp2
    [Password] isppasswd2
    [Auto-Connect]を選択し、[Auto-Connect右の入力ボックス]に「10」を入力
    [PPP lcp Echo Retries] 5
    [PPP lcp Echo Timeout] 30


  11. 次に、IPsecで使用するトンネルインターフェース用のゾーンを作成します。
    画面左のメニューから[Network]-[Zones]を選択して、ゾーンリスト画面が表示されたら画面右上の[New]をクリックします。


  12. ゾーン設定編集画面が表示されます。
    以下のようにゾーンの設定を変更したら、[OK]をクリックします。

    [Zone Name] VPN-ZONE
    [Zone Type] Layer 3


  13. 次に、IPsecで使用するトンネルインターフェースを作成します。
    画面左のメニューから[Network]-[Interfaces]を選択し、インターフェースリスト画面が表示されたら、画面右上のリストから[Tunnel IF]を選択して[New]をクリックします。


  14. インターフェース設定画面が表示されます。
    以下のようにトンネルインターフェースの設定を変更したら、[OK]をクリックします。

    [Zone (VR)] VPN-ZONE (trust-vr)
    [Unnumbered] を選択し、[Interface]で「ethernet0/2 (trust-vr)」を選択


  15. 次に、ルーターAと通信するためのIPsec Phase 1 Proposal設定を作成します。
    画面左のメニューから[VPNs]-[Autokey Advanced]-[P1 Proposal]を選択して、P1 Proposalリスト画面が表示されたら、画面右上の[New]をクリックします。


  16. P1 Proposal設定画面が表示されます。
    以下のようにPhase1 Proposalの設定を変更したら、[OK]をクリックします。

    [Name] ar-p1
    [Lifetime] 1 Hours


  17. 次に、ルーターAと通信するためのIPsec Phase 2 Proposal設定を作成します。
    画面左のメニューから[VPNs]-[Autokey Advanced]-[P2 Proposal]を選択して、P2 Proposalリスト画面が表示されたら、画面右上の [New]をクリックします。


  18. P2 Proposal設定画面が表示されます。
    以下のようにPhase2 Proposalの設定を変更したら、[OK]をクリックします。

    [Name] ar-p2
    [Perfect Forward Secrecy] NO-PFS
    [Encapsulation] Encryption
    [Encapsulation Algorithm] AES-CBC(128 Bits)
    [Authentication Algorithm] SHA-1
    [Lifetime] 1 Hours


  19. 次に、IPsecの接続先の設定を作成します。
    画面左のメニューから[VPNs]-[Autokey Advanced]-[Gateway]を選択して、Gatewayリスト画面が表示されたら、画面右上の[New]をクリックします。


  20. Gateway設定画面が表示されます。
    以下のように設定を変更したら、さらに詳細設定を行うために[Advanced]をクリックします。

    [Gateway Name] ar-gw
    [Remote Gateway]-[Static IP Address] を選択し、[IP Address/Hostname]に「10.0.0.1」を入力


  21. 詳細設定が表示されます。
    以下のように設定を変更したら、画面下部の[Return]をクリックします。

    [Preshared Key] secret
    [Outgoing Interface] ethernet0/2
    [Security Level]で「Custom」を選択し、[Phase 1 Proposal]で「ar-p1」のみを選択、他の3つは「None」
    [Mode (Initiator)] Main (ID Protection)

    Note
    ルーターAとのIPsec通信を監視し通信障害を検知したい場合は、以下の設定を追加で変更してください。
      [Peer Status Detection]で「DPD」を選択
      [Interval] 20
      [Always Send]を選択


  22. 手順20.の画面に戻るので、[OK]をクリックします。


  23. 次に、IPsecトンネルの設定を行います。
    画面左のメニューから[VPNs]-[Autokey IKE]を選択して以下の画面が表示されたら、画面右上の [New]をクリックします。


