[index] CentreCOM ARX640S コマンドリファレンス 5.0.0

運用・管理 / システム


  - 管理機構へのアクセス
   - コンソールターミナル
   - Telnetクライアント
   - SSHクライアント
  - 起動と停止
  - ログイン
  - コマンドモード
  - パスワードの変更
  - ホスト名の設定
  - システム時刻の設定
  - 管理用IPアドレスの設定
  - 設定の保存
  - 再起動
  - その他の機能
   - 起動用ファームウェアの設定
    - ファームウェアの更新手順
   - システム情報の確認
   - ご購入時設定内容の削除

本製品の管理機構にアクセスし、システム関連の基本的な操作や設定を行う方法について解説します。

なお本解説編では、管理用端末の準備から、システム関連の諸設定、設定の保存を経て、システムの再起動を行うところまで、順を追って操作することを前提に話を進めます。

管理機構へのアクセス

本製品に対する設定は、管理用端末から本製品の管理機構であるコマンドラインインターフェース(CLI)にアクセスして行います。

管理用端末には、次のいずれかを使用します。


コンソールターミナル

コンソールターミナルには、VT100端末装置か、VT100のエミュレーションが可能な通信ソフトウェア(をインストールしたコンピューター)を使用してください。本製品とコンソールターミナルの接続方法については、取扱説明書をご覧ください。コンソールターミナルの通信設定は次のとおりです。

表 1
通信速度 9600bps
データビット 8
パリティー なし
ストップビット 1
フロー制御 ハードウェア
エミュレーション VT100


コンソールターミナルを接続した状態で本製品の電源を入れると、起動メッセージに続いてログインプロンプトが表示されます。

すでに本製品が起動している状態でコンソールターミナルを接続した場合、画面に何も表示されないときは、「Enter」キーを何度か押すとログインプロンプトが表示されます。

Telnetクライアント

Telnetを使って設定を行うためには、本製品とTelnetクライアントの両方に適切なIPアドレスが設定されており、互いにIPで通信できる必要があります。また、本製品のTelnetサーバーが有効になっている必要があります。

本製品のご購入時には、LAN側インターフェース(vlan 1)にIPアドレス「192.168.1.1/24」が設定されており、IPv4用のTelnetサーバーも有効になっているため、LAN側スイッチポートに接続したコンピューターからのTelnet接続が可能です。Telnetサーバーの設定については「運用・管理」の「Telnet」をご覧ください。

Telnetクライアントソフトウェアを使って本製品にTelnet接続すると、ログインプロンプトが表示されます。

SSHクライアント

SSHを使って設定を行うためには、本製品とSSHクライアントの両方に適切なIPアドレスが設定されており、互いにIPで通信できる必要があります。また、本製品のSSHサーバーが有効になっている必要があります。

本製品のご購入時には、LAN側インターフェース(vlan 1)にIPアドレス「192.168.1.1/24」が設定されていますが、SSHサーバーは無効に設定されているため、あらかじめコンソールターミナルかTelnetクライアントからログインしてSSHサーバーを有効化してください。SSHサーバーの設定については「運用・管理」の「Secure Shell」をご覧ください。

SSHクライアントソフトウェアを使って本製品にSSH接続すると、ユーザー名とパスワードの入力を求められます。どのような型式で入力を求められるかは、SSHクライアントソフトウェアによって異なります。

起動と停止

本製品は、電源ケーブルをつなぎ、電源スイッチをオンにすると起動し、電源スイッチをオフにすると停止します。

コンソールターミナルを接続した状態で本製品の電源を入れると、起動メッセージに続いてログインプロンプトが表示されます。

Note - 起動後ログインプロンプトが表示されるまでの時間は、機種やファームウェアのバージョンによって異なりますが、おおむね一分程度かかります。

Copyright (C) 2006-2011 Allied Telesis Holdings K.K.  All rights reserved.
Allied Telesis Boot Monitor: Ver.1.1.5
RAM check ...
 checking bus width : OK
 checking regular access : OK
RAM check : OK
checking CPU ID : done
checking FLASHROM : done
loading factory adjust information ...
 load complete
checking SWITCH device ID : done
Initializing filesystem : done
Autoboot
Type CTRL-C to abort.
Loading "arx640s_050000B06.rlz" ................................................
...............
Uncompressing ...............................................................

