秋田県由利本荘市 様

本庁舎を中心とした市内各拠点のネットワークを更新。AMFにより、運用管理の一元化、大幅なコスト削減を実現

秋田県由利本荘市では、老朽化したネットワーク機器の更新にあたり、アライドテレシスのネットワークソリューションを導入。本庁舎を中心に各拠点を結ぶ情報系ネットワークを更新し、運用管理の一元化、ネットワークの冗長化、コスト削減を実現した由利本荘市の取り組みを紹介する。(2015年8月公開)

業種・業務
自治体
ソリューション
ネットワーク運⽤ AMF スイッチソリューション VCS
導入製品
コアスイッチ エッジスイッチ
導入目的
ネットワークの改修・増築・刷新 運⽤・管理の向上 統合管理 安定稼働・安定通信 業務効率の向上 コスト削減

機器の老朽化によりネットワーク更新を決定

 秋田県由利本荘市は、県の南西部に位置し、南に鳥海山、西は日本海に囲まれ、一級河川「子吉川」が流れる、自然豊かな市だ。同市 企画調整部情報管理課 主任の今野 薫氏は、「由利本荘市は、秋田県で最大の面積を持つ市で、“海があり、川があり、山がある”というように、多様な自然を楽しむことができます」と同市の魅力を語る。
 由利本荘市は、2005年のいわゆる「平成の大合併」で、本荘市と由利郡の7つの町(矢島町、岩城町、由利町、大内町、東由利町、西目町、鳥海町)が合併して生まれた。市制の変更と同時に、当時のネットワークも含めたシステムの入れ替えが行われ、1つのネットワークに統合された。市役所本庁舎を中心に、各総合支所(旧町役場)を二重化されたリング状のネットワークで結び、途中の経路で障害が発生しても通信断を引き起こさない構成となっていた。
 2005年から利用されてきたネットワークは、機器の保守・サポート切れを前に、見直しが図られることとなった。当時のネットワークが抱えていた課題を今野氏は次のように話す。
 「ネットワーク機器が老朽化し、故障が散発するようになっていました。古い機器であるため修理や部品の取り寄せに時間が掛かるといったことに加え、当時のネットワーク機器では一元的な管理ができない、という問題もありました。なにか問題が起これば、支所まで車を走らせて、機器を確認しなくてはならないというように、運用の手間が大きな課題でした」
 加えて、ネットワークの中で冗長化が十分ではない箇所があることや、長きにわたり変更に変更を重ねてきたため、ネットワークが複雑化していること、コストを削減することなども課題だったと今野氏は話す。

一元的なネットワーク運用を実現するAMF対応スイッチを導入

 ネットワークの見直しにあたり、今野氏は1つのポリシーをもってプロジェクトを推進している。「今回のネットワーク更新だけに限りませんが、単に古くなったから機器を置き換えるというだけでなく、システムを集約して効率化したり、業務の改善につなげたりといった、全体最適化の観点からシステムの更新を行うことが大事だと考えています」と今野氏。
 同市のネットワークは、情報系ネットワークと基幹系ネットワークが論理的に分割されており、まず今回は情報系ネットワークの更新を行い、基幹系ネットワークの更新はその後に行うこととした。
 情報系ネットワークの更新であげられた要件は、前述の課題の解決、つまり、機器を入れ替えるだけでなく、ネットワーク仮想化を利用しての一元管理、完全な冗長化ネットワーク、各総合支所出先機関のギガ対応、複雑化を解消してコストを削減することなどとされた。
 入札などの手続きを経て、今回導入されたのが、株式会社フィデア情報システムズの提案したアライドテレシスのネットワークソリューションだ。フィデア情報システムズ営業統括部 公共担当 課長待遇の三戸 忠将氏は、「由利本荘市様からの要件に沿うよう、各社の製品を比較し、アライドテレシスのネットワークソリューションをご提案することと決めました。特に、一元的なネットワーク運用を実現する、AMF(Allied Telesis Management Framework)機能が優れています」と、アライドテレシス提案の理由を話す。
 アライドテレシスのAMFは、多数のネットワーク機器を一元的に管理し、一括設定や一括アップグレード、遠隔地からの設定変更、機器交換時の事前設定不要といった運用を可能とする独自のSDN技術であり、ネットワーク運用管理における工数、コストの大幅な削減が可能となる。
 「新ネットワークの構築にあたり、競争入札の前にRFI(Request For Information、情報提供依頼書)を一般に公開して、各ベンダーから情報を集め、仕様作成を行いました。アライドテレシスからは丁寧な説明、提案をいただき、仕様にも取り入れさせてもらいました」と今野氏は言う。

