[index] CentreCOM ARX640S コマンドリファレンス 5.1.5

PPP / 一般設定


基本設定
PPPoE接続
USB型データ通信端末を利用したPPP接続
状態や設定の確認
上位層とのインターフェース


PPP(Point-to-Point Protocol)は、2点間でさまざまなネットワーク層プロトコルパケットを受け渡すためのデータリンク層プロトコルです。もともとはWANなどのシリアル回線上で使用するために開発されましたが、最近ではブロードバンドサービスの普及に伴い、Ethernet上などでも利用されています(PPPoE = PPP over Ethernet)。

本製品は次の形態でのPPP/PPPoE接続をサポートしています。


基本設定

PPP/PPPoE接続のための基本的な設定を示します。

PPPoE接続

PPPoE接続には、WAN側Ethernetインターフェース(gigabitEthernet 0〜1)を使用します。
ここでは、次の環境を想定し、PPPoE接続の基本的な設定手順を示します。

表 1
PPP接続設定(プロファイル名 bbnet)
接続用ユーザー名 userA
接続用パスワード passwordA
インターフェース設定
物理インターフェース名 gigabitEthernet 0
PPPoEインターフェース名 gigabitEthernet 0.1
IPアドレス IPCPで自動取得


  1. PPPプロファイルを作成します。これには、ppp profileコマンドを使います。

    *Router(config)# ppp profile bbnet
    


  2. PPP接続用のユーザー名とパスワードを指定します。これには、my-usernameコマンドを使います。

    *Router(config-ppp-profile)# my-username userA password passwordA
    


  3. PPPプロファイルモードを抜けます。

    *Router(config-ppp-profile)# exit
    


  4. 物理インターフェースとして利用するWAN側EthernetインターフェースgigabitEthernet 0を有効にします。

    *Router(config)# interface gigabitEthernet 0
    *Router(config-if)# no shutdown
    *Router(config-if)# exit
    


  5. 物理インターフェース上にPPPoE接続用のサブインターフェースを作成します。これには、interface(subif)コマンドを使います。
    gigabitEthernet 0上に作成するサブインターフェースの名前は、gigabitEthernet 0.Xの形式になります(X = 1〜10の任意の番号)。

    *Router(config)# interface gigabitEthernet 0.1
    


  6. サブインターフェースでPPPoEを有効にします。これには、pppoe enableコマンドを使います。
    これにより、サブインターフェースgigabitEthernet 0.1 = PPPoEインターフェースとなります。

    *Router(config-subif)# pppoe enable
    


  7. PPPoE接続に使うPPPプロファイルを指定します。これには、ppp bind-profileコマンドを使います。

    *Router(config-pppoe-if)# ppp bind-profile bbnet
    


  8. PPPoEインターフェースのIPアドレスをIPCPによって取得するよう設定します。これには、ip address ipcpコマンドを使います。

    *Router(config-pppoe-if)# ip address ipcp
    


  9. PPPoEインターフェースを有効にします。

    *Router(config-pppoe-if)# no shutdown
    

設定は以上です。

USB型データ通信端末を利用したPPP接続

USBポート(usb 0〜1)に装着したUSB型データ通信端末を利用して、PPP接続を行うための基本的な設定手順を示します。
ここでは、次の環境を想定します。

表 2
PPP接続設定(プロファイル名 3gnet)
接続先情報 APN = 3gnet.example.com, CID = 1
接続用ユーザー名 userA
接続用パスワード passwordA
接続形態 通信開始時に自動接続し、無通信時には自動切断する
インターフェース設定
データ通信端末を装着するUSBポート usb 0
PPPインターフェース名 ppp 0
IPアドレス IPCPで自動取得


  1. PPPプロファイルを作成します。これには、ppp profileコマンドを使います。

    *Router(config)# ppp profile 3gnet
    


  2. 接続先情報(APNとCID)を入力します。これには、mobile access-point-nameコマンドを使います。

    *Router(config-ppp-profile)# mobile access-point-name 3gnet.example.com cid 1
    

    Note - USB型データ通信端末を使う場合は必ず本コマンドを設定してください。SIMカードに接続先情報が設定されている場合でも、本コマンドが必要なので注意してください。設定する内容は通信事業者やUSB型データ通信端末のメーカーにご確認ください。

