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CentreCOM ARX640S コマンドリファレンス 5.0.0
運用・管理 / コマンドラインインターフェース(CLI)
- ログイン
- コマンドモードとプロンプト
- 実行モード
- 設定モード
- コマンドライン編集キー
- コマンド入力時の注意事項
- 使用できる文字
- コマンドの否定形(no形式)
- メッセージ
- コマンド入力補助機能
- 入力候補の表示
- 次のキーワード候補を表示
- 入力途中のキーワード候補を表示
- キーワードの補完
- モディファイアとリダイレクション
- 端末画面のページ当たり行数
本製品に対する設定は、管理用端末から本製品の管理機構であるコマンドラインインターフェース(CLI)にアクセスして行います。
ここでは、CLIに関する基本的なことがらについて説明します。CLIへのアクセス方法については「運用・管理」の「システム」をご覧ください。
ログイン
本製品の管理機構であるコマンドラインインターフェース(CLI)を利用するには、ユーザー名とパスワードを入力してログインする必要があります。ログインせずに管理作業を行うことはできません。
初期設定では、次に示すユーザーアカウントが登録されています。初回ログイン時はこのユーザー名とパスワードでログインしてください。
- ユーザー名:manager
- パスワード:friend
CLIにログインするには、「login:」プロンプトに対してユーザー名「manager」を、続いて表示される「Password:」プロンプトに対してパスワード「friend」を入力します。
login: manager ↓
Password: friend ↓(実際には表示されません)
Allied Telesis EATOS System Software
CentreCOM ARX640S Software, Version 5.0.0 (RELEASE SOFTWARE)
Router>
|
短いメッセージの後(上の例では「Allied Telesis ...」)、「Router>」のようなコマンドプロンプトが表示されればログイン成功です。
ユーザー名やパスワードを間違えた場合は、「Login incorrect」というメッセージの後に「login:」プロンプトが再表示されるので、もう一度ログインを試みてください。
Note - 最大同時ログイン数は、コンソールログイン1、リモートログイン(TelnetとSSHの合計)4の合計5です。
コマンドモードとプロンプト
本製品のコマンドラインインターフェース(CLI)には「コマンドモード」の概念があります。各コマンドはあらかじめ決められたモードでしか実行できないため、コマンドを実行するときは適切なモードに移動し、それからコマンドを入力することになります。
コマンドモードは次のような階層構造を持ちます。
- 実行モード(総称)
- 設定モード(総称)
- グローバルコンフィグモード
- 個別コンフィグモード(総称)
- インターフェースモード
- PPPプロファイルモード
- VLANモード など
モード間の移動方法は次のようになります。

以下、各モードについて解説します。また、コマンドモードによってコマンドプロンプトの表示が異なるため、それもあわせて示します。
実行モード
実行モード(EXECモード)は、状態の確認や設定の保存、ファイルの操作など、その場かぎりのコマンドを実行するためのモードを総称したものです。具体的には「非特権EXECモード」と「特権EXECモード」の2つからなります。実行モードでは、機器の動作設定を変更するようなコマンドは実行できません。
Note - 次に述べる「非特権EXECモード」を略して「EXECモード」と呼ぶ場合もありますが、本マニュアルで「EXECモード」や「実行モード」と言った場合は、原則として「非特権EXECモード」と「特権EXECモード」の総称です。
- 非特権EXECモード
非特権EXECモードでは、原則として情報表示コマンド(show xxxx)の一部しか実行できません。他のモードに移動するための起点と考えましょう。
非特権EXECモードからは次のモード移動が可能です。
表 1
実行するコマンド |
移行先モード |
備考 |
enableコマンド |
特権EXECモード |
enable passwordコマンドで特権パスワードを設定している場合は、enableコマンドを実行したときにパスワードの入力を求めるプロンプトが表示される。初期状態のように特権パスワードを設定していないときは、特権パスワードの入力は不要 |
exitコマンド |
非ログイン状態 |
CLIからログアウトする。コマンド行が空の状態でCtrl/Dキーを押しても同じ |
logoutコマンド |
非ログイン状態 |
CLIからログアウト |
- 特権EXECモード
特権EXECモードでは、すべての情報表示コマンド(show xxxx)が実行できるほか、システムの再起動や設定保存、ファイル操作など、さまざまな「実行コマンド」(コマンドの効果がその場かぎりであるコマンド。ネットワーク機器としての動作を変更する「設定コマンド」と対比してこう言う)を実行することができます。