Starting system
Copyright (C) 2006-2011 Allied Telesis Holdings K.K.  All rights reserved.

Starting services...
Kernel
Hardware description
CPU : MPC8555E(ID:0x8079 REV:0x11) CPM(REV:0x00e8) SEC(REV:0x40)
 Master clock  :  33 MHz
 CCB clock     : 266 MHz
 CPU clock     : 533 MHz
 BUS clock     : 133 MHz
FLASHROM : Spansion S29GL256P(ID:0x0022)
SWITCH : Marvell DX160(ID:0xd15 REV:0x1)

Basic services
Virtual memory
Devices
WATCHDOG TIMER
Interfaces
Logging service
Flash memory
Network monitor
Routing module
RIP module
RIPNG module
Passive Address Manager
IKE service
Authentication agent
UI service

System is up.

login: 


ログイン

本製品の管理機構であるコマンドラインインターフェース(CLI)を利用するには、ユーザー名とパスワードを入力してログインする必要があります。ログインせずに管理作業を行うことはできません。

初期状態では、次に示すユーザーアカウントが登録されています。初回ログイン時はこのユーザー名とパスワードでログインしてください。

ログインするには、「login:」プロンプトに対してユーザー名「manager」を、続いて表示される「Password:」プロンプトに対してパスワード「friend」を入力します。

login: manager 
Password: friend ↓(実際には表示されません)
Allied Telesis EATOS System Software
CentreCOM ARX640S Software, Version 5.0.0 (RELEASE SOFTWARE)
Router> 


短いメッセージの後(上の例では「Allied Telesis ...」)、「Router>」のようなコマンドプロンプトが表示されればログイン成功です。

ユーザー名やパスワードを間違えた場合は、「Login incorrect」というメッセージの後に「login:」プロンプトが再表示されるので、もう一度ログインを試みてください。

Note - 最大同時ログイン数は、コンソールログイン1、リモートログイン(TelnetとSSHの合計)4の合計5です。

コマンドモード

本製品のコマンドラインインターフェース(CLI)には「コマンドモード」の概念があります。各コマンドはあらかじめ決められたモードでしか実行できないため、コマンドを実行するときは適切なモードに移動し、それからコマンドを入力することになります。

ここでは、本解説編で使用しているコマンドモードと、それらのモード間を移動するための操作について簡単に解説します。より詳しくは、「運用・管理」の「コマンドラインインターフェース(CLI)」をご覧ください。

本解説編で使用しているコマンドモードは次の4つです。

以下、各モードとモード間の移動方法について概説します。

■ ログイン直後は「非特権EXECモード」です。

login: manager 
Password: friend ↓(実際には表示されません)
Allied Telesis EATOS System Software
CentreCOM ARX640S Software, Version 5.0.0 (RELEASE SOFTWARE)
Router> 

コマンドプロンプト末尾の「>」が、非特権EXECモードであることを示しています。

非特権EXECモードでは、原則として情報表示コマンド(show xxxx)の一部しか実行できません。実運用上、ほとんど使う必要はないでしょう。

■ 非特権EXECモードでenableコマンドを実行すると、「特権EXECモード」に移動します。

Router> enable
Router# 

コマンドプロンプト末尾の「#」が、特権EXECモードであることを示しています。

特権EXECモードでは、すべての情報表示コマンド(show xxxx)が実行できるほか、システムの再起動や設定保存、ファイル操作など、さまざまな「実行コマンド」(コマンドの効果がその場かぎりであるコマンド。ネットワーク機器としての動作を変更する「設定コマンド」と対比してこう言う)を実行することができます。

■ 特権EXECモードでconfigure terminalコマンドを実行すると、「グローバルコンフィグモード」に移動します。

Router# configure terminal
Enter configuration commands, one per line.  End with CNTL/Z.
Router(config)# 

