【接続検証】介護現場でも進むICT活用に向けて。ジーコム株式会社の介護施設向けナースコールシステムと無線LANの接続検証をご紹介

本記事では、介護施設のICT化を支えるナースコールシステムと無線LAN機器における接続性を確認したアライドテレシスとジーコムの共同検証結果と、通信安定性の重要性を解説します。

目次

高齢化による介護スタッフ不足とICTの活用

日本は世界でも有数のスピードで高齢化が進んでいます。内閣府の令和7年版「高齢社会白書」によれば、日本の65歳以上の人口は3,624万人で、総人口に占める割合(高齢化率)は29.3%となっています。その内訳を見ると、65~74歳の人口は1,547万人で総人口の12.5%を占め、一方で75歳以上の人口は2,078万人と65~74歳の人口を上回り、総人口の16.8%を占めています。令和52年(2070年)には、2.6人に1人が65歳以上、約4人に1人が75歳以上になるとの予測が出ています。

こうした状況の中で、介護施設の果たす役割はますます重要になっています。しかし、高齢化のスピードに対して介護スタッフの確保が追いついておらず、1人のスタッフが担当する入居者の数は年々増加しています。その結果、介護現場の負担が大きくなり、サービスの質やスタッフの働き方に対する課題が深刻化しています。
それでは、介護施設はどうやって入居者の健康と安全を守りながら、人が足りない中でも効率的に業務が進められるのでしょうか?そこで注目されているのが、ICTを活用した見守りやナースコールシステムです。たとえば、離れた場所からでもスマートフォンで入居者の状況を確認したり、緊急呼び出しに迅速に対応したりと、介護の質を向上させる仕組みが広がっています。

では、ICTシステムに何が大事になるのか?が次のポイントになります。通信方式にはさまざまな形態がありますが、運用する環境によっては、利便性の観点から無線LANを活用するケースも少なくありません。ただし、通信環境が不安定になると、緊急時の対応が遅れたり、スタッフの業務負担が増加したりと、現場に影響を及ぼす可能性があります。
そこで今回は、ICTの信頼性を支える「無線LANと介護用ナースコールの接続安定性」に焦点を当てて行った検証の内容をご紹介します。

ナースコールの進化と無線LANの役割

まず、介護施設におけるナースコールは、単なる「呼び出しボタン」から、映像確認や状態検知、遠隔対応を可能にする多様な機能を持ち合わせた形へと進化しています。その例として、ジーコム株式会社が提供する「ココヘルパX」「ココヘルパVP」があります。

ココヘルパX

映像・ミリ波レーダー・サーモパイルセンサーを活用し、離床動作の検知や体表温のリアルタイム測定が可能。スマートフォンで居室の映像を確認でき、緊急度の判断を迅速に行えます。

ココヘルパV

映像型活動検知機能を搭載し、専用タブレットで入居者の活動状態を把握。夜間の巡回見守りを効率化します。

このようなシステムは、その特性上、施設内のどこにいても安定した通信が求められるため、無線LANの安定性や信頼性が大事になります。通信が不安定だと、映像が途切れたり、呼び出しが届かないといったリスクが生じ、入居者の安全性、ひいては介護施設の信頼性にも関わります。

接続検証で“見えた”、通信の安定性

前章では、介護施設における高齢化の進展とスタッフの不足といった課題、そしてそれらを支えるICTの重要性についてご紹介しました。ここからは、そうした背景を踏まえて、アライドテレシスとジーコムが共同で実施した接続検証の内容をご紹介します。

今回の検証では、ジーコム株式会社が提供する介護施設向けナースコールシステム「ココヘルパX」「ココヘルパVP」と、アライドテレシス製のWi-Fi 6対応無線LANアクセスポイント「AT-TQ6702 GEN2」、さらにネットワークマネジメントソフトウェア「AT-Vista Manager EX」を組み合わせて、通信の安定性と運用管理の効率性を確認しました。

無線LANに接続されたナースコール端末が、施設内のどの無線LANアクセスポイントに接続されているか、またその接続状況や受信強度をリアルタイムで監視・可視化することで、介護現場におけるICT機器の安定運用を支える仕組みを検証しています。

今回の検証ポイント

① 無線LAN通信の安定性
施設内を移動するスタッフが使用するナースコール端末が、通信途切れなく安定して接続できるかを確認。呼び出しや映像確認がスムーズに行えるかが重要な評価ポイントです。

② ネットワークの可視化
アライドテレシスの「AT-Vista Manager EX」を活用し、GUI上で各端末の接続状況や受信強度をリアルタイムで監視。通信状態を視覚的に把握できることで、万が一のネットワークトラブル対応の迅速化にもつながります。

③ 一括管理の有効性
管理PCから複数端末の状態を一元的に管理できるかを検証。これにより、運用負荷の軽減や、施設全体でのICT機器の効率的な管理が可能となります。

<検証に用いた構成イメージ>

 

少ない人数で対応する一手に

介護施設では、限られたスタッフで多くの入居者を支える日々が続いています。人手不足が続く現場では、ICTの活用が業務効率だけでなく、入居者の安心・安全を支える手段として重要になっています。
今回ご紹介した検証では、介護用ナースコール端末が施設内のどこにいても安定して通信できること、呼び出しや映像確認が遅延や途切れなく行えることなど、介護現場に求められる“通信の信頼性”を、実機を通じて確認することができました。
通信の安定性と管理のしやすさは、ICTを現場で安心して活用するための確かな土台となります。こうした通信環境の整備は、少ない人数でも質の高いケアを継続するための、有効な一手となるのではないでしょうか。

アライドテレシスは、多くの医療機関様のネットワークを構築してきた経験とノウハウをもとに、この他にも様々な医療機器やシステムとの接続検証を実施しています。医療現場のネットワーク構築に関する取り組み、連携している機器メーカー様などの詳細は下記をご覧ください。

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S.S.

モンスター狩猟と肉焼き、音楽&映画でインドアを極める超インドア派。
この業界に身を投じたのはSDNが広まる少し前のこと。ITに携わるようになってから、某電脳アニメがより面白く感じられるように。
IT全般に関する情報や、アライドテレシスの製品・サービスの価値、そしてその先にある可能性を、どう伝えるべきかを考えながら、日々奮闘しています。

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