Note - 特権EXECモードでは、原則として非特権EXECモードのコマンドもすべて実行可能です。
特権EXECモードからは次のモード移動が可能です。
設定モード
設定モード(コンフィグモード)は、機器の動作設定を変更するコマンドを実行するためのモードを総称したものです。具体的には「グローバルコンフィグモード」や「インターフェースモード」など多数のモードからなります。ネットワーク機器としての動作設定はすべて設定モードで行います。
Note - 次に述べる「グローバルコンフィグモード」を略して「コンフィグモード」と呼ぶ場合もありますが、本マニュアルで「コンフィグモード」や「設定モード」と言った場合は、原則として「グローバルコンフィグモード」、「インターフェースモード」などの総称です。
- グローバルコンフィグモード
全体設定モード、すなわち、システム全体にかかわる設定を行うためのモードです。特定の要素に対する設定を行う場合は、このモードを起点としてさらに下位の個別コンフィグモード(サブコンフィグモード)に移行します。
グローバルコンフィグモードからは次のモード移動が可能です。
- 個別コンフィグモード
スイッチポートやIPインターフェース、ルーティングプロトコルなど、特定の要素に対する設定を行うために使う各種モードの総称です。個別コンフィグモードに入るには、グローバルコンフィグモードで各モードに移動するためのコマンドを実行します。
個別コンフィグモードには次のものがあります。個別コンフィグモードの中には2段階の階層化がなされているもの(サブインターフェースモード → PPPoEインターフェースモード、キーチェーンモード → キーチェーン・キーモード)もあります。
- インターフェースモード(インターフェース固有の設定)
- サブインターフェースモード(サブインターフェース固有の設定)
サブインターフェースモードでpppoe enableコマンドを実行すると、さらに下位のPPPoEインターフェースモードに移動します。
- PPPoEインターフェースモード(PPPoEインターフェース固有の設定)
*Router(config-pppoe-if)#
|
- PPPインターフェースモード(PPPインターフェース固有の設定)
- トンネルインターフェースモード(トンネルインターフェース固有の設定)
*Router(config-if-tunnel)#
|
- PPPプロファイルモード(PPPプロファイル固有の設定)
*Router(config-ppp-profile)#
|
- イベントグループモード(トリガー固有の設定)
*Router(config-event-group)#
|
- VLANモード(VLANの作成・編集)
- RIPモード(RIPプロセスの全体設定)
- RIPngモード(RIPngプロセスの全体設定)
- VRRPモード(バーチャルルーター固有の設定)
- キーチェーンモード(RIPバージョン2認証鍵セット固有の設定)
*Router(config-keychain)#
|
キーチェーンモードでkeyコマンドを実行すると、さらに下位のキーチェーン・キーモードに移動します。
- キーチェーン・キーモード(RIPバージョン2認証鍵固有の設定)
*Router(config-keychain-key)#
|
- DHCPモード(DHCPプール固有の設定)
- DHCPv6モード(DHCPv6プール固有の設定)
- DHCPv6クライアントモード(DHCPv6クライアントプロファイル固有の設定)
- 標準MACアクセスリストモード(標準MACアクセスリスト固有の設定)
- 拡張MACアクセスリストモード(拡張MACアクセスリスト固有の設定)
*Router(config-acl-mac-ext)#
|
- 標準IPアクセスリストモード(標準IPアクセスリスト固有の設定)
- 拡張IPアクセスリストモード(拡張IPアクセスリスト固有の設定)
*Router(config-acl-ip-ext)#
|
- 標準IPv6アクセスリストモード(標準IPv6アクセスリスト固有の設定)
*Router(config-acl-ipv6)#
|
- 拡張IPv6アクセスリストモード(拡張IPv6アクセスリスト固有の設定)
*Router(config-acl-ipv6-ext)#
|
- URLアクセスリストモード(URLアクセスリスト固有の設定)
- ISAKMPポリシーモード(ISAKMPポリシー固有の設定)
*Router(config-isakmp-policy)#
|
- IPsecポリシーモード(IPsecポリシー固有の設定)
*Router(config-ipsec-policy)#
|
- ダイナミックDNSモード(ダイナミックDNSプロファイル固有の設定)
コマンドライン編集キー
コマンドラインでは、以下の編集機能を使うことができます(VT100互換の端末エミュレーターが必要です)。
表 4
凡例 |
Ctrl/△ |
「Ctrl」キーを押しながら△キーを押す。たとえば「Ctrl/E」は、「Ctrl」キーを押しながら「E」キーを押すことを意味する |
