立正佼成会附属佼成病院 様

病院の統合ネットワークをAMF、AWCで一元管理し、患者用Wi-Fi環境も整備

東京都杉並区の立正佼成会附属佼成病院では、ネットワークの更改にあたり、アライドテレシスのネットワークソリューションを導入。AMF(Autonomous Management Framework)、AWC(Autonomous Wave Control)により、有線/無線LANを一元管理できる、信頼性の高いネットワーク基盤を構築した。ネットワーク更改と同時に患者用Wi-Fiを導入して、患者サービスの向上も実現している。(2022年2月公開)

業種・業務
医療
ソリューション
ネットワーク運⽤ AMF Vista Manager シリーズ スイッチソリューション VCS 無線LAN AWC
導入製品
ネットワーク運用 コアスイッチ エッジスイッチ 無線LAN ITサービス(Net.Service)
導入目的
屋外無線LAN 公衆無線LAN ネットワークの改修・増築・刷新 運⽤・管理の向上 環境の整備 統合管理 安定稼働・安定通信 無線LANの簡単導入 ネットワーク監視の強化 運用・管理・監視の支援を外部に委託 業務効率の向上 コスト削減 災害対策

機器の保守期間の満了にともない病院のネットワークを更改

 立正佼成会附属佼成病院は、340床(一般250、地域49、小児21、緩和 20)を有する総合病院だ。開設は1952年で、長く中野区弥生町で医療を提供してきたが、2014年9月に現在の杉並区和田に移転した。東京都の災害拠点病院に認定されているほか、JMIP(外国人患者受入れ医療機関認証制度)の認定を、杉並・中野エリアで初めて取得している。
 「外国人の患者様も多く来院され、特に産婦人科の患者様が多いですね。安心・安全に医療サービスを享受していただけるよう、体制の構築に取り組んでいます」と語るのは、立正佼成会附属佼成病院 情報システム課 課長の田中 諭氏だ。佼成病院では外国人患者のために通訳サービスや専用タブレットなども用意しており、安心して受診してもらえる仕組みを構築している。
  佼 成 病院は2014年の新病院 移 転 時に新 規ネットワークを構築した。アライドテレシスの統合ネットワークを導入し、AMF(Autonomous Management Framework)による一元管理を実現してきた。「ネットワークの障害などもなく、安定して利用してきましたが、機器の保守期間満了が近づいていたこともあり、更改することとしました」と田中氏。新病院への移転時にはネットワークだけでなく、電子カルテなどの各種システムも新規で導入した。すべてを同時に更改することは難しいため、保守期間満了の時期を見ながら、順番に更改していくこととし、ネットワークについては今回のタイミングで行った。

信頼性と提案を評価し、継続してアライドテレシスを採用

 更改にあたっては、引き続きアライドテレシスがネットワークベンダーとして選ばれた。これまでの実績と、更改にあたっての提案が評価されたからだ。新たなネットワークに関しては、「ネットワークに不満がなかったので、基本はハードの更改でしたが、セキュリティの強化と患者さん向けWi-Fiの設置はお願いしました」と田中氏。アライドテレシスではセキュリティの強化に認証サーバーの設置を含んだネットワークを提案。患者向けのWi-Fiについても、管理や認証を含め提案を行った。
 新しいネットワークでは、保守期間の残っているコア・スイッチ「SwitchBlade x8100シリーズ」はそのままに、フロア・スイッチにギガビット・インテリジェント・スタッカブルスイッチ「CentreCOM x530Lシリーズ」を、エッジ・スイッチにはギガビットイーサネット・スイッチ「GS910シリーズ」を設置。無線LANアクセスポイントには「AT-TQ5403」を導入した。
 ネットワークは以前と同様にAMFで一元管理を行う構成となっている。AMFは、複数のネットワーク機器の一括設定や一括アップデート、遠隔地からの管理・設定変更、事前設定不要の機器交換といった運用を可能とするアライドテレシスが独自開発したSDN機能だ。
加えて今回、自律型無線LANソリューション「AWC(Autonomous Wave Control)」を導入して、さらなる快適な無線LAN活用を実現している。AWCは、アクセスポイントをインテリジェント化し、無線エリア内の各アクセスポイントが自律的に周囲の電波状況を収集。そのデータを無線LANコントローラーが分析し、チャンネルや電波出力を自律的に調整してエリア内の電波干渉を最小化するソリューションだ。
 これら有線/無線ネットワークの管理ツールには、ユニファイド・ネットワークマネージメント・ソフトウェア「AT-Vista Manager EX」を導入している。

