設定例集#35: PPPoE接続環境におけるFortigate 100Dとの2点間IPsec VPN
PPPoEでインターネットに接続している拠点間をIPsecで結ぶVPN構築例です。
インターネットサービスプロバイダー(以下 ISP)から固定IPアドレスが割り当てられるルーター間をIPsec(ESP)トンネルで接続します。
この例では対向ルーターとしてFortigate 100Dを想定しています。
本設定例は、IKEv1を利用したIPsec VPNの一構成例であり、Fortigate製品との接続性を保証するものではありません。
以下に述べる手順は一例です。使用するファームウェアのバージョンなどによっては、以下の手順で接続できない可能性もあります。詳しくは、各製品のマニュアルなどをご参照ください。
構成

|
ルーターA (本製品) |
ルーターB (Fortigate 100D) |
ISPから提供された情報 |
ISP接続用ユーザー名 |
user@isp1 |
user@isp2 |
ISP接続用パスワード |
isppasswd1 |
isppasswd2 |
PPPoEサービス名 |
指定なし |
指定なし |
WAN側IPアドレス |
10.0.0.1/32 |
10.0.0.2/32 |
ルーターの基本設定 |
WAN側物理インターフェース |
eth1 |
wan1 |
WAN側(ppp0)IPアドレス |
10.0.0.1/32 |
10.0.0.2/32 |
LAN側(vlan1)IPアドレス |
192.168.10.1/24 |
192.168.20.1/24 |
VPN接続設定 |
ローカルセレクター |
192.168.10.0/24 |
192.168.20.0/24 |
リモートセレクター |
192.168.20.0/24 |
192.168.10.0/24 |
IKEフェーズ1(ISAKMP)設定 |
IKEバージョン・交換モード |
IKEv1 Mainモード |
アルゴリズム |
AES128 / SHA1 / Group2 |
ローカルID |
始点アドレス(デフォルト) |
始点アドレス |
SA有効期間 |
1時間 |
IKEフェーズ2(IPsec)設定 |
アルゴリズム |
AES128 / SHA1 |
[事前共有鍵]
本構成における設定のポイントは、次のとおりです。
- ルーターA、Bともに固定IPアドレスを持つので、どちらからでも通信を開始できます。
- LAN側端末からインターネットへのアクセスは、ルーターA、BともにVPNを介さず直接ルーティングします。
設定開始前に
自動設定の確認と削除
本設定例に掲載されているコマンドは、設定がまったく行われていない本製品の初期状態(スタートアップコンフィグなしで起動した状態)から入力することを前提としています。
そのため、通常は erase startup-config を実行し、スタートアップコンフィグが存在しない状態で起動してから、設定を始めてください。
ただし、本製品はスタートアップコンフィグなしで起動した場合でも、特定の条件を満たすと自動的な設定を行うことがあるため、その場合は設定例にしたがってコマンドを入力しても、コマンドがエラーになったり、全体として意図した動作にならない可能性があります。
これを避けるため、設定開始にあたっては次のいずれかの方法をとることをおすすめします。
- ネットワークケーブルを接続せずに起動する。
起動時に自動設定が実行されるための条件の一つに、特定インターフェースのリンクアップがあります。
ネットワークケーブルを接続しない状態で起動することにより、自動設定の適用を回避できます。
- 自動設定を手動で削除してから設定を行う。
前記の方法を採用できず自動設定が適用されてしまった場合は、「自動的な設定内容の削除」にしたがって、これらを手動で削除してから設定を開始してください。
自動設定が行われる条件などの詳細については、AMF応用編のAMFネットワーク未検出時の拡張動作をご参照ください。
システム時刻の設定
ログなどの記録日時を正確に保ち、各種機能を適切に動作させるため、システム時刻は正確にあわせて運用することをおすすめします。
特に本製品はリアルタイムクロックを内蔵していないため、起動するたびに時刻をあわせる必要があります。
ご使用の環境にあわせ、次のいずれかの方法でシステム時刻を設定してください。
ルーターA(本製品)の設定
- WANポートeth1上にPPPoEインターフェースppp0を作成します。これには、encapsulation pppコマンドを使います。
PPPの詳細は「PPP」/「一般設定」をご覧ください。
interface eth1
encapsulation ppp 0
- PPPインターフェースppp0に対し、PPPoE接続のための設定を行います。
・LCP EchoによるPPP接続状態の確認(keepalive)
・IPアドレスの固定設定(ip address)
・ユーザー名(ppp username)
・パスワード(ppp password)
・MSS書き換え(ip tcp adjust-mss)
PPPの詳細は「PPP」/「一般設定」をご覧ください。
interface ppp0
keepalive
