常滑市民病院 様
- 目 的
- 病院内Wi-Fiの整備 患者用Wi-Fiの整備 無線LANの導入 ネットワークの安定稼働 通信の改善(高速化・帯域強化) サーバーの仮想化 セキュアなインターネット接続 運用・管理の効率化 セキュリティの強化 ネットワーク監視の強化 業務効率の向上
- プロダクト・サービス
- 無線LANアクセスポイント AWC AWC-CB スイッチ VCS Vista Managerシリーズ AMF ルーター HCI Net.CyberSecurity
- 規 模
- 100~499
- 課 題
-
ネットワーク運用管理の負荷を軽減したい
大容量の通信にも対応した快適な無線LAN環境を構築したい
電子カルテ端末から安全にインターネットを利用したい
- 採用ポイント
-
インターネット系が分離していたネットワークを統合
HCIで部門システムを集約
ハイブリッド無線LANシステムで用途に応じたチャンネル設計
ローカルコンテナ型仮想ブラウザを導入
- 効 果
-
AMFでネットワークを統合管理し、運用管理の負荷を軽減
HCIによるサーバー統合集約でラックスペースを節約
快適に利用できる無線LAN環境を構築
電子カルテ端末からも安心安全にインターネット活用
特定感染症指定医療機関に指定されている市民病院
愛知県常滑市の常滑市民病院は、近隣に中部国際空港があり、特定感染症病床を有していることから、今回の新型コロナウイルスに関しても県や空港検疫所からの要請によって多くの重軽症患者を受け入れ、積極的に対応を行っている。
また「コミュニケーション日本一の病院」を理念として掲げ、患者はもとより市民との、あるいはスタッフ間や地域連携などにおいてもコミュニケーションの充実を図っている。
「当院は2025年に近隣の三次救急医療機関と経営統合・独立行政法人化を目指しています。それにあたっては診療統合なども検討しており、院外での情報共有も考えてクラウド型のコミュニケーションサービスを導入しています」と話すのは、常滑市民病院 システム管理室長の中村 統勇氏だ。
常滑市民病院は2015年に新病院へ新設移転したが、その際に構築した病院情報システムにはいくつかの課題が生まれていた。
常滑市民病院が抱えるさまざまな課題
新病院開設時のシステム構築から7年を経て課題となっていたのは、①SDNを用いたネットワーク運用により日々の負担を低減したい、②情報コンセントの切り替え(電子カルテ系とインターネット系)を容易に行いたい、③画像転送にも耐えうる無線LAN環境整備を行いたい、④電子カルテ端末から安心安全なインターネット利用環境を整備したい、⑤診療業務に影響なく患者向けWi-Fi環境の整備を行いたい、⑥安全に利用してもらうためのセキュリティを確保しつつ運用負荷を下げたい、の6つだ。
中でも特に②④⑤については新型コロナウイルスの流行により顕在化した課題である。「新型コロナウイルスの流行によりオンライン診療やWeb会議などネットワーク利用の負荷が増えたこと、面会が禁止になったことなどにより顕在化した課題です」と中村氏。
常滑市民病院ではネットワークの更改とあわせ、こうした課題を解決すべく、情報を収集し、さまざまなソリューションを検討した。そうした中で入札などの手続きを経て採用されたのが、アライドテレシスのネットワークソリューションだ。
課題を解決するアライドテレシスの提案
アライドテレシスの提案はネットワーク構成の変更を含む大規模なものだ。常滑市民病院のネットワークは従来、HIS系やPACS・検査系ネットワークと、インターネット系ネットワークが物理的に分離していた。アライドテレシスはこれらのネットワークを統合することを提案。その上で、AMF(Autonomous Management Framework)と、管理ツールであるAT-Vista Manager EXを導入し、運用管理の負荷を軽減するものだ。AMFは、複数のネットワーク機器の一括設定や一括アップデート、遠隔地からの管理・設定変更、事前設定不要の機器交換といった運用を可能とし、運用・管理工数とコストの大幅な削減、障害時の自動復旧を実現する機能だ。そしてAT-Vista Manager EXでネットワークを可視化する。
また多くの部門システムを仮想化基盤で集約・統合するために、HCI(Hyper Converged Infrastructure)を導入。運用管理を容易にするとともに、サーバールームのラックスペースも節約している。「HCIを導入したことでサーバーラックスペースを節約できています」と中村氏は言う。