コマンドプロンプト末尾の「(config)#」が、グローバルコンフィグモードであることを示しています。

グローバルコンフィグモードは、システム全体にかかわる設定コマンドを実行するためのモードです。本解説編においては、ログインパスワードの変更やホスト名の設定、タイムゾーンの設定などをこのモードで行います。

■ グローバルコンフィグモードでexitコマンド、endコマンドを実行するかCtrl/Zキーを押すと、「特権EXECモード」に戻ります。コマンド行が空の状態でCtrl/Dキーを押しても同じです。

Router(config)# exit
Router# 


■ グローバルコンフィグモードでinterfaceコマンドを実行すると、「インターフェースモード」に移動します。

Router(config)# interface vlan 1
Router(config-if)# 

コマンドプロンプト末尾の「(config-if)#」が、インターフェースモードであることを示しています。

インターフェースモードは、指定したインターフェース固有の設定を行うためのモードです。本解説編においては、IPアドレスの設定をこのモードで行います。

■ インターフェースモードでexitコマンドを実行すると、グローバルコンフィグモードに戻ります。コマンド行が空の状態でCtrl/Dキーを押しても同じです。

Router(config-if)# exit
Router(config)# 

また、インターフェースモードでendコマンドを実行するかCtrl/Zキーを押すと、「特権EXECモード」に戻ります。

Router(config-if)# end
Router# 


■ 特権EXECモードでdisableコマンドを実行すると、「非特権EXECモード」に戻ります。

Router# disable
Router> 


■ 特権EXECモードか非特権EXECモードでexitコマンド、logoutコマンドを実行すると、ログアウトします。コマンド行が空の状態でCtrl/Dキーを押しても同じです。

Router# exit

login: 


実際には、ここに示した4つのほかにも多くのコマンドモードがあります。詳細については、「運用・管理」の「コマンドラインインターフェース(CLI)」をご覧ください。

パスワードの変更

初期設定のパスワードを使い続けることはセキュリティー上好ましくありませんので、初回ログイン時に変更することをおすすめします。

ログイン後、managerアカウントのパスワードを変更するには次のようにします。

  1. ログイン直後は非特権EXECモードなので、次のようにenableコマンド、configure terminalコマンドの順に実行して、グローバルコンフィグモードに移動します。

    Router> enable
    Router# configure terminal
    Enter configuration commands, one per line.  End with CNTL/Z.
    


  2. manager passwordコマンドを実行してパスワードを変更します。

    Router(config)# manager password o10moDutch
    *Router(config)# 
    


Note - プロンプトの先頭に表示されている「*」は未保存の設定があることを示す印です。

Note - パスワードの設定は保存しないと再起動によって失われます。設定を保存する方法については後述します。

Note - ユーザー認証関連機能の詳細については、「運用・管理」の「ユーザー認証」をご覧ください。

ホスト名の設定

ここまでの説明において、ログインプロンプトやコマンドプロンプトの先頭に「Router」という文字列が表示されていることにお気づきでしょうか?

プロンプトの先頭部分はホスト名を表示するための領域です。初期状態ではホスト名として「Router」が設定されており、これがプロンプトの先頭に表示されますが、本製品を複数管理している場合など、各装置に異なる名前を設定しておくと、現在どの装置にログインしているのかがわかりやすくなり便利です。

■ ホスト名を設定するには、グローバルコンフィグモードのhostnameコマンドを使います。

Router(config)# hostname myRouter
*myRouter(config)# 


コマンド実行とともに、コマンドプロンプトの先頭が「Router」から「myRouter」に変更されたことに注目してください。ここでは仮に「myRouter」としましたが、実際には各装置を区別するのに適した名前を付けてください。

Note - プロンプトの先頭に表示されている「*」は未保存の設定があることを示す印です。

Note - ホスト名の設定は保存しないと再起動によって失われます。設定を保存する方法については後述します。

Note - 本解説編の残りの部分では、説明の流れ上、ホスト名を「myRouter」に設定しているものと仮定します。他の解説編やコマンド編では、原則として初期設定のホスト名「Router」を用いますが、複数の装置を使用する構成例などでは、各装置を見分けやすいよう「RouterA」、「RouterB」のようなホスト名を仮定する場合もあります。