Esc,△ |
「Esc」キーを押して離し、次に△キーを押して離す。たとえば「Esc,B」は、「Esc」キーを押して離し、次に「B」キーを押すことを意味する |
カーソル移動 |
Ctrl/Fまたは→ |
1文字右に移動する |
Alt/FまたはEsc,F |
1単語右に移動する(カーソル位置にある単語の最後の文字の次に移動する) |
Ctrl/Bまたは← |
1文字左に移動する |
Alt/BまたはEsc,B |
1単語左に移動する(カーソル位置にある単語の先頭文字に移動する) |
Ctrl/A |
行頭に移動する |
Ctrl/E |
行末に移動する |
削除 |
Ctrl/HまたはBackspace |
カーソルの左にある文字を削除する |
Ctrl/D |
カーソル位置の文字を削除する。ただしコマンド行が空の状態でCtrl/Dを押した場合は、exitコマンドと同じ動作となる |
Alt/DまたはEsc,D |
カーソル位置以降、最初の空白の直前までを削除する |
Ctrl/K |
カーソル位置から行末までを削除する |
Ctrl/U |
コマンド行を消去する |
その他 |
Ctrl/T |
カーソル位置の文字とその直前の文字を入れ換える(カーソルが行末にあるときは、直前の文字とその前の文字を入れ換える) |
Ctrl/Pまたは↑ |
コマンド履歴をさかのぼる |
Ctrl/Nまたは↓ |
コマンド履歴を進める |
Ctrl/C |
非特権EXECモードと特権EXECモードでは、入力中のコマンド行を破棄して新しい行に移る。各種コンフィグモードでは、入力中のコマンド行を破棄して特権EXECモードに戻る。または、実行中のコマンドを中断する |
Ctrl/Z |
各種コンフィグモードから特権EXECモードに戻る。endコマンドと同じ動作 |
TabまたはCtrl/I |
入力途中のキーワードを補完、または、次に入力可能なキーワードの候補一覧を表示する |
コマンド入力時の注意事項
コマンド入力時には以下のことがらに注意してください。
■ すでに述べたとおり、コマンドモードによって実行できるコマンドが異なります。現行モードでどのコマンドを実行できるかは、後述する「コマンド入力補助機能」やコマンドリファレンスで確認してください。
■ 「show」、「enable」などのキーワード(予約語)は大文字小文字を区別しないので、どちらで入力してもかまいません。一方、パラメーターとして与える値は、原則として大文字小文字を区別します。詳細はコマンドリファレンス等でご確認の上入力してください。
■ キーワードは一意に識別できる範囲で省略可能です。たとえば、特権EXECモードにおいて、show running-configコマンドは次のように省略して入力することができます。
また、configure terminalコマンドは次のようにして入力することができます。
Note - キーワードをどこまで省略できるかは、ファームウェアのバージョンや使用機種によって異なる可能性があります。また、コマンドモードによっても異なる場合がありますのでご注意ください。
■ コマンド行に必要な文字列を入力したら最後に「Enter」キーを押してください。これにより、コマンドが実行されます。なお、「Enter」キーを押すとき、必ずしもカーソルが行末になくてもかまいません。
■ コマンドの効果は、エラーがなければ通常入力直後にあらわれます。再起動などを行う必要はありません。ただし、設定内容は再起動すると消えてしまうので、再起動後にも同じ設定を使いたいときはcopyコマンド(copy running-config startup-config)でファイルに保存してください。詳細は「運用・管理」の「コンフィグレーション」をご覧ください。
■ 現在の設定内容(ランニングコンフィグ)は、show running-configコマンドで確認できます。設定作業時には、こまめにshow running-configコマンドを実行し、設定内容が意図したとおり反映されているか確認しながら進めることをおすすめします。
使用できる文字
コマンド中で指定する文字列パラメーター(ユーザー名、パスワード、ホスト名、ドメイン名など)や、設定項目名(ポリシー名、プロファイル名、アクセスリスト名など)に使用できる文字は、ASCII文字のうち、次表で背景が白の文字だけとします。背景が灰色の文字、および、次表に記載されていない文字の使用はサポート対象外となりますのでご注意ください。
表 5
- |
0x20 |
0x30 |
0x40 |
0x50 |
0x60 |
0x70 |
0x00 |
SPC |
0 |
@ |
P |
` |
p |
0x01 |
! |
1 |
A |
Q |
a |
q |
0x02 |
" |
2 |
B |
R |
b |
r |
0x03 |
# |
3 |
C |
S |
c |
s |
0x04 |
$ |
4 |
D |
T |
d |
t |
0x05 |
% |
5 |
E |
U |
e |
u |
0x06 |
& |
6 |
F |
V |
f |
v |
0x07 |
' |
7 |
G |
W |
g |
w |
0x08 |
( |
8 |
H |