    Note - 従量制アクセスポイントでは、接続時間および送受信データ量に応じた料金が発生するのでご注意ください。

  3. PPP接続用のユーザー名とパスワードを指定します。これには、my-usernameコマンドを使います。

    *Router(config-ppp-profile)# my-username userA password passwordA
    


  4. オンデマンド接続と無通信時の自動切断を有効にします。これには、idle-timeoutコマンドを使います。

    *Router(config-ppp-profile)# idle-timeout 30
    


  5. PPPプロファイルモードを抜けます。

    *Router(config-ppp-profile)# exit
    


  6. PPPインターフェースを作成します。これには、interface pppコマンドを使います。

    *Router(config)# interface ppp 0
    


  7. USB型データ通信端末が装着されているUSBポートを指定します。これには、ppp bind-deviceコマンドを使います。

    *Router(config-if-ppp)# ppp bind-device usb 0
    


  8. PPP接続に使うPPPプロファイルを指定します。これには、ppp bind-profileコマンドを使います。

    *Router(config-if-ppp)# ppp bind-profile 3gnet
    


  9. PPPインターフェースのIPアドレスをIPCPによって取得するよう設定します。これには、ip address ipcpコマンドを使います。

    *Router(config-if-ppp)# ip address ipcp
    


  10. PPPインターフェースを有効にします。

    *Router(config-if-ppp)# no shutdown
    

設定は以上です。

状態や設定の確認

■ PPP/PPPoEインターフェースの状態や設定を確認するには、show pppコマンドを使います。

*Router# show ppp
                                          Local                  Peer
gigabitEthernet 0.1
  LCP    [state : opened]
    Magic number                     0xb3de1ec9            0xa8b09129
    MRU                                    1492                  1492
    Request Authentication                 NONE                  CHAP
  IPCP   [state : opened]
    IP Address                    172.17.28.187         172.17.28.185
    Primary DNS server                      ---         172.17.224.16
    Secondary DNS server                    ---          172.17.42.16
  IPv6CP [state : initial]
  PPP configuration (profile name : bbnet)
    lcp idle-timeout                0 second(s)
    lcp send-magic-number           YES
    lcp send-mru                    YES
    lcp mru                         1500 byte(s)
    lcp config-retry                10
    lcp timeout                     1 second(s)
    lcp keepalive                   YES
    lcp echo-interval               10 second(s)
    lcp max-alive-missed            3
    lcp max-no-receive              0 second(s)
    chap rechallenge                NO
    auth max-auth-failure           5
    my-username                     userA
    auth protocol                   BOTH
    remote-username
    remote-auth protocol            NONE
    ipcp request-dns                Primary | Secondary


■ PPPoEセッションの情報を確認するには、show pppoe sessionコマンドを使います。

*Router> show pppoe session
I/Fname              State      UniqID      SessionID  A/C-MACaddress
gigabitEthernet 0.1  session    0xc65edca8  0x1       00-0c-29-d0-52-5a


■ PPP未接続時にUSB型データ通信端末の電波強度を確認するには、show mobile signal-strengthコマンドを使います。

*Router# show mobile signal-strength
signal-strength: 3 (usb0)

Note - PPP接続中は電波強度を取得できません。

上位層とのインターフェース

PPPインターフェースがサポートする上位層はIPv4だけであり、必ずIPv4ルーティング用インターフェースとして使用します。実際、IPv4アドレスの設定をしないと、PPPの接続は開始されません。

また、PPPoEインターフェースがサポートする上位層はIPv4、IPv6であり、必ずこれらのプロトコルと関連付けて、ルーティング用インターフェースとして使用します。実際、IPv4アドレスかIPv6アドレスの設定をしないと、PPPoEの接続は開始されません。

Note - PPP/PPPoEインターフェースを直接ブリッジングに使うことはできませんが、EtherIPトンネルインターフェースを利用すれば、PPP/PPPoE接続環境でリモートブリッジングを行うことが可能です。詳しくは「インターフェース」の「トンネルインターフェース」「ブリッジング」の「一般設定」をご覧ください。

■ PPP/PPPoEインターフェースのIPv4アドレスは、次の各コマンドで設定します。
詳しくは「IPルーティング」の「IPインターフェース」をご覧ください。

■ PPPoEインターフェースのIPv6アドレスは、次の各コマンドで設定します。
Note - PPPインターフェースはIPv4ルーティングだけをサポートします(IPv6ルーティングは未サポート)。

詳しくは「IPv6ルーティング」の「IPv6インターフェース」をご覧ください。


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