山口県厚生農業協同組合連合会 周東総合病院 様

電子カルテシステムの基盤となるネットワークと 無線LAN環境をAMF、AWC、AWC-CBにより整備

山口県厚生農業協同組合連合会 周東総合病院では、電子カルテシステムの導入にともない院内ネ ットワークを更新。「AMF(Autonomous Management Framework)」により統合的なネッ トワーク管理を実現するとともに、自律型無線LANソリューション「AWC(Autonomous Wave Control)」、シングルチャンネルテクノロジー「AWC-CB(AWC-Channel Blanket)」のハイブリ ッド無線LANソリューションを導入し、快適で途切れない無線LAN環境を構築した。(2020年6月公開)

業種・業務
医療
ソリューション
ネットワーク運⽤ AMF 無線LAN AWC AWC-CB ハイブリッド無線LAN PoE
導入製品
コアスイッチ ディストリビューションスイッチ エッジスイッチ 無線LAN
導入目的
ネットワークの改修・増築・刷新 運⽤・管理の向上 環境の整備 統合管理 安定稼働・安定通信 ネットワーク監視の強化

山口県柳井医療圏唯一の基幹病院として地域医療を担う

 山口県厚生農業協同組合連合会周東総合病院は、21の標榜診療科、360の病床を有する急性期病院だ。二次救急病院、地域がん診療拠点病院、臨床研修指定病院、地域災害医療拠点病院、地域医療支援病院などに指定されており、柳井医療圏で唯一の基幹病院として地域医療の中心的役割を担っている。地域医療における特徴的な機能が「やないネット」だ。
周東総合病院総務課情報システム管理者の河村裕介氏は、「やないネットの実施主体は医師会ですが、地域唯一の基幹病院である当院の患者情報を、地域の医療機関で共有することは、非常に有用です。そこで、2019年9月の電子カルテシステム稼働と同時に、柳井地域の他の医療機関に向け、当院の電子カルテを閲覧してもらえる仕組み“やないネット”も同時にスタートしました。すでに多くの医療機関様にお使いいただいています」と語る。
周東総合病院が行った検査や治療などをかかりつけの医療機関でも見ることが可能で、患者にも大きなメリットとなる仕組みだ。周東総合病院では2012年、オーダリングシステム導入にともないアライドテレシスのネットワークソリューションを採用、院内のネットワークを刷新した。
そして2019年9月、電子カルテシステムの稼働にあわせて無線LANを中心としたネットワークの見直しを行い、今回もアライドテレシスのネットワークソリューションが採用された。河村氏は前回のネットワーク更新を振り返り、「全体をわかりやすく、シンプルなネットワーク構成を実現し、院内の運用負荷を減らすという方針で整備しました。この方針については7年経った今も変わっていません」と話す。

電子カルテシステムの導入にともないAMF、AWC、AWC-CBを採用

 周東総合病院では電子カルテシステム導入にともなうネットワーク整備に向け、製品や技術の情報を収集し、検討を続けてきた。無線LANについては2012年の更新時にも一部導入していたが、電子カルテシステムの端末を利用するためにはすべての病床をカバーする必要があった。さらにデジタルカメラや超音波診断装置などの医療機器についても無線化を検討していた。
そうした中で採用されたのがアライドテレシスである。河村氏は、「ポイントになったのは故障時の復旧のしやすさです。アライドテレシスのAMF(Autonomous Management Framework)には自動復旧機能があり、万一スイッチが故障しても予備機に差し替えれば自動的にネットワークを復旧させることができます」と採用のポイントを話す。
AMFは、複数のネットワーク機器の一括設定や一括アップデート、遠隔地からの管理・設定変更、事前設定不要の機器交換といった運用を可能とする機能だ。AMFの導入により運用・管理工数とコストの大幅な削減、障害時の自動復旧を実現する。そして無線LANには、アライドテレシスのAWC(Autonomous Wave Control)、AWC-CB(AWC-Channel Blanket)対応のハイブリッド無線LANソリューションを導入した。
AWCは無線LANアクセスポイントをインテリジェント化し、チャンネルや電波出力を自律的に調整して、無線エリア内の電波干渉が最小化された無線LAN環境を自動的に構築する。AWC-CBは、単一のチャンネルでアクセスポイント間の移動時にローミングレスで通信が途切れることなく快適な通信を実現する。

5GHzでシングルチャンネル、2.4GHzでセル方式のハイブリッド無線LAN

 既存のコア・スイッチはそのままに、ディストリビューション・スイッチを「x510シリーズ」へ変更し、PoE対応のエッジ・スイッチ「SH230シリーズ」などを導入。アクセスポイントには「AT-TQ5403」を採用し、マネージメント・ソフトウェア「AT-Vista Manager EX」も導入した。「前回の更新時に電子カルテシステムの導入も見据えたネットワーク設計を行いましたので、今回の更新ではそれを生かして少ない変更で済んだことが大きいです」と河村氏。
すべてのスイッチを入れ替えるのではなく使えるものは残し、コストを抑える構築ができたことは、当時からアライドテレシスと富士通エフサスの設計がしっかりしていたからと評価する。アクセスポイントは、病棟と外来を中心としたカバーエリアを形成する129台が設置された。
無線LANは、カートに乗せて移動する電子カルテシステムの端末については5GHz帯をシングルチャンネル(AWCCB)で利用、その他の機器については2.4GHz帯のセル方式(AWC)で利用するハイブリッド構成となっている。「スイッチやアクセスポイントの設定・設置工事については早い時期から取りかかってもらい、問題なく完了しました」と語るのは、周東総合病院総務課情報システム担当の安達亮氏。
導入はパートナーの株式会社富士通エフサス中四国支社山口支店が中心に、アライドテレシスも手厚い支援を行った。2回のリハーサルを経て2019年9月、電子カルテシステムとともに新しいネットワークも正式に稼働をスタートした。

