[index] CentreCOM ARX640S コマンドリファレンス 5.1.5

IP付加機能 / DNSリレー


基本設定
IPv4
IPv6
ドメインごとのDNSサーバー振り分け
動的に取得するDNSサーバーアドレスの使用
自装置向けDNS問い合わせ機能との併用
その他


DNSリレー(プロキシーDNS)は、本製品に対するDNSリクエストを、外部のDNSサーバーにリレーする機能です(IPv4/IPv6両対応)。

クライアント側で本製品をDNSサーバーに指定しておけば、サーバーのアドレスが変更されても、本製品に設定されているサーバーアドレスを変更するだけですむため、管理・保守効率が向上します。

また、外部DNSサーバーからの応答をキャッシュしておくことで、外部DNSサーバーへの問い合わせ回数を減らすことができます。

本機能は、DHCP/DHCPv6サーバー機能と組み合わせて、「本製品がDNSサーバーである」とDHCP/DHCPv6クライアントに通知することで、いっそう効果的な運用が可能となります。DHCPサーバーの設定については「IP付加機能」の「DHCPサーバー」を、DHCPv6サーバーの設定については「IP付加機能」の「DHCPv6サーバー」をご覧ください。

基本設定

DNSリレー機能はIPv4とIPv6の両方に対応しています。
以下ではそれぞれの基本的な設定手順を示しますが、両方を同時に使用することも可能です。

IPv4

  1. 転送先のDNSサーバーを設定します。これには、proxydns serverコマンドを使います。

    *Router(config)# proxydns server 192.168.1.10
    


  2. IPv4用のDNSリレー機能を有効にします。これには、proxydns ip enableコマンドを使います。

    *Router(config)# proxydns ip enable
    


設定は以上です。

これで本製品宛てのDNSリクエストが実際のDNSサーバーに転送されるようになります。この例では、IPv4によるDNSリクエストをDNSサーバー「192.168.1.10」にリレーします。

IPv6

  1. 転送先のDNSサーバーを設定します。これには、proxydns serverコマンドを使います。

    *Router(config)# proxydns server 3ffe:b80:3c:1::a
    


  2. IPv6用のDNSリレー機能を有効にします。これには、proxydns ipv6 enableコマンドを使います。

    *Router(config)# proxydns ipv6 enable
    


設定は以上です。

これで本製品宛てのDNSリクエストが実際のDNSサーバーに転送されるようになります。この例では、IPv6によるDNSリクエストをDNSサーバー「3ffe:b80:3c:1::a」にリレーします。

ドメインごとのDNSサーバー振り分け

転送先のDNSサーバーは、問い合わせ先のドメインごとに設定することもできます。この機能を使うと、Aドメインの問い合わせはサーバーAに、Bドメインの問い合わせはサーバーBに、その他の問い合わせはサーバーCに送る、などの設定が可能です。

次の例では、mikan.example.comドメインの問い合わせは172.16.10.1、172.16.10.2に、ringo.example.comドメインの問い合わせは172.16.20.1、172.16.20.2に、その他の問い合わせは10.10.10.1に転送するよう設定しています。

*Router(config)# proxydns server 10.10.10.1
*Router(config)# proxydns server 172.16.10.1 domain mikan.example.com
*Router(config)# proxydns server 172.16.10.2 domain mikan.example.com
*Router(config)# proxydns server 172.16.20.1 domain ringo.example.com
*Router(config)# proxydns server 172.16.20.2 domain ringo.example.com


動的に取得するDNSサーバーアドレスの使用

ここまでの例では転送先のDNSサーバーアドレスを固定で設定しましたが、次の各機能を使用している場合は、動的に取得したDNSサーバーアドレスがDNSリレーの転送先として自動的に使われます。

転送先DNSサーバーリスト上では、動的取得したDNSサーバーアドレスは、固定設定したDNSサーバーアドレスの後に追加される形となります。

前記の機能でDNSサーバーアドレスを動的に取得している場合は、DNSリレー機能を有効にするだけでDNSリレーの動作が可能です。

*Router(config)# proxydns ip enable
*Router(config)# proxydns ipv6 enable


なお、複数のインターフェースでDNSサーバーアドレスを取得する場合は、特定のインターフェースで学習したDNSサーバーについて、
といった要求があり得ますが、これは次のようにして実現できます。

■ 特定のインターフェースで学習したDNSサーバーアドレスをDNSリレーの転送先として使いたくない場合は、proxydns interface ignoreコマンドでインターフェースを指定します。たとえば、ppp 0インターフェースで学習したDNSサーバーアドレスをDNSリレーの転送先として使わないようにするには、次のようにします。

*Router(config)# proxydns interface ppp 0 ignore


■ 特定のインターフェースで学習したDNSサーバーアドレスを特定ドメインの名前解決にだけ使いたい場合は、proxydns interface domainコマンドでインターフェースとドメインを指定します。たとえば、gigabitEthernet 0.2インターフェースで学習したDNSサーバーアドレスを「flets」ドメインの名前解決にだけ使いたい場合は、次のようにします。

*Router(config)# proxydns interface gigabitEthernet 0.2 domain flets


自装置向けDNS問い合わせ機能との併用

自装置向けのDNS問い合わせ機能(ip domain lookupコマンド、ipv6 domain lookupコマンド)は、実際の問い合わせをDNSリレー機能に対して行います。そのため、DNS問い合わせ機能を使うときは、DNSリレー機能の設定も必要です。

以下、いくつか設定のパターンを示します。

■ IPv4 DNSサーバーアドレスをPPP/PPPoE(IPCP)やDHCP、IKEv2 CPで動的に取得している場合

*Router(config)# ip domain lookup
*Router(config)# proxydns ip enable


■ IPv4 DNSサーバーアドレスを手動設定する場合

*Router(config)# ip domain lookup
*Router(config)# proxydns server 192.168.1.10
*Router(config)# proxydns ip enable

Note - ip name-serverコマンドを使えば、IPv4 DNSリレー機能を使用せず直接IPv4 DNSサーバーに問い合わせを行うことも可能ですが、その場合でもip name-serverコマンドで登録したDNSサーバーがすべて無応答だったときは、最後にIPv4 DNSリレー機能への問い合わせを試みます。

■ IPv6 DNSサーバーアドレスをDHCPv6で動的に取得している場合

*Router(config)# ipv6 domain lookup
*Router(config)# proxydns ipv6 enable


■ IPv6 DNSサーバーアドレスを手動設定する場合

*Router(config)# ipv6 domain lookup
*Router(config)# proxydns server 3ffe:b80:3c:1::a
*Router(config)# proxydns ipv6 enable


その他

■ DNSリレーの転送先DNSサーバーを確認するには、show proxydnsコマンドを実行します。

*Router> show proxydns


■ DNSリレーのキャッシュ情報を消去するには、clear proxydns cacheコマンドを実行します。

*Router# clear proxydns cache


■ DNSリレーの設定を確認するには、show running-configコマンドを実行します。次の例のように、CLIのモディファイアを使って表示行を絞り込むとよいでしょう(モディファイアについては「運用・管理」/「コマンドラインインターフェース(CLI)」の「モディファイアとリダイレクション」を参照)。

*Router# show running-config | include proxydns
proxydns interface gigabitEthernet 0.2 domain flets
proxydns interface ppp 0 ignore
proxydns ip enable


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