伊丹市役所 様

<自治体DX> 住民サービスの向上と職員の働き方改革を実現する 新庁舎「スマート庁舎」を開庁

兵庫県伊丹市は、自治体DX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させ、住民サービスの向上と、業務を効率化して働き方改革を実現する「スマート庁舎」を開庁。インフラ基盤となるネットワークにはアライドテレシスの各ソリューションを採用し、柔軟かつセキュアに活用できる環境を構築した。(2023年10月公開)

業種・業務
自治体
ソリューション
UTM&VPN
導入製品
ネットワーク運用 コアスイッチ ディストリビューションスイッチ エッジスイッチ 無線LAN
導入目的
ICT活用 統合ネットワーク ネットワークの新規構築 運⽤・管理の向上 環境の整備 統合管理 安定稼働・安定通信 高速通信 無線LANの簡単導入 セキュリティの強化 ネットワーク監視の強化 業務効率の向上 コスト削減
課 題
自治体DXを加速させて住民サービスの向上と業務の効率化
ネットワークを柔軟かつセキュアに活用
採用ポイント
有線/無線問わずネットワークを一元的に管理
シンプルでありながらセキュアなネットワークを実現
効 果
「伊丹市DX」を進めるためのインフラ基盤を整備
場所にとらわれない働き方を可能とする環境を実現

自治体DXのさらなる推進を目指し「スマート庁舎」へ新築移転

  兵庫県伊丹市は2022年11月、基本設計を世界的に著名な建築家の 隈研吾氏が手掛けた新庁舎を開庁した。「市民の安全・安心な暮らしを 支え、夢と魅力があふれる庁舎」をコンセプトとしており、住民サービス 向上や業務の効率化にデジタル技術を活用する「スマート庁舎」だ。
 伊丹市では新庁舎の建設に先駆けて2019年6月、「Smart ITAMI 宣言」を発表した。これは、新庁舎移転を契機に、働き方改革を 推進し、市民サービス向上と事務の効率化を高い次元で両立する改 革である。
 「「Smart ITAMI宣言」に基づき、超勤(超過勤務)レス、ペーパー レス、キャッシュレスを目標として設定しており、それぞれの分野で イノベーションを起こしています。新庁舎に移転したことでこの取り 組みをさらに加速させていきます」と話すのは、伊丹市 総合政策部 デジタル戦略室 主査の竹中 史明氏だ。
 伊丹市では積極的に自治体DX(デジタルトランスフォーメーション) を推進、そうした改革の拠点として生まれたのが新庁舎である。
 住民が手続きに訪れる窓口は「スマート窓口」となっている。ス マート窓口は「行かなくていい」「待たなくていい」「書かなくていい」 の3つをコンセプトにしており、具体的には、オンラインでの手続き を充実、事前の来庁予約、タブレットを用いた窓口手続きを導入し た。「係の者が伺った内容をタブレットへ反映するため、紙への記 入が不要であり、誰でも簡単に手続きが可能です。誰1人取り残さ ないデジタル化の実現を目指しています」と言うのは、伊丹市 総合 政策部 デジタル戦略室の真鍋 智裕氏だ。

ネットワークをリアルタイムに可視化、 一元管理できる提案を評価

 新庁舎への移転は、旧庁舎で稼働している既存システム・ネット ワークの把握から始まった。「大小あわせ130のシステム・ネットワー クがありました。旧庁舎では固定の席に、利用するネットワークの 種類分の有線LANを配線していました。しかしこれからの働き方 改革などを進めていくなかで、場所を問わずに働くことのできる環 境を作る必要がありましたし、人事異動や窓口の改廃などにも柔軟 に対応できるネットワークインフラが求められました」と竹中氏。
 新しい時代に必要なネットワークインフラを検討し、統合ネット ワークシステム構築事業としてプロジェクトがスタート。複数の事業 者がプロポーザルに応募し、そのなかで選ばれたのが、アイテック 阪急阪神の提案だ。
 「竹中様もおっしゃったとおり、場所にとらわれないネットワークと いうことで、インフラの設計・構成を検討し、無線LANの活用にネッ トワークアドレス体系も場所に縛られないような論理設計で提案さ せていただきました」と語るのは、アイテック阪急阪神 IT統括本部 ITエンジニアリング部 ITサポート課 専門主幹の天辰 直樹氏だ。
 アライドテレシスは以前からアイテック阪急阪神とともに伊丹市の ネットワーク構築を担ってきた。前回の更新ではAMF(Autonomous Management Framework)を導入し、ネットワークを統合管理で きる環境を構築。今回のプロジェクトでアイテック阪急阪神は、長 年の経験とノウハウを生かし、スムーズな更新を提案した。
 「要件に合致したのはもちろん、とても分かりやすく、ネットワーク 機器やインフラ状況をリアルタイムに可視化して、一元管理ができる 提案であったことがとても魅力的でした」と竹中氏は提案を評価する。