X |
h |
x |
0x09 |
) |
9 |
I |
Y |
i |
y |
0x0A |
* |
: |
J |
Z |
j |
z |
0x0B |
+ |
; |
K |
[ |
k |
{ |
0x0C |
, |
< |
L |
\ |
l |
| |
0x0D |
- |
= |
M |
] |
m |
} |
0x0E |
. |
> |
N |
^ |
n |
~ |
0x0F |
/ |
? |
O |
_ |
o |
DEL |
■ 例外1:ファイル名
フラッシュファイルシステム上のファイル名には、前記の「使用できる文字」に加えて、ハイフン(-, 0x2D)を使うことができます。
■ 例外2:URLアクセスリストのキーワード
URLアクセスリスト(access-list url(rule entry)コマンド)の照合用キーワードには、前記の「使用できる文字」に加えて、ハイフン(-, 0x2D)を使うことができますが、「使用できる文字」に含まれているスラッシュ(/, 0x2F)は使用できません。
■ 例外3:ISAKMPフェーズ1ID
ISAKMPのフェーズ1で使用する下記の文字列には、前記の「使用できる文字」に加えて、アットマーク(@, 0x40)を使うことができます。
■ 例外4:説明文
各種設定項目の説明文には、前記の「使用できる文字」に加えて、スペース(SPC, 0x20)とハイフン(-, 0x2D)を使うことができます。該当コマンド・パラメーターは下記のとおりです。
■ 例外5:sysContactとsysLocation
SNMPで使用する下記の文字列には、前記の「使用できる文字」に加えて、スペース(SPC, 0x20)、ハイフン(-, 0x2D)、アットマーク(@, 0x40)を使うことができます。
■ 例外6:暗号化されたパスワード
パスワード暗号化サービス(service password-encryptionコマンド)が有効になっている場合、各種コマンドで設定したパスワードはシステムによって自動的に暗号化されますが、この暗号化パスワードで使う文字列は前記の「使用できる文字」に制限されません。
コマンドの否定形(no形式)
設定モードで実行するコマンドには「否定形」を持つものが多くあります。否定形は、コマンドの先頭に「no」というキーワードを付加した形式で、通常該当コマンドの効果を取り消すために使います。
たとえば、インターフェースにIPアドレスを設定するip addressコマンドには、「肯定形」として、
(config-if)# ip address A.B.C.D/M
があり、「否定形」としては、
(config-if)# no ip address
があります。
同コマンドにおいて、否定形の構文はインターフェースに設定済みのIPアドレスを削除するときに使います。
本マニュアルにおいては、肯定形を「通常形式」、否定形を「no形式」と呼びます。コマンドリファレンス編では、通常形式とno形式の両方を持つコマンドの場合、両方の構文を併記し、コマンドの説明部分では最初に通常形式の説明を行い、次にno形式の動作を説明します。
no形式には、おもに次のパターンがあります。
- 通常形式で作成・定義・設定・関連付けしたものを削除する。
たとえば、さきほども例にあげたip addressコマンドでは、通常形式でIPアドレスを設定し、no形式でIPアドレスを削除します。
*Router(config-if)# ip address 192.168.10.1/24 ↓
*Router(config-if)# no ip address ↓
|
- 通常形式で設定した値を初期値に戻す。
たとえば、次に示すlcp keepalive echo-intervalコマンドでは、通常形式でLCP Echoパケットの送信間隔を初期値から変更し、no形式で初期値に戻します。
*Router(config-ppp-profile)# lcp keepalive echo-interval 20 ↓
*Router(config-ppp-profile)# no lcp keepalive echo-interval ↓
|
- 通常形式で変更した状態を元に戻す。
たとえば、次に示すip domain lookupコマンドでは、通常形式でDNSへの問い合わせを有効化し、no形式で無効化します。
*Router(config)# ip domain lookup ↓
*Router(config)# no ip domain lookup ↓
|
逆のケースとしては、shutdownコマンドがあります。このコマンドでは、no形式でインターフェースを有効化し、通常形式でインターフェースを無効化します。
*Router(config-if)# no shutdown ↓
*Router(config-if)# shutdown ↓
|
メッセージ
コマンド入力後、実行結果や構文エラーを知らせるメッセージが表示されることがあります。次にいくつか例を示します。
- Incomplete command(コマンド行が未完成)
*Router(config)# interface ↓
% Incomplete command.
