日本赤十字社 小川赤十字病院 様

HCIによる拡張性に優れた仮想基盤を導入、 インターネット分離で安全なアクセスを実現

小川赤十字病院では、物理サーバーの設置場所削減や将来的なシステム導入などを見据えて、HCI(Hyper Converged Infrastructure)による仮想基盤を導入。さらに、日本赤十字社の全社統合情報システムへ参加するために、コンテナ技術を活用したインターネット分離を導入した。これにより拡張性の高い仮想基盤と、セキュアなインターネットアクセスを実現した。(2023年5月公開)

業種・業務
医療
ソリューション
スイッチソリューション VCS
導入製品
システムインテグレーション ディストリビューションスイッチ エッジスイッチ ITサービス(Net.Service)
導入目的
HCI(仮想化基盤) ICT活用 VDI(仮想デスクトップ) ネットワークの改修・増築・刷新 運⽤・管理の向上 環境の整備 安定稼働・安定通信 セキュリティの強化 ネットワーク監視の強化 運用・管理・監視の支援を外部に委託 業務効率の向上 コスト削減 クラウド利用
課 題
数多く存在するシステムを集約したい
全社統合情報システムへの参加方法について
採用ポイント
コストパフォーマンスの高いHCIの提案
コンテナ技術を活用したインターネット分離
効 果
HCIによりスペースの節約と柔軟な拡張性を実現
セキュアなインターネットアクセス

将来のシステム拡張を見据えて仮想基盤を導入

 埼玉県比企郡小川町の小川赤十字病院の設立は1939年。日本赤十字社が運営する全国91病院の一つで、地域の中核病院として、また公的医療機関として地域に根ざした医療を積極的に提供している。小川赤十字病院は2022年2月には厚生労働省から地域医療支援病院に承認されている。
 小川赤十字病院では2022年、サーバー室のスペース節約や物理サーバーの集約、将来的なシステム導入などのために、システムの刷新を検討。これに対しアライドテレシスでは、HCI(HyperConverged Infrastructure)を利用した、拡張性に優れた仮想基盤を提案し、入札を経て採用された。
 またインターネットの利用については、日本赤十字社の全社統合情報システムに参加するにあたり、同院ではインターネット分離の導入を検討。これについてもアライドテレシスの提案するソリューションが採用された。「全社統合情報システムは、日本赤十字社がセキュリティ向上の一環として全国赤十字施設のインターネット回線を一元的に管理するネットワークです。インターネットの閲覧に加えて、メールアドレスも管理されています。全社統合情報システム導入会社や既存の電子カルテ関連業者、ネットワーク業者などシステムごとにベンダーが異なるため、この共存に関してどのように実現するか困っておりました。」と話すのは、小川赤十字病院 経営企画課 経営企画係長の河野 公司氏だ。全社統合情報システムに参加するにあたり、導入方法やコスト、職員の利便性などを検討していく中で、さまざまなベンダーや系列病院などからも情報を集め、その中の一社がアライドテレシスだった。

拡張性に優れた仮想基盤の導入

 小川赤十字病院の要望に対して、アライドテレシスが提案したのは、拡張性に優れたHCIを用いた仮想基盤である。HCIは、従来の3階層型(3Tier)の仮想化基盤とは異なり、共有ストレージを必要とせず、x86サーバーのみで構成する。ストレージ仮想化の技術を活用して各サーバーの内蔵ディスクを束ね、仮想ディスクを構成する。これによりHCIは、システムの規模に合わせて、ノード台数を増やしていくことで、仮想基盤を段階的に拡張することが可能だ。
 今回の案件では、HCIの基盤にNutanixを提案。仮想基盤に「Nutanix NX-1175S-G8」を3台、バックアップサーバーには「HPEDX180 Gen10 Plus 8LFF」を1台という構成で提案を行った。
 小川赤十字病院では、さまざまなシステムを利用し、サーバーも多く稼働していたことから、今後さらにシステムが入ってくることも見据えて、基盤の検討を行っていた。
 応札では従来型の3Tierでの基盤構築提案もあり、「当初の予想ですと、HCIでのシステム構築の方が、従来型の3Tierシステムよりも高価になるのではないかと考えていました。ですが、最終的には入札でアライドテレシスのHCI提案の採用に至りました」と河野氏。

