特定医療法人 万成病院 様

電子カルテの更新に先駆けて病院ネットワークを刷新、有線/無線ともに、さらに安定かつ高可用に

精神科医療に対する社会のニーズが多様化する中、岡山の万成病院は「ひろがれ!笑顔」をモットーに、地域との交流・連携を深め、「精神科医療からの町づくり」を推進している。万成病院では、電子カルテシステムの更新に先駆け、その基盤となるネットワークの更改を実施。アライドテレシスのネットワークを採用し、AMF、AWCにより、安定して快適に利用可能で、万一の際にもすぐに復旧可能なネットワークを実現した。(2022年7月公開)

業種・業務
医療
ソリューション
AMF Vista Manager シリーズ VCS AWC SDN PoE
導入製品
ネットワーク運用 コアスイッチ ディストリビューションスイッチ エッジスイッチ 無線LAN
導入目的
IoT活用 VDI(仮想デスクトップ) ネットワークの改修・増築・刷新 運⽤・管理の向上 環境の整備 統合管理 安定稼働・安定通信 高速通信 無線LANの簡単導入 セキュリティの強化 ネットワーク監視の強化 業務効率の向上 コスト削減 災害対策 事業の改善

電子カルテの更新に先駆けてネットワークを刷新

 岡山県岡山市の万成病院は、病床数500床の精神科病院。外来ではうつ病など各種こころの病に対応し、入院は統合失調症・認知症を中心に医療を行っている。また急性期だけではなく、慢性期・社会復帰を積極的に支援している。
 万成病院では「精神科医療からの町づくり」を推進。統合失調症や認知症を発症しても、ひとりの住民として生き生きと暮らしていける町づくりを目指し、各種公開セミナーの実施や、地域交流のための古民家カフェやサロンといった地域交流の場を設けるなど、地域との連携を強化している。「リハビリ施設やケアステーション、多機能型の事業所なども併設しており、2022年7月にはグループホームの新設移転も予定しています」と話すのは、万成病院 情報システム課 課長の河田 智之氏だ。
 万成病院は 2012年からのVDIの運用実績を活かして、2015年4⽉に全国に先駆け、ストレージの仮想化を採用したVDIシステムで電子カルテを導入し、仮想デスクトップ上で運用してきた。電子カルテの導入で事務作業を削減、リアルタイムな情報共有を可能にした。効率化された時間を、臨床へより多く割当が可能になり、医療の質の向上を実現している。その際に電子カルテの基盤として導入されたのがアライドテレシスの有線/無線ネットワークだ。
 導入以降、ネットワークは大きなトラブルもなく安定して稼働している。2016年にはVDIを更新し、翌年にサーバー室を病院内管理棟に移設。その際に新たにアライドテレシスのAMF(Autonomous Management Framework)を導入し、ネットワークを一元管理できるようにした。AMFは、複数のネットワーク機器の一括設定や一括アップデート、遠隔地からの管理・設定変更、事前設定不要の機器交換といった運用を可能とし、運用・管理工数とコストの大幅な削減、障害時の自動復旧を実現する技術だ。
 そして2022年3月にVDIを更新、さらに同年予定している電子カルテの更新に先駆け、その基盤となるネットワークの更新・強化を実施した。

AMF、AWCにより一元管理可能で安定したネットワークを構築

 ネットワークの更新にあたり、ポイントとなったのは安定性・可用性だ。「VDIの基盤となるのでサーバー周りは10Gbpsに対応したスイッチが必要でした。またこの辺りは夏に落雷が非常に多いため、瞬電時にもすぐに復旧できる安定性と実績が必要でした」と河田氏。迅速な復旧という部分については、実際に落雷でスイッチにトラブルが発生した際にも、AMFの自動復旧機能により、予備機に差し替えるだけでネットワークをすぐに復旧させることができたと言う。
 今回のネットワーク更新では、コア・スイッチにアドバンスト・レイヤー 3・モジュラー・スイッチ「SwitchBladex908 GEN2」を冗長構成で配置。フロア・スイッチにはレイヤー 2plus ギガビット・インテリジェント・スイッチ「x230シリーズ」、その他にも10ギガビット・インテリジェント・スタッカブルスイッチ「x550シリーズ」やギガビットイーサネット・タップスイッチ「CentreCOM GS908S-TP」を設置している。無線LANアクセスポイントは、新規にIEEE 802.11a/b/g/n/ac対応の「ATTQm5403」を導入している。なお、病院に隣接している関連施設についてもネットワークを更新し、情報共有の強化を行っている。
 導入パートナーの富士フイルムビジネスイノベーションジャパン株式会社 岡山支社 カストマーサービス部 システムサービスグループ グループ長の鍋倉 義明氏は、「光回線も増設し、UTM(統合脅威管理)とVLANを組み合わせています。その配下で無線LANを管理することでトラッフィックも均等に分散させることができました」と話す。
 引き続きAMFによるネットワークの一元管理を利用するほか、無線LANの管理と品質向上のため、AWC(Autonomous Wave Control)を採用。AWCは、無線LANアクセスポイントそのものをインテリジェント化してチャンネルや電波出力を自律的に調整し、無線エリア内の電波干渉を最小化するアライドテレシスのソリューションだ。またネットワーク管理ツールを、ユニファイド・ネットワーク・マネージメント・アプライアンス「VST-APLシリーズ」に更新。有線/無線のネットワークを見える化している。

