国立大学法人 豊橋技術科学大学 様
- 目 的
- キャンパスネットワークの整備 ネットワークの安定稼働 通信の改善(高速化・帯域強化) 運用・管理の効率化 セキュリティの強化 ネットワーク監視の強化 業務効率の向上
- プロダクト・サービス
- スイッチ Vista Managerシリーズ AMF AMF-SEC
- 規 模
- 1,000~4,999
多くの優れた技術者・研究者を輩出する豊橋技術科学大学
国立大学法人豊橋技術科学大学は、実践的・創造的能力を備えた指導的技術者の養成という社会的ニーズに応えるため、実践的な技術の開発を主眼とした教育研究を行う大学院に重点を置いた工学系の大学として、高等専門学校卒業生を主たる対象とする新構想のもと、1976年に設立された。「高等専門学校との連携は本学の特長の一つです。
入学から修学、大学院への進学、就職、指導的技術者になるまでの教育を高等専門学校教育課程と連携して行っています」と話すのは、国立大学法人豊橋技術科学大学情報メディア基盤センター准教授の土屋雅稔氏。2020年度からは、大学と高専専攻科が協働する「高専連携教育プログラム」を開始し、高等専門学校専攻科との協働により、在学中から技術の現場での実習と研究開発への参画を通じて、課題解決力と技術の社会実装力に長けた人材育成を目的とした2年間の分野横断の教育プログラムを提供する。
豊橋技術科学大学の教育の大きな特長の一つが「らせん型教育」だ。学部1、2年次及び高等専門学校において一定の技術教育を学んだ学生に対し、3年次以降で、より高度な基礎・専門教育を繰り返して、らせん型のように積み上げていく。これにより科学を理解し、技術に強い関心を持つ学生を育てる狙いだ。
「高等専門学校との連携、らせん型教育に加え、グローバル人材の育成も本学の特長です。スーパーグローバル大学創成支援事業において国際化を牽引するグローバル牽引型大学(タイプB)に採択されています。また、文部科学省の博士課程教育リーディングプログラムとして本学が提案したブレイン情報アーキテクトの育成が採択されました」と土屋氏。さまざまな教育・研究に取り組み、世界に開かれたトップクラスの工科系大学を目指している。
課題の生まれていたキャンパスネットワークを刷新
豊橋技術科学大学では、以前より大学の教育・研究活動を支える重要なインフラとしてキャンパス内の各棟を結ぶキャンパスネットワークを構築・運用している。「専門教育のためのプラットフォームを導入して端末室なども個別に用意していますが、自分のPCやスマートフォンを活用したいという学生も多いため、ネットワークについても自由に使用して技術などの研鑽を深め、よりエンジニアとして成熟してほしいと考えています」と土屋氏。
従来のキャンパスネットワーク(TUTNET2010)は2010年に構築・運用を開始したもので、安定稼働はしていたものの一部機器の老朽化や通信帯域の逼迫などの問題はあったという。「刷新のタイミングを計っていました」と土屋氏。
TUTNET2010は、各棟を結ぶリングネットワークと棟内EPS室を結ぶリングネットワークから構成される二重リングネットワークで、2箇所のディストリビューション・スイッチが停止すると、その停止箇所に挟まれた区間の通信ができない問題があった。「年に一度の法定点検時に通信ができない棟が出てしまい、いろいろと調整はしてきたのですが、そうした課題を解決するためにも分かりやすいスター型にしたいという考えはありました」と話すのは、国立大学法人豊橋技術科学大学情報メディア基盤センター助教の中村純哉氏だ。同時にTUTNET2010は棟内接続にも問題を抱えていた。
「棟内エッジ・スイッチ間を8系統のUTPケーブル(1Gbps×8のリンクアグリゲーション)を用いたリングネットワークで接続していました。なにより非効率ですし、配管内に8本のケーブルというのも厳しいものがありましたので、これを解消する必要もありました」と土屋氏は振り返る。
AMFで有線ネットワークを一元的に運用管理
入札を経て導入されることとなったのがアライドテレシスのネットワークソリューションである。有線ネットワークについては、各棟のEPS室を情報メディア基盤センターに直接接続するスター型の構成とし、各棟を結ぶネットワークを集約するサブコア・スイッチにはアライドテレシスのアドバンストL3モジュラースイッチ「SwitchBlade x908 GEN2」を冗長構成で設置。
各棟のディストリビューション・スイッチには「CentreCOMAT-x510シリーズ」「CentreCOM AT-x930シリーズ」、エッジ・スイッチにはPoE+対応の「CentreCOM AT-SH510シリーズ」などが導入された。ネットワーク管理には、ユニファイド・ネットワークマネージメント・ソフトウェア「AT-Vista Manager EX」も採用されている。