コンテナ技術を活用したインターネット分離を導入

 またアライドテレシスが提案したインターネット分離は、ジェイズ・コミュニケーションのインターネット分離ソリューション「RevoWorksSCVX」および「RevoWorks Browser」を利用するものだ。
 RevoWorks SCVXは、コンテナ技術を活用した高いセキュリティを特徴とするインターネット分離ソリューション。端末から接続する際に毎回サーバーに新規コンテナを作成し、仮想ブラウザを起動する。仮想ブラウザの終了時にコンテナを削除することで、コンテナ内のすべてのデータも削除されるため、高いセキュリティを担保する。
 RevoWorks Browserは、端末内のセキュアなコンテナ環境のみがインターネットと接続。高い安全性と容易な操作性を実現する仮想ブラウザソリューション。PC内にコンテナ環境を構築し、ローカル環境とは分離してセキュアな作業環境を構築する。コンテナ終了時にユーザーフォルダは削除され、お気に入りや履歴はサーバーに保存される。
 どちらもコンテナ技術を活用しているが、RevoWorks SCVXはサーバー上に作成されるコンテナの中でブラウザを起動し、端末には画面転送を行うのに対し、RevoWorks Browserは、端末内にコンテナ環境を構築する仕組みだ。
 今回の提案ではRevoWorks SCVXを電子カルテ端末用に、RevoWorks Browserを事務系端末用としてハイブリッドな提案を行った。
 「他のベンダーからもインターネット分離の提案を受けましたが、コストが高く、ライセンス数の見直しも行いたいということで入札を行い、RevoWorksの採用に至りました」と河野氏は語る。
 また今回の導入ではインターネット分離に加え、株式会社プロットのファイル共有システム「Smooth File」を仮想基盤に導入している。

仮想基盤の本格的な活用を進めていく

 仮想基盤の構築にあたっては、アライドテレシスが積極的な支援を行った。小川赤十字病院 経営企画課の倉林 孝行氏は、「導入フェーズでは端末のOSを再インストールしなくてはならないことがあるなど苦労しましたが、アライドテレシスのSEが技術的サポートなど、迅速・真摯に対応してくれて、大変助かりました」とアライドテレシスの支援を評価する。なお導入後の運用フェーズでは、アライドテレシスの運用支援サービス「Net.Monitor」に加入しており、24時間365日の監視とさらなる支援を行っていく。
 インターネット分離の導入については、利便性の面では利用者は若干手続きなどが必要となったが、導入によりセキュリティが向上したことに加えて、サイトの印刷やブックマークなどができるようになったことなどについては評価の声もあるとのこと。また近年活用が進んでいるWeb会議システムなども仮想ブラウザで利用できているという。
 仮想基盤については、現段階でNutanixに載せているシステムはインターネット分離とファイル共有システム「Smooth File」だが、今後はさらにさまざまなシステムを集約することにより、サーバー室スペースの有効活用などの効果も期待できるという。
 「勤怠システムや病理システム、ナースコールシステム、資産管理システムなどの集約も視野に入っています。あとは、これはまだHCIに載せるか決まっていませんが、電子カルテシステムや健診システム、PACSなどについても、従来型の3Tierシステムが良いか、HCIに載せるのが良いかを含め検討していきます。こうした基盤の選択肢ができたのは良いことだと思います。これからもよろしくお願いします」と河野氏は今後の予定と期待を語った。
 アライドテレシスはこれからも、小川赤十字病院のIT課題の解決を、製品や技術、サポートの提供を通じて、積極的に支援していく。

導入ネットワーク構成イメージ図

導入企業基本情報

お客様プロフィール

小川赤十字病院
経営企画課
経営企画係長
河野 公司氏

病院名
日本赤十字社 小川赤十字病院
所在地
埼玉県比企郡小川町小川1525
設立
1939年
病院長
院長 竹ノ谷 正徳
病床数
302床
URL
https://www.ogawa.jrc.or.jp/
取り組み

80年以上にわたり地域に密着した医療を提供。急性期治療と二次救急に加え、病気の予防・早期発見を目的とする健康診断や周辺医療機関との連携、訪問看護にも積極的に取り組んでおり、地域医療の中核をなす総合病院として、赤十字精神に則った診療と救護活動を推進。

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