医療法人水の木会 下関病院 様

AMF、AWCにより、統合管理が可能で 障害からの復旧も迅速な院内ネットワークを構築

医療法人水の木会 下関病院では、院内ネットワーク、および関連施設のVPNルーターの刷新を実施。「AMF(Autonomous Management Framework)」により統合的なネットワーク管理と万一の障害からの復旧迅速化を実現。さらに、自律型無線LANソリューション「AWC(Autonomous Wave Control)」により、快適な電子カルテシステム端末の利用が可能な無線LAN環境を構築した。(2019年12月公開)

業種・業務
医療
ソリューション
ネットワーク運⽤ AMF Vista Manager シリーズ 無線LAN AWC-SC セキュリティ UTM&VPN PoE
導入製品
コアスイッチ ディストリビューションスイッチ エッジスイッチ 無線LAN ルーター(有線LAN)
導入目的
ネットワークの改修・増築・刷新 運⽤・管理の向上 環境の整備 統合管理 安定稼働・安定通信 データ保全 運用・管理・監視の支援を外部に委託 業務効率の向上 コスト削減

あらゆる精神障害を持つ患者の問題解決に取り組む

 山口県下関市の医療法人水の木会下関病院は、精神科救急病棟を有する精神科病院だ。医療法人水の木会には下関病院と萩病院の2病院があり、両病院とも地域の精神科医療の基幹病院として高度で細かな医療を提供している。医療法人水の木会の理事長で下関病院院長の水木寛氏は、「地域の精神科医療の基幹病院として、あらゆる精神障害を持つ患者様の問題解決に取り組んでいます。
とくに精神科の病院は敷居が高いと思われている面もありますので、患者様が受診しやすい、親しみやすい病院であることを心掛けています」と話す。下関エリアは下関病院を中心に下関病院附属地域診療クリニック、介護老人保健施設の豊松苑、有料老人ホームの山茶花、特別養護老人ホーム富任荘といった関連施設が連携して治療を行っている。
そして、患者とより多くより丁寧に向き合うためにITを活用した業務効率化にも積極的だ。「下関病院を含む5カ所の施設をネットワークで結び、電子カルテシステムなどの各種医療システムを活用しています。
煩雑な紙運用を廃することで、患者様も手続きなどが楽になりますし、医療の質のさらなる向上に繋がります」と水木氏は語る。下関病院は2006年にオーダリングシステムを、さらに2013年には電子カルテシステムを導入。
下関病院附属地城診療クリニックも2012年の開設と同時に電子カルテシステムを導入している。また、各施設はVPN経由でサーバーに接続して介護システムを使用している。他にもグルーブウェアやセキュリティシステムなど、法人内で使用する共有システムはVPN接続経由で使用している。このようにあらゆる業務のシステム化が行われており、これらのシステムはネットワークを介して使用することが前提となっている。

障害からのネットワーク復旧が課題

 下関病院では2019年、院内および各施設を結ぶネットワークの刷新を実施した。従来のネットワークの課題について、下関病院電算室長の村上宗氏は、「何度か障害が発生しネットワークが停止してしまうことがありました。その際には、保守業者のサポートセンターへ連絡しても原因の特定と復旧までにかなりの時間がかかってしまい、もどかしさを感じていました」と振り返る。
ネットワーク停止による業務への影響は非常に大きいため、改善する必要性を感じていたのだ。無線LAN環境にも課題があったと村上氏。アクセスポイントのフリーズや電波干渉にともなうトラブルが発生していたが、導入したベンダーでも解決ができなかったという。情報を収集しつつ、ネットワークの検討を行っていたときに出会ったのがアライドテレシスである。
「障害発生から復旧までの時間短縮を最重要事項として検討していました。そこでアライドテレシスのAMF(Autonomous Management Framework)の紹介を受け、この機能を活用することで病院側でも対応が可能で、復旧までの時間短縮が図れると考えました」と村上氏。
さらに、ネットワークマネージメント・ソフトウェア「AT- Vista Manager EX」を使えば、ネットワークの専門知識がなくても原因の特定が即座に行え、AMFを活用した運用が可能と判断した。他の業者にも提案は求めたものの、提案内容やメーカーとしての認知度、ネットワーク専門ベンダーの安心感などから、アライドテレシスのネットワークソリューションを採用することとした。