Note - hostnameコマンドで設定したホスト名は、MIB-IIオブジェクトsysNameの値としても使われます。詳しくは、「運用・管理」の「SNMP」をご覧ください。

システム時刻の設定

本製品は電池によってバックアップされる時計(リアルタイムクロック)を内蔵しており、起動時には内蔵時計から現在時刻を取得してシステム時刻が再現されます。

ログなどの記録日時を正確に保つため、システム時刻は正確にあわせて運用することをおすすめします。

システム時計の設定方法には手動で設定する方法と、NTPを利用して自動調整する方法がありますが、ここでは手動設定する方法について説明します。NTPの利用方法については、「運用・管理」の「NTP」をご覧ください。

■ システム時刻(日付と時刻)をあわせるには特権EXECモードのclock setコマンドを使います。たとえば、「2011年3月31日 9時10分0秒」にあわせるには次のようにします。

*myRouter(config)# exit
*myRouter# clock set 09:10:00 31 mar 2011


clock setコマンドでは、日付と時刻を「時刻 日付」の順序で指定します。時刻は「時:分:秒」、日付は「日 月 年」の形式で指定します。時、分、秒、日が1桁のときは、ゼロ詰めして2桁にしてもしなくてもかまいません(例:1と01は同じ意味)。月は英語月名の先頭3文字以上で指定します。大文字小文字の区別はありません。

Note - clock setコマンドは実行コマンドなので、実行後に設定保存の操作(後述)は必要ありません。コマンド実行とともに内蔵時計の時刻が変更され、以後保持されます。

■ 現在の日付と時刻およびタイムゾーンの設定を確認するにはshow clockコマンドを実行します。

*myRouter> show clock
Thu Mar 31 09:10:51 JST 2011


管理用IPアドレスの設定

前述のとおり、コマンドラインインターフェース(CLI)には、ネットワーク上のTelnetクライアントやSSHクライアントからアクセスすることも可能です。

本製品のご購入時には、LAN側インターフェース(vlan 1)にIPアドレス「192.168.1.1/24」が設定されており、IPv4用のTelnetサーバー機能も有効になっているため、LAN側スイッチポートに接続したコンピューターからのTelnet接続が可能ですが、初期設定のIPアドレスを変更したい場合は以下の手順にしたがってください。

Note - SSHサーバーは初期設定で無効になっているため、使用前に設定が必要です。SSHサーバーの設定については「運用・管理」の「Secure Shell」をご覧ください。また、Telnetサーバーの設定については「運用・管理」の「Telnet」をご覧ください。

なお、ご購入時設定では、LAN側インターフェース(vlan 1)でDHCPサーバー機能も有効になっており、192.168.1.155〜192.168.1.254の範囲のIPアドレスを提供していますが、インターフェースIPアドレスの変更によって、これらの提供アドレスが適切なものでなくなるため、以下の手順ではDHCPサーバーの提供アドレス範囲も適切なものに変更しています。

Note - 以下の手順はコンソールターミナルから実行してください。TelnetやSSH接続時にIPアドレスを変更すると接続が切断されます。

  1. グローバルコンフィグモードに移動します。

    *myRouter> enable
    *myRouter# configure terminal
    Enter configuration commands, one per line.  End with CNTL/Z.
    *myRouter(config)# 
    


  2. IPアドレスの設定はインターフェースモードで行います。インターフェースモードに入るには、interfaceコマンドで対象インターフェース名(ここではLAN側インターフェースのvlan 1)を指定します。

    *myRouter(config)# interface vlan 1
    *myRouter(config-if)# 
    


  3. 変更後のIPアドレスをip addressコマンドで指定します。これにより、初期設定のIPアドレスが新しいものに置き換わります。

    *myRouter(config-if)# ip address 192.168.10.1/24
    *myRouter(config-if)# exit
    


  4. DHCPサーバーの設定はDHCPモードで行います。DHCPモードに入るには、ip dhcp poolコマンドで対象インターフェース名(ここではLAN側インターフェースのvlan 1)を指定します。

    *myRouter(config)# ip dhcp pool vlan 1
    *myRouter(dhcp-config)# 
    


  5. DHCPサーバーが動的に提供するIPアドレスの範囲はrangeコマンドで設定します。ここでは、初期設定のIPアドレスに対応した既存の範囲を削除し、その後新しいIPアドレスに対応した範囲を指定しなおします。

    *myRouter(dhcp-config)# no range 192.168.1.155 192.168.1.254
    *myRouter(dhcp-config)# range 192.168.10.155 192.168.10.254
    *myRouter(dhcp-config)# end
    


