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CentreCOM 8948XL コマンドリファレンス 2.9
IP/経路制御(RIP)
- プロトコル概要
- RIP Version1と2
- 基本設定
ネットワークの規模が大きくなると、手動で経路情報を登録するスタティックルーティングでは管理の手間が大きくなり、設定ミスなどによる通信障害も起きやすくなります。ダイナミックルーティングは、ルーター間で経路情報を自動的に交換しあう「ダイナミックルーティング(経路制御)プロトコル」を用いて、経路情報の管理を自動化する方法です。本製品では以下のルーティングプロトコルを使用できます。
ここでは、RIPの設定手順について解説します。OSPFの設定については「経路制御(OSPF)」を、スタティックルーティングの設定方法については「IP」/「経路制御」をご覧ください。
RIP(Routing Information Protocol)は比較的小規模なネットワーク用に設計されたシンプルなダイナミックルーティングプロトコルです。RIPルーターは、自分の持つ経路表を定期的にブロードキャスト(RIP2ではマルチキャスト)し、隣接するルーターに経路情報を伝えます。RIPパケットを受け取った各ルーターは、自分の経路表と受け取った情報を比べ、必要に応じて経路エントリーを追加・削除・修正して経路情報を最新に保ちます。
RIPにはさまざまな制限がありますが、そのシンプルさゆえに設定が簡単であり、小規模なネットワークでは有効に機能します。より大規模なネットワークでは後述するOSPFのほうが適しています。
RIPはトランスポート層としてUDPを利用します。始点・終点ポートは520番です。
現在使用されているRIPには2つのバージョンがあります。オリジナルのRIP(RIP Version 1)はRFC1058で、改良版のRIP Version 2はRFC2453でそれぞれ規定されています。
RIP Version1(以下RIP1)で交換される経路情報は次のとおりです。
RIP1にはサブネットマスクの概念がないため、RIP1の経路エントリーにはクラスA、B、Cに基づく標準マスクが適用されます。
一方、RIP Version2(以下RIP2)は、RIP1の未使用フィールドを用いて以下の点を改良しています。
- サブネットマスクの情報を扱える
- ネクストホップルーターアドレスを扱える
- ブロードキャストではなくマルチキャスト(224.0.0.9)で送信する
- 簡単な認証機構(平文パスワードまたはMD5)がある
次のような構成のネットワークを例に、スイッチAでRIPを使用するための設定方法を説明します。
- VLANの設定を行います。
CREATE VLAN=white VID=10 ↓
CREATE VLAN=orange VID=20 ↓
ADD VLAN=white PORT=1-4 ↓
ADD VLAN=orange PORT=5-8 ↓
- IPモジュールを有効にします。
- VLANインターフェースにIPアドレスを割り当てます。
ADD IP INT=vlan-white IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓
ADD IP INT=vlan-orange IP=192.168.20.1 MASK=255.255.255.0 ↓
- 各VLANインターフェース上でRIPパケットの送受信が行われるようにします。
ADD IP RIP INT=vlan-white ↓
ADD IP RIP INT=vlan-orange ↓
デフォルトではRIP1が使用されます。RIP2を使う場合はSEND、RECEIVEパラメーターでRIP2を指定してください。
ADD IP RIP INT=vlan-white SEND=RIP2 RECEIVE=RIP2 ↓
ADD IP RIP INT=vlan-orange SEND=RIP2 RECEIVE=RIP2 ↓
設定は以上です。これにより、VLAN white、VLAN orangeの両インターフェースでRIPパケットの送受信が行われ、他のルーターからの情報を元に経路表が動的に構築されていきます。
■ 経路表を確認するには、SHOW IP ROUTEコマンドを使います。
■ RIPインターフェースの設定を確認するにはSHOW IP RIPコマンドを使います。
■ RIPインターフェースを追加するには、ADD IP RIPコマンドでIPインターフェース(VLAN)を指定します。
ADD IP RIP INT=vlan-beige SEND=RIP2 RECEIVE=RIP2 ↓
■ RIPパケットの送受信をオフにするには、DELETE IP RIPコマンドでIPインターフェース(VLAN)を指定します。
DELETE IP RIP INT=vlan-white ↓
■ RIPの受信のみで送信を行わないようにするにはSENDパラメーターにNONEを指定します。
ADD IP RIP INT=vlan-white SEND=NONE RECEIVE=RIP2 ↓
■ 末端のネットワークなどでRIP情報の送信のみを行い、受信を行わないようにするにはRECEIVEパラメーターにNONEを指定します。
ADD IP RIP INT=vlan-white SEND=RIP1 RECEIVE=NONE ↓
■ RIPインターフェースの設定を変更するにはSET IP RIPコマンドを使います。
SET IP RIP INT=vlan-white SEND=RIP1 RECEIVE=RIP1 ↓
■ スタティック経路をRIPで通知したくないときは次のようにします。デフォルトでは、スタティック経路を通知します(STATICEXPORT=YES)。
SET IP RIP INT=vlan-white STATICEXPORT=NO ↓
Note
- スタティック経路をRIPで通知するよう設定している場合、スタティック経路のネクストホップが所属するインターフェースからも、同経路を通知します。
■ OSPF経路をRIPで通知するためには、OSBF ASBR(AS境界ルーター)の設定をし、さらにOSPF経路をRIPにエクスポートするよう設定する必要があります(SET OSPFコマンドのASEXTERNAL、RIPパラメーター)。
Note
- OSPF経路をRIPで通知するよう設定している場合、OSPF経路のネクストホップが所属するインターフェースからは、同経路を通知しません。
■ RIP2の認証機構を使う場合は次のようにします。各ルーターに同じパスワードを設定してください。パスワードの最大長は16文字です。
ADD IP RIP INT=vlan-white SEND=RIP2 RECEIVE=RIP2 AUTHENTICATION=PASSWORD PASSWORD=himitsu ↓
■ RIPパケットの送受信統計はSHOW IP RIP COUNTERコマンドで確認できます。
■ RIPタイマーの変更はSET IP RIPTIMERコマンドで行います。
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