田原市役所 様

市庁舎と各機関を結ぶ自治体ネットワークを刷新、LGWAN系ネットワークに無線LANを導入

愛知県田原市役所ではネットワークの更新に伴い、アライドテレシスのネットワーク機器を導入するとともに、LGWAN系のネットワークに無線LAN環境を構築した。庁舎と出先機関を含めたネットワークをAMF(Autonomous Management Framework)で一元管理し、AMF-SEC(AMF-SECurity)によりセキュリティ対策を強化。そしてAWC(Autonomous Wave Control)で快適な無線LAN環境を自律的に維持できるネットワークを構築した。(2022年6月公開)

業種・業務
自治体
ソリューション
AMF Vista Manager シリーズ VCS AWC AMF-SEC(旧:SES) UTM&VPN PoE
導入製品
ネットワーク運用 コアスイッチ ディストリビューションスイッチ エッジスイッチ 無線LAN ルーター(有線LAN)
導入目的
ネットワークの改修・増築・刷新 統合管理 無線LANの簡単導入 セキュリティの強化 ネットワーク監視の強化 業務効率の向上 コスト削減 災害対策

持続的なまちづくりにも取り組む田原市

 愛知県の南東部、北は三河湾、南は太平洋、西は伊勢湾と三方を海に囲まれた渥美半島に位置する田原市。豊かな自然と温暖な気候に恵まれた地域で、伊良湖岬、蔵王山、太平洋ロングビーチなど、大勢の観光客が訪れる景勝地を擁する、豊かな土地となっている。全国有数の農業地帯で、特に野菜生産額は全国トップレベルとして知られる。中でもキャベツは全国有数の生産地で、市の公式マスコットキャラクター「キャベゾウ」にもなっている。
 田原市には、サーフィンの世界大会などが開催される全国的にも有名な「太平洋ロングビーチ」や「ロコ」といったサーフスポットがあり、一年を通じて安定した波が打ち寄せることから多くのサーファーが訪れる。2018年には「田原市サーフタウン構想」を掲げて、この利点を生かし、赤羽根地域を中心にサーファーをはじめとする若者・子育て世代の移住数を増加させる施策を進めることで、赤羽根地域の活力維持・拡大を図り、赤羽根地域だけでなく本市全域へと波及させ、持続的なまちづくりの発展へとつなげることを目指している。
 「サーフスポットにはWi-Fi環境も整備しています。大会での選手用Wi-Fi増強のためにアライドテレシスの無線LANアクセスポイントを設置したこともあります」と語るのは、田原市 総務課 総務係 課長補佐兼係長の小久保 高氏だ。
 田原市 総務課 情報システム係 課長補佐兼係長の杉浦 和孝氏も、「定住・移住の促進には力を入れており、サーフタウン構想もそうした施策の一つです」と言う。

新しい技術を積極的に取り込み、ネットワークを強化

 田原市は、2003年に田原町が赤羽根町を編入合併。さらに2年後の2005年に渥美町を編入合併し、現在の田原市となった。庁内LANの導入が始まったのは、まだ田原町であった1998年頃で、地域情報化基本計画が策定され、庁舎内のLAN導入が始まった。この時、庁舎と出先機関や小中学校をネットワークで接続し、ネットワークの一元化が進められた。2001年には、田原町の情報発信の役割を担う情報センターも設立され、サーバー機器の集約が行われた。アライドテレシスとの出会いはその頃である。
 以降、機器を更新しながらネットワークに関しては多くのアライドテレシス製品を利用し、2013年秋には市庁舎のコア・スイッチを含む大幅なネットワーク更新を行った。この時に機器とともにアライドテレシスのAMF(Autonomous Management Framework)を東海地方の自治体では初めて導入した。AMFは、複数のネットワーク機器の一括設定や一括アップデート、遠隔地からの管理・設定変更、事前設定不要の機器交換といった運用を可能とし、運用・管理工数とコストの大幅な削減、障害時の自動復旧を実現するアライドテレシスの独自技術である。これにより複雑化していた庁舎内ネットワークの一元管理を実現した。
 そして2016年にマイナンバー制度がスタートすると、総務省の自治体情報システム強靭性向上モデルに対応する形で、内部業務を行うLGWAN(総合行政ネットワーク)系、個人情報などを扱うマイナンバー利用事務系、インターネット系のネットワークを分離し、インターネット系の接続を自治体情報セキュリティクラウドに移行。またセキュリティ対策の強化としてAMF-SECを導入。AMF-SECは、各種アプリケーションと連動し、ユーザー端末への仮想ネットワークの自動形成や、ふるまい検知などセキュリティ強化機能による運用の高効率化をOpenFlow/ SDN技術で提供する。この時の導入では、標的型サイバー攻撃対策(ふるまい検知)の製品と連携して、マルウェア感染を検知した場合、自動的に感染端末が接続されたスイッチのポートを遮断する仕組みを構築した。
 田原市のIT関連の構築、運用を当時から担当してきた、西日本電信電話株式会社(以下、NTT西日本) 東海支店 ビジネス営業部ソリューション担当 主査の鈴木 祐司氏は、「アライドテレシスのネットワーク機器については大きなトラブルはありません。ルーター機器の交換などで何度かAMFの自動復旧機能を利用していますし、AMF-SECによりセキュリティも保たれています」と語る。

