[index] CentreCOM ARX640S コマンドリファレンス 5.1.5

インターフェース / 一般設定


インターフェースの階層構造
物理インターフェース
WAN側Ethernetインターフェース
LAN側スイッチポート
リンクアグリゲーション
USBポート
ルーティング/ブリッジング可能インターフェース
WAN側Ethernetインターフェース
VLANインターフェース
802.1Q VLANインターフェース
PPPインターフェース
PPPoEインターフェース
BVIインターフェース
トンネルインターフェース
ルーティング/ブリッジング用モジュール
IPv4ルーティングモジュール
IPv6ルーティングモジュール
ブリッジングモジュール
インターフェース名
特殊なインターフェース名
インターフェースの指定方法
インターフェースの有効化と無効化
インターフェースの設定例
インターフェースの情報確認


ここでは、各種インターフェースの基本的な操作方法について解説します。

インターフェースの階層構造

ルーターの設定は、最下位に位置する物理インターフェースの上にさまざまな論理インターフェースを重ねていく形で行います。次に本製品のインターフェース階層図を示します。


一番下にあるのが、本体内蔵、あるいはUSBポートに接続するUSB型データ通信端末として提供される物理インターフェース(ポート)です。本製品では、WAN側Ethernetポート(gigabitEthernet 0〜1)、LAN側スイッチポート(gigabitEthernet 2〜5)、USBポート(usb 0〜1)の3種類があります。

その上にあるのが、ルーティング/ブリッジング用インターフェースとして使用可能なインターフェース群です。本製品ではEthernet、VLAN、PPP、PPPoE、802.1Q VLAN、トンネル、BVIの7種類をサポートしています。これらのインターフェースにはIPv4/IPv6アドレスを設定してIPv4/IPv6パケットをルーティングすることができます。また、Ethernet、VLAN、802.1Q VLAN、トンネルインターフェースは、ブリッジグループに関連付けて任意のプロトコルをブリッジングすることができます。
Note - PPPインターフェースはIPv4ルーティングだけをサポートします(IPv6ルーティングは未サポート)。

一番上にあるのが、インターフェース間でパケットをルーティング/ブリッジングするための機能モジュールです。本製品ではIPv4、IPv6のルーティングと、任意プロトコルのブリッジングをサポートしています。

物理インターフェース

本製品の物理インターフェースは次の3種類です。
(コンソールポートはネットワークポートとしては使えないため除外しています)

このうち、WAN側Ethernetインターフェースはそのままルーティング/ブリッジング用インターフェースとして使用できますが、LAN側スイッチポートとUSBポートは上位層の設定を行わないとルーティングやブリッジングには使えません。

WAN側Ethernetインターフェース

WAN側Ethernetインターフェースはそのままルーティング/ブリッジング用インターフェースとして使用できます。

LAN側スイッチポート

本製品のLAN側は4ポートの10/100/1000M Ethernetスイッチになっており、複数のコンピューターを接続することができます。

LAN側スイッチはポートVLANとタグVLAN(IEEE 802.1Q)に対応しており、任意のグループ分けが可能です。

LAN側に対する上位層の設定(IPアドレスの設定など)は、個々のスイッチポートではなく、スイッチポートを束ねたVLANインターフェースに対して行います。詳しくは「VLAN」の「LAN側設定」をご覧ください。

リンクアグリゲーション

LAN側スイッチポート(gigabitEthernet 2〜5)は、リンクアグリゲーションに対応しています。

リンクアグリゲーション(ポートトランキング)は、複数の物理ポートを束ねて帯域幅を拡大するとともに、リンクの冗長性を高める機能です。

束ねたポートはリンクアグリゲーショングループ(LAG)またはチャンネルグループ、トランクグループなどと呼ばれ、論理的に1本のポートとして扱われます。グループから送信するトラフィックは、一定の基準にしたがいグループ内の各ポートに分散されます。また、グループ内のポートに障害が発生した場合は、残りのポートで通信を継続します。

本製品はトランクグループを手動で設定する「IEEE 802.3ad Manual Configuration」に対応しています。手動設定するトランクグループを、本製品ではスタティックチャンネルグループと呼びます。

■ スタティックチャンネルグループを作成するには、インターフェースモードのstatic-channel-groupコマンドを使用します。たとえば、LAN側スイッチポートgigabitEthernet 3〜5を束ねて使用するには、次のようにします。ここで「1」はスタティックチャンネルグループの番号で、1〜4から選択できます。

