日本大学医学部附属板橋病院 様

はじまる医療DXへの基盤づくり ~ネットワーク統合化とサーバー仮想化で医療DXに大きく舵を切った大学病院~

多くの医療機関で医療DX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されているなか、日本大学医学部附属板橋病院は、アライドテレシスが提案する病院系と学内系が共存する統合ネットワークと、HCIによる仮想サーバー基盤を導入。さらに医療DXを加速させ、医療の質向上と業務効率化を図っていく。(2023年11月公開)

業種・業務
医療
ソリューション
ネットワーク運⽤ AMF Cloud Vista Manager シリーズ スイッチソリューション VCS 無線LAN AWC PoE
導入製品
システムインテグレーション ネットワーク運用 コアスイッチ ディストリビューションスイッチ 無線LAN ITサービス(Net.Service)
導入目的
HCI(仮想化基盤) ICT活用 統合ネットワーク ネットワークの改修・増築・刷新 運⽤・管理の向上 環境の整備 統合管理 安定稼働・安定通信 高速通信 無線LANの簡単導入 セキュリティの強化 ネットワーク監視の強化 運用・管理・監視の支援を外部に委託 業務効率の向上 コスト削減 災害対策 クラウド利用
課 題
・老朽化した機器の更新と増設の繰り返しで複雑化したネットワークの改善
・先生方や職員の業務効率化の実現とそのためのシステム導入
採用ポイント
・病院系と学内系が共存する統合ネットワーク
・部門システムを統合するHCIを使った仮想サーバー基盤の導入
効 果
・24時間365日のネットワーク監視で安心・安全の統合ネットワーク
・仮想サーバー基盤によりDX推進に向けたシステム導入も容易に

大学附属の特定機能病院が統合ネットワークとサーバー仮想化を導入

 東京都板橋区の日本大学医学部附属板橋病院(以下、「日大板橋病院」と称する)は、高度な医療を提供する特定機能病院としての役割を果たすと同時に、優れた医療従事者の育成に取り組む大学附属の総合病院だ。地域医療の中心的役割を果たすとともに、38の専門診療科と診療センターによる診療体制を整え、24時間体制で2次、3次救急指定病院として広く貢献している。常に患者優先の医療サービス向上に努め、医療を支える優秀な人材を育成し、「安心・安全・良質で高度な医療」の実践を目指している。また高齢者に寄り添う「シニアフレンドリーホスピタル」の考え方のもと、分かりやすい診療や検査を行うことはもちろん、患者への十分な説明の実施やバリアフリー化、誘導表示設置などにも注力している。
 日大板橋病院では2022年から23年に院内のネットワークを更新するとともに、HCI(Hyper Converged Infrastructure)による仮想サーバー基盤を構築、部門システムの統合を行った。
 それまでのネットワークについて、日大板橋病院 医療情報課 課長の藤井 教智氏は、「昔から増設を繰り返してきたネットワークで配線状況の把握も十分とは言えませんでした」と振り返る。電子カルテの更新とともにネットワーク更新を控え、アライドテレシスに調査を依頼。ネットワークを詳しく調査した結果、病院系と学内系が共存する「統合ネットワーク」と、医療DX(Digital Transformation)を加速させる「サーバー仮想化」を提案した。

病院系と学内系が共存する統合ネットワーク

 多くの医療機関では近年、デジタル技術によるサービスの効率化や質の向上を実現し、最適な医療を実現する医療DXに取り組んでいる。日大板橋病院でも紙書類の電子保存などをはじめとした医療DXに積極的に取り組み、国の方針にも見合ったシステム構築を進めていた。
 アライドテレシスの提案はまさにその医療DXへの基盤づくりをテーマにした内容となっており、その提案を高く評価、採用することとした。ポイントは主に二点、統合ネットワークとサーバー仮想化だ。
 まずネットワークに関しては、敷地内に同居する日本大学医学部と板橋病院の二つのネットワークを統合することが提示された。病院系と学内系スイッチを統合化し、さらに統合にあたっては、院内どこでも無線LANが利用できるよう更新するとともに、既存のネットワークも有効活用するという内容だ。
 「アライドテレシスの提案は、病院系と学内系ネットワークを含め、全てのLANを統合して監視対象とすることで、早期の障害検知が可能になり、さらには拡張性もあるネットワークを実現するというものでした」と藤井氏。
 「AMF Cloud」でネットワークを有線/無線を問わず一元管理し、ネットワークマネージメントソフトウェア「AT-Vista Manager EX」で可視化する。VLANを利用して物理ポートの所属セグメントを分け、認証サーバーに登録されていない端末のネットワークへの接続を拒否することでセキュリティも向上し、学内系の病院系への誤接続など、事故を防ぐこともできる。またスイッチの台数削減、電力やスペースの削減にも繋がる。
 アライドテレシスの提案がなければ、単なるネットワーク機器の更新にとどまっていただろうと藤井氏は言う。
 統合ネットワークの稼働後は、日大医学部学生が研修のためにネットワークを利用するなど、積極的な活用が始まっているという。医師や教職員においてもeラーニング研修や学会などでのWEB会議には院内どこからでも参加できるようになり、また入院患者とのオンライン面会での活用など、利便性向上や業務効率効果も大きい。

