北里大学附属順天中学校・高等学校 様

<教育ICT>障害対応が「実質ゼロ」に――24時間365日の監視体制と校内全域の安定通信で、探究から研究へ深化する次世代教育の基盤を確立

探究学習や1人1台端末の普及により、学校のネットワークは「あると便利」な存在から、「学びを支える基盤」へと変わりつつある。「つながらない」ことは、授業そのものが止まることを意味する。北里大学附属順天中学校・高等学校でも、通信遅延や接続不良が顕在化し、従来のネットワーク環境の限界が浮き彫りになっていた。そこで同校が目指したのは、教職員や生徒が意識せずに使える“安定したICTインフラ”の実現である。全館Wi-Fi化と24時間365日のリモート監視により、校内どこでも安心して使えるネットワーク基盤を整備。ICTトラブルに煩わされることなく、教職員が本来の教育活動に集中できる環境が、大学附属校として深化する同校の学びを静かに支えている。(2026年4月公開)

小中高等学校 関東
目 的
無線LANの導入 ネットワークの安定稼働 通信の改善(高速化・帯域強化) セキュアなインターネット接続 運用・管理の効率化 セキュリティの強化 ネットワーク監視の強化 運用・管理・監視を外部委託 業務効率の向上 働き方改革
プロダクト・サービス
無線LANアクセスポイント AWC スイッチ Vista Managerシリーズ ルーター UTM&VPN Net.Monitor
規 模
1,000~4,999
課 題
・探究学習・協働学習へのシフトで急増する通信量
・通信遅延や接続不良の頻発による授業や校務への影響
・障害発生時の原因切り分けにかかる運用負荷の増大
採用ポイント
・24時間監視と予兆検知から復旧まで一気通貫の運用支援
・ネットワーク全体の稼働状況を直感的に把握できる監視ポータル
・学校環境を熟知したパートナーとの連携による信頼感
効 果
・校内全域で使える通信環境を整備して授業や校務の自由度が向上
・障害対応「実質ゼロ」化で学習・教育活動に専念できる環境を構築
・「予兆で防ぐ」運用転換により授業や校務を止めない安定基盤を確立

高度化する教育環境が突きつけたネットワークの限界と刷新の決断

 北里大学附属順天中学校・高等学校(略称:北里順天)は、長年にわたり「国際教育」と「理数教育」を柱に据え、SGH(スーパーグローバルハイスクール)の指定を受けるなど、先進的な教育に取り組んできた。
 同校のICT環境は近年大きく変化している。動画視聴を伴う学習が日常化するにつれ、その重要性は教育活動を支える「インフラ」へと位置づけられるようになった。しかし、ネットワーク基盤には長年の運用による歪みが生じていた。理科教諭で教務副部長としてICT管理も担う肥田規幸氏は、「端末の増加にともない、無線LANアクセスポイントは新旧混在の継ぎはぎ状態でした」と振り返る。ネットワークの複雑化が現場の負担となり、原因の切り分けが困難なまま、トラブルのたびに肥田氏一人が対応していた。
 刷新の引き金となったのは、特定の教室で発生した通信トラブルだった。授業中に通信が極端に遅くなり、時には切断されることもあった。背景にあったのは、1人1台端末の定着と、扱うデータ量の急増である。探究学習や協働学習が進み、高画質動画の視聴やリアルタイム通信が日常化したことで、既存ネットワークの処理能力が限界に近づいていた。こうした通信トラブルは、単に授業の進行を妨げるだけでなく、ICTを前提とした学びそのものを停滞させるリスクとなっていた。「インフラとしてつながらない場所があることは、許されない状況でした」(肥田氏)
 そこで2025年夏、同校はネットワークの全面更改に踏み切った。3〜4社を比較検討し、重視したのは機器性能だけでなく運用まで含めた「総合的なパフォーマンス」である。決め手となったのは、アライドテレシスの運用支援サービス「Net.Monitor」。利用者向けに提供されるポータルからは、ネットワークの稼働状況を自分たちでも把握することができる。エラー表示が多く状況把握が難しかった従来の利用ツールと異なり、直感的なUIによりネットワークの「見える化」を実現できると判断した。「これなら問題箇所が一目で分かります」と事務局の古内隆聖氏も評価。
 さらに、場当たり的な対応から脱却し、24時間365日の見守り体制を構築できる点も重要だった。ICT環境を熟知するパートナーの株式会社カントーとアライドテレシスの連携体制も、選定を後押しした。

物理環境に寄り添った設計で、死角のない無線LAN環境を実現

 今回のネットワーク刷新における運用の核が、運用支援サービス「Net.Monitor」と、チャンネルや電波出力を最適化する自律型無線LAN技術「AWC(Autonomous Wave Control)」だ。
 Net.Monitorは、いわばネットワークの健康状態を24時間体制で遠隔から見守る「警備員」のような役割を果たす。異常があれば現場より先に検知し、トラブルを未然に防ぐ。一方のAWCは、周囲の電波状況を分析し、チャンネルや出力を自律的に調整する。専門知識を持つ担当者が常駐していない場合でも、「常につながりやすい状態」を維持し、異常があればすぐに専門家が対応する体制が整った。
 さらに、無線LANの安定運用を支える土台として、ルーターからコア・スイッチ、各PoEスイッチまでの幹線を10GbE化し、有線側のボトルネックを解消した(末端は1GbE)。
 無線LANアクセスポイントにはWi-Fi 6対応「AT-TQ6702 GEN2」を採用。AWCを組み合わせることで、通信状況に応じた最適な制御が可能となり、校内全体で安定した無線環境を実現している。
 実際の配置では、過去の経験に基づいた「マイナーチェンジ」が行われた。単に数を増やすのではなく、これまで「つながりにくい」と声が上がっていた箇所をピンポイントで改善していった。「会議室で電波が拾えないと、『何のためのWi-Fiだ』という不満が出ていました。今回はそうした場所を重視して配置を見直しました」(肥田氏)。その結果、今では教員がPCを持って校内どこでもスムーズに仕事ができる環境が実現している。
 また、今回の刷新では新たに校庭(中庭)にも無線エリアを拡張。校庭ではバトン部の練習で、投げ上げたバトンが天井の無線LANアクセスポイントに当たり、破損するリスクがあったため、学校ならではの配慮が求められた。この課題に対し、パートナーのカントーは、堅牢かつ景観を損なわない白い特注のカバーを提案・設置。
 「カバーの写真を見せて丁寧に説明したところ、納得してもらえました。非常にきれいに設置していただき助かりました」(古内氏)。安全性とデザイン性を両立させたこの細かな配慮が、校庭の活用を支えている。