LGWAN系ネットワークにアライドテレシスの無線LANを導入

 2020年に実施されたネットワーク更新では、保守の切れる機器の交換の他、LGWAN系のネットワークに無線LANを導入した。
 「これまでインターネット系のネットワークで無線LANを利用することはありましたが、LGWAN系では初めてです。以前利用していた無線LANアクセスポイントは通信が止まってしまったり、コストの問題があったりしましたので、選び直しました」と小久保氏。
 ここでLGWAN系ネットワークの無線LANとして選ばれたのがアライドテレシスの「TQ5403シリーズ」だ。TQ5403シリーズを提案した理由を鈴木氏は、「セキュリティを担保した上で、コストパフォーマンスが高いことが主な理由です。田原市様は人事異動も多いため、端末を容易に移動できる無線LANを導入することは大きなメリットがあります」と話す。
 TQ5403シリーズ以外に今回導入した機器は、コア・スイッチとしてアドバンスト・レイヤー 3・モジュラー・スイッチ「AT-SBx908 GEN2」を冗長化して設置。フロア・スイッチにはユニファイドマネージメント・スタッカブルスイッチ「x530シリーズ」、エッジ・スイッチや出先機関のルーター配下のスイッチとしてレイヤー 2plus ギガビット・インテリジェント・スイッチ「x230シリーズ」などを導入している。ルーターはアドバンスト・セキュアVPN アクセス・ルーター「ATAR4050S」、ネットワーク管理ツールも最新の「AT-Vista Manager EX」とし、運用支援の「Net.Monitor」も導入している。
 以前から利用していたAMF、AMF-SECについてはそのまま利用を継続し、今回LGWAN系に無線LANを導入したことにともない、アライドテレシスの無線LAN基盤技術「AWC(Autonomous Wave Control)」を採用している。AWCは、無線LANアクセスポイントそのものをインテリジェント化してチャンネルや電波出力を自律的に調整。無線エリア内の電波干渉を最小化することで、快適に利用できる無線LAN環境を実現する。

柔軟な働き方を実現する無線LANを評価

 ネットワーク更新にともなう工事や機器の設定について、「長くアライドテレシス製品をご利用いただいていますので、問題なくスケジュール通りに設置し、設定も完了しました」と鈴木氏。
 導入以降、ネットワークについては小さなトラブルはあるものの改善やチューニングを実施し、今では大きな問題なく稼働しているという。特に無線LANに関しては、「庁内のどこでも自席デスクと同じ作業ができるようになったため、会議や打ち合わせに柔軟に対応でき、ペーパーレス化が進み、また人事異動もスムーズになったため職員には好評です」と杉浦氏はその効果を語る。
 田原市はいち早くAMFを導入したように、新しい技術の取り組みにも非常に積極的だ。最新の技術を活用して、行政サービスの向上や効率化、セキュリティ対策の強化を推進している。そのような中で今回については、「LGWAN系ということもあって、検証なども終わり、他の導入事例もあるAWCを導入しています」と鈴木氏は言う。
 最後に、今後について、「導入当初は細かいトラブルなどもありましたが、今ではかなり安定しています。今後もNTT西日本、アライドテレシスのサポートに期待しています」と小久保氏は語った。
 アライドテレシスではこれからも、製品や技術、サポートの提供を通じ、田原市のネットワークを積極的に支援していく。

導入ネットワーク構成イメージ図

導入企業基本情報

お客様プロフィール

田原市
総務課 総務係
課長補佐兼係長
小久保 高氏

自治体名
田原市役所
所在地
愛知県田原市田原町南番場30-1
行政面積
191.11平方キロメートル
世帯数・人口
22,457世帯・59,734人(2022年3月31日現在)
URL
https://www.city.tahara.aichi.jp/
取り組み

農業、工業、商業のバランスがとれた地域として知られる。観光では伊良湖岬をはじめ、蔵王山、太平洋ロングビーチなど半島の地理的特性を生かした観光資源が数多くある。

パートナー企業基本情報

お客様プロフィール

西日本電信電話株式会社
東海支店
ビジネス営業部
ソリューション担当
主査
鈴木 祐司氏

会社名
西日本電信電話株式会社 東海支店
本社
大阪市都島区東野田町4丁目15番82号
設立
1999年
資本金
3,120億円
従業員数
1,500人(2022年3月31日現在)
URL
https://www.ntt-west.co.jp/
取り組み

音声伝送サービス、データ伝送サービス、専用サービス、電報サービスのほか、電気通信コンサルティングなどの業務を行う。

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