場所を問わず働くことのできる環境を構築、 働き方改革を支援

 新庁舎のネットワークは、コア・スイッチに「SwitchBlade x908 GEN2」を冗長化して設置。フロア・スイッチは、東西フロア間の光 ケーブルを活用して、4台での筐体冗長構成とした。コアを経由しな い通信はフロア・スイッチ下での通信となるため、コアの負荷軽減や 通信負荷分散、経路冗長化、帯域増強といった効果を期待できる。 機器管理は、引き続きAMF管理機能を利用し、統合管理による運 用負荷の軽減を実現する。
 無線LANは新庁舎の働き方改革にも直結する。全館で無線LAN が利用できるよう事前にサーベイを行って、無線LANアクセスポイン ト「AT-TQ5403」が約150台導入されている。「新庁舎は基本的にフリーアドレスで、固定席はなく、小規模な打ち合わせスペースを多く 配置して、フレキシブルに業務が行えるようにしています」と竹中氏。 ノートPCを会議室に持ち込んで資料をペーパーレス化するといった働 き方改革にも利用される。
 無線LANについても統合管理を行っており、「Web会議利用など にも利用していますので、通信状況の監視などを行っています」と 話すのは、伊丹市 総合政策部 デジタル戦略室の木庭 卓也氏。な お無線LANは災害など緊急時には一般解放するよう事前に設定し ている。
 アライドテレシスの独自技術である「AWC(Autonomous Wave Control)」で自律的な電波調整を行い、無線接続すればネットワー ク割当が自動的に完了するダイナミックVLANを組み合わせることに より、運用負荷の軽減と柔軟なネットワーク活用を実現する。「ダイナ ミックVLANにより、どこで接続してもそのシステムがあるべきネット ワークに繋がります。セキュアでより柔軟に活用できます」と話すの は、アイテック阪急阪神 ファシリティ事業本部 第1営業部 営業2課 兼 営業3課 主事の五木田 高佑氏。
 なおAWCでは、シングルチャンネルのローミングレス通信を実現す る「AWC-CB(Channel Blanket)」や、アクセスポイント間の接続を 無線通信にすることで無線LANエリア拡張時の配線工事を省くこと ができる「AWC-SC(Smart Connect)」といった機能があり、必要 な場面に応じて活用していくという。
 新庁舎では、セキュリティの強化のため、SDNにより端末でウイル スを検知した際は自動的に通信を遮断し、ウイルス拡散を未然に防 止する「AMF-SEC(SECurity)」を導入している。「ネットワークの遮 断・隔離は自治体強靭化向上モデルでも要件の1つです。AMF-SEC はネットワークを遮断しても他のネットワークには影響しないということで、業務継続も実現できます」と竹中氏は言う。
 ネットワークの運用は、アイテック阪急阪神がヘルプデスクを担う 体制で、伊丹市と一緒に行う。運用管理ツールの1つとして活用して いる統合管理ソフトウェア「AT-Vista Manager EX」は、有線/無 線を問わずすべてのネットワークを可視化するアライドテレシスのソ リューションだ。先ほどのネットワーク通信の監視のほか、アラート が出たり、問い合わせを受けたりした際に利用しているという。

生成AIなどの新技術も活用してDXを加速させていく

 新庁舎が開庁してまだ1年も経っていないが、ネットワークは安定し ており、大きなトラブルも無いという。木庭氏は「ループも起きませんし、 統合ネットワークになって、回線もシンプルになりました」と語る。真鍋 氏も「私の担当している住民情報系のネットワークでは有線LANを使う 必要があります。今回の移転でネットワークを論理的に分離する構成に しましたので、ケーブルも減り、便利になりました」と評価する。
 新庁舎での業務をスタートさせた伊丹市。自治体DXのインフラ基盤 として、今後も各事業を支えていけるように継続してネットワークを運 用していく。最後に竹中氏に今後の展望を聞いた。
 「2023年度には庁外施設もネットワーク管理を統合し、伊丹市全域 でネットワークのセキュリティを強化しつつ、便利で柔軟性に富むネット ワークにしていきます。また、生成AIの活用であったり、新しい機能 や技術を業務の効率化や自動化に生かし、DXを加速していければと 思います」と竹中氏は力強く語った。
 アライドテレシスはこれからも、伊丹市のネットワークインフラを、製 品や技術、サポートなどの提供を通じて積極的にサポートし、住民サー ビスの向上や働き方改革など伊丹市DX推進に寄与していく。

導入ネットワーク構成イメージ図

導入企業基本情報

お客様プロフィール

伊丹市
総合政策部
デジタル戦略室
主幹
北川 善也氏

自治体名
伊丹市役所
所在地
兵庫県伊丹市千僧1-1
面積
25.00平方キロメートル
推計人口
196,344人(2023年6月現在)
URL
https://www.city.itami.lg.jp/
取り組み

2022年11月28日、世界的に著名な建築家である隈研吾氏が設計・デザインし、災害時にも業務継続を可能とした免震構造を採用するなど、災害に強い庁舎が開庁しました。また、大幅な省エネルギー化となる「ZEB Ready」を認証し、環境省が実施する「レジリエンス強化型ZEB実証事業」に、大規模庁舎では全国で初めて採択されました。さらに、ICTやデジタル先進技術を取り入れたスマート庁舎として整備しました。

パートナー企業基本情報

お客様プロフィール

アイテック阪急阪神
株式会社
IT統括本部
ITエンジニアリング部
ITサポート課
専門主幹
天辰 直樹氏

会社名
アイテック阪急阪神株式会社
本社
大阪市福島区海老江1丁目1番31号
資本金
2億円
設立
1987年
従業員数
1,219名(2023年3月末現在)
URL
https://itec.hankyu-hanshin.co.jp/
取り組み

電子、通信、情報技術の活用を通じて社会の発展に貢献すると共に、事業にかかわるすべてのひとの幸福を追求します。

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