*Router(config)# interface gigabitEthernet 3
*Router(config-if)# static-channel-group 1
*Router(config-if)# exit
*Router(config)# interface gigabitEthernet 4
*Router(config-if)# static-channel-group 1
*Router(config-if)# exit
*Router(config)# interface gigabitEthernet 5
*Router(config-if)# static-channel-group 1
*Router(config-if)# exit

Note - スタティックチャンネルグループの設定を行うときは、所属ポートは、あらかじめすべての所属ポートを、同一VLAN所属、かつ、同一タグ設定(accessかtrunk)にしておく必要があります。所属ポートのVLAN設定が異なる場合の動作はサポート対象外なので注意してください。

Note - スタティックチャンネルグループの設定を行うときは、あらかじめすべての所属ポートを、同一の通信モード(speedコマンド)に設定しておく必要があります。所属ポートの通信モードが統一されていない場合の動作はサポート対象外なので注意してください。

■ スタティックチャンネルグループからポートを削除するには、削除したいポートを対象に、static-channel-groupコマンドをno形式で実行します。たとえば、さきほどの例で作成したスタティックチャンネルグループ「1」からLAN側スイッチポートgigabitEthernet 3を除外するには、次のようにします。

*Router(config)# interface gigabitEthernet 3
*Router(config-if)# no static-channel-group


USBポート

本製品のUSBポートは、USB型データ通信端末を装着して、WAN接続用の物理インターフェースとして使用することができます。

Note - USBポートは2つありますが、USB型データ通信端末を装着してWAN接続に使えるのは1つだけです。

WAN接続の設定は、上位のPPPインターフェースで行います。詳しくは「PPP」の「一般設定」をご覧ください。

ルーティング/ブリッジング可能インターフェース

ルーティングが可能なインターフェースは次の7種類です。
Note - PPPインターフェースはIPv4ルーティングだけをサポートします(IPv6ルーティングは未サポート)。

また、ブリッジングが可能なインターフェースは次の4種類です。
Note - VLANインターフェース間でのブリッジングはできません。

WAN側Ethernetインターフェース

前述のとおり、WAN側Ethernetインターフェースは特別な設定をすることなく、ルーティング/ブリッジング用インターフェースとして使用できます。

VLANインターフェース

VLANはLAN側スイッチポートを論理的にグループ分けしたもので、各VLANがそれぞれ独立したブロードキャストドメインを形成します。VLANインターフェースは、ルーティング/ブリッジング用インターフェースとして使用できます。

VLANの設定については「VLAN」の「LAN側設定」をご覧ください。

802.1Q VLANインターフェース

802.1Q VLANインターフェースは、WAN側Ethernetインターフェース上に作成する論理的なインターフェースで、インターフェースごとに異なるVLAN IDのタグ付きパケットを送受信できます。802.1QVLANインターフェースは、ルーティング/ブリッジング用インターフェースとして使用できます。

802.1Q VLANインターフェースの設定については「VLAN」の「WAN側設定」をご覧ください。

PPPインターフェース

PPPインターフェースは、公衆回線を経由して離れた2点間のWAN接続を提供するインターフェースです。本製品では、下位層としてUSBポートに接続したUSB型データ通信端末を使用します。PPPインターフェースがサポートする上位層はIPv4だけであり、必ずIPv4ルーティング用インターフェースとして使用します。ブリッジング用インターフェースやIPv6ルーティング用インターフェースとしては使用できません。

PPPの設定については「PPP」の「一般設定」をご覧ください。

PPPoEインターフェース

PPPoEインターフェースは、おもにブロードバンド接続に使用されるインターフェースです。下位層として、WAN側Ethernetインターフェースを使用します。PPPoEインターフェースがサポートする上位層はIPv4、IPv6であり、必ずこれらのプロトコルと関連付けて、ルーティング用インターフェースとして使用します。ブリッジング用インターフェースとしては使用できません。

PPPoEの設定については「PPP」の「一般設定」をご覧ください。

BVIインターフェース

BVIインターフェースは、ブリッジ機能のブリッジグループ(仮想ブリッジ)を代表するインターフェースで、VLANにおけるVLANインターフェースとよく似た存在です。

ブリッジグループはブリッジング可能インターフェースをグループ化したもので、各ブリッジグループがそれぞれ独立したブロードキャストドメインを形成します。BVIインターフェースがサポートする上位層はIPv4、IPv6であり、必ずこれらのプロトコルと関連付けて、ルーティング用インターフェースとして使用します。

