野村不動産株式会社 様

大型商業施設の売り上げ管理システムを無線LAN環境で構築。 来館客用のWi-Fiも一元管理。

野村不動産が開業した地域密着型商業施設「SOCOLA南行徳店」では、売り上げ管理システムを導 入するにあたり、CAT端末(クレジット端末)用の無線LAN環境を構築。同時に来館客用のWi-Fi設 備も整備した。無線LANの構築にあたっては、アライドテレシスの機器およびAMF(Autonomous Management Framework)とAWC(Autonomous Wave Control)を導入し、万一のトラ ブルの際にも迅速に復旧可能で、安定した無線LAN環境を実現している。 (2022年6月公開)

業種・業務
エンタープライズ
ソリューション
AMF Vista Manager シリーズ VCS AWC SDN UTM&VPN PoE
導入製品
ネットワーク運用 コアスイッチ ディストリビューションスイッチ エッジスイッチ 無線LAN ルーター(有線LAN)
導入目的
公衆無線LAN ネットワークの新規構築 運⽤・管理の向上 環境の整備 統合管理 安定稼働・安定通信 無線LANの簡単導入 セキュリティの強化 業務効率の向上 コスト削減 災害対策 事業の改善

野村不動産が手掛ける地域密着型商業施設

 野村不動産が展開する地域密着型の商業施設ブランド「SOCOLA(ソコラ)」は、「すぐそこにあるCOMMUNITYLAND」を集約した造語で、「ちょっとソコラでお買い物」といった、親しみやすく愛されるショッピングセンターという意味も持つ言葉だ。
2021年10月に開業した「SOCOLA南行徳店」は、SOCOLAとして千葉県初出店。地上3階、地下2階、延床面積約3万7000平方メートルと、他に4店舗展開しているSOCOLAの中で最大級の規模。建物は以前総合大型スーパーが入っていた物件をフルリノベーションしたものだ。
「SOCOLAとして初の改修物件です。スクラップ&ビルドではなく、建物の既存躯体はそのままに、内装や設備を全面改修し、環境負荷を抑えた開発としました。建物の既存建物の基幹設備については必要に応じて更新や補修、改修し既存を活かしました。そこに専門店化するにあたって必要な設備を付加、設置したことが、南行徳店の開発面での特徴です」と話すのは、野村不動産株式会社都市開発第二事業本部建築部推進一課課長の大山理香氏だ。SOCOLAは地域密着型の商業施設ブランドだが、その中でも南行徳店は新しい取り組みなども行い、地域密着の取り組みをさらに積極的に推進している。
「地域密着を促進するためにさまざまな取り組みを進めています。例えば“SOCOLAテラス”というコミュニケーションのための場を設け、イベントや物販、ワークショップなど、多様な用途でご利用いただいています。南行徳ならではの取り組みや情報発信を行い、週に2~3回、もしくはそれ以上に足繁く通っていただけるような施設を目指しています」と話すのは、SOCOLA南行徳店の運営を担う、野村不動産コマース株式会社事業本部運営一部マネジメント一課SOCOLA南行徳MC館長の宮間俊一氏だ。