これらスイッチ製品はアライドテレシスのAMF(Autonomous Management Framework)により統合管理されている。AMFは、複数のネットワーク機器の一括設定や一括アップデート、遠隔地からの管理・設定変更、事前設定不要の機器交換といった運用を可能とするアライドテレシスが独自開発した機能だ。AMFの導入により運用・管理工数とコストの大幅な削減、障害時の自動復旧を実現する。
中村氏は、「AMFのデモを見ましたが、多くのスイッチを一元的に管理できるということで非常に便利だと感じました」と語る。従来のTUTNET2010ではこうした統合管理の仕組みはなかったが、「まだそうした製品などもない時代でしたので、これまでは自作のスクリプトなどを用いて管理工数を低減していました」と語るのは、国立大学法人豊橋技術科学大学情報メディア基盤センターの小西和孝氏だ。
AT-Vista Manager EXによる運用管理工数の低減
今回の刷新では耐障害性を高めることも一つの目的となった。サブコア・スイッチのSwitchBladex908GEN2は、シャーシスイッチ間をスタックモジュールで接続することで1台の仮想シャーシとして扱うことを可能とする、バーチャルシャーシスタック(VCS)により負荷分散型冗長ネットワークを提供している。
「スイッチについては電源を冗長化するなど、可能な限り耐障害性を高めています」と小西氏は言う。2018年6月からは光ファイバーの敷設工事がスタートし、ネットワーク機器類は7月から順次設置、切り替えが実施された。「設置、切り替えは非常にスムーズで、予定通りに完了しました」と土屋氏。以降、ネットワークは大きなトラブルもなく安定して稼働している。「一部エッジ・スイッチで不具合が見つかった際には、AMFのスマートプロビジョニング機能により、スイッチを差し替えるだけで復旧しました。実際に立ち会ったのですが、本当に交換するだけで設定やコンフィグなどを投入することもなく復旧しましたので、とても良い機能と実感しました」と小西氏は語る。
運用におけるAT-Vista Manager EXの使い勝手を評価するのは中村氏だ。「研究室ごとに割り振られたVLANの変更や状況把握によく使用しています。グラフィカルに表示されるので見やすく、非常に便利です」と中村氏は評価する。
キャンパスは広く、各棟も離れているため、設定変更や確認の工数軽減は嬉しいという。小西氏も、「以前は自作のスクリプトでVLANの確認をしていましたので、便利になりました。コマンド体系も以前使っていたものと変わりませんので、使い勝手も良いです」と語る。
AMF-SECによるセキュリティ強化も活用していく
豊橋技術科学大学では今回のネットワーク刷新にあわせ、ネットワークセキュリティを強化するためにアライドテレシスの「AMF-SEC(AMF-SECurity)」を導入している。AMF-SECは、各種アプリケーションと連携・連動し、ユーザー端末への仮想ネットワークの自動形成や、ふるまい検知などセキュリティ強化機能による運用の高効率化を提供する。
今回の導入ではAMF-SECがFortinet社のファイアウォールと連携してネットワークを制御する予定だ。「ファイアウォールの検知内容に基づく利用者端末の通信自動遮断などさまざまな機能が利用できますので、検証を進めて活用したいと思います」と中村氏。キャンパスネットワークの刷新にあたっては耐障害性を高めるとともに、利用者追跡性の向上も目的の一つとなっており、ファイアウォールの機能を活用した追跡性向上も行っている。
セキュリティインシデント発生時には、利用者追跡が迅速にできるようになるとともに、今後はAMF-SECによる通信自動遮断などインシデント時の素早い対応も可能となっていく。
今回のネットワーク刷新を完了させた豊橋技術科学大学では今後も安定したキャンパスネットワークの運用を続けていく。「ネットワークを刷新して約1年、その間に他のシステムの調達などもありましたがようやく一段落しました。これからはAMF-SECなども含め、今回導入したシステムをさらに使いこなしていく段階になります。
スイッチはそれらシステムの基盤となりますので、安定して利用できるようにこれからもアライドテレシスの支援を期待しています」と中村氏は述べた。アライドテレシスではこれからも、豊橋技術科学大学のキャンパスネットワークを製品や技術、サポートなどの提供を通じ、積極的に支援していく。
導入ネットワーク構成イメージ図
導入企業基本情報
国立大学法人
豊橋技術科学大学
情報メディア基盤センター
准教授
土屋 雅稔氏
- 学校名
- 国立大学法人 豊橋技術科学大学
- 所在地
- 愛知県豊橋市天伯町雲雀ヶ丘1-1
- 設立
- 1976年
- URL
- https://www.tut.ac.jp/
- 代表者
- 学長 大西 隆
高等専門学校卒業生を主たる対象とする構想のもとに、実践的な技術の開発を主眼とした教育研究を行う大学院に重点を置いた工学系の大学として設立。技術を支える科学の探究によって新たな技術を開発する学問、技術科学の教育・研究を使命とし、主に高等専門学校卒業生、高等学校卒業生を入学者として受入れ、大学院に重点を置き、実践的、創造的かつ指導的技術者・研究者を育成するとともに、次代を切り拓く技術科学の研究を行う。