    Note - IPアドレス、DHCPサーバーの設定は保存しないと再起動によって失われます。設定を保存する方法については後述します。

設定は以上です。

これで、LAN側インターフェース(vlan 1)のIPアドレスが192.168.10.1/24に変更されました。また、同インターフェース配下に対してDHCPで提供するIPアドレス範囲も192.168.10.155〜192.168.10.254に変更されました。

■ インターフェースに割り当てたIPアドレスは、show ip interfaceコマンドで確認できます。

*myRouter# show ip interface vlan 1
Interface vlan 1 is up, line protocol is up
    IPv4 MTU 1500
    Broadcast address is 255.255.255.255
    192.168.10.1/24

*myRouter# show ip interface vlan 1 brief
Interface             IP-Address      Status                Protocol
vlan 1                192.168.10.1    up                    up

Note - インターフェースIPアドレスの設定については、「IPルーティング」の「IPインターフェース」をご覧ください。

■ DHCPサーバーの設定はshow ip dhcp poolコマンドで確認できます。

*myRouter# show ip dhcp pool
Pool                :vlan 1
Assignable range    :192.168.10.155 - 192.168.10.254 (manual)
Subnet mask         :255.255.255.0 (auto)
Default router      :192.168.10.1 (auto)
Dynamic assigments
Total addresses     :100
Leased addresses    :0
Current Index       :192.168.10.254

Note - DHCPサーバーの設定については、「IP付加機能」の「DHCPサーバー」をご覧ください。

設定の保存

コマンドによって設定された内容の多くはランタイムメモリー(RAM)上にあるため、本製品の電源を切ったり、再起動したりすると消えてしまいます。

現在の設定内容を次回起動時にも使用したい場合は、ランタイムメモリー上の設定内容をファイルに書き出し、次回起動時に自動的に読み込まれるよう設定する必要があります。

ここでは、設定を保存し、次回起動時に復元する方法について簡単に解説します。設定保存の詳細については、「運用・管理」の「コンフィグレーション」をご覧ください。

本製品には設定内容を表す独特の概念として、次の2つがあります。

表 2
ランニングコンフィグ(running-config) ランタイムメモリー上にある現在の設定内容。電源断や再起動によって失われる。show running-configコマンドで内容を確認できる。ファイル操作コマンドにおいては、キーワード「running-config」を用いてコピーなどの操作が可能
スタートアップコンフィグ(startup-config) 起動時コンフィグ。システム起動の最終段階において自動的に復元される設定内容。フラッシュメモリー上にファイルとして保存されており、電源断や再起動を経ても失われない。show startup-configコマンドで内容を確認できる。ファイル操作コマンドにおいては、キーワード「startup-config」を用いてコピーなどの操作が可能


■ 現在の設定内容(ランニングコンフィグ)は、show running-configコマンドで確認できます。このコマンドは特権EXECモード以上のどのモードでも実行可能です。

*myRouter# show running-config
!
service password-encryption
!
clock timezone JST 9
!
hostname myRouter
!
manager password 8 $1$UxF1b1fT$Oezkkx9328oW7BppmEAN2/
!
!
interface gigabitEthernet 0
 shutdown
!
interface gigabitEthernet 1
 shutdown
!
interface gigabitEthernet 2
 no shutdown
!
interface gigabitEthernet 3
 no shutdown
!
interface gigabitEthernet 4
 no shutdown
!
interface gigabitEthernet 5
 no shutdown
!
interface loop 0
 shutdown
!
interface loop 1
 shutdown
!
interface vlan 1
 ip address 192.168.10.1/24
 no shutdown
!
!
!
ip dhcp pool vlan 1
 range 192.168.10.155 192.168.10.254
dhcp-server ip enable
!
http-server username manager password 8 $1$EJO/tsuy$RzBmhy76wsZcqWR6mhELk0
http-server ip enable
!
telnet-server ip enable
!
end


