三井不動産株式会社 日本橋一丁目三井ビルディング 様

オフィスビルのネットワークを統合し、管理・運用を一元化。さらにアクセスポイント間を無線でつなぐことで、遮蔽物が多く壁の厚い場所でも安定した無線LANを利用可能に

三井不動産株式会社の日本橋一丁目三井ビルディングでは、デジタル化のさらなる推進を見据え、用途により分散していたネットワークを統合し、管理用の無線LANの整備を行った。ネットワークソリューションにアライドテレシスを採用し、ネットワークの一元管理、シングルチャンネル構成、快適な無線LAN通信を実現。これからさらに推進していくDXの基盤となるネットワークを構築した(2022年11月公開)

業種・業務
エンタープライズ
ソリューション
AMF Vista Manager シリーズ AWC-SC AWC-CB PoE
導入製品
ネットワーク運用 コアスイッチ ディストリビューションスイッチ エッジスイッチ 無線LAN ITサービス(Net.Service)
導入目的
ICT活用 統合ネットワーク ネットワークの改修・増築・刷新 運⽤・管理の向上 環境の整備 統合管理 安定稼働・安定通信 無線LANの簡単導入 ネットワーク監視の強化 運用・管理・監視の支援を外部に委託 業務効率の向上 事業の改善
課 題
メーカーごとにネットワークが分散
地下など一部で接続しにくい無線LAN
採用ポイント
豊富な統合ネットワーク構築のノウハウをもとにした提案
データ分析の基盤となる将来を見据えたネットワーク
効 果
統合ネットワークで一元管理が可能に
AWC-SCにより壁が厚く、遮蔽物の多い地下でも無線LANを利用可能に

DX実現を推進する日本橋一丁目三井ビルディング

 総合不動産デベロッパーの三井不動産株式会社は、AI活用を含むDX(デジタルトランスフォーメーション)実現の推進や、スマートエネルギー、脱炭素・低炭素化、各種多様性、働き方改革などのSDGsの達成、設備間情報連携、各種データ関連性検証、改善活動への反映、ビッグデータ活用など、さまざまな取り組みを積極的に進めている。
 「ビルメンテナンス・管理の業界はどうしてもまだアナログなやり方が多いので、DXは大きなテーマになっています。ここ日本橋一丁目三井ビルディングでは、昨年から作業届の電子化の取り組みやタブレット端末を利用して作業の効率化とミスの低減を実現しています」と話すのは、三井不動産株式会社 ビルディング本部 日本橋一丁目オフィス 技術長の岩崎 雄二氏。作業届だけでなく各種点検帳票の電子化もあわせて進めているという。
 三井不動産グループが手掛ける数多くのオフィスビルの中で、日本橋一丁目三井ビルディングは「エンジニアの育成」という特長を持つ。新しい技術を積極的にトライアル導入するとともに、技術職を育成する役割を担っているのだ。「アセットマネジメントやプロパティマネジメント、現場の設備管理、テナント営業までを当セクションで一気通貫に行い、技術を持ったエンジニアの育成を行っています」と岩崎氏。

将来を見据えた統合ネットワークを構築

 日本橋一丁目三井ビルディングでは、ITVや構内電話設備等の通信機器の老朽化に合わせて、今回ネットワークの刷新を行った。多くのアナログな管理をデジタル化していくため、また有効なデータ活用・解析を行うために、それに耐えうるインフラが必要だったことが主な理由だ。従来はメーカーごとにネットワークが分散していたこともあり、ネットワークにブラックボックスが多いことも課題になっていた。
 スマートビル関係のイベントでアライドテレシスのブースを訪れた際に、通信設備のリプレースやWi-Fiの整備、統合ネットワークを構築したいことを相談したところ、後日アライドテレシスが状況に合わせたネットワーク構成を提案した。
 「竣工から18年が経過し、さまざまな設備の改修期がきています。ネットワークに関しては、分散していたネットワークの統合やWi-Fiの整備など、これからのDX化のインフラとなる新しいネットワークを求めました」と岩崎氏。
 アライドテレシスでは、①新たな構内通信手段の構築、②将来的なビル設備統合ネットワークの基盤となる10Gベースの幹線を新設、③ビル全域をカバーできるメンテナンス用無線LAN環境の構築、④ビル要員の手を割くことなく、ある程度メンテナンス不要で稼働できるネットワーク、⑤既存の監視カメラネットワークの統合、⑥障害発生時の遠隔サポート及び機器交換対応といった6点をコンセプトに、これらを実現するソリューションを提案した。
 従来の個別ネットワークと比較して、統合による効率性やコスト削減、またアライドテレシスの持つ統合ネットワークや無線LAN構築のノウハウなどを評価して提案を採用、2021年11月から設置工事がスタートした。