ブリッジ機能の設定については「ブリッジング」の「一般設定」をご覧ください。

トンネルインターフェース

トンネルインターフェースは、IPv4/IPv6ネットワーク上に構築される仮想的なインターフェースです。これを実現するためのプロトコルとしては、次の組み合わせをサポートしています。いずれの方式も下位層としてIPv4、IPv6を使います。

EtherIPトンネルインターフェースはブリッジング用、IP over IPとIPsecトンネルインターフェースはIPv4、IPv6のルーティング用インターフェースとして使用します。

トンネルインターフェースの作成方法については、「インターフェース」の「トンネルインターフェース」をご覧ください。

EtherIPトンネルインターフェースの具体的な使用方法については、「ブリッジング」の「一般設定」をご覧ください。

IPsecトンネルインターフェースの具体的な使用方法については、「IPsec」の「一般設定」をご覧ください。

ルーティング/ブリッジング用モジュール

本製品のルーティング/ブリッジング用モジュールは次の3種類です。

IPv4ルーティングモジュール

IPv4(IP)ルーティングモジュールは、ルーティング可能インターフェース間でIPv4パケットを転送(ルーティング)するモジュールです。

IPv4ルーティングモジュールを利用するには、前述のルーティング可能インターフェースにIPv4アドレスを設定して、IPv4インターフェースを作成します。IPv4パケットのルーティングは、IP経路表(RIB)とそこから派生するIP転送表(FIB)にもとづいて行われます。

IPv4インターフェースの作成方法については、「IPルーティング」の「IPインターフェース」をご覧ください。

IPv4の経路設定については、「IPルーティング」の「経路制御」「IPルーティング」の「経路制御(RIP)」「IPルーティング」の「経路制御(OSPF)」「IPルーティング」の「経路制御(BGP)」をご覧ください。

IPv6ルーティングモジュール

IPv6ルーティングモジュールは、ルーティング可能インターフェース間でIPv6パケットを転送(ルーティング)するモジュールです。

IPv6ルーティングモジュールを利用するには、前述のルーティング可能インターフェースにIPv6アドレスを設定して、IPv6インターフェースを作成します。IPv6パケットのルーティングは、IPv6経路表(RIB)とそこから派生するIPv6転送表(FIB)にもとづいて行われます。
Note - PPPインターフェースはIPv4ルーティングだけをサポートします(IPv6ルーティングは未サポート)。

IPv6インターフェースの作成方法については、「IPv6ルーティング」の「IPv6インターフェース」「IPv6ルーティング」の「DHCPv6クライアント」をご覧ください。

IPv6の経路設定については、「IPv6ルーティング」の「経路制御」「IPv6ルーティング」の「経路制御(RIPng)」をご覧ください。

ブリッジングモジュール

ブリッジングモジュールは、同一ブリッジグループ(仮想ブリッジ)に属するブリッジング可能インターフェース間でEthernetフレームを転送(ブリッジング)するモジュールです。

ブリッジングモジュールを利用するには、ブリッジ機能を有効化し、ブリッジグループを作成して、前述のブリッジング可能インターフェースをブリッジグループに割り当てます。Ethernetフレームのブリッジングは、ブリッジグループごとに管理されるフォワーディングデータベースにもとづいて行われます。

ブリッジ機能の設定については「ブリッジング」の「一般設定」をご覧ください。

インターフェース名

各種コマンドでは、インターフェース名を「インターフェースの種類を表す記号(文字列)」と「同一種類のインターフェースを区別するための番号」を組み合わせた形式で表します。次にインターフェース名の具体例を示します。


特殊なインターフェース名

ここまでの説明で触れなかった特殊なインターフェースとして、次のものがあります。

インターフェースの指定方法

インターフェースに対する設定コマンドを実行するときは、下記のコマンドで設定対象のインターフェース名を指定し、該当インターフェースの設定を行うためのインターフェースモードに入る必要があります。


インターフェースの有効化と無効化

LAN側スイッチポート(gigabitEthernet 2〜5)と、これらを束ねるデフォルトVLAN(vlan 1)は初期状態で有効になっていますが、その他のインターフェースはすべて初期状態が無効です。