■ 現在の設定内容(ランニングコンフィグ)を次回起動時にも使用したい場合は、ランニングコンフィグをスタートアップコンフィグにコピーして保存します。これを実現するもっとも一般的な方法は、特権EXECモードのcopyコマンドを使って次のようにする方法です。

*myRouter# copy running-config startup-config
Writing flashrom: "startup-config"
.
[OK]


■ 正しく保存されたかどうかを確認するには、show flashコマンドでstartup-configファイルの存在を確認し、show startup-configコマンドでスタートアップコンフィグの内容を確認します。

myRouter# show flash
      Size                       Date                          File Name
       966   Thu Mar  3 10:07:50 2011                     startup-config
   6273124   Tue Mar  1 09:42:59 2011              arx640s_050000B01.rlz

myRouter# show startup-config
# Allied Telesis EATOS System Software
# CentreCOM ARX640S Software, Version 5.0.0 (RELEASE SOFTWARE)
# Copyright (C) 2006-2011 Allied Telesis Holdings K.K.  All rights reserved.
# Release built B01
# Last modified Thu Mar 03 10:07:49 JST 2011
!
service password-encryption
!
clock timezone JST 9
!
hostname myRouter
!
manager password 8 $1$UxF1b1fT$Oezkkx9328oW7BppmEAN2/
!
!
interface gigabitEthernet 0
 shutdown
!
interface gigabitEthernet 1
 shutdown
!
interface gigabitEthernet 2
 no shutdown
!
interface gigabitEthernet 3
 no shutdown
!
interface gigabitEthernet 4
 no shutdown
!
interface gigabitEthernet 5
 no shutdown
!
interface loop 0
 shutdown
!
interface loop 1
 shutdown
!
interface vlan 1
 ip address 192.168.10.1/24
 no shutdown
!
!
!
ip dhcp pool vlan 1
 range 192.168.10.155 192.168.10.254
dhcp-server ip enable
!
http-server username manager password 8 $1$EJO/tsuy$RzBmhy76wsZcqWR6mhELk0
http-server ip enable
!
telnet-server ip enable
!
end


再起動

本製品を再起動するには、特権EXECモードのreloadコマンドを使います。

Note - 再起動を実行する前に、現在の設定内容(ランニングコンフィグ)を保存したかどうかご確認ください。設定の保存については、前節および「運用・管理」の「コンフィグレーション」をご覧ください。

■ システムを再起動します。reloadコマンドを実行すると、本当に再起動してよいか確認してくるので、再起動してよいなら「y」を入力して「Enter」キーを押してください。再起動をキャンセルするときは「n」を入力します。

myRouter# reload
reboot system? (y/n): y 
syncing disks... done
rebooting...
...


reloadコマンドを実行すると、ハードウェア的なリセットがかかり、ファームウェアのロードを行った後、スタートアップコンフィグを読み込んで起動が完了します。スタートアップコンフィグが設定されていない場合は、初期設定で起動します。

その他の機能

その他、システム関連の機能や操作について解説します。

起動用ファームウェアの設定

本製品のファームウェアは、拡張子.rlzを持つイメージファイルとして提供されます。

ファームウェアのイメージファイルは、フラッシュメモリーに保存(ダウンロード)し、起動用イメージファイルに指定することで使用します。フラッシュメモリーには、容量の許すかぎり何個でもイメージファイルを置くことができます。

システム起動時には、「プライマリーファームウェア」に指定されたイメージファイルがロードされます。「プライマリーファームウェア」をロードできなかった場合でも、「緊急用ファームウェア」のイメージファイルが設定されていれば、そちらで起動します。