ネットワーク統合とWi-Fi整備がポイント

 新たなネットワークは、コア・スイッチにアドバンスト・レイヤー 3・モジュラー・スイッチ「SwitchBlade x908 GEN2」を冗長化して設置。フロア・スイッチにはギガビット・インテリジェント・スタッカブルスイッチ「x530Lシリーズ」、無線LANアクセスポイント(以下:アクセスポイント)は「AT-TQ5403」を導入した。
 機器とともにアライドテレシスのネットワーク技術を利用することで、構築・運用工数の低減を実現している。統合ネットワークの管理には、アライドテレシスのAMF(Autonomous Management Framework)を利用。AMFは複数のネットワーク機器の一括設定や一括アップデート、遠隔地からの管理・設定変更、事前設定不要の機器交換といった運用を可能とし、運用・管理工数とコストの大幅な削減、障害時の自動復旧を実現するアライドテレシスの独自技術。これにより分散、複雑化していたネットワークを一元的に管理する。
 無線LANについてはAWC-CB(AWC-Channel Blanket)で各フロアのシングルチャンネル構成を実現。AWC-CBは単一のチャンネルでアクセスポイント間の移動時にもローミングレスで、途切れることのない快適な通信を実現する技術。これにより移動しながらタブレット端末を使っての点検結果の入力などもスムーズに行うことができる。
 さらにAWC-SC(AWC-Smart Connect)により、壁の厚い地下階などを中心にアクセスポイント間を無線で繋ぐことで、配線工事なしでの接続、コスト低減を実現している。AWC-SCはアクセスポイント間の接続を無線通信にすることで配線工事を省き、アクセスポイントを設置し電源を入れるだけで、短期間かつ低コストでエリアを拡張しながら安定した無線LAN環境を構築できる技術だ。
 「構造的に地下階は壁が特に厚く、また発電機やボイラー機器なども設置しており遮蔽物も多く、配線の取り回しが困難でしたが、AWC-SCでそうしたところにも無線エリアを拡大することができました。地下も含めWi-Fiが届くようにすることと統合化の2点が、今回のネットワーク構築の大きなポイントだったと言えます」と岩崎氏は言う。

DXによる効率化やサービス品質の向上を目指していく

 ネットワークの設計から構築までは、アライドテレシスの導入支援サービス「Net.Pro」を利用することでスムーズに進み、2022年3月には工事が完了。運用に入ってからはネットワーク運用支援サービスの「Net.Monitor」で24時間365日の遠隔監視をアライドテレシスが行っている。またネットワークにはユニファイド・ネットワーク・マネージメント・アプライアンス「VST-APLシリーズ」が設置されているため、オンプレミスでのLAN / WAN /無線も含めたネットワークの可視化を実現できている。
 複数メーカーの機器が接続されているため、運用に入ってからのネットワークのトラブル時、事故ポイント調査に各メーカーとの調整が必要となった。「しかし幸いにもビル側でコントロールして大事に至らなかったということがあり、問題なく利用できています」と岩崎氏は言う。しかし活用はこれからとのことで、「まだまだ残っているアナログの部分も多く、これからデジタル化が進んでいくことになります。その時にはまた使い勝手や求める速度なども変わってくるかと思いますが、今回のネットワークはそのインフラとなるべきものを構築できたと思います」と言う。将来を見据えてネットワークの幹線は10Gに増速しており、ひとまずは今後の活用拡大にも耐えうる基盤となっている。
 提案から構築、運用の支援までのアライドテレシスへの評価についても、「施工面については大きな問題はなく、無事当初の目標を達成しています。これからの活用に向けて今後もさまざまな提案をいただければと思います」と岩崎氏は語る。
 日本橋一丁目三井ビルディングではこれからもデジタル化を進め、データの収集から解析まで行い、それらのデータ活用により、より進化したサービス・管理品質を目指していく。  アライドテレシスでは今後も、日本橋一丁目三井ビルディングのDX実現の取り組みを、製品や技術、サポートなどの提供を通じて、積極的に提案・支援していく。

導入ネットワーク構成イメージ図

導入企業基本情報

お客様プロフィール

三井不動産株式会社
ビルディング本部
日本橋一丁目オフィス
技術長
岩崎 雄二氏

会社名
三井不動産株式会社 日本橋一丁目三井ビルディング
所在地
東京都中央区日本橋室町2丁目1番1号
設立
1941年
従業員数
1,898名(2022年3月31日現在)
URL
https://www.mitsuifudosan.co.jp/
取り組み

「都市に豊かさと潤いを」をグループステートメントに、オフィスビルや商業施設、ホテル・リゾート、ロジスティクス、住宅など、ビジネスとくらしに関するソリューションとサービスの提供を行う総合不動産デベロッパー。持続的な成長を目指し、不動産業そのもののイノベーションとさらなるグローバリゼーションに取り組む。

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