遠隔支所も含め約160台のスイッチをAMFで一元的に運用・管理

 2014年2月から情報系ネットワークの更新作業がスタート。コア・スイッチに「SwitchBlade x8100シリーズ」が導入されたほか、各総合支所に「CentreCOM AT-x510シリーズ」がスタック構成で、市役所本庁内では庁内LAN用にスタック構成の「CentreCOM AT-x900シリーズ」なども導入された。
 切り替え作業について、フィデア情報システムズ アウトソーシング事業部基盤技術担当 課長代理の三浦 康太氏は、「AMFも含め、事前に十分な検証を行いましたので、切り替え作業は順調に完了しました。検証から構築作業においてはアライドテレシスの技術者にも現地へ足を運んでもらい、手厚い支援を受けることができました」と振り返る。
 機器の入れ替えと同時にAMFも稼働。この段階で40台のメンバー(スイッチ)の一元管理が可能な環境を実現した。さらに、2014年6月からは第2期の情報系ネットワーク更新として、各総合支所の先につながる出先機関の機器入れ替えも実施された。
 「まずは本庁舎と各総合支所の機器更新ということで、2014年3月までに第1期が完了し、第2期では各総合支所内のネットワーク更新と、その先の出張所や学校、図書館などの出先機関に設置されていたネットワーク機器を入れ替えました」と今野氏。
 同市には、本庁舎及び各総合支所の8拠点であわせて100を超える出先機関があり、それぞれの拠点にエッジ・スイッチとして「CentreCOM AT-x210シリーズ」が、加えて、回線により必要なところにはメディアコンバーター「CentreCOM MC1008/SP」も導入された。
 出先機関でのスイッチ入れ替えにともない、本庁舎内に「SwitchBlade x8100シリーズ」とAMFメンバーのスイッチを追加。第2期完了時には、各出先機関に設置されたスイッチも含め、計約160台のAMF対応スイッチを本庁舎から一元管理ができるようになった。

導入、運用のコストも大幅な削減を実現

 2014年12月には第2期の入れ替え作業も終わり、由利本荘市の情報系ネットワーク更新は完了した。その後は大きなトラブルもなく、安定して稼働している。今野氏は今回のネットワーク更新を次のように評価する。
 「今回の更新によって、抱えていた課題をすべて解決することができました。非常に上手くいったと思っています。小さなトラブルはありましたが、もともと相当に複雑で難しい案件でしたので、大きなトラブルがなかったことは非常に良かったと評価しています。特に、AMFにより統合的にネットワークを管理できるようになったことは大きなメリットです。コストと時間の大幅な節約になっています」
 新ネットワークの稼働後、庁内のシステム更新などにともない、ネットワークの設定変更が何度か発生しているが、その際にもAMFを活用して、スピーディーでミスのない変更作業が行われている。
 AMFによる運用の一元化に加え、今回の更新では、完全な冗長化ネットワーク、各総合支所出先機関のギガ対応も実現。さらに、複雑化を解消し、構成を見直したことなどによる効果から、コストの大幅な削減も実現することができた。
 「コストの比較は難しいのですが、仮に既存ベンダーの後継製品を導入する場合と比較して、約半分のコストで導入することができています。さらに、AMFにより運用が効率化されていますので、運用コストについても大きく削減できていると考えています」と今野氏は話す。
 AMFを高く評価する今野氏だが、アライドテレシスの対応についても好印象を受けたと言う。「機器を売ったらお終いというわけではなく、定例のミーティングや現場での作業にもアライドテレシスの技術者が顔を出して、ともに課題解決に尽力してくれました。手厚いサポートを受けることができました」

