宮崎県企業局 様

企業局庁舎および企業局施設の情報通信ネットワークを統合管理し運用を容易に

宮崎県企業局では、庁舎内業務用および、県内で管轄している水力発電所と工業用水道施設を監視制御するための情報通信ネットワークを更新。アライドテレシスのAMF(Autonomous Management Framework)により一元管理が可能で、万一の際にも予備機に差し替えるだけですぐに復旧できる、安定したネットワークを構築した。(2022年8月公開)

業種・業務
自治体
ソリューション
AMF Vista Manager シリーズ VCS UTM&VPN
導入製品
ネットワーク運用 コアスイッチ ディストリビューションスイッチ エッジスイッチ 無線LAN ルーター(有線LAN)
導入目的
ネットワークの改修・増築・刷新 運⽤・管理の向上 環境の整備 統合管理 安定稼働・安定通信 セキュリティの強化 ネットワーク監視の強化 業務効率の向上 災害対策 事業の改善

県内の発電所と工業用水道施設を監視制御

 宮崎県企業局は、宮崎県が経営する地方公営企業だ。地方公営企業とは、水の供給や公共輸送の確保、医療の提供、下水の処理など、地域住民の生活や福祉、地域の発展に不可欠なさまざまなサービスを提供する事業活動を行うために、地方公共団体が経営する企業活動の総称である。
 宮崎県企業局では現在、水力発電を主とした電気事業、細島工業団地に工業用水を供給する工業用水道事業、一ツ瀬川県民スポーツレクリエーション施設を運営する地域振興事業の3つの事業を行っている。
 「宮崎県の年間平均降水量は2,500mm程度と全国でも上位に入ります。企業局では、宮崎県民の資産と言えるこの恵まれた水資源を有効活用し、水力発電事業を経営するとともに、その事業活動を通じて地域経済の発展に寄与しています」と話すのは、宮崎県企業局 総合制御課 情報通信担当 主幹の高巢 輪二氏。総合制御課は発電所および工業用水道施設の集中監視制御をはじめ、停止作業計画や給電業務、電力量、貯水池の運用などの関連業務を3交代制、24時間体制で行っている。
 宮崎県企業局が運営している発電所は現在14 ヶ所。北は祝子川の上祝子発電所から、南は酒谷川の酒谷発電所まで、県のほぼ全域にわたり点在している。「山深いところも多く、また発電所によっては天候などにより道が不通になったりすると迂回しなければならず、宮崎市から3時間も4時間も掛かる場合もあります。発電所は基本的に無人運営ですので、監視制御のためのネットワークは不可欠です」と、宮崎県企業局 総合制御課 情報通信担当 主任技師の上井 和哉氏は言う。

統合管理とバックアップの強化が大きな要件に

 発電所と工業用水道施設の監視制御には、以前は無線通信なども利用していたが、近年は主にIPネットワークを利用している。各発電所、工業用水道施設にネットワーク機器を設置し、有線ネットワーク(一部無線)を利用して監視制御を行っている。以前にもネットワーク機器の一部にはアライドテレシス製品を利用しており、「アライドテレシスの機器に大きなトラブルが起きたことはありませんでした」と上井氏。
 しかし、さまざまなベンダー製のネットワーク機器が混在していたことで、統合的な管理が難しかったことが課題だったと言う。「ネットワーク管理のためのツールなどは導入していましたが、すべての機器が管理できるわけではなく、トラブルが起きた際の切り分けも困難でした」と高巢氏は話す。また一部の機器は設置から長期経過しており、動作の不具合などを予防するためにも更新が必要となった。
 ネットワークの更新にあたり大きなポイントとなったのは、課題となっていた統合管理だ。「機器のベンダーを統一して統合管理を実現したいと考えていました」と高巢氏。ベンダーを揃えるとともに、統合的な監視・管理を行えるツールも必要となる。
 そしてバックアップ回線の強化も要件の一つだった。発電所や工業用水道施設への光回線は冗長化した上で、万一の際には迂回して通信できるようにし、有線の敷設が難しい場所については携帯電話や衛星電話の回線を用いてネットワークが利用できるようにすることが必要となる。そのためネットワーク機器はそうしたモバイル回線にも対応できることが求められた。
 保守についても、通常ネットワーク機器の保守期間は5年であることが多いが、7年の保守対応が求められた。