ip address 10.0.0.1/32
ppp username user@isp1
ppp password isppasswd1
ip tcp adjust-mss pmtu
- LAN側インターフェースvlan1にIPアドレスを設定します。これにはip addressコマンドを使います。
IPインターフェースの詳細は「IP」/「IPインターフェース」をご覧ください。
interface vlan1
ip address 192.168.10.1/24
- ファイアウォールやNATのルール作成時に使うエンティティー(通信主体)を定義します。
エンティティー定義の詳細は「UTM」/「エンティティー定義」をご覧ください。
内部ネットワークを表すゾーン「private」を作成します。
これには、zone、network、ip subnetの各コマンドを使います。
zone private
network lan
ip subnet 192.168.10.0/24
network peer
ip subnet 192.168.20.0/24 interface tunnel0
network tunnel
ip subnet 192.168.100.0/30
- 外部ネットワークを表すゾーン「public」を作成します。
前記コマンドに加え、ここではhost、ip addressの各コマンドも使います。
zone public
network wan
ip subnet 0.0.0.0/0 interface ppp0
host ppp0
ip address 10.0.0.1
- ファイアウォールやNATのルール作成時に通信内容を指定するために使う「アプリケーション」を定義します。
これには、application、protocol、sport、dport、icmp-type、icmp-codeの各コマンドを使います。
アプリケーション定義の詳細は「UTM」/「アプリケーション定義」をご覧ください。
IPsecのESPパケットを表すカスタムアプリケーション「esp」を定義します。
application esp
protocol 50
- ISAKMPパケットを表すカスタムアプリケーション「isakmp」を定義します。
application isakmp
protocol udp
sport 500
dport 500
- 外部からの通信を遮断しつつ、内部からの通信は自由に行えるようにするファイアウォール機能の設定を行います。
これには、firewall、rule、protectの各コマンドを使います。
・rule 10, 20 - IPsec(ESP)パケットを許可します
・rule 30, 40 - ISAKMPパケットを許可します
・rule 50 - 内部から内部への通信を許可します
・rule 60 - 内部から外部への通信を許可します
ファイアウォールの詳細は「UTM」/「ファイアウォール」をご覧ください。
firewall
rule 10 permit esp from public.wan.ppp0 to public.wan
rule 20 permit esp from public.wan to public.wan.ppp0
rule 30 permit isakmp from public.wan.ppp0 to public.wan
rule 40 permit isakmp from public.wan to public.wan.ppp0
rule 50 permit any from private to private
rule 60 permit any from private to public
protect
- LAN側ネットワークに接続されているすべてのコンピューターがダイナミックENAT機能を使用できるよう設定します。
これには、nat、rule、enableの各コマンドを使います。
NATの詳細は「UTM」/「NAT」をご覧ください。
nat
rule 10 masq any from private to public
enable
- 対向ルーターとの間で使用するISAKMPの事前共有鍵を設定します。これにはcrypto isakmp keyコマンドを使います。
crypto isakmp key secret address 10.0.0.2
- IPsecの通信方式を規定するIPsecプロファイルを作成します。
IPsecプロファイルの詳細は「VPN」/「IPsec」をご覧ください。
ここでは、crypto ipsec profileコマンドでIPsecプロファイルを作成し、以下の情報を設定します。
・SA有効期間(lifetime)
・アルゴリズム(transform)
crypto ipsec profile ipsec1
lifetime seconds 3600
transform 1 protocol esp integrity SHA1 encryption AES128
- ISAKMPの通信方式を規定するISAKMPプロファイルを作成します。
ISAKMPプロファイルの詳細は「VPN」/「IPsec」をご覧ください。
ここでは、crypto isakmp profileコマンドでISAKMPプロファイルを作成し、以下の情報を設定します。