そして臨床機器においては4K、8Kと画質が向上しており、大容量通信を安定して接続ができる無線LAN環境が必要となっていた。また従来の環境ではローミングによる問題も発生しており、改善が求められていた。「ローミングの問題で大きかったのは、ポータブルの放射線撮影機器です。撮影後データをアップロードしている最中にローミングが発生すると、データが消えてしまうといった問題がありました」と中村氏は振り返る。そこでアライドテレシスが提案したのが、AWC-CB(AWC-Channel Blanket)の技術を活用したハイブリッド無線LANシステムだ。AWC-CBは、単一のチャンネルでアクセスポイント間の移動時に、ローミングレスで通信が途切れることなく快適な通信を実現する技術だ。これにより5GHz帯をブランケット方式、2.4GHz帯をセル方式と分け、用途に応じてチャンネル設定することで、ローミングを防ぎ、快適な環境を構築している。
次にローカルコンテナ型の仮想ブラウザ「RevoWorks Browser」の導入だ。これにより電子カルテ端末からの、安全安心なインターネット接続環境を構築する。特にコロナ禍により各種団体などへのインターネット経由での報告が増加していたため、電子カルテを見ながらインターネットでの報告を多人数で行うことが可能となり、大きな効率化になったという。「他にも、コロナ禍でオンライン診療も始まりましたし、Web会議も増えました。また地域連携で他の病院に患者さんを紹介する際には最新情報をすぐに調べることができ便利だと好評です」と中村氏は評価している。
そして最後に患者用Wi-Fiの整備だ。職員と患者用のWi-Fiは、アクセスポイントや回線は共用としながらVLANでセグメントを分け、患者用Wi-Fiには認証装置(GoNET)を導入することでセキュリティを担保している。
情報を共有しながらゼロトラストで病院情報システム構築へ
新たなネットワークを構成する主な機器には、コア・スイッチにアドバンスト・レイヤー 3・モジュラー・スイッチ「SwitchBladex908GEN2」を配置。ディストリビューション・スイッチにはユニファイドマネージメント・スタッカブルスイッチ「x530シリーズ」、エッジ・スイッチにはレイヤー 2plus ギガビット・インテリジェント・スイッチ「x230シリーズ」が導入され、無線LANアクセスポイントは「ATTQ5403」が設置されている。
新たな構成の中ではフォーティネット社のゲートウェイに、医療機器などのメンテナンス回線を集約したことが特筆される。「大変多くの医療機器を導入していますので、従来の環境ではメンテナンス用の回線をそれぞれバラバラに接続していました。今回それを集約したことでセキュリティが強化でき、配線もすっきりしました」と中村氏は言う。
ネットワークの更改工事は2021年末に実施され、スケジュール通りに完了した。統合ネットワーク、HCI、無線LAN環境、仮想ブラウザ、患者用Wi-Fiなど、さまざまな部分が新しくなったが、大きな問題もなく安定して稼働しているという。「今回はLANだけでなく、WAN側も10Gbpsに増速して、アライドテレシスには末端のポートまで十分な速度で利用できるようにとお願いしました」と中村氏。
将来的にはシンクライアントの導入なども視野に入っているとのことで、ゼロトラストセキュリティでネットワークを構築していきたいと中村氏は話す。「利便性の向上とセキュリティ対策においては、病院スタッフの運用だけでは対策ができず、ベンダーの協力が欠かせません。変化が著しいサイバー攻撃の対策を継続して続けていく必要があります。その対策の一つとしてベンダーと医療機関とが知識を向上し合える関係構築と、お互いが理解できるシステムなどの導入ができることがますます重要なことだと考えています」と今後の展望を語った。
アライドテレシスではこれからも、製品や技術、サポートの提供を通じて、常滑市民病院のネットワークを積極的に支援していく。
導入ネットワーク構成イメージ図
導入企業基本情報
常滑市民病院
システム管理室長
中村 統勇氏
- 病院名
- 常滑市民病院
- 所在地
- 愛知県常滑市飛香台3丁目3番地の3
- 設立
- 1959年
- 病床数
- 266床
- 診療科目
- 25科
- 常勤職員
- 医師44名、看護師223名、コメディカル97名、事務等70名(2022年5月1日現在)
- URL
- http://www.tokonamecityhospital.jp/
中部国際空港の玄関都市として特定感染症病床を有していることから、新型コロナウイルス感染症対策にも積極的に取り組む。知多半島医療圏の感染症対策の中心的な役割を担っている。