全体最適化を目指して、ネットワークの統合も検討

 三戸氏は、「情報管理課様のご理解とご協力のもと、ご要望通りのネットワーク更新を実現できました。設置工事や設定作業などを担当したPFU東日本株式会社の秋田サービスセンター、ネットワークソリューションのアライドテレシス、それに当社を加えた3社が一心同体となって課題を1つ1つ解決した成果だと思います」と、今回のプロジェクトを総括する。
 由利本荘市では、今回の情報系ネットワークの更新に続き、2015年度には基幹系ネットワークの更新も控えている。さらに、マイナンバーへの対応も急ピッチで進んでおり、今後もネットワークを含むシステムの全体最適化を進めていく。
 今野氏は、「基幹系ネットワークのコア・スイッチの入れ替えとマイナンバー対応。まずはこれを乗り越えていくことが優先課題です。基幹系ネットワークについても一元管理が望ましいので、情報系と同様の要件で手続きを進めていくつもりです。その後は、現在分割されている基幹系ネットワークと情報系ネットワークの統合を検討していく予定です。全体最適化を目指し、すべてのネットワークを一元的に管理できるように取り組んでいきます。アライドテレシスのネットワーク仮想化技術はそうした検討において大いに参考になると思いますので、これからも情報提供や提案をお願いします」と展望を語った。
 アライドテレシスでは今後も、製品の提供にとどまらず、新たなテクノロジーやサービスの紹介、提案も含め、由利本荘市のネットワーク基盤をさまざまな形で支援していく。

導入ネットワーク構成イメージ図

導入企業基本情報

お客様プロフィール

秋田県由利本荘市
企画調整部 情報管理課
主任
今野 薫氏

自治体名
由利本荘市役所
所在地
秋田県由利本荘市尾崎17番地
人口
81,399人(2015年3月31日現在)
世帯数
30,425世帯
URL
https://www.city.yurihonjo.akita.jp/
取り組み

秋田県の南西部に位置し、北は秋田市、南はにかほ市、東は大仙市・横手市・羽後町・湯沢市に接する。東西約32.3㎞、南北約64.7㎞の面積を持つ。日本古来の伝統美を持つ手芸品「本荘ごてんまり」は、同市の誇る伝統工芸品の1つ。秋には「全国ごてんまりコンクール」も行われている。

パートナー企業基本情報

お客様プロフィール

株式会社フィデア情報システムズ
営業統括部 公共担当
課長待遇
三戸 忠将氏

会社名
株式会社フィデア情報システムズ
本社
秋田県秋田市山王3丁目4番23号
設立
1974年2月
資本金
5,000万円
URL
https://www.fisys.jp/
取り組み

システムインテグレーション、ソフトウェア開発受託サービス、アウトソーシング、システム機器販売などを提供。社員一人ひとりが進取の気概を持ち、自らを改革しながら挑戦し続け、お客様に喜ばれるソリューションを提供する。

会社名
PFU東日本株式会社
本社
宮城県仙台市宮城野区榴岡4-4-13
設立
1973年8月
資本金
3,300万円
URL
https://www.pfu.ricoh.com/phn/
取り組み

東日本全域をカバーする34拠点の事業所をベースに、地域に密着した活動で安心と信頼のICTソリューションとサービスをスピーディーかつ永続的に提供。お客様とともに利益と成長を追求して、国際社会と地域社会との共存共栄を図る。

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