|
これは、キーワードやパラメーターが足りない場合に表示されるメッセージです。ここでは、interfaceコマンドの必須パラメーターである「インターフェース名」が指定されていないため、エラーになっています。
- Invalid input detected at '^' marker(キーワードを認識できない)
*Router(config)# intraface ↓
^
% Invalid input detected at '^' marker.
|
これは、存在しないキーワードを入力した場合に表示されるメッセージです。ここでは、「interface」とすべきところを「intraface」とミスタイプしたため、エラーになっています。
また、ミスタイプはしていなくても、実行すべきモードを間違えた場合も本メッセージが表示される場合があります。たとえば、次の例では、グローバルコンフィグモードで実行すべきinterfaceコマンドを特権EXECモードで入力してしまったため、「特権EXECモードにinterfaceで始まるコマンドはない」という意味で、エラーになっています。
*Router# interface vlan 1 ↓
^
% Invalid input detected at '^' marker.
|
- No such interface(指定されたインターフェースが存在しない)
*Router(config)# interface vlan 2 ↓
% No such interface
|
これは、前の2つよりも具体的なエラーメッセージです。ここでは、interfaceコマンドを正しいモード、正しい構文で入力しましたが、存在しないインターフェース名「vlan 2」を指定してしまったため、エラーになりました。
本メッセージのように、パラメーター値が不正だった場合のメッセージにはさまざまなものがあります。適宜解釈して対応してください。
なお、コマンドの実行に成功した場合は、通常何も表示されません。エラーメッセージが表示されなかった場合は、コマンドの実行に成功したと考えてください。
Note - 「コマンドの実行に成功」=「正しい設定」とはかぎりませんのでご注意ください。
コマンド入力補助機能
コマンドラインインターフェース(CLI)には、コマンドの入力を補助する機能がいくつか備わっています。コマンド入力補助機能には次の種類があります。
これらの補助機能を利用するには、コマンドの入力途中で「?」か「TAB」キーを入力します。次にコマンド入力補助機能の使い方をまとめます。
表 6:コマンド入力補助機能の使い方
書式 |
使用方法 |
機能 |
入力候補の表示(次のキーワード) |
? |
コマンドラインの先頭で「?」キーを入力 |
コマンドラインの先頭で入力可能なキーワードの一覧を簡単な説明付きで表示する |
keywords ? |
1つ以上のキーワード(keywords)を入力した後、スペースを入れ、その後で「?」キーを入力 |
カーソル位置に入力可能なキーワードの一覧を簡単な説明付きで表示する |
keywords <TAB> |
1つ以上のキーワード(keywords)を入力した後、スペースを入れ、その後で「TAB」キーを入力 |
カーソル位置に入力可能なキーワードの一覧を表示する |
入力候補の表示(入力途中のキーワード) |
partial-keyword? |
何らかの文字列(partial-keyword)を入力した後、スペースを入れずに「?」を入力 |
カーソル位置に入力可能なキーワードのうち、partial-keywordで始まるものの一覧を簡単な説明付きで表示する |
キーワードの補完 |
partial-keyword<TAB> |
何らかの文字列(partial-keyword)を入力した後、スペースを入れずに「TAB」キーを入力 |
カーソル位置に入力可能なキーワードのうち、partial-keywordで始まるものが1つだけであれば、partial-keywordを補完して完全なキーワードにする。partial-keywordで始まるキーワードが複数存在する場合は、候補の一覧を表示する |
以下、それぞれの機能について、実例を挙げながら解説します。
入力候補の表示
入力候補の表示機能は、現在のカーソル位置に入力可能なキーワード(コマンド名やパラメーター名、オプション名)の一覧を表示する機能です。コマンドの入力途中で「?」や「TAB」キーを入力することによって使用します。
Note - 「?」や「TAB」キーで表示されるキーワードの中には、サポート対象外のものも含まれます。原則として、本コマンドリファレンスに記載されていないコマンドやキーワード、機能はサポート対象外となります。詳細はリリースノートなどでご確認ください。
次のキーワード候補を表示
コマンドラインの先頭で「?」キーを押す、あるいは、いくつかのキーワードを入力した後にスペースを入れ、その後「?」か「TAB」キーを押すと、次に入力可能なキーワードの一覧が表示されます。
■ たとえば、インターフェースモードのコマンドラインの先頭で「?」キーを押すと次のように表示されます。
*Router(config-if)# ?
?