ネットワークの見える化で状況把握がさらに容易に

 コロナ禍ということもあり、ネットワーク機器の設置や配線工事などは調整に苦労したという。「設定など、リモートでできる部分はリモートで対応し、作業を進めました」と話すのは、富士フイルムビジネスイノベーションジャパン株式会社 岡山支社 営業一課 ソリューション営業グループの河内 晃氏。「物理的な作業については、移設前のサーバールーム(敷地内別棟に設置)がバックアップセンターとして現在は稼働していますので、ネットワークの仮組みなどはそちらで行うことで、病院内に立ち入ることなく作業を進めることができました」と導入時の工夫を語る。感染症対策を万全にしつつ、また半導体不足から機器の納期が遅くなるという問題などにも対応しながら、導入は進められた。
 VDI更新の後、2022年4⽉に新たなネットワークは大きなトラブルもなくリプレースを完了し、稼働をスタートした。無線LANについても、管理基盤が以前より充実したことで順調とのことだ。現在はこの後実施予定の電子カルテ更新に向け、微調整が続けられている。
 診療系(電子カルテ系)、情報系でネットワークを利用するほか、コロナ禍では入館時に検温の必要性が出てきたことから、正面玄関をはじめ各所にネットワークに接続可能な顔認証と検温ができる端末を導入した。なお、職員に関しては以前から使⽤しているICカード型の職員証で体温の記録を残している。また、番号呼び出しシステムも刷新し、人の動線を調整した。コロナ禍によってIoT機器のネットワーク管理も重要度が増している。運用に入ってからは、ネットワーク管理のためのVST-APLシリーズも利用している。「病院のフロア図面を取り込めるので、無線LANの強度などをヒートマップで確認することができるようになり、何か発生したときでも目に見えない電波を視覚的に切り分けができるのは便利だと思います」と河田氏は評価する。2015年に導入したネットワークと比較すると、VLAN数は増え、地域医療ネットワークなど外部への接続も増加しているが、AMFによる一元管理とVST-APLシリーズによる見える化により状況の把握がさらに容易になり、管理も上手く回っているという。

電子カルテの更新を控え、ネットワークの調整を続けていく

 万成病院ではこれまで、電子カルテの端末としてシンクライアント端末だけでなく、タブレットも利用しており、カルテの閲覧や入力だけでなく、カメラ機能を使って治療の状況を撮影してカルテに添付するといった活用も行われてきた。次の電子カルテ更新時には、タブレットを引き続き利用するほか、ノートパソコン型のシンクライアント端末も導入予定で、ベッドサイドでの電子カルテへのさらに詳細な入力も可能となる。しかし、難しい面もあると河田氏は言う。「あまり電子カルテの入力のほうに意識がいってしまうと、ケアがおろそかになり、事故に繋がるなどの懸念もあります。運用方法についてはよく考えていかなければなりません」と河田氏。あくまで「患者第一」であることを強調した。
 またセキュリティ面については、今回UTMを更新し、VDIを活用していることがセキュリティの向上にも繋がっている。「診療系も情報系もVDIのハイパーバイザーにセキュリティ対策を行っていますので、端末ごとにウイルス対策ソフトを入れたり、脆弱性を管理したりするなどといったことはなく、統合的に管理できています。ユーザー側で意識することなく、しっかりとした対策ができていると思います」と河田氏は語る。
 今後について鍋倉氏は、「電子カルテの更新がありますが、足回りとなるネットワークの更新が終わっていますので、その部分は良かったと思います。今後もアライドテレシスとともに、ユーザー様に寄り添った提案をしていければと思います」と話す。
 河田氏は、「前回の紙カルテから電子カルテへの移行とは異なり、すでに稼働している電子カルテを更新することになるので、その際に重要なのはダウンタイムを短くすることです。リプレースするからには、ユーザーの利便性も高めていきたいので、創造的で一歩先を行く提案を期待しています」と今後を語った。
 アライドテレシスではこれからも、万成病院のネットワークを、製品や技術、サポートの提供を通じ、積極的に支援していく。

導入ネットワーク構成イメージ図

導入企業基本情報

お客様プロフィール

特定医療法人 万成病院
情報システム課
課長
上級医療情報技師
診療情報管理士
河田 智之氏

病院名
特定医療法人 万成病院
所在地
岡山市北区谷万成1-6-5
創立
1954年
許可病床数
500床( うち精神科措置入院指定病床数15床)
標榜診療科目
5診療科
URL
https://mannari.or.jp/
取り組み

地域とともに歩み、精神科医療からの町づくりを目指す。町づくりを通して精神科医療の質が担保され、次代を担う医療人が育っていくと考え、教育・啓発の充実や高齢者への支援、スポーツ支援などに力を入れている。

パートナー企業基本情報

お客様プロフィール

富士フイルムビジネス
イノベーションジャパン株式会社
岡山支社 カストマーサービス部
システムサービスグループ
グループ長
鍋倉 義明氏

株式会社TAS
SI事業部 SE課
システム第1係
笠原 慎平氏

会社名
富士フイルムビジネスイノベーションジャパン株式会社
所在地
東京都江東区豊洲2丁目2番1号
創立
2021年
代表者
取締役社長 旗生 泰一
URL
https://www.fujifilm.com/fb/company/fbj
取り組み

2021年4月に、富士ゼロックス(現:富士フイルムビジネスイノベーション株式会社)の国内営業部門と国内の全販売会社31社、富士ゼロックスインターフィールドを統合して誕生。国内営業に関わる全ての知見やノウハウ等を含む総力を結集し、全国統一オペレーションのもと、新たな価値提供を加速し、これまで以上に迅速かつダイナミックに顧客のニーズに対応する。

会社名
株式会社TAS
設立
1977年
代表者
代表取締役社長 加藤 宏吉
設立
https://www.tasnet.co.jp/
取り組み

お客様に満足していただくことを第一と考え、常に高品質な商品とサービスの提供を最優先に、信頼を得て愛される企業、そして地域、社会の発展に貢献する企業を目指す。

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