ネットワーク更改にあわせ、患者向けWi-Fi環境を構築

 今回、ネットワーク更改のポイントとなったのが、患者向けWi-Fiの導入だ。佼成病院では従来、病棟にも無線LANを活用していたが、電子カルテ端末などの医療機器を医師/看護師が利用するためであり、患者向けに開放したものではなかった。
 しかし昨年来のコロナ禍により、ほとんどの病院が面会を制限しており、佼成病院でも同様の措置を講じている。一部の病院では面会者に来院してもらい、タブレットなどの機器を貸し出して面会を実施しているところもある。一方で、佼成病院ではスマートフォンのアプリを利用したペア型アプリ面会をテストしたところ、貸し出しの管理や費用面から、実施は難しいとの結論になっていた。
 そこで、「今や、患者さん向けのWi-Fiはあって当然のインフラと言えます。患者さんへのサービス向上を目的と定めて、既存ネットワーク+新規回線を病院で負担し、患者さん向けのWi-Fi環境を準備することとしました」と田中氏。新たに構築した病院の統合ネットワークを利用して、患者向けWi-Fi接続用にVLANを分け、インターネット回線を新規で敷設することとした。業務用と患者向けWi-Fi用ではSSID/ VLANを分離し、回線も別にすることで、総務省の「Wi-Fi提供者向けセキュリティ対策の手引き」にも準拠した構成となっている。
 Wi-Fi環境の運用については、POPCHAT社のWi-Fi認証ソリューションを導入した。認証やセキュリティはもちろん、接続の制御に関するポリシーにも対応できる。「まずはお試しの意味もありますので、規約同意のみでサービスを開始しましたが、将来的には別の認証にも変更できるようにしておきたいこともあり、そうした変更にも対応できるPOPCHATを選びました」と田中氏は言う。まずは使ってもらうために制限を緩和しているが、状況を見ながら最適な運用をしていきたいと話す。

トラブルなく安定した病院ネットワークを実現

 ネットワークの更改作業は段階を5つに分け、順次設置/設定と切り替えを行っていく方式で実施した。新型コロナウイルスの感染対策、体調・衛生管理などもしっかり行いつつ作業は進み、トラブルもなく無事完了した。「切り替え作業などもまったく問題なく、スケジュール通りに完了しました」と田中氏は言う。
 新しいネットワークは有線/無線ともに大きなトラブルもなく、安定して稼働している。佼成病院では今回、ネットワーク運用支援サービス「Net.Monitor」に加入しており、アライドテレシスが運用監視センターで24時間365日リモート監視を行っているが、大きな障害は発生していないと言う。「設定で分からないことがあったときなど連絡をしていますが、すぐにリアクションがあり、とても助かっています」と田中氏。ネットワーク管理ツールのAT-Vista Manager EXについても、日本語表記で確認や操作がしやすいと評価している。
 患者向けWi-Fiも運用開始以来特にトラブルは発生しておらず、快適に利用されている。「患者さん向けWi-Fiは、緩和ケアの先生からもありがたいと感謝の言葉をいただきました。まだ開始して1年ですが、もっと使ってもらえるようにしていきたいと思います」と田中氏は話す。コロナ禍の今は産婦人科での出産立ち会いも制限されているが、今後は新生児と家族の面会に患者向けWi-Fiを使うといったことも考えられると、利用拡大に期待を寄せている。

災害拠点病院としての備えにAWC-SCを導入

 佼成病院ではネットワークの更改後に、アライドテレシスの無線LAN拡張ソリューション「AWC-SC(AWC-Smart Connect)」を導入している。AWC-SCは、アクセスポイント間の接続を無線通信にすることで配線工事を省き、アクセスポイントを設置し電源を入れるだけで、短期間かつ低コストでエリアを拡張しながら安定した無線LAN環境を構築できる。
 外国人来院者への翻訳サービスを提供するために外来エリアのWi-Fi環境を拡張する目的のほか、災害拠点病院としての準備という側面もある。「災害時に避難されてきた方に使っていただくというのもありますし、トリアージエリア(災害時における救護所)が敷地内かつ建物外になっても、院内無線LANエリアを拡張して、電子カルテなどのシステムを利用できる環境が必要であると考えていました」と田中氏。万一の災害に備える形で、AWC-SCとともに、屋外無線LANアクセスポイント「AT-TQ5403e」を導入している。
 ネットワーク更改を無事に終え、患者向けWi-Fiも導入した佼成病院では、今後もネットワークの安全・安心な利用とさらなる充実を進めていく。今後について田中氏は、「今回は認証サーバーなども導入してセキュリティを強化していますが、アライドテレシスの脆弱性診断サービスなども利用して、より安全面を強化していきたいと考えています。次の更新ではコア・スイッチのリプレースもあると思います。それも含め色々と新しい提案をしていただきたいと思います」とアライドテレシスへの期待も語った。
 アライドテレシスではこれからも、製品やテクノロジー、サポートの提供を通じて、佼成病院のネットワークを積極的に支援していく。

導入ネットワーク構成イメージ図

導入企業基本情報

お客様プロフィール

立正佼成会附属佼成病院
情報システム課
課長
田中 諭氏

病院名
立正佼成会附属佼成病院
所在地
東京都杉並区和田2-25-1
創立
1952年
許可病床
340床(一般病床250床、小児病床21床、地域包括病床49床、緩和ケア病床20床)
標榜診療科目
24診療科
URL
https://kosei-hp.or.jp/
取り組み

1952年開設。立正佼成会が運営する医療機関。日本医療機能評価認定(3rdG:Ver1.1)。「真観」すなわち「正しく観て、正しく手当する」を理念としている。特に地域密着型の医療に力を入れており、近隣の医療機関と密接な連携を保ちながら、救急医療にも積極的に参加し、断らない医療を常に実践している。患者に必要とされる、患者から評価される病院を目指す。

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