運用負荷は「実質ゼロ」へ。安定した基盤がもたらした教職員の心理的解放

 ネットワーク刷新の恩恵は教職員の働き方にも変化をもたらした。以前は校内サーバーへアクセスするには有線LANでの接続が必須であったが、現在は全館で教員用Wi-Fiが安定して利用可能に。これにより、廊下や面談室、さらには別棟の教室など、場所を選ばずに校務システムへのアクセスやオンライン会議が行えるようになった。
 最も劇的な変化は、教職員の運用負荷の激減である。かつては月に何度も寄せられていた「つながらない」という苦情や障害対応について、肥田氏は「現在は一切なく、負担は実質ゼロ」と断言する。事務局の古内氏も、肥田氏からの依頼がなくなったことで自身の業務負担が軽減されたと語り、組織全体でインフラ対応に時間を奪われることがなくなった。
 トラブルが「起きてから対処する」受動的な運用から、Net.Monitorによる「予兆で防ぐ」能動的な運用へと転換したことも大きい。例えば、深夜にネットワークのループが検出された際も、監視センターで遠隔から検知・メール通知を行い、早期に解消される体制が整っている。
 「以前は床に転がっているハブを目視で確認し、ループ箇所を自力で探していたことも」と肥田氏は振り返る。現在は専門家による24時間365日の見守り体制があることで、現場が気づく前に問題が解決される。この「一気通貫のサポート体制」が、教職員に大きな安心感を与えている。
 ネットワークの安定性と並行して、教育機関として不可欠なセキュリティ対策も強化された。まず、物理的な回線は共有しつつも、教員用と生徒用のネットワークを論理的に分離し、互いの通信が干渉しない構成を維持。さらに、今回から新たにMACアドレス認証(端末固有の識別番号による接続許可)を導入した。これにより、許可された端末以外の接続を制限し、部外者による不正利用や予期せぬデバイスの侵入を防いでいる。
 生徒が安心・安全に利用できるよう、FortiGate(UTM)によるカテゴリごとのフィルタリングやアプリ制御も実施されている。生徒用端末では、学習に適さないコンテンツへのアクセスやSNSの利用を制限することで、授業に集中できる環境を整えた。これらの強固なネットワーク基盤は、将来的な防犯カメラの増設やICT機器のさらなる拡充も見据えた設計となっており、次なる教育展開を支える確かな土台となっている。

安定した基盤の先に広がる、次世代の学びとネットワークの可能性

 ネットワーク基盤が安定したことで、同校の教育は次の段階へと進みつつある。
 2026年4月から北里大学の附属校となり、高大連携を見据えた教育の深化が進んでいる。データサイエンスや3Dモデリングといった高度な学びにおいても、常時接続を前提とした探究型授業をより実践しやすい環境が整った。今後は、校内ファイルサーバーのクラウド化も視野に入れ、より柔軟で拡張性の高いICT環境の構築を検討している。
 加えて、運用面では大学・附属校間でのネットワーク活用やデータ連携といった取り組みの幅も広がりつつある。インフラの整備が、教育の枠組みそのものを拡張している。
 一方、校内環境が整った今、次の課題として挙がっているのが新田キャンパスのネットワーク整備である。体育系授業における動画活用や、部活動・宿泊利用といった多様なシーンでのICT活用を支えるため、屋外環境を含めた安定した通信基盤の構築が求められている。将来的には、キャンパス間をシームレスに接続し、学びの場を横断するネットワーク環境の実現も視野に入れる。
 “つながること”が当たり前となった今、その先にあるのは、場所や時間にとらわれない新しい学びのかたちである。同校の取り組みは、教育DXを支えるインフラのあり方に一つの示唆を与えている。

導入ネットワーク構成イメージ図

導入企業基本情報

北里大学附属順天中学校・高等学校
理科・教務副部長
肥田 規幸氏

北里大学附属順天中学校・高等学校
事務局
古内 隆聖氏

学校名
北里大学附属順天中学校・高等学校
所在地
東京都北区王子本町1-17-13
開校
1834年
代表者
学校長 長塚 篤夫

東京都北区に位置する私立中高一貫校。1834年創立の伝統を誇り、国際教育や探究学習を推進する。2026年4月より北里大学の附属校となり、校名を「北里大学附属順天中学校・高等学校」へ変更。高大連携を軸に高度な理数教育を展開し、専門性と国際性を兼ね備えた人材の育成を目指す、伝統と革新が共存する進学校である。

パートナー企業基本情報

会社名
株式会社カントー
URL
https://www.kantoh.co.jp/

1951年創業。東京都千代田区に本社を構え、ITソリューションおよびドキュメントソリューションを軸に事業を展開。ITインフラ構築や文書管理、デジタル化支援などを通じて、多様な業界の業務効率化と情報活用の高度化を支えている。

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