・IKEバージョン(version)
・SA有効期間(lifetime)
・アルゴリズム(transform)
crypto isakmp profile isakmp1
version 1 mode main
lifetime 3600
transform 1 integrity SHA1 encryption AES128 group 2
- 対向ルーターとの間で使用するISAKMPプロファイルを指定します。これにはcrypto isakmp peerコマンドを使います。
crypto isakmp peer address 10.0.0.2 profile isakmp1
- IPsecトンネルインターフェースtunnel0を作成します。
トンネルインターフェースの詳細は「VPN」/「トンネルインターフェース」を、IPsecの詳細は「VPN」/「IPsec」をご覧ください。
これには、interfaceコマンドでトンネルインターフェースを作成し、以下の情報を設定します。
・トンネルインターフェースから送信するデリバリーパケットの始点(自装置)アドレス(tunnel source)
・トンネルインターフェースから送信するデリバリーパケットの終点(対向装置)アドレス(tunnel destination)
・トンネルインターフェースに適用するローカルセレクター(tunnel local selector)
・トンネルインターフェースに適用するリモートセレクター(tunnel remote selector)
・トンネルインターフェースに対するIPsec保護の適用とIPsecプロファイルの指定(tunnel protection ipsec)
・トンネリング方式(tunnel mode ipsec)
・トンネルインターフェースのIPアドレス(ip address)
・トンネルインターフェースにおけるMSS書き換え設定(ip tcp adjust-mss)
・トンネルインターフェースのMTU(mtu)
interface tunnel0
tunnel source 10.0.0.1
tunnel destination 10.0.0.2
tunnel local selector 192.168.10.0/24
tunnel remote selector 192.168.20.0/24
tunnel protection ipsec profile ipsec1
tunnel mode ipsec ipv4
ip address 192.168.100.1/30
ip tcp adjust-mss 1260
mtu 1300
- デフォルト経路(0.0.0.0/0)とルーターBのLAN側(192.168.20.0/24)への経路を設定します。これにはip routeコマンドを使います。
ただし、ルーター間のVPN接続が有効になるまでは、対向側LANへの経路は使用できないように設定します。
IP経路設定の詳細は「IP」/「経路制御」をご覧ください。
ip route 0.0.0.0/0 ppp0
ip route 192.168.20.0/24 tunnel0
ip route 192.168.20.0/24 Null 254
- 以上で設定は完了です。
end
設定の保存
■ 設定が完了したら、現在の設定内容を起動時コンフィグとして保存してください。これには、copyコマンドを「copy running-config startup-config
」の書式で実行します。
awplus# copy running-config startup-config ↓
Building configuration...
[OK]
また、write fileコマンド、write memoryコマンドでも同じことができます。
awplus# write memory ↓
Building configuration...
[OK]
その他、設定保存の詳細については「運用・管理」/「コンフィグレーション」をご覧ください。
ファイアウォールログについて
■ ファイアウォールのログをとるには、次のコマンド(log(filter))を実行します。
awplus(config)# log buffered level informational facility local5 ↓
■ 記録されたログを見るには、次のコマンド(show log)を実行します。ここでは、ファイアウォールが出力したログメッセージだけを表示させています。
awplus# show log | include Firewall ↓
ルーターB(Fortigate 100D)の設定
Fortigate 100Dの設定に関する詳細は、Fortigate 100Dのドキュメントをご参照ください。
- あらかじめ192.168.100.0/24のサブネット内のIPアドレスを設定したコンピューターをFortigate 100Dのlanインターフェースに接続して「http://192.168.100.99」をWebブラウザーで開くと、LOGIN画面が表示されます。
ユーザー名とパスワードを入力して[Login]をクリックします。
初期状態でのユーザー名は「admin」、パスワードはなし(空欄)です。