■ プライマリーファームウェアのイメージファイルは、boot systemコマンドで指定します。同コマンドで指定するファイルは、フラッシュメモリー上になくてはなりません。また、拡張子は.rlzでなくてはなりません。

Router# boot system arx640s_050000t08.rlz


Note - イメージファイルの設定は、コマンド実行時にシステムファイルに保存されるため、copyコマンド(copy running-config startup-config)でコンフィグに保存する必要はありません。

■ セカンダリーファームウェアのイメージファイルは、boot systemコマンドの第2パラメーターで指定します。

Router# boot system arx640s_050000t08.rlz arx640s_050000t06.rlz


■ 起動用ファームウェアの設定は、show bootコマンドで確認できます。

Router# show boot


ファームウェアの更新手順

以上をふまえたファームウェアの更新手順は次のとおりです。

Note - ファームウェアの更新は、ネットワークの実運用中に行わないでください。

ファームウェアの更新作業時には、各種のファイル操作が必要になります。ファイル操作の詳細については、「運用・管理」の「ファイル操作」をご覧ください。

また、IPネットワーク経由でファイルをダウンロードするには、IPアドレスなどの設定が必要です。以下の説明では、IPの基本設定までは完了しているものと仮定します。IPアドレスの設定については、本解説編の「管理用IPアドレスの設定」および「IPルーティング」の「IPインターフェース」をご覧ください。

  1. 新しいファームウェアのイメージファイルを入手し、本製品への転送が可能な場所に保存します。本製品への転送が可能な場所とは、具体的には次の場所です。


  2. show bootコマンドを実行して、現時点における起動用ファームウェアの設定を確認します。

    Router# show boot
    Bootstrap setting
     primary load image: arx640s_050000B01.rlz
    


    この例では、プライマリーファームウェアとしてarx640s_050000B01.rlzが指定されており、セカンダリーファームウェアは指定されていないことがわかります。

  3. show flash summaryコマンドを実行して、フラッシュメモリーの空き容量を確認します。

    Router# show flash summary
        Size     Used     Free
      31104K   12249K   18688K
    


    この例では、空き容量が18688KByteであると確認できます。空き容量とイメージファイルのサイズを比較して、イメージファイルを格納するのに充分な空きがあることを確認してください。空き容量が足りない場合は、erase flashコマンドで不要なファイルを削除して空きを作ってください。

  4. copyコマンドを使って、新しいイメージファイルをダウンロードし、フラッシュメモリーに保存します。ここでは、TFTPサーバー10.100.10.70から、イメージファイルarx640s_050000B02.rlzをダウンロードするものとします。

    Router# copy tftp 10.100.10.70 arx640s_050000B02.rlz flash
    Destination file[arx640s_050000B02.rlz]:
    Direction is GET
    TFTP server is 10.100.10.70
    Source file is "arx640s_050000B02.rlz"
    Destination file is "arx640s_050000B02.rlz"
    ................................................................................
    ................................................................................
    ................................................................................
    ................................................................................
    ................................................................................
    ................................................................................
    ................................................................................
    ................................................................................
    ................................................................................
    ..............................................
    Received 6274048 bytes in 128.9 seconds
    [OK]
    


  5. show flashコマンドを使って、新しいイメージファイルが正しくダウンロードされたことを確認します。

    Router# show flash
          Size                       Date                          File Name
       6274048   Fri Mar  4 16:13:42 2011              arx640s_050000B02.rlz
           701   Fri Mar  4 16:07:07 2011                     startup-config
       6273124   Tue Mar  1 09:42:59 2011              arx640s_050000B01.rlz
    


  6. boot systemコマンドを使って、新しいイメージファイルをプライマリーファームウェアに指定します。また、念のため、現在使用しているイメージファイルarx640s_050000B01.rlzをセカンダリーファームウェアに指定します。このようにしておけば、万一新しいイメージファイルのロードに失敗しても、すでに起動が確認できているイメージファイルで起動することができます。

    Router# boot system arx640s_050000B02.rlz arx640s_050000B01.rlz
    Router# 
    


    Note - boot systemコマンドの実行後は、指定されたイメージファイルの整合性チェックが行われるため、プロンプトが返るまでしばらく時間がかかります。

    Note - イメージファイルの設定は、コマンド実行時にシステムファイルに保存されるため、copyコマンド(copy running-config startup-config)でコンフィグに保存する必要はありません。

