新潟県小千谷市 様
- 目 的
- 自治体三層の対策 ネットワークの安定稼働 セキュアなインターネット接続 運用・管理の効率化 セキュリティの強化 ネットワーク監視の強化 運用・管理・監視を外部委託 業務効率の向上
- プロダクト・サービス
- Net.Monitor Net.CyberSecurity
- 規 模
- 10,000~49,999
- 課 題
-
・Web会議やテキストコピーがつかえない環境
・ファイル転送や無害化処理にかかる時間と工数
・サーバー管理やライセンスコストの負担が増大
- 採用ポイント
-
・ファイル転送と無害化処理が一体化された設計
・端末側のリソース活用でサーバー管理の負担軽減
・ライセンスは端末単位で完結し導入コスト抑制
- 効 果
-
・安全性と利便性を高度に両立する仮想ブラウザ環境を実現
・転送速度の高速化と無害化処理の一体化で業務効率が向上
・サーバーOSライセンス不要で総保有コストを大幅削減
「書かない窓口」を中心にDX推進に積極的に取り組む小千谷市
新潟県のほぼ中央に位置し、約3万人の人口を擁する小千谷市は、魚沼産コシヒカリの産地として知られている。また、国の伝統的工芸品に指定されている「小千谷縮(おぢやちぢみ)」や、精密機械・鉄鋼などの製造業も基幹産業として発展してきた。さらに、錦鯉発祥の地としても有名で、その美しい姿から「泳ぐ宝石」と称される錦鯉は、国内外で高く評価されている。「魚沼産コシヒカリや小千谷縮、製造業に加えて、錦鯉の一大産地であることも本市の大きな特長です」と語るのは、小千谷市 企画政策課 デジタル戦略室 主査の涌井亮太氏。
こうした地域の強みを生かした活性化と並行して、小千谷市では自治体DXの推進にも積極的に取り組んでいる。その象徴的な施策が2025年1月に開始された「書かない窓口」である。小千谷市は、政府が整備する「ガバメントクラウド」上の「自治体窓口DX SaaS」を県内で初めて導入。窓口業務の本格的なデジタル化を進めている。
この「書かない窓口」は、市民が身分証明書を提示し、職員が聞き取った内容をもとに申請書を作成。本人が内容を確認して署名するだけで、住民票や印鑑登録証明書など約50種の申請、約190の届け出が完了する仕組みだ。「手続きの時間が短くなったという声を、市民の皆様から多くいただいています。職員の窓口対応の負担軽減にもつながっており、今後は対象手続きのさらなる拡大や窓口の一本化など、よりスマートな行政サービスを目指していきます」と涌井氏は語る。
RemoteAPP方式の仮想ブラウザ環境に課題
小千谷市では以前より、総務省の「自治体情報システムのセキュリティ対策ガイドライン」に基づき、「マイナンバー利用系」「LGWAN接続系」「インターネット接続系」の3系統にネットワークを分離する、いわゆる「αモデル」を採用してきた。業務端末は主にLGWAN接続系に属し、このネットワークを基盤として日常業務を行っている。
職員の業務効率向上を目的に、小千谷市はLGWAN接続系からインターネットへアクセスする手段として、RemoteApp方式(*1)による仮想ブラウザを導入していた。これにより、セキュリティクラウドを経由したファイルの無害化処理やダウンロード・アップロードがLGWAN接続端末から可能となっていた。
しかしながら、「Web会議や仮想ブラウザからのテキストコピーなどは対応しておらず不便でした」と涌井氏は振り返る。仮想ブラウザの操作には手間と時間がかかり、職員の生産性や利便性に影響を及ぼしていた。
さらにRemoteApp方式ではアプリケーションサーバー4台に加え、ロードバランサーとプロファイルサーバーを含む計6台のサーバーを必要としたため、不具合発生時には原因の切り分けに多くの工数が発生。運用や保守面での負担も大きかった。
そして運用開始から約3年が経過した頃、ユーザーのプロファイルデータ、とくにダウンロードファイル領域がアカウントに割り当てたディスク容量の上限に達したことで、仮想ブラウザが起動できなくなる事象が発生。このトラブルをきっかけに、仮想ブラウザ環境の見直しが喫緊の課題となった。「接続に時間がかかるやらファイルのやりとりに手間がかかるなどの声が職員から上がっており、当初の方式に限界を感じ始めていました」と涌井氏は振り返る。
加えて、サーバーOSのCAL(*2)に関わるライセンスコストや管理負荷も無視できない水準に達していた。こうした背景から、小千谷市はRemoteApp方式による仮想ブラウザ環境からの脱却を決断し、新たな手法の検討に乗り出すこととなった。
*1 RemoteApp(リモートアプリ)方式:アプリケーションをサーバー側で実行し、その画面のみをクライアント端末に転送する方式。端末にアプリをインストールせずに利用できるが、サーバー側の管理負荷が大きい。
