“行政を止めない”はこう実現する──テレワークと仮想ブラウザからはじめるIT-BCP

災害や感染症、社会情勢の変化に備え、自治体における業務継続性の確保はますます重要になっています。今回は長野県長和町と新潟県小千谷市の2つの自治体に注目し、業務継続をキーワードにIT-BCPの切り口でどのような取り組みを進めているのかをご紹介します。
「自分たちの自治体でも活かせそう」と思えるヒントがきっと見つかるはずです。続きは本文でご覧ください。

目次

業務継続を支える「IT-BCP」の重要性とテレワーク・仮想ブラウザの役割

近年、自然災害や感染症、サイバー攻撃など、行政サービスの継続を脅かすリスクは多様化しています。こうした背景から、非常時でも業務を止めないための「IT-BCP」の取り組みが、自治体にとって欠かせないものになっています。

その中で、「テレワーク」と「仮想ブラウザ」というキーワードも、実はIT-BCPを支える重要な要素です。テレワークは、庁舎に出社できない状況でも職員が安全に業務を続けられる環境を整え、行政サービスの中断を防ぎます。仮想ブラウザは、インターネット分離を維持しながらWeb会議やファイル共有を可能にし、情報漏えいやマルウェア感染のリスクを低減します。さらに、サーバー管理の負荷を軽減し、障害時の復旧を迅速化することで、セキュリティの強化と業務継続性の確保を同時に実現します。どちらも、平時の利便性を高めながら、非常時の対応力を強化する仕組みです。

こうした考え方を具体的に実践したのが、長野県長和町と新潟県小千谷市です。長和町はUSBブート型シンクライアントを導入し、安全なテレワーク環境を構築。一方、小千谷市はローカルコンテナ技術を活用した仮想ブラウザを採用し、セキュリティと利便性の両立を実現しました。どちらも、災害時や非常時に業務を止めないための仕組みづくりに成功しています。

次章では、それぞれの自治体がどのように課題を乗り越え、業務継続性を高めたのかを、現場の声とともにご紹介します。

N.U.

こんなお悩みのある方におすすめの記事です!

・テレワーク導入を進めたいけど、何から手を付ければよいか分からない方
・USBブート型シンクライアントで、安全なリモート業務環境を構築したい方
・安全性と利便性を高度に両立する仮想ブラウザ環境を実現したい方
・既存ネットワークやサーバーの老朽化、ブラックボックス化で運用負荷が高い現場責任者

長野県長和町─引継ぎ不足の町役場がDXを支える次世代ICT×IT-BCPを実現

長和町の悩みと実現できたこと

長和町では、人口減少や少子高齢化による人員不足の中で、業務効率化とDX推進が求められていました。しかし、庁内ネットワークは前任者からの引継ぎ不足でブラックボックス化し、機器の老朽化も重なって、障害時の原因究明が困難な状況にありました。

こうした課題を背景に、町は災害や緊急時でも業務を止めないため、テレワークにも対応できるICT環境の整備に踏み切りました。採用を検討する際には、次のポイントを重視しました。

採用ポイント

  • 現地調査に基づく包括的かつ迅速な提案力
  • 仮想化基盤や仮想ブラウザなど幅広いソリューションの提供力
  • 運用容易性と将来の拡張性を見据えた柔軟な設計

導入後の成果・現場の声

USBブート型シンクライアント製品の導入により、安全なテレワーク環境を実現しました。災害や緊急時でも庁舎に依存せず、業務を継続できる体制が整っています。また、仮想ブラウザとサーバー仮想化基盤の導入で、ファイル交換や業務ソフトの操作もスムーズになり、職員のシステム活用が進んでいます。さらに、システム全体の可視化と安定稼働も実現。「管理が容易でトラブルもほとんどなく、とても便利に使えています」と総務課 情報管理係長の掛野氏も評価しています。
平時の利便性と非常時の継続性を両立する仕組みが、現場の働き方を大きく変えています。

新潟県小千谷市―仮想ブラウザの最適化でセキュリティと利便性を両立

小千谷市の悩みと実現できたこと

小千谷市では、当時、RemoteApp方式の仮想ブラウザ環境を利用していました。しかし、Web会議やテキストのコピー&ペーストといった制限に加え、ファイル転送や無害化処理にも時間と手間がかかり、職員の負担になっていました。さらに、サーバー管理やライセンスコストの負担が大きく、障害時の復旧にも時間を要するなど、業務継続性を確保するうえで課題が顕在化していました。

こうした背景から、市は「セキュリティを維持しながら業務を止めない」ことを視野に、仮想ブラウザ環境の抜本的な見直しに着手。採用を検討する際には、次のポイントを重視しました。

 採用ポイント

  • ファイル転送と無害化処理が一体化された設計
  • 端末側のリソース活用でサーバー管理の負担軽減
  • ライセンスは端末単位で完結し導入コスト抑制

導入後の成果・現場の声

ローカルコンテナ技術を活用したインターネット分離(Web分離)型の仮想ブラウザの導入により、セキュリティと利便性を両立しながら、業務効率が大幅に向上しました。
「業務用端末単体でテキストのコピー&ペーストやWeb会議が可能になり、従来手間のかかっていた無害化処理もスムーズに行えるようになった、と職員からは好評です。運用側としても、コストを抑えながら課題を解決できた点を高く評価しています」とデジタル戦略係 主査の涌井氏は語ります。
さらに、運用監視サービスによる24時間365日のサポート体制が整っており、トラブル発生時にも迅速な対応が可能になりました。
高いセキュリティと使いやすさを兼ね備えたIT基盤が、非常時でも業務を止めない体制を支えています。

さらに導入事例や自治体ソリューションの詳細を知りたい方はこちら!

業務継続や災害対策を見据えたIT環境の強化は、今や多くの自治体に共通する課題です。
長和町と小千谷市の事例では、「平時の利便性と非常時の継続性をどう両立するか」という問いに対する解決策の1つをご紹介しました。業務継続ひいてはIT-BCPの視点でテレワークや仮想ブラウザの環境整備を進めたい方、あるいはどこから始めるべきか悩んでいる方は、ぜひ以下の事例もご覧ください。

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N.U.

全くの異業種からアライドテレシスへ中途入社。IT“超”初心者だからこそ抱く疑問をエネルギーに変えながら、挑戦を楽しみたい。
趣味は「韓ドラ鑑賞」、「旅行」、「食べ飲み放題」。夢はゴールデンレトリーバーを飼うこと。もふもふしたい。

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