  7. 再度show bootコマンドを実行して、起動用ファームウェアの設定を確認します。

    Router# show boot
    Bootstrap setting
     primary load image: arx640s_050000B02.rlz
     secondary load image: arx640s_050000B01.rlz
    


  8. 設定に問題がなければ、reloadコマンドでシステムを再起動します。再起動後は、新しいファームウェアで起動します。

    Router# reload
    reboot system? (y/n): y 
    ...
    


以上でファームウェアの更新は完了です。

システム情報の確認

システムの基本情報を確認するための各種コマンドを紹介します。

■ システムの全般的な情報は、show versionコマンド(show hardwareコマンドも同じ)で確認できます。

■ システムの起動設定は、show bootコマンドで確認できます。

■ CPUの使用率は、show cpuコマンドで確認します。

■ ハードウェア環境の情報は、show environmentコマンドで確認できます。

ご購入時設定内容の削除

ご購入時など、スタートアップコンフィグ(startup-config)が存在しない状態で起動した場合は、下記の設定(ご購入時設定)が行われた状態になります。


これらの設定内容を削除するには、以下の手順を実行してください。

Note - 以下の手順はコンソールターミナルから実行してください。TelnetやSSH接続時にIPアドレスを変更すると接続が切断されます。

  1. スタートアップコンフィグが存在しない状態で起動します。

  2. グローバルコンフィグモードに移動します。

    Router> enable
    Router# configure terminal
    Enter configuration commands, one per line.  End with CNTL/Z.
    Router(config)# 
    


  3. LAN側インターフェース(vlan 1)に設定されているIPアドレスを削除します。

    Router(config)# interface vlan 1
    Router(config-if)# no ip address 192.168.1.1/24
    *Router(config-if)# exit
    


  4. DHCPサーバーの設定(DHCPプール)を削除し、DHCPサーバー機能を無効にします。

    *Router(config)# no ip dhcp pool vlan 1
    *Router(config)# no dhcp-server ip enable
    


  5. HTTPサーバー用のmanagerアカウントを削除し、HTTPサーバー機能を無効にします。

    *Router(config)# no http-server username manager
    *Router(config)# no http-server ip enable
    


  6. Telnetサーバー機能を無効にします。

    *Router(config)# no telnet-server ip enable
    *Router(config)# exit
    


  7. 現在の設定内容をスタートアップコンフィグ(起動時コンフィグ)として保存します。

    *Router# copy running-config startup-config
    Writing flashrom: "startup-config"
    .
    [OK]
    


  8. 保存したコンフィグを別名(ここではempty.cfg)でコピーしておき、いつでも復元できるようにします。

    Router# copy startup-config flash empty.cfg
    Writing flashrom: "empty.cfg"
    .
    [OK]
    


以上で、ご購入時設定内容の削除は完了です。

■ 上記手順の後、さまざまな設定を行ってスタートアップコンフィグを更新した後で、再びご購入時設定が削除された状態に戻したい場合は、次のようにします。
  1. 別名でコピーしておいたコンフィグ(さきほどの例ではempty.cfg)をスタートアップコンフィグに書き戻します。

    Router# copy flash empty.cfg startup-config
    Erasing flashrom: "startup-config"
    .
    Writing flashrom: "startup-config"
    .
    [OK]
    


  2. 再起動します。1つ目のプロンプトには「n」、2つ目のプロンプトには「y」と答えてください。
    1つ目のプロンプトで「y」と答えると、スタートアップコンフィグが現在の設定内容で再び上書きされてしまいます。
    あやまって「y」で答えてしまった場合は2つ目のプロンプトで「n」と答えて再起動をキャンセルし、手順1からやりなおしてください。

    *Router# reload
    Configuration has been modified. Save? (y/n): n 
    reboot system? (y/n): y 
    ...
    



(C) 2011 アライドテレシスホールディングス株式会社

PN: 613-001491 Rev.A