- Status画面が表示されます。

- まず、言語設定を行います。
画面左のメニューから[System]-[Admin]-[Settings]を選択し、Administrators Settings画面が表示されたら、「View Settings」の「Language」を「Japanese」に変更し、[Apply]をクリックします。

- 次に、LAN インターフェースの設定を行います。
画面左のメニューから[システム]-[ネットワーク]-[インターフェース]を選択し、インターフェースリストの画面が表示されたら、[lan]をクリックで選択し、[Edit]をクリックします。

- lanインターフェースの編集画面が表示されます。
以下のようにlanインターフェースの設定を変更し、[OK]をクリックします。
[IP/ネットワークマスク] 192.168.20.1/255.255.255.0
[DHCPサーバ] 無効(チェックなし)

OKを押すと機器のIPアドレスが変更されるため、設定画面は更新されません。
- コンピューターのIPアドレス設定を「192.168.20.0/24」内のIPアドレスに変更した後、「http://192.168.20.1」をWebブラウザーで開き、再度Status画面を表示させます。
ルーターBのDHCPサーバー機能は無効になっていますので、コンピューターの設定はご自身で変更してください。
- 次に、WANインターフェースの設定を行います。
画面左のメニューから[システム]-[ネットワーク]-[インターフェース]を選択し、インターフェースリストの画面が表示されたら、[wan1]をクリックで選択し、[Edit]をクリックします。

- wan1インターフェースの編集画面が表示されます。
以下のようにwan1インターフェースの設定を変更し、[OK]をクリックします。
[アドレッシングモード] PPPoE
[ユーザ名] user@isp2
[パスワード] isppasswd2
[unnumbered IP接続] 10.0.0.2

- 次に、IPsecで使用するトンネルインターフェースを作成します。
画面左のメニューから[VPN]-[IPsec]-[トンネル]を選択し、トンネルリストの画面が表示されたら、[Create New]をクリックします。

- VPN作成ウィザード画面が表示されます。
[カスタムVPNトンネル(テンプレートなし)]をクリックで選択し、名前に「tunnel0」と入力し、[次へ>]をクリックします。

- VPNトンネルの作成画面が表示されます。
以下のようにトンネルインターフェースの設定を変更したら、[OK]をクリックします。
ネットワーク
[IPアドレス] 10.0.0.1
[インターフェース] wan1
認証
[事前共有鍵] secret

Phase 1 プロポーサル
[Diffie-Hellman Group] 2
[鍵の有効時間(秒)] 3600

Phase 2 の作成
[ローカルアドレス] 192.168.20.0/255.255.255.0
[リモートアドレス] 192.168.10.0/255.255.255.0

Phase 2 の作成 - 高度な設定 - Phase 2 プロポーサル
[Perfect Forward Secrecy(PFS)を有効] 無効(チェックなし)
[自動鍵キープアライブ] 有効(チェックあり)
[オートネゴシエーション] 有効(チェックあり)
[秒] 3600

- 次に、ルーティングの設定を行います。
まず、ルーターAのLAN側(192.168.10.0/24)への経路を設定します。
画面左のメニューから[ルータ]-[スタティック]-[スタティックルート]を選択して、スタティックルートリストの画面が表示されたら、[Create New]をクリックします。

- スタティックルートの追加画面が表示されます。
以下のように設定を変更したら、[OK]をクリックします。
[宛先IP/マスク] 192.168.10.0/255.255.255.0
[デバイス] tunnel0

- 次に、ルーター間のVPN接続が有効になるまでは、対向側LANへの経路は使用できないようにNull経路を設定します。
スタティックルートリストの画面が再度表示されるので、[Create New]をクリックします。