Interface configuration commands:
bridge-group Transparent bridging interface parameters
exit End current mode and down to previous mode
help Description of the interactive help system
ip Internet Protocol (IP)
ipsec IPsec configuration
ipv6 Internet Protocol version 6 (IPv6)
mac Link layer configuration
no Negate a command or set its defaults
show Show running system information
shutdown Shutdown the selected interface
speed Set speed to interface
static-channel-group Static Link aggregation Group
switchport Set switchport configuration
*Router(config-if)#
|
画面の左側に列挙されているのが、コマンドラインの先頭キーワードとして有効な単語の一覧です。
画面の右側は、キーワードの簡単な説明(英文)です。
Note - 表示項目は対象製品やファームウェアのバージョンによって異なる可能性があります。また、現在どのコマンドモードにいるかによっても異なります。さらに、同じコマンドモードであっても、設定対象が何であるかによって表示項目すなわち使用できるコマンドが異なる場合があります。
Note - 「?」や「TAB」キーで表示されるキーワードの中には、サポート対象外のものも含まれます。原則として、本コマンドリファレンスに記載されていないコマンドやキーワード、機能はサポート対象外となります。詳細はリリースノートなどでご確認ください。
■ 次に、コマンドラインでさきほどの候補一覧から「ip」を入力し、さらに半角スペースを一文字入力した上で再度「?」キーを押すと、次のように表示されます。
*Router(config-if)# ip ?
?
address Set the IP address of an interface
ads Application detection
broadcast-address Set the broadcast address of an interface
dhcp Dynamic Host Configuration Protocol
dhcp-relay DHCP Relay agent configuration
directed-broadcast Enable forwarding directed broadcast packet
helper-address UDP broadcast relay
ids Intrusion detection
mtu Set mtu value to interface
napt Network Address Port Translation (NAPT)
nat Network Address Translation (NAT)
redirects Enable sending ICMP Redirect messages
rip Routing Information Protocol (RIP)
tcp Transmission Control Protocol
traffic-filter Traffic filter
unnumbered Set to this interface as unnumbered
url-filter URL filter
*Router(config-if)# ip
|
■ さらに「unnumbered」を入力し、半角スペースを一文字入力した上で再度「?」キーを押すと、次のように表示されます。
*Router(config-if)# ip unnumbered ?
?
bvi BVI Interface
gigabitEthernet GigabitEthernet Interface
loop Loopback Interface
null Null Interface
ppp PPP Interface
tunnel Tunnel Interface
vlan VLAN Interface
<cr>
Router(config-if)# ip unnumbered
|
なお、<cr>は、これ以上キーワードを入力せずに「Enter」キーを押してコマンドラインを完成させることもできる、という意味です。この例では、「ip unnumbered」だけでも、コマンドラインとして完結していることを示しています。
入力途中のキーワード候補を表示
コマンドラインに何らかの文字列を入力した後、スペースを入れずに「?」を入力すると、カーソル位置に入力可能なキーワードのうち、入力した文字列で始まるものの一覧が表示されます。
■ たとえば、グローバルコンフィグモードでコマンドラインに「u」と入力した後、スペースを入れずに「?」を入力すると、次のように表示されます。
*Router(config)# u?
?
upnp-igd Universal Plug & Play (IGD)
url-filter URL filter
username Establish User Name Authentication
*Router(config)# u
|
■ また、「upnp-igd e」と入力した後で「?」を入力すると、次のように表示されます。
*Router(config)# upnp-igd e?
?
enable Enable Universal Plug & Play (IGD)
external-interface External Interface
*Router(config)# upnp-igd e
|
■ 指定した文字列で始まるキーワード候補がないときは、次のようなメッセージ(Unrecognized command)が表示されます。この例は、「upnp-igd」の後に「a」で始まるキーワードは指定できないことを示しています。
Router(config)# upnp-igd a?