医療DXを加速させる、HCIによる仮想サーバー基盤

 仮想サーバーについては、「当初はここまで導入するつもりではなかった」と藤井氏。もともとネットワークの更改とともに部門システムのサーバーを入れ替える予定はあったが、HCIによる仮想サーバー基盤の構築が医療DXの加速にも繋がるというアライドテレシスの提案を取り入れた形だ。
 日大板橋病院では多くの部門システムが存在し、その数はサーバーラック4列分にも及んだ。
 これらシステムを仮想化し、さらに基盤に統合することで多くのメリットが見込める。サーバーを仮想化することで、物理的なCPUやメモリ、HDDを仮想サーバーごとに割り当てるため、柔軟なリソース配分が可能になる。また、サーバー室内のスペースを大幅に削減することが可能で、電力や空調コストの削減も期待できる。さらには、バックアップやリストアも容易になり、拠点間やハイブリッドクラウドのDR(Disaster Recovery)構成*も柔軟に組むことができる。
 「仮想化統合によりスペースがサーバーラック1列分になりました。それはもう画期的でした」と藤井氏。また「新たにシステムを導入する際にも物理サーバーを調達する必要がなくなり、すばやくサーバーを立てることができるようになりましたので、それもメリットです」と評価する。新しいシステムを素早く導入できることは、医療DX推進の面からも大きなメリットだ。  「仮想サーバー基盤の稼働後も新しいシステムをいくつか導入しています。これも医療DXの一環になると思いますが、書類の電子化に必須のタイムスタンプを付与するシステムも導入予定です。物理サーバーやメンテナンス費用が不要で新しいシステムを導入できますので、仮想サーバー基盤を採用して本当に良かったと思います」と藤井氏は言う。現在、部門システムの大半を占める50以上のシステムが仮想サーバー基盤上で稼働している。  そしてこれら仮想サーバーの監視はアライドテレシスの「Net. Monitor」が担う。「Net.Monitorはネットワークだけでなく、仮想サーバー基盤についても24時間365日監視してくれます。万一何か起きた際にもメンテナンスや対応は容易です」と藤井氏は評価する。

電子カルテのクラウド化も視野に、医療DXのさらなる推進を

 安定した統合ネットワークと柔軟な仮想サーバー基盤により医療DXの加速に大きく舵を切った日大板橋病院。
 また近年、医療業界においても急速に導入が進むクラウドの活用についても、「今後は医療機関においてもますますクラウド化が進むと思います。当院でも次の電子カルテ更新はクラウド化が検討されると思いますが、時代の流れに乗り遅れないようさまざまな情報を得て、今後も時代に則したより良いシステム環境の構築を目指したいと思います」と藤井氏は言う。
 なお、現在の建屋は建築後50年が経過しており、近い将来に再整備が予定されている。その際にはさらなる医療サービスの質向上と業務効率化を目指していくという。
 「ひとまず現在の建屋でのネットワークについては整備できました。これからはその上で動くシステムで、先生方や職員の業務を効率化・簡素化できるようなものを導入して、それが医療サービスの向上に繋がり、先生方も働きやすい環境で良い診療ができればと思います。アライドテレシスにはそうした中で最新のソリューションやサービスを提案いただき、柔軟に対応できるようサポートしてもらえることを期待しています」と藤井氏は今後の展望とアライドテレシスへの期待を語った。
 アライドテレシスはこれからも、日大板橋病院のネットワークを、製品や技術、サポートの提供を通じて、積極的に支援していく。

導入ネットワーク構成イメージ図

導入企業基本情報

お客様プロフィール

日本大学医学部附属板橋病院
医療情報課
課長
藤井 教智氏

病院名
日本大学医学部附属板橋病院
所在地
東京都板橋区大谷口上町30番1号
病院長
髙橋 悟
病床数
990床
URL
https://www.itabashi.med.nihon-u.ac.jp/
取り組み

1935年に現在の地に開院。以来、現在まで東京都区西北部の特定機能病院として高度先進医療を提供すると同時に、地域医療に貢献する中核病院。医学の臨床教育研究にも注力。「人間愛に基づいて良質で高度な医療を実践します」を理念に、患者の安全を第一に考える姿勢を貫き、実践する。

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