売り上げ管理システム用のネットワークに無線LANを導入

 SOCOLA南行徳店の情報通信設備の開発にあたっては2つのコンセプトがあった。一つはテナントが利用できる売り上げ管理システムを用意すること、もう一つは来館客が利用できるWi-Fi環境を構築することだ。
「売り上げ管理システムについては、南行徳店以前の他の施設でも導入していますが、それらは有線LANで接続していました。南行徳店についても当初は有線LANで設備計画をしていましたが、全体の工費圧縮を進める中で、お客様用のWi-Fiとあわせて通信設備として一括で無線LANを構築した方がコスト圧縮になるのではないかと考え、提案いただきました」と大山氏。
設備工事を担い、開業後は保守も担当する株式会社きんでん東京支社情報通信工事課次長の五十嵐康徳氏は、「売り上げ管理システム用とフリーWi-Fiのネットワークを一緒にすればコストの圧縮ができますし、無線LANであれば店舗への配線工事も必要なく、またレイアウト変更なども容易です。売り上げ管理システム用のネットワークは、二重化はもちろん、極力ダウンタイムを短くし、復旧方法の簡単なものを選びました」と提案の経緯を話す。
きんでんがSOCOLA南行徳店の無線LANに提案したのがアライドテレシスのネットワークソリューションだ。当初は別ベンダーの機器も検討していたが、コストパフォーマンスや実績、安定性などを総合的に検討してアライドテレシスを提案したと五十嵐氏。
「特に売り上げ管理システム用のネットワークはこれまで有線しか実績が無かったので、セキュリティや信頼性、実績などを重要なポイントとして検討しました」と大山氏は採用までの経緯を振り返る。

AMF、AWCにより安定した無線LAN環境を構築

 SOCOLA南行徳店の無線LANインフラとして採用されたのは、ルーター、コアおよびフロア・スイッチを設置し、その先はPoE+で無線LANアクセスポイントを接続する構成。ルーターはアドバンスト・セキュアVPNアクセス・ルーター「AT-AR4050S」、コア・スイッチはユニファイドマネージメント・スタッカブルスイッチ「CentreCOMx930シリーズ」、フロア・スイッチはレイヤー2plusギガビット・インテリジェント・スイッチ「CentreCOMx230シリーズ」を、それぞれ冗長化して設置。その先の無線LANアクセスポイントは「AT-TQ5403」を40台導入している。
ネットワークは「AMF(AutonomousManagementFramework)」で統合管理を行う。AMFは、複数のネットワーク機器の一括設定や一括アップデート、遠隔地からの管理・設定変更、事前設定不要の機器交換といった運用を可能とするアライドテレシスが独自開発したSDN機能だ。
さらに無線LANについては、安定した無線LAN環境を維持するために自律型無線LANソリューション「AWC(AutonomousWaveControl)」を導入している。AWCは、アクセスポイントをインテリジェント化し、無線エリア内の各アクセスポイントが自律的に周囲の電波状況を収集。そのデータを無線LANコントローラーが分析し、チャンネルや電波出力を自律的に調整してエリア内の電波干渉を最小化するソリューションだ。
またネットワーク管理には、スイッチ/ルーター内蔵型のネットワークマネージメントソフトウェア「VistaManagermini」を導入した。
これらAMF、AWC、VistaManagerminiにより、有線/無線LANの可視化を実現している。機器の設定はアライドテレシスが行い、設置工事はきんでんが担当。設置にあたっては、機器の冗長化だけでなく、L3スイッチとL2のPoEスイッチには、瞬断対策でUPS(無停電電源装置)を使用して給電しているなど信頼性を高めるための工夫を行っている。
まず無線LANアクセスポイントの電波が届く範囲を重ねるようにし、万一のトラブルで片方が使えなくなっても、隣接のアクセスポイントで通信が継続できるようにしている。また同様に有線ケーブルを予め2本引いておくことで、無線LANアクセスポイントを迅速に増設できるようにもしている。
「レイアウト変更などで繋がりにくいところができた場合には、すぐに改善することができます」と五十嵐氏。「ネットワークの設置時には、テナントが独自に設置する機器との干渉や、チャンネルの振り分けなども、きんでんさんにテナント計画を共有し、当社側の計画との細かい調整を行って頂きました」と大山氏は言う。

