「つながらない」が授業を止める。あの学校はネットワークをどう見直したか

児童・生徒はタブレットを活用し、教員はクラウドから資料を共有する、そんな授業風景が当たり前となりました。一方で、「遅い」「つながらない」が続けば、授業は止まり、学びの流れも途切れてしまいますが、そのたびにITの運用担当者は原因を探し対応する―負担も小さくはありません。今回は、こうした課題を抱えていた北里大学附属順天中学校・高等学校が、校内のICT環境をどのように見直したのかをご紹介します。

目次

「つながらない」が、いつの間にか大きな問題に

授業中、動画がなかなか再生されない。クラウド上の資料は開かず、いったん教員も児童・生徒も手が止まる。一度なら待てても“ちょっと待つ”の時間が積み重なれば、授業の流れは途切れてしまいます。動画の視聴や、一人ひとりが端末を操作する場面が増えたいま、ネットワークは「あると便利」なものではなく、授業や校務を支える大切な基盤になっています。

問題なくつながっている間は、ネットワークの存在を意識することはほとんどないでしょう。予算を検討する際も、「いま動いているなら、もう少し先でも」と判断されがちです。目に見えて壊れていなければ、不調を感じていても優先順位は上がりにくい。しかし、ネットワークが停止してしまうような障害などが起きれば、授業と校務の両方に影響が及びます。

ですが、「遅い」「つながらない」という声を受け止められる担当者が限られている学校もあります。それこそ増設を重ねて新旧の機器が混在していれば、どこで通信が滞っているのかを確かめるだけでも時間がかかります。本来の業務と並行して対応する担当者にとって、ネットワークの不調は日々の負担なのです。

以前は使えていたのに、なぜ止まるようになったのか

北里大学附属順天中学校・高等学校でも、授業中に通信が極端に遅くなったり、ときには切れてしまうことがありました。そこで「以前は使えていたのに、なぜ止まるのか・・・」と確認を進めると、探究学習や協働学習が広がり、扱うデータ量そのものが大きく増えていたことが分かりました。

動画の視聴やリアルタイム通信が常に発生する状態は、これまでと同じネットワークでも、流れる情報量は増えているのです。この影響は一部の教室だけではなく、ICTを前提とした学び全体に及ぶ状態になっていました。

そこで同校は、機器の性能だけを比べるのではなく、「導入後、誰がどのように支え続けるのか」まで含めて検討しました。機器を入れ替えるだけでなく、その後の運用も見据えてICT環境を再整備することにしたのです。

同じ機器でも、困ったときの相談先や見守り方が違えば、日々の使いやすさは変わります。学校という環境を理解し、設置後の運用まで一緒に担えるか。同校はその点も重視して、改善策を検討しました。

「増やす」より「見直す」から始めた

ネットワークの刷新というと、新しい機器への交換や増設を思い浮かべるかもしれません。しかし、同校が最初に着目したのは、機器の新しさや数ではなく“どこが弱いのか”でした。以前から電波が届きにくいという声があった会議室では、アクセスポイントを一律に増やすのではなく、利用状況に合わせて配置を見直しました。校庭にも通信エリアを広げ、部活動中の不慮の接触などによる破損を防ぐため、景観に配慮した保護カバーを設置。どこで、どのように使われているのかを確認し、学校の利用状況に合わせた対策を重ねていきました。

「Wi-Fiが遅い」と聞くと、アクセスポイントに原因があると考えがちです。ただし、問題はその先の有線ネットワークにあるかもしれません。端末から無線で送られた通信も、その後は有線の経路を通ります。同校では、ルーターからスイッチまでを結ぶ幹線を高速化し、通信が集中しても滞りにくい構成に見直しました。無線の不調であっても、確認すべき場所は無線だけではなかったのです。

運用にも変化が。自分たちで一から異常や原因のある部分を探すことから、異常があれば外部監視から学校に連絡が入り、その状況を把握した形で動けるように変わりました。現在は校内のネットワークが常に見守られる体制になり、負担も減りました。併せて、学校側でも画面からネットワークの状態が確認できる環境を作っています。

なお、周囲の電波状況に合わせてWi-Fiの環境が自動で整えられ仕組みも取り入れ、専門知識を持つ人が校内に常駐していなくても、安定した状態を保ちやすくしました。

機器を先に増やすのではなく、まず困っている場所を確かめる。無線だけでなく、その先の有線も確認する。さらに、導入後に誰がどのように見守るのかまで考える。同校は、この順番で見直しを進めました。

つながるようになって、現場から減ったもの

今回の見直しによって、まず効果が出たのが“担当者の対応時間の短縮”でした。以前は月に何度も寄せられていた「つながらない」という声が、現在はほとんどなくなったといいます。原因の切り分けやトラブル対応にかかる時間が減り、担当者の負担も軽くなりました。現在では、もし深夜に異常が起きた場合でも、遠隔から状況が確認され、必要な対応が進められます。

ルーターからスイッチまでを結ぶ幹線を高速化し通信が安定したことで、校内サーバーへ接続するために欠かせなかった有線接続も、現在では教員用Wi-Fiが安定したことで廊下や面談室、別棟の教室からと、どこでも校務システムを利用できるように。オンライン会議の参加にも支障が出なくなり、今では場所を選ばずに使える環境が、日々の授業と校務を支えています。

当たり前につながる、その裏側を見てみると

ネットワークは、問題なくつながっているときほど意識されません。今回の事例では、課題を見極める順番、無線と有線を一体で捉える視点、導入後の見守り方までを見直したことで、授業の中断や担当者の対応負担が減りました。

同校がどのような判断を重ね、ICT環境を再整備したのか。詳しくは下記の導入事例で紹介しています。

  • 本記事の内容は公開日時点の情報です。
  • 記載されている商品またはサービスの名称等はアライドテレシスホールディングス株式会社、アライドテレシス株式会社およびグループ各社、ならびに第三者や各社の商標または登録商標です。

\注目情報をメールマガジンでいち早くお届け/
あなたの業種に合わせた旬な情報が満載!


あなたの業種に合わせた旬な情報をお届け!


この記事をシェアしよう
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

S.S.のアバター
S.S.

モンスター狩猟と肉焼き、音楽&映画でインドアを極める超インドア派。
この業界に身を投じたのはSDNが広まる少し前のこと。ITに携わるようになってから、某電脳アニメがより面白く感じられるように。
IT全般に関する情報や、アライドテレシスの製品・サービスの価値、そしてその先にある可能性を、どう伝えるべきかを考えながら、日々奮闘しています。

各コンテンツから
あなたに役に立つ情報をお届けします

目次