*2 CAL(Client Access License):クライアントPCからWindows Serverに接続するためのライセンス
仮想ブラウザソリューションを導入
これら課題の解決に向けて、小千谷市は従来とは異なる仕組みを求め、複数の仮想ブラウザ製品の比較検討を開始した。
費用の削減効果、起動時のレスポンス改善、操作の容易さ、サーバー管理の工数やライセンスコストの軽減などを要件に設定。また幅広いWeb会議サービスに対応し、業務端末単体でコピー&ペーストができることも重視した。
候補製品の一つであったジェイズ・コミュニケーションの「RevoWorks Browser」は、ローカルコンテナ技術を活用したインターネット分離(Web分離)型の仮想ブラウザ。アライドテレシスの支援を受け、導入前には実機を用いたPoC(*3)を実施し、最大の懸念であった「職員の生産性低下」が解消されることを確認した。
さらに端末のローカルリソースを活用することでサーバー管理の工数を大幅に削減できる点や、必要なライセンスがクライアント端末側(RevoWorks Browserライセンス)のみで済む点なども高く評価した。
これらの検証結果を踏まえた入札の結果、最終的にアライドテレシスが提案する「RevoWorks Browser」の採用が決定した。「この金額で導入できるとは思いませんでした。利用ライセンス料を含め、全体的なコストは従来方式よりも大きく抑えられています」と涌井氏は語る。
導入ライセンス数は同時利用で200。RevoWorks Browserの導入は極めてスムーズに進み、1~2か月ほどで新しい方式を全庁展開できる体制が整った。
*3 PoC(Proof of Concept:概念実証):新しい技術や手法が実際に使えるかどうか、導入前に検証・確認するための試験的な取り組み。
運用効果と支援体制、そして今後への期待
導入後は大きなトラブルもなく、構築から運用開始まで安定稼働しており、問題なくRevoWorks Browserが活用されている。「業務用端末単体でテキストのコピー&ペーストやWeb会議が可能になり、従来手間のかかっていた無害化処理もスムーズに行えるようになった、と職員からは好評です。運用側としても、コストを抑えながら課題を解決できた点を高く評価しています」と涌井氏は語る。現在で
は運用上の手間もほとんどなく、職員からの問い合わせもほぼないという。
今回、小千谷市ではRevoWorks Browserとあわせて、運用支援サービス「Net.Monitor」も導入している。このサービスは、運用中に何らかの問題が発生した際、アライドテレシスの監視センターから即座に通知が入り、迅速な対応を支援する仕組みである。現在まで大きなトラブルは起きていないが、「何かあればすぐに連絡がもらえるので安心して運用を続けられます」と涌井氏は“安心感”の高さを
評価。脆弱性情報の提供やファームウェアアップデートの支援など、アライドテレシスのサポート体制にも満足していると語った。
RevoWorks Browserの導入により、小千谷市はセキュリティの強化と利便性の向上という両立を実現した。涌井氏は「セキュリティ対策には、利便性やコスト、そして運用面のバランスが重要です」と強調し、今回のようなインターネット分離型仮想ブラウザは、そのバランスをうまく取る選択肢として高く評価している。
最後に、アライドテレシスへの評価と今後の期待について涌井氏は、「導入前からコミュニケーションも密に取っていただき、しっかりと伴走支援をしていただきました。今後もさまざまな情報提供や提案、トライアルの機会などをいただけるとありがたいです」と語った。
小千谷市では現在、ガバメントクラウドへの移行やオンライン手続きの拡充など、さらなるDX施策を進めている。アライドテレシスは今後も製品・技術・サポートを通じて、小千谷市のITインフラにおける課題解決を積極的に支援していく。
導入ネットワーク構成イメージ図
導入企業基本情報
小千谷市
企画政策課 デジタル戦略室
デジタル戦略係
主査 涌井 亮太氏
- 自治体名
- 新潟県小千谷市
- 市役所所在地
- 新潟県小千谷市城内2-7-5
- 行政面積
- 155.19平方キロメートル
- 人口
- 32,350人
- 世帯数
- 13,031世帯
- URL
- https://www.city.ojiya.niigata.jp/
日本一の大河・信濃川により形成された新潟県のほぼ中央に位置する。昨年度には、図書館等複合施設「小千谷市ひと・まち・文化共創拠点ホントカ。」がオープンし、市民が集う新たな場として、まちに賑わいをもたらしている。市全体で「ワクワクするまちづくり」が着実に進行中。
人口は、2025年4月末日現在現在の情報