「ネットワークがつながらない」「Web会議が途中で止まってしまう」
こうしたトラブルの連絡が入ると、システム担当者は本来の業務を中断して対応に追われます。今やネットワークは企業活動の「当たり前のインフラ」となった一方で、その保守の現場は多くの課題を抱えています。
本記事では、システム担当者が直面する現実的な課題を整理し、保守と運用の違いを明確にした上で、負担を軽減するための具体的な解決策を解説します。
アウトソースを検討すべきタイミングや、保守サービスがもたらす本質的な価値についてもご紹介しますので、ぜひ自社の体制を見直す際の参考にしてください。
システム担当者が直面するネットワーク保守の課題と現実
「ネットワークが遅い」「つながらない」といった連絡により、本来の業務が中断されるケースは後を絶ちません。多くのシステム担当者が日々の保守業務に忙殺され、戦略的な業務に手が回らないのが実情です。
まずは現場が抱える「痛み」と課題を整理していきましょう。
時間を問わない障害対応の負担
24時間365日稼働するネットワークにおいて、障害は時間を問わず発生します。深夜のアラート通知による緊急対応や、休日返上の復旧作業は、担当者の心身に多大な負荷をかけることになります。こうした常時対応のプレッシャーは、業務パフォーマンスの低下や離職リスクにもつながる深刻な問題といえるでしょう。
原因切り分けの困難化と社内プレッシャー
「Web会議の映像が固まる」「クラウド上のファイルが開かない」といった申告に対する原因の切り分けは、以前よりも困難を極めています。数年前まではメールや文書ファイルが中心だった通信も、近年はWeb会議による映像・音声データや、大容量ファイルのクラウドストレージ経由での送受信が日常化しています。従業員一人あたりが扱うデータ量は飛躍的に増大しているのです。
こうした状況下で、特定のクラウドアプリケーションへ社内から直接アクセスさせるインターネットブレイクアウト等の構成変更も加わり、通信経路は複雑化しています。障害の原因が社内LAN、インターネット回線、あるいはクラウド側のどこにあるのかを即座に特定できない中、業務部門からの「いつ直るのか」という追及を受けることは、担当者にとって大きな精神的ストレスとなります。
サポート終了機器によるセキュリティリスク
EOS(販売終了)やEOL(サポート終了)を迎えた機器の継続利用は、セキュリティリスクを増大させます。実際、近年も国内の製造業や物流業において、古い機器の脆弱性を突かれたランサムウェア攻撃により、工場の稼働停止や商品の出荷停止に追い込まれる事例が相次いでいます。
しかし、リプレイスには予算確保や機器選定、設定移行など膨大な工数が必要です。日常業務との兼任状態では計画的な更新作業が後回しになりがちで、潜在的なリスクが蓄積されていくことになります。
ネットワークの保守と運用の違いとは?自社に必要な体制の見極め方
「保守」と「運用」は混同されがちですが、その役割は大きく異なります。自社に不足している機能がどちらなのかを理解することが、適切な体制構築への第一歩となります。
「事後対応の保守」と「事前対応の運用」
保守と運用は、その目的によって役割を分けることができます。保守(Maintenance)の主な役割は、障害発生時にシステムを迅速に復旧させるリアクティブ(事後対応)的な活動です。障害箇所の特定から機器交換、緊急アップデートなど、壊れた状態を正常に戻す業務が中心となります。
一方で運用(Operation)の主な役割は、障害を未然に防ぐプロアクティブ(事前対応)的な活動です。24時間体制での監視や計画的な更新作業を通じて、正常な状態を維持し続けることに重点が置かれます。実務上は、老朽化機器の計画的な交換といった予防保守のように、保守と運用の両方の要素を併せ持つ業務も多くあります。そのため、両者を明確に分けるのではなく、運用保守として包括的に捉えるのが一般的です(本記事ではこれらを総称して「ネットワーク保守」と表記します)。
保守・運用の主な業務内容
ネットワークを安定稼働させる業務は、主に「日常的な監視」「定期的な更新」「障害発生時の対応」の3つに分類できます。
日常的な監視とは、ルーター等の死活監視や通信量(トラフィック)のログチェックを行い、遅延などのトラブルの予兆を早期に発見する活動です。あわせて、不正アクセスやマルウェアによる不正通信といったセキュリティ脅威の検知・対策を行うことも欠かせません。 これらを目視だけで行うのは限界があるため、ネットワーク統合管理ソフトウェア(NMS)やクラウド型管理コンソール、あるいはベンダーが提供するリモート監視サービスで自動化するのが一般的です。
定期的な更新には、セキュリティパッチの適用や、サポート終了(EOL )を見据えた計画的な機器交換(リプレイス)が含まれます。Wi-Fi 6E/7といった最新規格へ刷新し、将来のビジネス変化に備えることも重要な業務といえるでしょう。そして障害発生時の対応では、原因の切り分けから応急処置、恒久対策まで、スピードと正確性の両方が求められます。
自社に適した体制の見極め方
特に「24時間体制の監視」や「緊急時の障害対応」は担当者のリソースを大きく圧迫します。自社の状況に合わせ、ハードウェア保守だけを依頼するか、日々の監視運用まで任せるか、必要な範囲を見極めることが重要です。
監視による予防(運用)と、万一の障害時の迅速な復旧(保守)を組み合わせることで、ネットワークの安定性は大幅に向上します。近年は、これらを包括的に提供する「マネージドサービス」や「運用保守サービス」の活用が主流となっています。
負担軽減の解決策:自社対応の限界とアウトソース