安定した無線LAN環境を高く評価

 建屋のリノベーションの完了とともに、ネットワーク工事も完了し、2021年10月29日の開業と同時に無線LAN環境も正式に稼働をスタートした。以降は特に大きな問題もなく、ネットワークは安定して稼働している。
「無線LANは極めて良好な状況です。2022年2月に設備点検で全館停電した際も、3月の福島県沖地震で2時間弱ほど停電した際も支障なく、復電後は迅速にネットワークを復旧できました。運営側としても安心で、頼もしいネットワークだと感じました」と宮間氏は評価する。全入居テナント62店(2022年4月時点)のうち、半数以上のテナントが売り上げ管理システムを利用しているが、店舗からの不満の声はなく、安定して利用してもらっているという。
また同時に設置した来館客向けのフリーWi-Fiについては、現在新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から滞在時間なども考慮して、利用にあたっての詳細を調整中ではあるが、インフラとしては整備を完了しており、万一の災害時にもすぐに提供できるようになっている。
「有事にも活用できる、頼もしい仕組みができたと思います」と宮間氏。大山氏も今回の無線LAN構築について、安定した環境を構築できたことを評価しており、「コスト的には有線と比較すると4割くらいは削減できている計算になりますが、併せて、運営に入ってからのレイアウト変更やテナント変更時に配線工事が不要というメリットは大きいです」と語る。
オープンから約半年を経過したSOCOLA南行徳店。依然としてコロナ禍は続いているものの、万全の対策を実施した上で来館客も増え、リピート率も高いと言う。
今後の展望について宮間氏は、「今回の南行徳店における無線LAN導入は、まったく新しい取り組みでした。今後も安定した施設運営を続け、無線LANについても知見を蓄積して、今後も増えていく野村不動産の商業施設運営にも活かせるよう、運営に取り組んでいきます」と語る。大山氏は、「開発時のコスト圧縮、運営時の負荷軽減にも繋がる新しい取り組みができたと評価しています。これを成功事例として、今後はSOCOLAに限らず商業施設で売り上げ管理システムを導入する際には、無線LANを提案していければと思います」と展望を語った。
アライドテレシスではこれからも、野村不動産の無線LAN導入、運用を、機器や技術、サポートなどの提供を通じて積極的に支援していく。

導入ネットワーク構成イメージ図

導入企業基本情報

お客様プロフィール

野村不動産株式会社
都市開発第二事業本部
建築部
推進一課 課長
大山 理香氏

会社名
野村不動産株式会社
所在地
東京都新宿区西新宿1丁目26番2号
設立
1957年
代表者
代表取締役社長 松尾 大作
URL
https://www.nomura-re.co.jp/
取り組み

グループ企業理念「あしたを、つなぐ」を掲げ、「住まい」「オフィス」「商業施設・ホテル」「物流施設」の事業フィールドで不動産ビジネスを展開。「未来につながる街づくり」と「豊かな時の育み」を通じて、顧客の信頼と期待に応えていく。

お客様プロフィール

野村不動産コマース
株式会社
事業本部 運営一部
マネジメント一課
SOCOLA南行徳MC
館長
宮間 俊一氏

会社名
野村不動産コマース株式会社
所在地
東京都新宿区西新宿8-5-1 野村不動産西新宿共同ビル
設立
1968年
代表者
代表取締役社長 矢野 忠孝
URL
https://www.nomura-rp.co.jp/
取り組み

「心躍るトキをお届けします」をミッションに、商業施設開発・リニューアルやまちづくり・再開発、施設運営、野村不動産グループ事業を展開。常に変化する商業施設環境をトータルでカバー。

パートナー企業基本情報

お客様プロフィール

株式会社きんでん
東京支社
情報通信工事課 次長
五十嵐 康徳氏

会社名
株式会社きんでん
本店所在地
大阪市北区本庄東2丁目3番41号
設立
1944年
代表者
取締役社長 上坂 隆勇(「隆」は正式には旧漢字です)
URL
https://www.kinden.co.jp/
取り組み

絶えず変化する社会において、常に未来を志向した企業家精神の発揮により、優れた設備とサービスの創造に努め、社会への貢献と「エネルギー」「環境」「情報」を三本柱とする総合設備工事会社としての事業の発展を目指す。

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