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サーバー室 |
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ラック内のSBx908を中心とするアライドテレシス製品群 |
新院内ネットワークは2011年3月に稼働を開始。その導入効果について、医療IT課主任の福澤さおり氏は「データ容量の大きいレントゲン画像などの表示スピードが速くなったと好評です。今後、セキュリティーに配慮しつつ、より使い勝手のよいIT環境を工夫したいですね」と話す。
同病院では電子カルテシステム用と院内OAシステム用の端末を分けている。例えば、診療室の医師は薬剤などの情報をインターネットで検索しながら、電子カルテシステムを操作する要望もあるという。現状は、インターネット接続など院内OA用端末は医局やナースステーションに置かれているため、医師は医局に戻らないとインターネットを利用できない。
「今後、仮想化技術などを利用して1台の端末で電子カルテシステムとOA、インターネットを閲覧できるようになれば、より利便性が高まるはずです」と福澤氏は見ている。
また、加藤氏は「運用管理の負荷とコストの削減」を導入効果の1つに挙げる。従来、ネットワークの保守・管理は外部のベンダーに委託していた。例えば、IT管理者が不在の夜間・休日にネットワーク障害があった場合、障害を知らせるパトライトが点灯し、夜間監視者がIT管理者(加藤氏)に電話連絡する。その都度、病院に駆けつけて障害の切り分けを行ったり、必要に応じて保守会社へ修理を依頼したりしており、復旧までの時間とコストがかかっていたという。
それに対し、新院内ネットワークでは、アライドテレシスの提案でネットワーク管理ツール「Swim Manager」を導入。VPNアクセス・ルーター「AR415S」を介して、リモートから院内ネットワークを監視する体制を実現。
院外のPCをVPNクライアントとして安全に院内ネットワークの状況を把握できる。「まだ、ネットワークのトラブルはありませんが、翌朝の対応でも問題ないかどうかを判断できるので、わざわざ病院に駆けつける必要がありません。従来に比べ管理負荷の軽減とともに、外部委託のコストが不要になりました」(加藤氏)。
今後、無線LANシステムの導入を検討するという。かつて看護支援用にPDA(携帯情報端末)と無線LANを導入したが、使い勝手などの問題から中断した経緯がある。「ローミングが不要の無線LANシステムなどもあり、検討していきたいと思います。アライドテレシスは医療分野に注力しており、医療ユーザー会などを通じて医療関係者との情報交換にも積極
的です。今後とも、医療機関に役立つ情報の提供や、設定・拡張を容易に行える機能などの拡充を期待しています」と加藤氏は述べる。
電子カルテシステムと院内OAシステムなど医療情報化の拡充を図り、その基盤となる院内ネットワークを強化する東京武蔵野病院の取り組みが注目される。(取材:2011年9月) |