  24. VPN設定編集画面が表示されます。
    以下のように設定を変更したら、さらに詳細設定を行うために[Advanced]をクリックします。

    [VPN Name] ar-vpn
    [Remote Gateway]-[Predefined] 「ar-gw」を選択


  25. 詳細設定が表示されます。
    以下のように設定を変更したら、画面下部の[Return]をクリックします。

    [Security Level]で「Custom」を選択し、[Phase 2 Proposal]で「ar-p2」のみを選択、他の3つは「None」
    [Bind-to]-[Tunnel Interface] tunnel.1


  26. 手順24.の画面に戻るので、[OK]をクリックします。


  27. IPsecトンネルリスト画面に戻ると、先ほど作成した「ar-vpn」が表示されるので「Proxy ID」をクリックします。


  28. Proxy ID設定編集画面が表示されます。
    以下のように設定を変更したら、[New]をクリックして追加します。

    [Local IP/Netmask] 192.168.20.0/24
    [Remote IP/Netmask] 192.168.10.0/24
    [Service] ANY


  29. Proxy IDが追加されたら「Cancel」をクリックします。

  30. 次に、ルーティングについての設定を行います。
    画面左のメニューから[Network]-[Routing]-[Destination]を選択して、Routing Entries画面が表示されたら、画面右上の リストから[trust-vr]を選択して[New]をクリックします。


  31. Routing設定画面が表示されます。
    以下のように設定を変更したら、[OK]をクリックします。

    [IP Address/Netmask] 192.168.10.0/24
    [Next Hop]で「Gateway」を選択し、[Interface]で「tunnel.1」を選択


  32. 次に、ファイアウォールポリシーの設定を行います。
    画面左のメニューから[Policy]-[Policies]を選択して、ポリシーリスト画面を表示します。
    まず、LAN→IPsecトンネル方向の設定を行うため、以下のようにFrom/ToのZoneを選択して[New]をクリックします。

    [From] Trust
    [To] VPN-ZONE


  33. Policy設定編集画面が表示されるので、[OK]をクリックします。
    ここでは「すべて許可」のルールを作成するので、特に設定を変更する必要はありません。


  34. ポリシーリスト画面が再度表示されるので、引き続きIPsec→LAN方向のファイアウォールポリシーの設定を行います。
    以下のようにFrom/ToのZoneを選択して[New]をクリックします。

    [From] VPN-ZONE
    [To] Trust


  35. Policy設定編集画面が表示されるので、[OK]をクリックします。
    ここでも「すべて許可」のルールを作成するので、特に設定を変更する必要はありません。


  36. ポリシーリスト画面が再度表示されるので、引き続きIPsec→LAN方向のファイアウォールポリシーの設定を行います。
    以下のようにFrom/ToのZoneを選択して[New]をクリックします。

    [From] Trust
    [To] Untrust


  37. Policy設定編集画面が表示されるので、[OK]をクリックします。
    ここでも「すべて許可」のルールを作成するので、特に設定を変更する必要はありません。


  38. ポリシーリスト画面が再度表示されます(手順32.~37.で設定したポリシーが再度表示されます)。
    なお、設定情報は、これまでの操作を行なった際に自動的に更新されていますので、保存操作は不要です。