無線LANの安定性を高く評価、運用性も向上LAN

 稼働開始以来、まだ短い期間ではあるが大きな問題は発生せず、安定してネットワークは稼働している。「稼働当初、一部のエリアで無線LANが繋がりにくいことが発生しましたが、稼働後に実施したファームアップ以降、そういった声は聞こえていません」と河村氏。想定していたよりもしっかりとエリアをカバーしており、AWCによる電波出力やチャンネルの自律的調整も上手く働いていると語る。
電子カルテシステムの端末だけでなく、医療機器やデジタルカメラの無線化も実現しており、以前であればカメラで撮った後にはケーブルを繋いでデータを移動していたが、そうした手間はなくなっている。
周東総合病院ではいくつかの診療科で検査機器を共用しているケースもあるため、持ち運んで利用する機会も多く、無線化により利便性が向上したと評価している。運用についても手が掛かることはないと安達氏。「トラブルがほとんどないためAT-Vista Manager EXを使う機会もあまりありませんが、アクセスポイントの追加やコンフィグのバックアップ、またファームアップなど、以前であればすべて一つ一つ手作業だったものが、ブラウザからの操作だけで一括で可能となり、運用工数を軽減できています」と話す。
現在は医師へWi-Fi環境を提供すべくテストを行っている最中だという。情報収集などに利用できるよう、セグメントを分けてインターネットに接続できる環境を構築中だ。「以前は医局でのみ使えましたが、全館で使ってもらえるように試験中です」と話す河村氏。河村氏は今回の導入を振り返り、「実は当初、無線LANは病棟をカバーエリアにする方向で進めていたのですが、アライドテレシスの製品のコストパフォーマンスが高く、想定以上にカバーしてくれるため、外来についてもエリアに加えた経緯があります。非常に良い導入になったと思います」と語る。

AT-Vista Manager EXの機能を最大限に活用してさらなる安定運用を目指す

 周東総合病院では、電子カルテシステムおよびネットワークを導入している最中に、情報システム担当者が3名から2名に減り、その後また3名に戻ったものの、人員の不足する中でネットワークが順調に構築できたことに満足していると話す。「大きく構成を変更することなく、しかも導入全体としては極めてスムーズにネットワークを構築できたことで、電子カルテシステムの導入に力を入れることができました。
電子カルテシステムとともに新しいシステムなども多く入ったため、そちらの作業に集中できたことは良かったと思います」と安達氏は振り返る。河村氏はアライドテレシスのユーザー会にも積極的に出席して情報を収集しており、今回のAWCやAWC-CB導入についても、デモンストレーションや他の先行導入病院の声などが参考になったと話す。
「当院は新しい技術よりも、こなれた技術の導入を優先していますが、今回はユーザー会で話を聞き、信頼できると感じて導入し、それが成功しました。
ユーザーの声を積極的に取り入れる姿勢はぜひ継続してほしいと思います」と河村氏は言う。電子カルテシステムおよびその基盤となるネットワークの更新を完了した周東総合病院では、今後も安定した院内ネットワークの運用を続けていく。まだAT-Vista Manager EXの機能もすべてを使いこなしているわけではないので、積極的に使っていきたいと河村氏は語った。アライドテレシスではこれからも、周東総合病院のネットワークを、製品や技術、サポートなどの提供を通じて支援していく。

導入ネットワーク構成イメージ図

導入企業基本情報

お客様プロフィール

山口県厚生農業協同組合連合会 周東総合病院
総務課 
情報システム管理者
上級医療情報技師
診療放射線技師
医用画像情報専門技師
河村 裕介 氏

病院名
山口県厚生農業協同組合連合会 周東総合病院
所在地
山口県柳井市古開作1000番地1
開設
1938年
院長
馬場 良和
病床数
360床(一般病床274床 地域包括ケア病床86床)
サイトURL
https://hsp-shuto.jp/
取り組み

「私たちは患者様ひとりひとりが満足できるよう質の高い医療の提供に努力し、心から親しまれ、信頼され、愛される病院を目指します。」との理念のもと、柳井医療圏唯一の基幹病院として質の高い医療を提供している。

パートナー企業基本情報

お客様プロフィール

株式会社富士通エフサス
中四国支社 山口支店
泰山 勉 氏

会社名
株式会社富士通エフサス  中四国支社 山口支店
所在地
山口市小郡高砂町1-8MY小郡ビル
設立
1995年
サイトURL
https://www.fujitsu.com/jp/group/fsas/
取り組み

顧客の最適なICT環境の実現のために「ICTをコアとしたトータルサービス」を提供。これまで培ってきた顧客、社会の安心・安全を支える姿勢を大切にしながら、さらにその先の豊かな未来を顧客と共に創る。

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