% Unrecognized command
Router(config)# upnp-igd a
|
キーワードの補完
一つ前で説明した「入力途中のキーワード候補を表示」とよく似ていますが、コマンドラインに何らかの文字列を入力した後、スペースを入れずに「TAB」キーを入力すると、カーソル位置に入力可能なキーワードのうち、指定した文字列で始まるものが1つだけの場合、入力途中のキーワードを補完して完全なキーワードにしてくれます。指定した文字列で始まるキーワードが複数存在する場合は、「?」キーと同じように候補の一覧が表示されます。
■ たとえば、インターフェースモードでコマンドラインに「swi」と入力した後、スペースを入れずに「TAB」キーを入力すると、次のように表示されます(実際にはタブ文字は表示されません)。
*Router(config-if)# swi<TAB> (実際には表示されません)
|
↓ 次のように補完される
*Router(config-if)# switchport
|
■ また、インターフェースモードで「ip ad」と入力した後で「TAB」キーを入力すると、「ip」の後に「a」で始まる候補は2つあるため、次のように表示されます。
*Router(config-if)# ip ad<TAB> (実際には表示されません)
address ads
*Router(config-if)# ip ad
|
■ ここで、もう一文字「d」を入力してから「TAB」キーを押すと、候補が1つになるため、次のように補完されます。
*Router(config-if)# ip add<TAB> (実際には表示されません)
|
↓ 次のように補完される
*Router(config-if)# ip address
|
■ 指定した文字列で始まるキーワード候補がないときは、何も表示されず、コマンドラインも変更されません。この例は、「ip」の後に「g」で始まるキーワードは指定できないことを示しています。
*Router(config-if)# ip g<TAB> (実際には表示されません)
*Router(config-if)# ip g
|
モディファイアとリダイレクション
通常、コマンドを実行すると、コマンドラインインターフェース(CLI)から何らかの文字列が返ってきます。特に情報を確認するためのコマンド(いわゆるshowコマンド)では、大量の情報が出力される場合があります。
このような場合に便利なのが、コマンドラインで使用できる3つの特殊記号、「|」(モディファイア)と「>」「>>」(リダイレクション)です。
■ モディファイアは、コマンドが出力した情報をいったん「フィルター」に通して、内容を加工した上で端末画面に表示させる機能を持ちます。フィルターには次の4種類があります。
Note - モディファイアを複数連結して使うことはできません。
- include(指定した文字列を含む行だけを端末画面に出力します)
■ show running-configコマンドの出力から、「ip address」という文字列を含む行だけを表示させる。
*Router# show running-config | include ip address ↓
ip address 172.16.28.184/24
ip address 192.168.1.1/24
|
■ 実際には、ただの文字列(リテラル文字列)だけでなく、正規表現(文字列のパターン)を指定することもできます。正規表現を利用すると、より柔軟な処理が可能です。
たとえば、show loggingコマンドの出力から、「Link UP」か「Link DOWN」のいずれかを含む行だけを表示させるには次のようにします。
*Router# show logging | include Link (UP|DOWN) ↓
Apr 19 09:05:40 ETH [001]: gigabitEthernet 0: Link UP
Apr 19 13:55:57 ETH [002]: gigabitEthernet 0: Link DOWN
Apr 19 13:56:11 ETH [001]: gigabitEthernet 3: Link UP
Apr 19 13:56:11 ETH [001]: vlan1: Link UP
|
Note - これはあくまでも一例です。正規表現では、同じ文字列をさまざまな形で表現できます。詳しくは各種文献をご覧ください。
Note - 正規表現は後述するexcludeフィルター、beginフィルターでも使用できます。
- exclude(指定した文字列を含まない行だけを端末画面に出力します)
■ show ip interface briefの出力から、「unassigned」という文字列を含む行を取り除く(「unassigned」を含まない行だけを表示させる)
*Router# show ip interface brief | exclude unassigned ↓
Interface IP-Address Status Protocol
vlan 1 192.168.1.1 up up
gigabitEthernet 0 172.16.28.184 up down
|
- begin(指定した文字列が初めて登場した行以降だけを端末画面に出力します)
■ show running-configコマンドの出力のうち、「ip dhcp pool」という文字列を含む行以降だけを表示させる。
*Router# show running-config | begin ip dhcp pool ↓
ip dhcp pool vlan 1
range 192.168.1.155 192.168.1.254
dhcp-server ip enable
!
http-server username manager password 8 $1$EJO/tsuy$RzBmhy76wsZcqWR6mhELk0
http-server ip enable
!
telnet-server ip enable
!
end
|
- redirect(コマンドの出力を端末画面には出力せず、指定したファイルに書き出します。次の「リダイレクション」と同じ機能です)
■ show versionコマンドの出力を、フラッシュメモリー上のshow_version.txtというファイルに書き出す。
*Router# show version | redirect show_version.txt ↓
Writing flashrom: "show_version.txt"
.