すべての業務を内製化することは、担当者の負担増大を招きます。どこまでを自社で行い、何を外部に委託すべきか、適切な判断基準を持つことで効率的な体制が構築できます。
リソース不足と属人化の深刻化
ネットワークエンジニアの人材不足は年々深刻化しており、新規採用は困難を極めています。加えて、既存担当者に業務が集中する属人化も深刻な課題です。担当者が不在の際にトラブルが発生すれば対応が遅れ、万が一退職すれば社内からノウハウが失われかねません。専門性の高い対応や24時間体制の維持を内製のみで行うことは、限界を迎えつつあるといえるでしょう。
内製化とアウトソースの使い分け
日常的な軽微な設定変更やユーザー対応は内製とし、負荷の高い24時間監視や高度な障害対応はアウトソースするなど、ハイブリッドな体制構築が現実的な解決策となります。重要なのは、自社がリソースを割くべき「コア業務」とは何かを明確にすることです。企画や戦略立案といったコア業務と、定型的な運用業務を切り分け、アウトソースする範囲を適切に整理する必要があります。すべてを外部委託するのではなく、自社がコア業務 に集中できる環境を整えることを目的とすべきです。
アウトソースを検討すべき3つのサイン
以下の3つの兆候が見られる場合、組織としての対応能力を超えている可能性が高いといえます。
- 夜間や休日の障害対応が常態化し、担当者が疲弊している
- UTMやファイアウォールのアラートログを見ても、脅威の真偽や影響度を判断できない
- ネットワーク構成図が長年更新されておらず、影響範囲が把握できないため、ファームウェア更新などのメンテナンス作業が塩漬けになっている
これらは現状の体制が限界を迎えているサインであり、アウトソースを検討すべき明確なタイミングといえるでしょう。
アウトソースするならまとめておまかせできるサービスがオススメ
複数の業務をアウトソースする場合、業務ごとに違うベンダーのサービスを利用すると、今度は契約や支払いなどの管理が煩雑になってしまうおそれがあります。なるべく業務をまとめて委託できるような、対応範囲の幅広いサービスを選ぶのがオススメです。
アライドテレシスは、ネットワークのリモート監視や障害対応をはじめとした運用支援サービス、障害からの素早い復旧を支える保守サービスに加え、IT業務を支援する業務代行サービスなどをワンストップで提供しています。ニーズに合わせて柔軟にサービスを組み合わせることも可能です。
ネットワーク保守サービスがもたらす真の価値
保守サービスの導入メリットは、単なる人件費などのコスト削減にとどまりません。担当者の「時間の創出」と、事業継続における「リスク低減」、そして「専門知識へのアクセス」という3つの価値こそが、導入の本質的なメリットです。
その結果として、現場の利用者から見れば「Web会議が途切れない」「クラウドがいつでも使える」といった当たり前の快適さが守られることにもつながります。
攻めのITへシフトするための時間創出
日々の障害対応や問い合わせ対応から解放されることで、担当者は本来注力すべき戦略的業務にリソースを割くことが可能となります。具体的には、事業計画に基づいた将来のビジネス拡大を見据えたインフラ拡張や、蓄積されたデータの分析・活用、さらには業務を変革する新システムの導入など 、企業の成長に直結する「攻めのIT」に取り組む余裕が生まれます。
また、外部の専門知識を活用することで、Wi-Fi 6E/7のような次世代規格の導入や、最新のセキュリティ対策技術への対応もスムーズに進められます。これは結果として、企業全体の競争力向上に寄与するでしょう。
守りのITを盤石にするリスク低減
専門家による24時間監視体制と、障害発生時の迅速な切り分け・復旧支援により、ネットワーク停止による事業損失リスクを最小限に抑えることができます。1章で触れたようなランサムウェア攻撃による工場停止は、単なる売上の減少だけでなく、納期遅延による顧客からの信用失墜など、取り返しのつかない事態を招きかねません。
保守サービス事業者は、日々巧妙化するサイバー攻撃の手口や技術動向を常に把握しており、自社だけでは対応困難な高度なセキュリティ脅威にも対処できます。外部の専門性を活用することは、事業継続計画(BCP)の実効性を高める上で不可欠といえます。
専門知識の活用と最新技術への対応
保守サービス事業者は、日々巧妙化するサイバー攻撃の手口や技術動向を常に把握しています。外部の知見を活用することで、自社だけでは対応困難な高度なトラブルにも対処できるだけでなく、Wi-Fi 6E/7のような次世代規格の導入ノウハウといった最新情報も得られます。これは、将来の拡張性に備えた有効な投資でもあります。
まとめ
ネットワーク保守の現場では、夜間・休日の障害対応、複雑化する原因切り分け、古い機器のリプレイス計画など、システム担当者の負担が年々増大しています。すべてを内製化するのではなく、自社の状況に応じて保守サービスを適切に活用することが重要です。
保守(事後対応)と運用(事前対応)の違いを理解し、どの業務を内製化し、どこを外部に委託すべきかを見極めることで、効率的な体制を構築できます。夜間・休日対応の常態化、セキュリティ脅威への判断困難、メンテナンス作業の停滞といったサインが見られる場合は、アウトソースを検討する明確なタイミングです。
保守サービスの導入により、担当者は戦略的な「攻めのIT」に集中でき、「守りのIT」も盤石になります。安定したネットワーク基盤の上でこそ、AI活用やデータドリブン経営といった次世代のビジネス変革が可能になります。保守体制の見直しを、将来の競争優位性を築くための戦略的投資として、計画的に進めていきましょう。
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