メディアコンバーター

目次

メディアコンバーターとは

メディアコンバーターは異なる媒体(メディア)同士を変換して接続する装置です。
イーサネットで一般的に利用されるケーブルはカテゴリー5などに代表されるメタル(金属)ケーブルです。一方、通信距離や速度等の性能を向上させる目的で、光ファイバーを使用したケーブルも使用されています。メディアコンバーターを使用するとこれら異なるメディアを接続することが可能となります。

電気信号と光信号を変換

メディアコンバーター内部では、電気信号と光信号の変換を行っています。
メタルケーブルによる通信では電圧の変動を電気信号として対向機器に伝えます。ケーブルの距離が長くなると信号の減衰やノイズの影響により通信エラーが発生する可能性が高くなります。
このため、イーサネットの標準規格IEEE 802.3ではメタルケーブルでの最大接続距離を100mと規定しています。一方、光ファイバーによる通信では、光の明暗を光信号として対向機器に伝えます。光信号は電気信号に比べて減衰しにくく、ノイズの影響を受けないため、高速かつ長距離の安定した通信を可能にします。
電気信号から光信号への変換は、LEDやレーザーダイオード等の光源を使用します。受信した光信号はフォトダイオード等を用いて電気信号に変換します。

安全基準

レーザー製品によって使用者に障害が発生することを防止するため、レーザー光源を有する製品に対する安全基準がJIS C6802で定められています。レーザー光の強さに応じてClass1からClass4と分類されています。

メディアコンバーター製品の一部はレーザー光源を使用しています。使用しているレーザー光源は安全基準の中ではもっとも安全とされるClass1 Laser Productに属しています。分類上は安全となりますが、光源を覗き込まないようご注意ください。

メディアコンバーターの種類

変換方式による分類

メディアコンバーターには通信速度の変換を行わない「リピータータイプ」と、速度変換可能な「スイッチタイプ」があります。
メディアコンバーターの機器選定を行う場合は、通信速度、光ファイバーの種類や距離、コネクターの形状がポイントとなります。

リピータータイプ

メタルケーブル側と光ファイバー側の通信速度は同じであり、固定されています。
パケットを受信するとパケットの内容に関わらず、直ちに送信を開始します。
変換の遅延時間がほぼゼロとなりますので、伝送遅延が許されないアプリケーションに最適です。
また、あらゆるパケットを完全に透過しますので、通信プロトコルに依存せずに利用することが可能です。
エラーパケットを破棄することもありませんので、機器トラブルの予兆を手元のスイッチ製品などで把握することも容易です。

スイッチタイプ

ブリッジタイプと呼ばれる場合もあります。メタルケーブル側と光ファイバー側の通信速度が異なる場合でも変換可能です。また接続機器との通信速度が変更になっても使用を続けられる点が特長となります。
スイッチ製品同様、パケットを最後まで受信完了してから送信開始しますので、リピータータイプと比較すると伝送遅延は大きくなります。この遅延は伝送するパケット長が長くなるほど顕著です。
エラーパケットをフィルタリングしたい場合は、スイッチタイプをお勧めします。

心数による分類

多くの現場で利用されているのは2心通信です。これは、送信側と受信側が2本の光ファイバーコアそれぞれを利用する通信方法です。メガネ型など2つのコアがペアになったケーブルで接続する方法が一般的です。光が進行する方向が独立していますので機器側の構造がシンプルになります。
これに対して1本の光ファイバーコアで双方向通信を実現する製品もあります。ダークファイバーを利用して長距離通信する場合や、管路が細くて多数の光ファイバーを収容できない場合などに最適です。
1心双方向通信は対向する機器同士が異なる波長の光源を使用しますので、同一シリーズの製品型番の異なる機器を必ずペアで利用する必要があります。

利用環境による分類

産業用メディアコンバーター

過酷な環境下でも活用できる広い動作温度に適応したメディアコンバーターです。
動作時温度-40~70℃、保護等級IP30をサポートし、熱源の近くや冷蔵施設などの過酷な環境にも幅広く導入可能な性能を持ちます。

メディアコンバーターの特長

ミッシングリンク機能

メディアコンバーターはリンクアップ/リンクダウンを中継する機能(ミッシングリンク機能)を備えています。
この機能によって、例えばリンク・アグリゲーション(ポート・トランキング)で接続しているスイッチ製品間でも光ファイバーによる延伸が可能となります。
リンク・アグリゲーションでは、通信経路のひとつがダウンした場合に他の経路で通信を継続するようにスイッチが自動的に経路切り替えを行いますが、そのためにはスイッチ製品が経路の障害を確実に検出する必要があります。
ミッシングリンク機能はリンク状態の中継を行うことで、経路中の障害をスイッチ製品に即座に通知します。

ネットワーク管理者は、経路のいずれかで発生した障害を手元にあるスイッチ製品のリンクLEDで確認できますので、遠隔地と接続しているケースでも早期のトラブル対応を可能とします。
なお、「スマートミッシングリンク機能」を搭載している製品もあります。これはリンクLEDの点滅で障害箇所を通知することで、障害の切り分け作業を容易にしています。

パケットジェネレーション/ループバック機能

パケットジェネレーション機能とは、対向機側のSFP+ポートへテストパケットを送出することにより接続性を確認する機能で、LED表示にて接続の確認を行います。
ループバック機能とは、対向機側のSFP+ポートへテストパケットを返送することにより光伝送路の異常がないかを確認する機能で、LED表示にて接続の確認を行います。
また、上記機能は外部装置を使用することなくAT-MMC10Gシリーズの対向使用のみで確認することができます。

VLANタグパケットに対応

メディアコンバーターはVLANのタグパケットを透過するため、タグVLANを利用する通信環境では、VLAN機能を備えた高価なスイッチ製品を導入してメディア変換をするよりも経済的です。無線LANの構築では、SSIDとタグVLANの対応付けを行うケースが多く、アクセスポイントをスイッチ製品から離れた場所に設置するような場合に最適です。

堅牢性

メディアコンバーターは通信データの変換をハードウェアで行います。ソフトウェアを搭載していませんので半導体メモリーの誤作動を引き起こすアルファ線やベータ線のような電磁波の影響を受けることもありません。
アライドテレシスではメディアコンバーター全製品に金属製筐体を採用しています。このため、紫外線やガンマ線に高い耐性を備えています。劣悪環境下でも長期間の使用に耐える設計です。

メディアコンバーターの利用例

工場

製鉄所や石油化学プラント等広大な工場では建屋内と建屋間の接続にメディアコンバーターが使用されます。建屋内はマルチモードファイバーで、建屋間をシングルモードファイバーで接続するケースが代表的です。光ファイバーを利用することで、接続距離とノイズの問題を回避し、同時に誘導雷の影響も回避することができます。
また、メディアコンバーターを利用することで過酷な環境でも長期間運用することが可能です。

ビルシステム・ショッピングセンター

ブリッジタイプと呼ばれる場合もあります。メタルケーブル側と光ファイバー側の通信速度が異なる場合でも変換可能です。また接続機器との通信速度が変更になっても使用を続けられる点が特長となります。
スイッチ製品同様、パケットを最後まで受信完了してから送信開始しますので、リピータータイプと比較すると伝送遅延は大きくなります。この遅延は伝送するパケット長が長くなるほど顕著です。
エラーパケットをフィルタリングしたい場合は、スイッチタイプをお勧めします。

さらに詳しく学びたい方へ
ネットワーク専業メーカーがトレーニングサービスをご用意!


さらに詳しく学びたい方トレーニング講座!


この記事をシェアしよう
  • URLをコピーしました!
目次