[OK]
|
USBメモリー上のファイルにリダイレクトするときは、USBメモリーが装着されているUSBポートの番号を usb <0-1> の形式で、ファイル名の前に指定します。
たとえば、show loggingコマンドの出力を、USBポート0に装着したUSBメモリー上のlog.txtというファイルに書き出すには、次のようにします。
*Router# show logging | redirect usb 0 log.txt ↓
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■ リダイレクション記号の「>」は、コマンドの出力を端末画面には出力せず、指定したファイルに書き出す機能を持ちます。前述した「モディファイア」のredirectフィルターと同じ機能です。
たとえば、「>」を使用して、show environmentコマンドの出力をフラッシュメモリー上のshow_environment.txtというファイルに書き出すには、次のようにします。
*Router# show environment > show_environment.txt ↓
Writing flashrom: "show_environment.txt"
.
[OK]
*Router# show flash file show_environment.txt ↓
Environment monitoring status:
ID Sensor (Units) Reading Low Limit High Limit Status
0 Voltage: 2.5V (Volts) 2.522 2.379 2.691 Ok
1 Voltage: 3.3V (Volts) 3.199 3.027 3.405 Ok
2 Voltage: 5V (Volts) 4.914 4.576 5.174 Ok
3 Voltage: 12V (Volts) 11.250 9.062 14.125 Ok
4 Voltage: VCCP1 (Volts) 1.156 1.085 1.269 Ok
5 Temp: Sensor chip (Deg.C) 42.00 --- 77.00 Ok
6 Fan: (Rpm) 5578 3068 --- Ok
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USBメモリー上のファイルにリダイレクトするときは、USBメモリーが装着されているUSBポートの番号を usb <0-1> の形式で、ファイル名の前に指定します。
*Router# show logging > usb 0 log.txt ↓
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■ リダイレクション記号の「>>」は、コマンドの出力を端末画面には出力せず、指定したファイルの末尾に書き足す(追記する)機能を持ちます。「モディファイア」には、同等の機能を持つフィルターはありません。
たとえば、「>>」を使用して、show cpuコマンドの出力をフラッシュメモリー上のshow_environment.txtというファイルに追記するには、次のようにします。
*Router# show cpu >> show_environment.txt ↓
Writing flashrom: "show_environment.txt"
.
[OK]
*Router# show flash file show_environment.txt ↓
Environment monitoring status:
ID Sensor (Units) Reading Low Limit High Limit Status
0 Voltage: 2.5V (Volts) 2.522 2.379 2.691 Ok
1 Voltage: 3.3V (Volts) 3.199 3.027 3.405 Ok
2 Voltage: 5V (Volts) 4.914 4.576 5.174 Ok
3 Voltage: 12V (Volts) 11.250 9.062 14.125 Ok
4 Voltage: VCCP1 (Volts) 1.156 1.085 1.269 Ok
5 Temp: Sensor chip (Deg.C) 42.00 --- 77.00 Ok
6 Fan: (Rpm) 5578 3068 --- Ok
CPU utilization:
1 minute: 0%, 5 minutes: 0%, 30 minutes: 2%
CPU logging: Disabled
UP threshold(%): -, DOWN threshold(%): -
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USBメモリー上のファイルにリダイレクトするときは、USBメモリーが装着されているUSBポートの番号を usb <0-1> の形式で、ファイル名の前に指定します。
*Router# show logging >> usb 0 log.txt ↓
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端末画面のページ当たり行数
初期状態では、端末画面の1ページ当たり行数は24に設定されています。
コマンドの出力結果がページ当たり行数よりも長い場合は、ページャー機能によって「ページ当たり行数 - 1」行ごとに表示が一時停止し、最下行に次のようなメッセージが表示された上で、キー入力待ち状態になります。
ここでは次のキー操作が可能です。
表 7
Space |
次の1ページを表示します。 |
Enter |
次の1行を表示します。 |
q |
表示を中止し、プロンプトに戻ります。 |
■ 現在のログインセッションにおけるページ当たり行数はEXECモード(非特権および特権)のterminal lengthコマンドで変更できます。
Router> terminal length 60 ↓
|
■ 現在のログインセッションにおいて、ページ単位の一時停止を無効にするには、terminal lengthコマンドに0を指定します。
Router> terminal length 0 ↓
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■ 現在のログインセッションにおけるページ当たり行数の設定を初期値(24行)に戻すには、terminal lengthコマンドを次の形式で実行します。
Router> terminal no length ↓
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■ 前記のterminal lengthコマンドは実行コマンドなので、現在のログインセッションにしか影響を与えず、設定を保存しておくこともできません。ページ当たり行数の設定を永続的に変更したい場合は、グローバルコンフィグモードのservice terminal-lengthコマンドを使います。
*Router(config)# service terminal-length 30 ↓
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これにより、新規のログインセッションから、ログイン直後のページ当たり行数設定が30行になります。
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