AMFにより復旧の迅速化、AWCによる快適な無線LAN環境の構築

 業務用ネットワークの新たなコア・スイッチにはマルチレイヤー・モジュラー・スイッチ「SwitchBlade x8100シリーズ」が設置され、フロア・スイッチには「CentreCOM AT-SH230シリーズ」、無線LANアクセスポイントには「AT-TQm5403」が導入された。院内のインターネット系ネットワークには、セキュアVPNセンター・ルーター「AT-AR4050S」を中心に各フロアに「AT-GS920シリーズ」が設置されている。
下関病院附属地域診療クリニック、豊松苑、山茶花、富任荘の各施設にもAT-AR4050Sが設置され、5つの施設をVPNで結んでいる。院内のネットワークはAMFにより統合的な管理が行われる。AMFは、複数のネットワーク機器の一括設定や一括アップデート、遠隔地からの管理・設定変更、事前設定不要の機器交換といった運用を可能とする機能だ。
AMFの導入により運用・管理工数とコストの大幅な削減、障害時の自動復旧を実現する。無線環境にはアライドテレシスの独自技術である「AWC(Autonomous Wave Control)」が導入されており、常に最適な電波出力、チャンネルが維持され、快適な無線LAN活用を実現する。
そして、新たなネットワークはマネージメント・ソフトウェア「AT Vista Manager EX」により有線、無線を問わない“見える化”が実現されている。導入はスムーズに進んだ。「ネットワークの停止時間を最小限にするようスケジュールを組み、アライドテレシスと何度も打ち合わせを行い導入を進めていきました」と村上氏。拠点間のVPNルーター、院内ネットワークと段階的に切り替えを実施。大きなトラブルもなく予定通りに導入は完了した。

ネットワークの可視化、運用工数の軽減を実現

 新たなネットワークは2019年4月から運用が開始されており、安定して稼働を続けている。「トラブルはなく、無線LANについても不満の声は聞こえていません。安定して快適に利用できています」と村上氏は語る。他の施設とのVPN接続も安定していて、そちらからも不満の声などは上がっていないという。そのため運用工数の軽減も実現できている。「以前であれば何かあるたびに現場まで行って確認して、業者に連絡してと、とにかく手間が掛かっていましたがそうしたことはまったくなくなりました」と村上氏は評価する。
Vista Manager EXも活用しており、ネットワークの可視化を実現し、ログからシステムのレスポンス調査や、停電による電気障害の確認などネットワーク以外の面でも役に立っている。
今回、下関病院では運用支援サービスの「Net.Monitor」もあわせて導入している。Net.Monitorは、ネットワークからサーバーまでお客様ITシステムの安定運用を支援するためのサービス。今回の導入では、院内全体のネットワークに関わるコア・スイッチに限定している。
それ以外の機器については、先に紹介したAMFを利用することで保守コストの削減を実現した。トラブルが発生していないため、Net.Monitorのサービスは今のところ利用実績はないものの、「万一の際には原因の切り分けも素早く可能ですので、運用に安心感があります」と村上氏は言う。

関連施設の機器も刷新し、さらなる統合管理を目指す

 下関病院では2019年8月にクラウド型の電子カルテ分析サービスを利用開始した。カルテ情報を匿名化してサービスに送信し、患者の傾向などを分析するサービスだ。データの送信は1日2回の差分データのみとなっているため、通信データ自体は大きくないが、快適に利用できており、こうしたクラウドサービスの利用にもネットワークの問題はないという。
院内ネットワークおよび各施設のVPNルーターの刷新を完了した下関病院では今後も、病院情報システムの基盤となるネットワークの安定運用、効率化を目指していく。
村上氏は、「病院のネットワークはアライドテレシスで統一しましたが、附属地域診療クリニックはまだ以前導入した機器が稼働しています。次の更新時にはアライドテレシスの機器に入れ替えて、すべての施設のネットワークを一元管理したいと考えています」と語った。最後に水木氏に今後の展望を聞いた。「地域に根ざした医療をますます進めていきます。
地域の方が相談しやすいようにカフェを開いたり、疾患についての説明や講演会をしたりするなど、病院に来ていただくだけではなく、こちらからも患者様やその御家族のためになることをやっていくことが大切です」と水木氏は力強く語った。アライドテレシスでは今後も、医療法人水の木会下関病院のネットワークを、製品や技術、サポートサービスなどの提供を通じて積極的に支援していく。

導入ネットワーク構成イメージ図

導入企業基本情報

お客様プロフィール

医療法人水の木会 下関病院
理事長 院長
水木 寛氏

病院名
医療法人水の木会 下関病院
所在地
山口県下関市富任町6丁目18番18号
設立
1954年
理事長・院長
水木 寛
病床数
296床(うち、応急指定病床1床)
URL
http://www.mizunoki.jp/
取り組み

精神科救急病棟を有する私立の精神科病院。地域の精神科医療の基幹病院として急性期治療へ取り組むだけでなく処遇困難障害者への治療的対応まで、あらゆる精神障害者の問題解決に取り組む。

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