AMFで統合管理を、AT-Vista Manager EXでネットワークの可視化を実現

 これらの要件をもとに複数社の入札を経て、新たな監視制御ネットワークにはアライドテレシスの機器とソリューションを導入することとなった。
 企業局の入る庁舎や各発電所に冗長化の上で設置するL3スイッチにはユニファイドマネージメント・スタッカブルスイッチ「x930シリーズ」とギガビット・インテリジェント・スタッカブルスイッチ「x530Lシリーズ」を設置。L2スイッチにはギガビット・インテリジェント・スイッチ「x230シリーズ」が採用された。ルーターはアドバンスト・セキュアVPNアクセス・ルーター「AT-AR3050S」で、SFP+モジュールで光回線に、USB型データ通信端末で携帯電話網、衛星電話網に接続する。
 ネットワークはアライドテレシスの 独自機 能 である「AMF(Autonomous Management Framework)」で統合的な管理を行う。これにより、複数のネットワーク機器の一括設定や一括アップデート、遠隔地からの管理・設定変更、事前設定不要の機器交換といった運用を可能とし、運用・管理工数とコストの大幅な削減、障害時の自動復旧を実現する。万一の際にはITにあまり詳しくない作業者でも予備機にケーブルを差し替えるだけでネットワークを復旧することが可能となる。
 統合管理のためのツールには、さまざまなデバイスをグラフィカルに集約して一元管理を可能にする統合管理ソフトウェア「AT-Vista Manager EX」を導入し、常にネットワークの状況が把握できるようにしている。
 機器の更新作業にあたっては、「各拠点のネットワークを一斉に止めることはできませんので、バックアップ回線を生かしながら切り替えるなど工程の切り分けを行い、できるだけネットワーク停止を短くするように進めました」と高巢氏は苦労を語る。
 予定通り2021年3月には更新作業を完了し、以降のネットワークには大きなトラブルもなく、安定して稼働しているという。
 管理ツールであるAT-Vista Manager EXの使い勝手について上井氏は、「視覚的で分かりやすいですし、ログオンツールなどを使わなくてもWebブラウザーですぐに接続できるので便利です」と評価している。

自治体DX推進の一つとして無線LANの活用も拡大へ

 今回のネットワーク更新では、一部発電所の無線LAN機器を更新し安定性を高めた。
 「現在、発電所などでの設備の点検業務はタブレット端末を利用しています。既存設備の更新をしたことで、必要だった安定した無線LANが構築できています。入力したデータは、そこからサーバーに保存することもできるようになりました。今後、庁舎でも無線LANが使えれば、場所にこだわらず情報共有ができ、故障時の対応などにも有効的だと期待しています。」と高巢氏。
 宮崎県では現在、自治体DX(Digital Transformation)を進めているが、こうした取り組みもその一つで、業務の効率化に繋がるとともに、さらにデータを機器や設備の故障予知などにも活用していきたい構えだ。
 ネットワークは現在、企業局庁舎のほか発電所やダム、配水池、取水堰などの施設、また支局、地域の総合庁舎、管理事務所などにも接続しており、ネットワークを利用している端末の総数は、業務用のPCが160数台、監視用のネットワークカメラが90数台、監視制御用の機器などが20数台となっている。このネットワークを安定して利用していくために、宮崎県企業局では今後も整備を続けるとともにDXによる効率化も推進していく。最後に高巢氏に今後の展望を聞いた。
 「今後も進めていきたいのはセキュリティの強化です。現在のネットワークは制御系、情報系などセグメントを分けて利用していますが、こうしたネットワーク分離をどうしていくかは引き続き検討していかなくてはなりません。現場で作業する業者さんにもネットワークを利用してもらえれば効率も上がると思いますが、行政ネットワークですのでセキュリティの問題もあり、難しくなっています。セキュリティを高めつつ、利便性も高めるような方法を検討していますので、アライドテレシスにもいろいろと相談できればと思っています」と高巢氏は語った。
 アライドテレシスではこれからも宮崎県企業局の運営するネットワークを、製品や技術、サポートの提供を通じ、積極的に支援していく。

導入ネットワーク構成イメージ図

導入企業基本情報

お客様プロフィール

宮崎県企業局
総合制御課 情報通信担当
主幹
高巣 輪二氏
(「巣」は正式には旧漢字です。)

自治体名
宮崎県企業局
所在地
宮崎県宮崎市旭1丁目2番2号
URL
https://www.pref.miyazaki.lg.jp/kigyokyoku/
取り組み

「宮崎県企業局経営ビジョン」のもと、豊かな水資源と河川環境を活用し、地域社会の持続的な発展と県民福祉の増進に貢献する公営企業をめざす姿に掲げ電気事業、工業用水道事業、地域振興事業の3つの事業を推進してる。

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