■ インターフェースを使用するときは、次のようにshutdownコマンドをno形式で実行して有効化してください。

*Router(config)# interface gigabitEthernet 0
*Router(config-if)# no shutdown


■ インターフェースを無効化するには、shutdownコマンドを通常形式で実行します。

*Router(config)# interface gigabitEthernet 0
*Router(config-if)# shutdown


インターフェースの設定例

以下では、インターフェースの設定を行う具体的なコマンド例を示します。
なお、ここではあくまでもインターフェース設定の概要を示すことが目的なので、設定内容の詳細については、それぞれのコマンドのページや機能解説編をご覧ください。

■ WAN側EthernetインターフェースgigabitEthernet 0にIPアドレスを設定します。

*Router(config)# interface gigabitEthernet 0
*Router(config-if)# ip address 192.168.10.1/24
*Router(config-if)# no shutdown


■ LAN側スイッチポートgigabitEthernet 2の通信モードを10Mbps Half Duplexに設定します。

*Router(config)# interface gigabitEthernet 2
*Router(config-if)# speed 10m-half


■ vlan 2を作成します。

*Router(config)# vlan database
*Router(config-vlan)# vlan 2


■ LAN側スイッチポートgigabitEthernet 3〜4を、タグなしポートとしてvlan 2に所属させます。

*Router(config)# interface gigabitEthernet 3
*Router(config-if)# switchport access vlan 2
*Router(config-if)# exit
*Router(config)# interface gigabitEthernet 4
*Router(config-if)# switchport access vlan 2


■ vlan 2にIPアドレスを設定します。

*Router(config)# interface vlan 2
*Router(config-if)# ip address 192.168.2.1/24
*Router(config-if)# no shutdown


■ WAN側EthernetインターフェースgigabitEthernet 1上にPPPoEインターフェースgigabitEthernet 1.1を作成します(PPPoE接続設定は示していません)。

*Router(config)# interface gigabitEthernet 1.1
*Router(config-subif)# pppoe enable
*Router(config-pppoe-if)# ppp bind-profile pppoe_ispA
*Router(config-pppoe-if)# ip address ipcp
*Router(config-pppoe-if)# no shutdown


■ WAN側EthernetインターフェースgigabitEthernet 1上にVLAN ID = 10の802.1Q VLANインターフェースgigabitEthernet 1.1を作成します。

*Router(config)# interface gigabitEthernet 1.1
*Router(config-subif)# encapsulation dot1q 10
*Router(config-dot1q-if)# no shutdown


■ USBポート0に接続したUSB型データ通信端末を使ってPPP接続を行うPPPインターフェース0を作成します(PPP接続設定は示していません)。

*Router(config)# interface ppp 0
*Router(config-if-ppp)# ppp bind-device usb 0
*Router(config-if-ppp)# ppp bind-profile ppp_3g
*Router(config-if-ppp)# ip address ipcp
*Router(config-if-ppp)# no shutdown


■ IPv4ネットワーク経由でEthernetフレームをブリッジングするためのEtherIP over IPv4トンネルインターフェースtunnel 1を作成します(ブリッジングの設定は示していません)。

*Router(config)# interface tunnel 1
*Router(config-if-tunnel)# tunnel mode etherip ip
*Router(config-if-tunnel)# tunnel source 10.1.1.1
*Router(config-if-tunnel)# tunnel destination 10.2.2.2
*Router(config-if-tunnel)# no shutdown


■ IPv4ネットワーク経由でIPv4/IPv6パケットをルーティングするIPsec over IPv4トンネルインターフェースtunnel 2を作成します。トンネル上のパケットはIPsecポリシーipsecvpnで保護します(ルーティングの設定やIPsecポリシーの設定は示していません)。

*Router(config)# interface tunnel 2
*Router(config-if-tunnel)# tunnel mode ipsec
*Router(config-if-tunnel)# tunnel policy ipsecvpn
*Router(config-if-tunnel)# ip unnumbered
*Router(config-if-tunnel)# no shutdown


インターフェースの情報確認

■ インターフェースの全般的な情報は、show interfaceコマンドで確認します。

*Router> show interface gigabitEthernet 0
Interface gigabitEthernet 0 is up, line protocol is up
  Hardware is Ethernet, address is 00-00-f4-27-75-24
  Current speed is autonegotiation (10BaseT Half Duplex)
  index 4 metric 1 mtu 1500
  Bandwidth 10m
  [Counter information]
    input packets 11399, bytes 627451, broadcast packets 19, multicast packets 4
    input errors 0, dropped 0, missed 0
    output packets 11859, bytes 676860, broadcast packets 3, multicast packets 0
    output errors 0,  dropped 0
    collisions 0



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