ルーターA(本製品)のコンフィグ

!
interface eth1
 encapsulation ppp 0
!
interface ppp0
 keepalive
 ip address 10.0.0.1/32
 ppp username user@isp1
 ppp password isppasswd1
 ip tcp adjust-mss pmtu
!
interface vlan1
 ip address 192.168.10.1/24
!
zone private
 network lan
  ip subnet 192.168.10.0/24
 network peer
  ip subnet 192.168.20.0/24 interface tunnel0
 network tunnel
  ip subnet 192.168.100.0/30
!
zone public
 network wan
  ip subnet 0.0.0.0/0 interface ppp0
  host ppp0
   ip address 10.0.0.1
!
application esp
 protocol 50
!
application isakmp
 protocol udp
 sport 500
 dport 500
!
firewall
 rule 10 permit esp from public.wan.ppp0 to public.wan
 rule 20 permit esp from public.wan to public.wan.ppp0
 rule 30 permit isakmp from public.wan.ppp0 to public.wan
 rule 40 permit isakmp from public.wan to public.wan.ppp0
 rule 50 permit any from private to private
 rule 60 permit any from private to public
 protect
!
nat
 rule 10 masq any from private to public
 enable
!
crypto isakmp key secret address 10.0.0.2
!
crypto ipsec profile ipsec1
 lifetime seconds 3600
 transform 1 protocol esp integrity SHA1 encryption AES128
!
crypto isakmp profile isakmp1
 version 1 mode main
 lifetime 3600
 transform 1 integrity SHA1 encryption AES128 group 2
!
crypto isakmp peer address 10.0.0.2 profile isakmp1
!
interface tunnel0
 tunnel source 10.0.0.1
 tunnel destination 10.0.0.2
 tunnel local selector 192.168.10.0/24
 tunnel remote selector 192.168.20.0/24
 tunnel protection ipsec profile ipsec1
 tunnel mode ipsec ipv4
 ip address 192.168.100.1/30
 ip tcp adjust-mss 1260
 mtu 1300
!
ip route 0.0.0.0/0 ppp0
ip route 192.168.20.0/24 tunnel0
ip route 192.168.20.0/24 Null 254
!
end

備考:ルーターA(本製品)のIPアドレスが不定な場合


ルーターA(本製品)のWAN側IPアドレスが不定(動的割り当て)の場合、IPsec VPNの設定をどのように変更すればよいか説明します。

 
ルーターA
(本製品)
ルーターB
(SSG520)
ISPから提供された情報
ISP接続用ユーザー名 user@isp1 user@isp2
ISP接続用パスワード isppasswd1 isppasswd2
PPPoEサービス名 指定なし 指定なし
WAN側IPアドレス 動的割り当て(IPCP) 10.0.0.2/32
ルーターの基本設定
WAN側物理インターフェース eth1 ethernet0/2
WAN側(ppp0)IPアドレス 接続時にISPから取得 10.0.0.2/32
LAN側(vlan1)IPアドレス 192.168.10.1/24 192.168.20.1/24
VPN接続設定
ローカルセレクター 192.168.10.0/24 192.168.20.0/24
リモートセレクター 192.168.20.0/24 192.168.10.0/24
IKEフェーズ1(ISAKMP)設定
IKEバージョン・交換モード
IKEv1 Aggressiveモード
アルゴリズム
AES128 / SHA1 / Group2
ローカルID client 始点アドレス
SA有効期間
1時間
IKEフェーズ2(IPsec)設定
アルゴリズム
AES128 / SHA1

ルーターAのIPアドレスが不定な構成における設定のポイントは、次のとおりです。

以下、IPsec VPNに関する変更点だけを示します。

ルーターAの設定変更

■ IKE交換モード(version)をAggressiveモードに変更します。
crypto isakmp profile isakmp1
 version 1 mode aggressive
 lifetime 3600
 transform 1 integrity SHA1 encryption AES128 group 2

■ トンネルインターフェースの始点アドレス(tunnel source)をインターフェース名(ppp0)に変更し、ローカルID(tunnel local name)を指定します。
interface tunnel0
 tunnel source ppp0
 tunnel local name client

ルーターBの設定変更

■ リモートゲートウェイ(本製品)のIDを設定します。
これには、手順20のGateway設定画面で次のように設定します。

[Gateway Name] ar-gw
[Remote Gateway]-[Dynamic IP Address] を選択し、[Peer ID]に「client」を入力


■ IKE交換モードをAggressiveに変更します。
これには、手順21のGateway詳細設定画面で次のように設定します。

[Preshared Key] secret
[Outgoing Interface] ethernet0/2
[Security Level]で「Custom」を選択し、[Phase 1 Proposal]で「ar-p1」のみを選択、他の3つは「None」
[Mode (Initiator)] Aggressive




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