- スタティックルートの追加画面が表示されます。
以下のように設定を変更したら、[OK]をクリックします。
[宛先IP/マスク] 192.168.10.0/255.255.255.0
[デバイス] なし(ブラックホール)
[Administrative Distance] 254

- 次に、ファイアウォールポリシーの設定を行います。
まず、LAN→IPsecトンネル方向のポリシーを作成します。
画面左のメニューから[ポリシー&オブジェクト]-[ポリシー]-[IPv4]を選択して、ポリシーリストの画面を表示されたら、[Create New]をクリックします。

- ポリシーの作成画面が表示されます。
以下のように設定を変更したら、[OK]をクリックします。
[入力インターフェース] lan(VLAN ID:0)
[送信元アドレス] all
[出力インターフェース] tunnel0
[宛先アドレス] all
[サービス] ALL

- 次に、IPsecトンネル→LAN方向のポリシーを作成します。
ポリシーリストの画面を再度表示されるので、[Create New]をクリックします。

- ポリシーの作成画面が表示されます。
以下のように設定を変更したら、[OK]をクリックします。
[入力インターフェース] tunnel0
[送信元アドレス] all
[出力インターフェース] lan(VLAN ID:0)
[宛先アドレス] all
[サービス] ALL

- 次に、WAN→WAN方向のESPを許可するポリシーを作成します。
ポリシーリストの画面を再度表示されるので、[Create New]をクリックします。

- ポリシーの作成画面が表示されます。
以下のように設定を変更したら、[OK]をクリックします。
[入力インターフェース] wan1
[送信元アドレス] all
[出力インターフェース] wan1
[宛先アドレス] all
[サービス] ESP
[ファイアウォール/ネットワークオプション]-[NAT有効] OFF

- 次に、WAN→WAN方向のIKEを許可するポリシーを作成します。
ポリシーリストの画面を再度表示されるので、[Create New]をクリックします。

- ポリシーの作成画面が表示されます。
以下のように設定を変更したら、[OK]をクリックします。
[入力インターフェース] wan1
[送信元アドレス] all
[出力インターフェース] wan1
[宛先アドレス] all
[サービス] IKE
[ファイアウォール/ネットワークオプション]-[NAT有効] OFF

- ポリシーリストの画面が再度表示されます(手順16.~23.で設定したポリシーが再度表示されます)。
なお、設定情報は、これまでの操作を行なった際に自動的に更新されていますので、保存操作は不要です。

