クラウド活用や業務のデジタル化が進み、IT基盤への依存はますます高まっています。一方で、サーバーの増設を重ねた結果、構成が複雑化し、運用負担や障害対応に悩む現場も少なくありません。「このままの運用で大丈夫だろうか」と感じている方も多いのではないでしょうか。サーバー仮想化と集約によって運用を見直した事例をもとに、構成の考え方と見直しのヒントを紹介します。
なぜ今、サーバー仮想化と集約が求められているのか
クラウドサービスの普及や業務のデジタル化が進む中で、ITインフラの重要性はますます高まっています。教育機関や自治体、企業などを問わず、日常業務だけでなく、重要なイベントや基幹業務もITシステムに依存する場面が増えてきました。
一方で、これまでの環境を継ぎ足しながら運用してきた結果、サーバー台数が増え、構成が複雑になっているケースも少なくありません。機器ごとの日々の管理が必要になり、障害が発生した際には原因特定に時間がかかるといった課題も見られます。
さらに、ハードウェアの老朽化が進むことで、トラブルの発生リスクも高まります。こうした状況は業種を問わず共通しており、教育機関であれば授業や試験、企業であれば基幹業務など、「止められない業務」に直結する問題です。
そのため、単に機器を更新するだけでなく、「どのような構成で運用していくか」を見直すことが、これからのIT基盤において重要になっています。
7台の物理サーバーを2台へ、教育現場のIT基盤刷新の全体像
豊島岡女子学園中学校・高等学校では、老朽化した複数の物理サーバーを見直し、仮想化基盤を中心とした新しいIT環境へ移行しました。
従来は7台の物理サーバーを分散して運用していましたが、これらを2台に集約し、その上で複数のシステムを仮想環境として稼働させる構成へと変更しています。
あわせて、サーバーや関連機器の状態を常時確認する24時間の監視体制を導入しました。異常の兆候を検知した段階で通知される仕組みを整えたことで、トラブルへの対応もしやすくなっています。

こうした取り組みにより、複雑化していた構成を整理しながら、「止められない業務を支えるIT基盤」を実現しています。
分散運用が招いた負荷増大と障害対応の難しさ
刷新前の環境では、サーバーごとに役割が分かれていたものの、全体としては分散した構成となっており、運用の負担が大きくなっていました。
障害が発生した場合には、どの機器に問題があるのかを特定するために、1台ずつ確認する必要がありました。サーバー台数の増加に伴い、電源や設置スペース、電力といった面での負担も増えていきます。
特に基幹系サーバーでは、複数の役割を同一環境で担っていたことで負荷が集中しやすく、フリーズが頻発していました。また、障害が発生しても原因を特定できないケースがあり、不安を抱えたまま運用を続ける状況が続いていたといいます。入試直前には、関連システムを支えるサーバーが起動しないトラブルも発生していました。授業や入試といった重要な業務を抱える教育現場にとって、こうした状況は大きなリスクとなります。
学校の担当者は、「障害が発生しても原因を特定できない、という不安が常にありました」と振り返っています。
仮想化基盤と24時間監視で変わった運用と現場対応
新しい環境では、仮想化によってサーバーを集約し、片方に障害が発生しても、もう一方で運用を継続できる構成を採用しています。
これにより、従来のように機器単位で状況を確認する必要が減り、再起動や設定変更といった作業も仮想環境上で行えるようになりました。結果として、対応にかかる時間や手間が大きく軽減されています。
また、24時間365日の監視によって、異常の兆候を早期に把握できるようになりました。例えば、サーバー自体は稼働しているものの、サーバー室の空調が停止し室温が上昇した際には、通知によってすぐに状況を把握し、迅速な対応につなげることができました。担当者は、「通知が届くことで、自分たちでは気づけなかった変化にも対応できるようになりました」と話しています。
さらに、サーバーを集約したことで生まれた余力を活用し、情報教室の端末管理環境を整備するなど、新たな取り組みにもつながっています。
サーバー集約は“無理なく続けられる運用”をどう実現するか
今回の取り組みで特徴的なのは、すべてをクラウドに移行するのではなく、オンプレミスとクラウドを使い分けている点です。
取り扱うデータの性質や業務の重要度に応じて、校内に残すべきものとクラウドで活用するものを整理し、現場にとって無理のない構成を選択しています。
また、技術や製品ありきではなく、「実際に運用できるかどうか」を重視した点も重要です。現場の状況を踏まえたうえで構成を検討したことが、今回の刷新につながりました。
サーバー仮想化と集約は、単に機器を減らす取り組みではありません。運用の手間をどこまで抑えられるか、トラブル時にどれだけ早く対応できるかといった、日々の運用に直結するテーマです。
複数サーバーの管理や障害対応に課題を感じている場合には、この取り組みが自社環境を見直すヒントになるのではないでしょうか。
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