資料や教材のデジタル化に加え、キャンパス内に持ち込まれる端末も増え、学内のネットワークは各教室からキャンパス全体へと年々規模が拡大しています。こうした状況でも、大学のICT基盤には学習を止めない安定性と、少人数でも対応し続けられる運用継続性が求められています。
この記事では、学習環境の改善とキャンパスネットワークの統合管理を実現した徳島文理大学と岡山県立大学の事例をご紹介します。
変化する大学ICTにどう対処しているのかー2つの大学の取り組みを見ていきます。
大学ICTに共通するネットワーク課題とは
かつて大学に求められていたネットワークは、特定の教室や研究室といった限られた場所でつながれば十分という位置づけでした。教育のデジタル化が進むにつれ、教材や資料のデジタル化だけでなく、授業資料の配布やレポート提出、学習管理システムの利用など、日々の学びそのものがネットワークを前提とする形に変わっています。その結果、日常的にPCやタブレットなど複数の端末を持ち歩くようになったことで、学内全土で場所を問わない学習環境の整備が求められています。
一方で、ネットワークの規模は年々大きくなり、学習サービスや研究データへのアクセスといったクラウドサービスの利用が進んでいます。その分、運用・管理の負担も大きくなり、学びを止めない安定した通信環境の維持とともに、障害が発生した際でもスピーディーに対応できる体制が重要です。
さらに近年は、学生が自分の端末を持ち込んで学ぶBYODの考え方や、全国の大学や研究機関をつなぐ学術情報ネットワーク(SINET)の活用も広がっているため、さらなる活用を見据えた柔軟に拡張できるネットワーク整備も欠かせません。
このように、「学びを止めないこと」と「効率よく安定して運用すること」ーこの2つの両立が今、大学ICTの現場で課題となっています。
次章では、どのように解決していったのかを大学ごとにご紹介します。
R.K.こんなお悩みのある方におすすめの記事です!
・大学の情シス・ICT担当として、広いキャンパスや複数棟を少人数で安定運用することを求められている
・障害時に現場対応が多く、運用が属人化していると感じている
・BYODの増加により、無線LANや認証・セキュリティに不安を感じている
・キャンパス移転・再編を控え、最適なネットワーク構成を見つけたい
・BCPや将来の拡張を見据え、長く使える大学ICT基盤を検討したい
徳島文理大学 高松駅キャンパス:都市型キャンパスに最適化したネットワーク改革
徳島文理大学の悩みと実現できたこと
徳島文理大学では、複数キャンパスをまたいで運用されるネットワークの安定性と、将来を見据えた基盤整備が課題となっていました。複数棟が点在する郊外型キャンパスでは、建物間の距離があることや構成の複雑さゆえに、現場を走り回っての対応や基幹スイッチが落ちると復旧までに大幅な時間を要していた状況がありました。ネットワーク速度もまた、敷設されているケーブルでは増速できないという課題があり、敷設し直しも含めた構成の再検討も求められました。
さらに、郊外型のキャンパスから地上18階・地下1階建てのキャンパスへの移転も計画されており、都市型キャンパスにふさわしいネットワーク環境の構築も必要でした。


こうした課題を背景に、基幹ネットワークの10Gbps化とネットワーク構成の見直しを実施。シンプルな構成かつ少人数でも安定したネットワークを運用できる体制を実現しました。
採用ポイント
- キャンパス全体を支える基幹ネットワークを10Gbps化し、将来的な通信量増加にも対応できる基盤
- 障害ポイントを削減することで、影響や運用負荷を最小限に抑えられる構成
- 複数キャンパスをまとめて把握・管理でき、少人数体制でも安定運用可能な統合管理の仕組み
- 廊下・ホール・体育館まで含めた全館無線化により、キャンパスのどこでも学びを止めない環境を実現
導入後の成果・現場の声
基幹ネットワークの10Gbps化と構成の見直し、あわせて統合管理の仕組みを整えたことで、キャンパス全体の通信が安定し、日常的な運用の負担も大きく軽減されました。
ネットワークトラブルが発生しても、管理画面から状況を把握できるため、影響範囲を最小限に抑えた対応が可能になっています。「以前のように、障害が起きるたびにキャンパス中を走り回る必要はなくなりました。どこで何が起きているかがすぐ分かるので、初動がとても楽になっています」と、現場の声も。さらに、利用者が集まる時間帯がはっきりしている都市型キャンパスの特性を活かし、事前に傾向を把握しトラブルを未然に防ぐことができるようになりました。
また、無線LAN環境がキャンパスのどこでも利用できるようになり、今後のBYODやSINET活用に向けた基盤としても、安心して使い続けられる大学ICT環境が実現しています。
岡山県立大学:BYOD時代に対応するセキュアなネットワークと統合管理を両立
岡山県立大学の悩みと実現できたこと
岡山県立大学では、学生の学習環境を支える無線LANが図書館や共用部を中心とした提供にとどまり、教室内では十分に活用できない状況が続いていました。そのため、資料配布や情報共有のデジタル化が進む中で、教室でも安定してネットワークを利用できる環境づくりが求められていました。
一方、無線LANアクセスポイントをはじめとしたネットワーク機器の増加により、運用・管理が煩雑になり全体の状況を把握しにくく、障害対応や日常運用の効率化が課題となっていました。
また、オンライン活用や将来的なBYODの進展を見据えると、「誰が・どの端末で利用しているのか」を把握できる仕組みや、セキュリティ面の整備も課題となっていました。


こうした課題を背景に、無線環境のエリアを教室内まで拡張するとともに、学内ネットワーク全体の更新と統合管理を実施。無線/有線を含めた利用状況の可視化と管理の効率化を進め、学習環境の改善と運用負荷の軽減を同時に実現しました。
採用ポイント
- 無線環境のエリアを教室内まで拡張し、将来的なBYOD活用を見据えた学習環境を整えられる構成
- 学内ネットワーク全体を一元的に可視化・管理でき、運用の属人化を防げる仕組み
- 既存の配線を活かしながら帯域を拡張でき、コストを抑えて通信性能を向上できる点
- 認証システムの整備で、利用状況の把握とセキュリティ強化を同時に実現
導入後の成果・現場の声
無線環境のエリア拡張により、教室内でも安定した通信環境が利用できるようになり、学生が端末を活用した授業に自然に取り組める環境が整いました。教室内だけでなく廊下やホールまでも無線が利用できるエリアとなったことで、キャンパス内のどこにいても学生・教員問わずネットワークを意識することなく使うことができ、学習の自由度も高まっています。「アクセスポイントやネットワーク全体の状況を一画面で確認できるようになり、管理が非常にしやすくなりました。切り替え後も大きな混乱はなく、運用はスムーズです」との声も。
さらに、利用状況の可視化や認証の仕組みを整えたことで、今後のBYOD本格化やセキュリティ対策強化にも備えられる基盤が整いました。日常の運用負荷を抑えながら、学びを支え続ける大学ICT環境として、安心して使い続けられるネットワークを実現しています。
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