ルーターA(本製品)のコンフィグ
!
interface eth1
encapsulation ppp 0
!
interface ppp0
keepalive
ip address 10.0.0.1/32
ppp username user@isp1
ppp password isppasswd1
ip tcp adjust-mss pmtu
!
interface vlan1
ip address 192.168.10.1/24
!
zone private
network lan
ip subnet 192.168.10.0/24
network peer
ip subnet 192.168.20.0/24 interface tunnel0
network tunnel
ip subnet 192.168.100.0/30
!
zone public
network wan
ip subnet 0.0.0.0/0 interface ppp0
host ppp0
ip address 10.0.0.1
!
application esp
protocol 50
!
application isakmp
protocol udp
sport 500
dport 500
!
firewall
rule 10 permit esp from public.wan.ppp0 to public.wan
rule 20 permit esp from public.wan to public.wan.ppp0
rule 30 permit isakmp from public.wan.ppp0 to public.wan
rule 40 permit isakmp from public.wan to public.wan.ppp0
rule 50 permit any from private to private
rule 60 permit any from private to public
protect
!
nat
rule 10 masq any from private to public
enable
!
crypto isakmp key secret address 10.0.0.2
!
crypto ipsec profile ipsec1
lifetime seconds 3600
transform 1 protocol esp integrity SHA1 encryption AES128
!
crypto isakmp profile isakmp1
version 1 mode main
lifetime 3600
transform 1 integrity SHA1 encryption AES128 group 2
!
crypto isakmp peer address 10.0.0.2 profile isakmp1
!
interface tunnel0
tunnel source 10.0.0.1
tunnel destination 10.0.0.2
tunnel local selector 192.168.10.0/24
tunnel remote selector 192.168.20.0/24
tunnel protection ipsec profile ipsec1
tunnel mode ipsec ipv4
ip address 192.168.100.1/30
ip tcp adjust-mss 1260
mtu 1300
!
ip route 0.0.0.0/0 ppp0
ip route 192.168.20.0/24 tunnel0
ip route 192.168.20.0/24 Null 254
!
end
備考:ルーターA(本製品)のIPアドレスが不定な場合
ルーターA(本製品)のWAN側IPアドレスが不定(動的割り当て)の場合、IPsec VPNの設定をどのように変更すればよいか説明します。
|
ルーターA (本製品) |
ルーターB (Fortigate 100D) |
ISPから提供された情報 |
ISP接続用ユーザー名 |
user@isp1 |
user@isp2 |
ISP接続用パスワード |
isppasswd1 |
isppasswd2 |
PPPoEサービス名 |
指定なし |
指定なし |
WAN側IPアドレス |
動的割り当て(IPCP) |
10.0.0.2/32 |
ルーターの基本設定 |
WAN側物理インターフェース |
eth1 |
ethernet0/2 |
WAN側(ppp0)IPアドレス |
接続時にISPから取得 |
10.0.0.2/32 |
LAN側(vlan1)IPアドレス |
192.168.10.1/24 |
192.168.20.1/24 |
VPN接続設定 |
ローカルセレクター |
192.168.10.0/24 |
192.168.20.0/24 |
リモートセレクター |
192.168.20.0/24 |
192.168.10.0/24 |
IKEフェーズ1(ISAKMP)設定 |
IKEバージョン・交換モード |
IKEv1 Aggressiveモード |
アルゴリズム |
AES128 / SHA1 / Group2 |
ローカルID |
client |
始点アドレス |
SA有効期間 |
1時間 |
IKEフェーズ2(IPsec)設定 |
アルゴリズム |
AES128 / SHA1 |
ルーターAのIPアドレスが不定な構成における設定のポイントは、次のとおりです。
- ルーターAのアドレスが不定のため、ルーターBからルーターAに接続することはできません。つねにルーターAから接続を開始することになります。
- ルーターAのアドレスが不定なため、IKEフェーズ1ではAggressiveモードを使い、ルーターAのローカルIDとして文字列(名前)を使用します。
- LAN側端末からインターネットへのアクセスは、ルーターA、BともにVPNを介さず直接ルーティングします。
以下、IPsec VPNに関する変更点だけを示します。
ルーターAの設定変更
■ ppp0のIPアドレスをIPCPにより自動取得するように変更します。
intereface ppp0
ip address negosiated
■ 外部ネットワークゾーンの「public」に設定されているホスト「ppp0」のIPアドレスをppp0の動的IPアドレスに変更します。
zone public
network wan
host ppp0
no ip address 10.0.0.1
ip address dynamic interface ppp0
■ IKE交換モード(version)をAggressiveモードに変更します。
crypto isakmp profile isakmp1
version 1 mode aggressive
lifetime 3600
transform 1 integrity SHA1 encryption AES128 group 2
■ トンネルインターフェースの始点アドレス(tunnel source)をインターフェース名(ppp0)に変更し、ローカルID(tunnel local name)を指定します。
interface tunnel0
tunnel source ppp0
tunnel local name client
ルーターBの設定変更
■ トンネルインターフェースの設定を変更します。
画面左のメニューから[VPN]-[IPsec]-[トンネル]を選択して、トンネルリストの画面を表示されたら、[tunnel0]をクリックで選択し、[edit]をクリックします。

■ VPNトンネルの編集画面が表示されます。
以下のように設定を変更したら、[OK]をクリックします。
ネットワーク
[リモートゲートウェイ] ダイアルアップユーザ

認証 - IKE
[モード] アグレッシブ

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